???
「うぅ……」
改装中の薄暗い場所に、猫ともウサギとも見て取れる生物が、傷だらけでうめいていた。そこへ、まどかが現れた。
まどか
「(あれ? この子……どこかで……)っ、凄いケガしてる! 大丈夫!?」
生物の様子を見たまどかは血相を変え、抱きかかえる。
その一部始終を、物陰からじっと見ている人物がいた。
ほむら
(……イレギュラーが多かろうと、彼女が関わるのは変わりないか……どうして……)
ほむらは悲しそうな目をまどかに向けた後、彼女が抱えている生物を敵意ある目で見た。
ほむら
「(でも、そんなことはさせない。今度こそ、私が)そいつから離れ―――」
キィィィン……キィィィン……
まどか・ほむら
「「っ!?」」
物陰から飛び出し、叫んで拳銃を構えようとした時、周囲に謎の金切り音が響いた。何事かと周りを見回すが、誰もいない。が、近くにある鏡の表面が妙に波打っていることにほむらが気づいた瞬間―――
???
「クキャァァァァァァァァァ!」
鏡からイカ型の怪人、バクラーケンが飛び出してきた。
まどか
「きゃあっ!?」
ほむら
「か、怪物!?」
さやか
「はぁ、はぁ、やっと追いつい……って何あれ!?」
タイミング悪く、まどか達と合流したさやかはバクラーケンを見て驚く。
バクラーケン
「ググゥゥゥゥゥ……!」
3人を餌として捕食する為、バクラーケンは一気に近寄る―――が。
ダンッ! ダンッ!
バクラーケン
「グギャッ!?」
突如放たれた弾丸を受け、後退してしまう。
ほむら
(今のは私や巴マミじゃない……一体誰が?)
???
「大丈夫か?」
彼女達の元へ、弾丸を放った人物が現れた。彼の全身像は、緑色のスーツに上半身を銀の鎧で覆い、特徴的な頭部のヘルメットはフォトエレクトロアイが赤く点滅していた。
ほむら
「貴方……一体何者?」
???
「答えてあげたいけど、状況的に無理だな。今言えることは、コイツは俺に任せて、3人は早く逃げてくれってことだけだ」
まどか
「だ、大丈夫何ですか?」
???
「もちろん。ほら、急いで!」
ほむら
「(今は四の五の言ってる場合じゃないわ……正体は後で確かめるとして、ここは逃げるのが正解ね)……行くわよ、まどか、さやか」
まどか
「う、うん」
さやか
「急ごう! また襲われるかも!」
ほむらを先頭に、モンスターがいる場所から離れていく。バクラーケンが後を追おうとするが―――
『SHOOT VENT』
???
「悪いけど、ここは通さないぜ!」
両肩にキャノン砲・ギガキャノンを装備したその人物―――仮面ライダーゾルダが立ち塞がった。
まどか
「こ、ここまで来れば大丈夫だよね……でも、私達を助けてくれたのって……」
さやか
「……あの人、仮面ライダーだよ。最近噂になってるんだ。風都のライダーやメダルのライダー以外に、新たに大勢の仮面ライダーができたって」
ほむら
「仮面ライダー……?」
さやか
「そ。ってアンタ、何でそんな格好してんの? それにまどかの持ってるのって、ぬいぐるみ……じゃないよね?」
今だ抱えたままの生物を指して、さやかが尋ねる。
まどか
「う、うん。凄いケガしてて……」
ほむら
「(っ、そうだった!)まどか、早くソレを離し―――」
話している途中、突如として彼女達のいる空間が歪み始めた。景色はまるで子供の落書きのようなものになり、更に『魔女の使い魔』と呼ばれる小型の敵が数体、彼女達の前に出現した。
さやか
「今度は何!? ってこっち来んな!?」
ほむら
「2人共、私の後ろに隠れて! 早く!!」
まどか達を庇うようにほむらが前に出て、取り出した重火器で応戦していく。
さやか
「け、拳銃!?」
まどか
「どうしてほむらちゃんが……」
驚く2人を余所に使い魔を撃退していく。が、敵の数が多く、弾の数にも限りがあるので戦況は徐々に不利になっていった。
ほむら
(くっ、このままじゃ……!)
限界に達するかと思われた、その時。
一誠・明久
「「うおらぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!」」
ほむら達と使い魔達との間に一誠と明久がダッシュで割り込み、対峙した。
まどか
「えっ、兵藤先輩に、吉井先輩!?」
さやか
「どうしてここに!?」
ほむら
(民間人!?)
明久
「君達を途中で見かけてね。不安で後を付けたら、ここに来たんだ」
一誠
「おい明久。話してる間に今にも襲って来そうだぞ」
明久
「うん。さて、どうするか……一般人がいるんじゃイッセーはアレを使えないし、雄二がいないから召喚獣を呼び出すこともできない」
一誠
「難しいこと考えるな。要は生身でやればいいんだろ」
明久
「そういうこと!」
言うが早いか、2人は散開して使い魔達に向かって行った。一連の流れを見ていたほむらは当然ながら仰天した。
ほむら
「な、何考えてるの!? 一般人が勝てる訳―――」
明久
「よっ! ほっ! とりゃぁぁぁあああああああ!」
一誠
「どうしたどうした! こんなもんか!」
しかし、予想とは裏腹に彼らは高い身体能力を発揮し、使い魔達を次々と戦闘不能に追い込んでいった。
まどか
「す、凄い……!」
さやか
「どうやったらあんな動きができるの!?」
ほむら
(生身で使い魔を倒すって、どういう理屈!?)
その後も使い魔を圧倒し、ついに全ての使い魔を撃破した。
明久
「ふぅ。FFF団との戦いの方がまだ手応えがあったな」
一誠
「今まで戦ってきた奴らより、てんで弱かった気がするぜ」
息を整える2人だが、彼らの前に今度は人間大の使い魔が現れた。
一誠
「まだいたのかよ……しかも見るからに強そうじゃんか。ま、俺や木場達には負けるだろうが」
明久
「イッセー基準で言われても、僕にはわからないよ……」
余裕綽々といった様子で再び対峙する2人―――だが。
ダァーン!
一誠・明久
「「っ!」」
どこからか放たれた銃撃により、使い魔の1つが倒された。
ほむら
(今度の銃撃は……間違いない)
???
「みんな、大丈夫かしら?」
確信するほむらの元へ、まどかやさやかと同じ制服を着た金髪の少女が現れまどかに視線を向けた。
???
「キュゥべぇを助けてくれたのね。ありがとう」
まどか
「え、えっと、私、この子に呼ばれて……」
???
「そうだったの。……それにしても、制服からして貴女達も付属中学の生徒みたいね。二年生かしら。後……兵藤先輩に、吉井先輩もいるみたいですね。間に合ってよかったです」
少女―――巴マミは明久達を見ると、笑顔で言った。
明久
「……もしかして、さっきの奴って彼女が倒したのかな?」
一誠
「多分な。それより……あの子、年の割におっぱいでかいな。リアスや朱乃さんには負けるけど」
明久
「比較対象が大きすぎるだけだから。てか、今着目すべきとこはそこじゃないでしょ? 敵もいるし」
一誠
「俺の中じゃまずおっぱいなの!」
マミ
「……そろそろ、いいかしら?」
見れば、マミは赤面して体を震わせており、ほむら達は一誠をジト目で見ていた。
ほむら
「最低ね……」
さやか
「やっぱ、兵藤先輩って噂通りスケベなんだ……見直して損した」
まどか
「うん……」
女子達の痛烈な意見に一誠は「うっ」と狼狽え、明久は苦笑いする。と、気を取り直したマミが「こほん」と咳払いし使い魔に向き直った。
マミ
「話が脱線したけど、まずは一仕事……片付けさせてもらうわ!」
言った直後、彼女の体が光り輝き服装が変化した。
さやか
「変身した!?」
一誠
「お前、魔法使いか!?」
マミ
「ちょっと惜しいです。私は……魔法少女ですから!」
ドガガガガガッ!
マミは両手に持ったマスケット銃を駆使して使い魔達を狙い撃ちし、全滅させた。その後キュゥべぇという生物の傷を治すと服装も元に戻した。
さやか
「あ、戻った」
明久
「一体君は何者なんだ? 召喚獣とは明らかに違うし……」
マミ
「話したいのは山々だけど、ここで話すのもなんだし、折角だから私の住んでる家に行きましょうか」
一誠
「マジか。となると、帰りが遅くなりそうだ……リアス達に連絡しといた方がいいな。はぁ……後で何したか聞かれるだろうな」
明久
(……年下とはいえ、女の子の家に行くとなると、何がなんでも姉さんに知られないようにしないと)
今日の予定に一誠はため息をつき、明久は冷や汗を流した。
マミ
「でもその前に……ご苦労様。2人を守って戦ってた姿、遠目からだけど目に焼き付いているわ」
ほむらを見て、マミが笑顔でそう言った。
さやか
「っ、そうだ! ほむら、アンタひょっとして、えと……「マミよ。巴マミ」マミさんと同じ、魔法少女って奴じゃないの?」
まどか
「だとしたら…どうして、今まで黙ってたの?」
ほむら
「……それは……」
言い淀むほむらに対し、「待って」とマミが手で制す。
マミ
「言わなくてもいいわ。……魔法少女は、人知を超えた力を持つ者。もし知られたら、嫌われるかもって思ってたんでしょ?」
ほむら
「……え?」
自身が想定していたことの斜め上を行った発言にぽかんとしてしまい、離れたところでは一誠が「わかるなぁ、その気持ち」と腕を組みながら頷いていた。
さやか
「何だ、そういうことだったの。水臭いなぁ。私達が嫌う訳ないじゃん」
まどか
「そうだよ。ほむらちゃんは、大事な友達だもん」
ほむら
「え、ええ……その、ありがとう……」
礼を言いながらほむらは、言えない。自分のことを誰にも話さないつもりでいたなんて一言も……と思っていた。
マミ
「では改めて、家に行きましょう」
さやか
「そうだね」
マミの案内で、その場にいる全員が彼女の家へと向かった。その中で一誠は、1人だけ何か考え込んでいた。
一誠
(さっきの奴ら、何者だ? 悪魔でも堕天使でも、ましてや天使でもない……強いて言うなら、使い魔か? だが誰の使い魔だ……?)
マミ
「着いたわ。ここよ」
しばらくして、マミは一件の大きな家の前で立ち止まった。
ほむら
(え、マンションじゃない?)
明らかに一軒家だったので、ほむらは疑問だらけだった。
一誠
「……お、おい明久。この表札見てみろ」
明久
「どれどれ……えぇぇぇぇぇ!?」
表札に書かれていた字を見て2人は驚き、後から見たまどかとさやかも驚いた。そこには、こう書かれていたのである。
『北岡法律事務所』