戸惑いながらも、ほむらは学校に登校し廊下を歩きながら考えていた。
ほむら
(やっぱり、今回はイレギュラーなことがかなり大きい範囲で起きてるわ。見滝原中学校が、高校の付属になってるのも間違いなくそれね。……でも、イレギュラーが多かろうと、私の目的に変更はないわ)
はぁ、とため息をつき、彼女は本来なら転校生として入る筈だった教室の扉を開けた。
ガラッ
?1
「あ、おはようほむらちゃん!」
?2
「おはよう! 今日は少し遅いんだね。遅刻するんじゃって焦っちゃった」
ほむらの耳に飛び込んで来たのは、桃色の髪の少女……鹿目まどかと青い髪の少女……美樹さやかの元気な挨拶だった。
ほむら
「…………………え、ええ。おはよう2人とも」
そのことに一瞬固まってしまうがすぐに我に返り、すぐさま状況を理解した。
ほむら
(私は入院してないことになっているから仲が良いのは当然か……私のことを名前で呼んでるということは、私も2人を名前呼びしている筈)
さやか
「何か変な様子……もしかして、悩み事とかでよく眠れなかったとか?」
ほむら
「ええ、まあ……そんなところかしら」
さやか
「ふむ、やはり。てことは悩みは、ずばり恋愛ごとか!」
ポンッ。と手を叩きこれだ!と確信した表情でさやかは言うが―――
まどか
「それって自分のことじゃない……? まだ決めてもらってないんでしょ?」
まどかのカウンターで、ぐさっと刺された様に胸を押さえた。
さやか
「うぐっ!? そ、それを言われると………いい加減私か仁美かはっきりしてくれるといいんだけどなぁ」
まどか
「……上条君も色々と困ってると思うな。今朝なんて両側にそれぞれ抱きついて登校したし。周りの視線が凄かったよ?」
ほむら
「え……」
2人の会話を聞いたほむらは、違和感に顔をしかめた。
さやか
「あ、あはは。もっと積極的になろう! って仁美に宣言したんだし……今更後に引けなくてさ……」
ほむら
「ち、ちょっとみ…さやか。どういうこと? 貴女、上条恭介と何があったの?」
思い切って彼女は尋ねてみるが、返ってきたのは予想外の言葉であった。
さやか
「あ、まだ言ってなかったっけ。いやー、実はさ。恭介が退院する日にお見舞いに行ったんだ。そしたら仁美とばったり出くわして、恭介のことが好きってことを聞いて。それで、私も好きって話をして、お互い負けないぞって誓ったんだよね」
ほむら
(上条恭介が退院している? どういうこと!? それにこんな早い段階で志筑仁美と……)
さやか
「それから、恭介に振り向いてもらおうと仁美とアプローチし始めて―――」
まどか
「だけど、人前で堂々としすぎるのも考え物じゃない?」
さやか
「……はい、おっしゃる通りです……」
ばつが悪そうにさやかは頬をかく。それを見たほむらは、ふぅとため息をつき、さやかを見やった。
ほむら
「(いくらか進展があるみたいだけど、懸念すべきことは聞いておかないと)1つ、いいかしら?」
さやか
「何?」
ほむら
「仮にもし、上条恭介が仁美を選んだ……貴女がフラれた場合は、どうするの?」
神妙な面持ちとなった彼女を見て、さやかは腕を組んで真剣な顔で話し出した。
さやか
「フラれた時か……ま、そうなったらなったでスパッと割り切るよ」
まどか
「え、そうなの?」
さやか
「うん。仁美はさ、天然だけど凄く気が利くし、優しいし、何より一緒にいると楽しい。女の私から見てもそう思うくらいだし、最近よく思ってるんだ。ああ、やっぱ仁美にゃ叶わないなぁって。だから恭介が選んでも納得ができる。……って、まだどっちに転ぶかわからないけど」
ほむら
「そう……ごめんなさい、変なこと聞いて」
さやか
「謝んなくていいよ。元は私が……あれ? まどかが綺麗なカウンター入れなければ言わなかったような……」
まどか
「え、私のせい!?」
驚くまどかに「冗談だよ~」と言い、その後は最近の世間話等で盛り上がりやがてホームルームの時間が来た。
和子
「皆さん、今日は先生から大事なお話があります……いいですか女子の皆さん! 卵の焼き加減にケチをつけるような男とは交際しないように!」
さやか
「あちゃ~。今回もダメだったか」
ほむら
(本来ならこの後で私が転校生として入って来てたのよね)
担任教師の失恋話にさやかが小声で呟き、ほむらはそう言えばと思っていた。
放課後。まどかとさやかはCDショップに訪れていた。
さやか
「なんか良い物ないかな?」
まどか
「う~ん」
どれにしようか決めあぐねていた時だった。
???
(助けて!)
まどか
「えっ……? 今の声って……!」
謎の声に導かれ、まどかはCDショップを出て行ってしまった。
さやか
「まどか?」
その様子を見ていたさやかも、彼女の後を追いかけた。
一方その頃、別の場所では2人の男子高校生が帰路についていた。
一誠
「はぁ……色々あって遅くなっちまったな」
明久
「久々に疲れたよ……」
彼らは兵藤一誠(通称イッセー)と吉井明久。共に見滝原学院高校の二年生である。今日は明久に観察処分者としての仕事が久しぶりにあり、一誠も彼を手伝っていたので遅れてしまったのだ。
一誠
「よく言うぜ。試召戦争で縦横無尽の活躍して勝利を掴んだ癖に」
明久
「いや、あの時はただ夢中だったと言うか、何というか」
一誠
「夢中であそこまでやれるなら誰も苦労はし……ん?」
話している途中で、一誠はCDショップからまどかが飛び出して行くのを見た。
一誠
「あの子……確か中等部の」
明久
「急いでたみたいだけど……何だろう、嫌な予感がする」
一誠
「奇遇だな、俺もだ」
明久
「追いかけよう」
互いに頷き、一誠と明久はまどかの後を追った。
自分で言うのもなんですけど、この時点で既に色々変わりまくりですね……