雄二
「―――以上が、俺達が経験した出来事です」
2日後。雄二、明久、一誠の3人は学園長室にて、学園長である藤堂カヲルに魔法少女のこと等を話していた。
藤堂
「……そうかい。そんなことが起きていたとはね」
一誠
「それで、何か知ってることがあれば教えて頂きたいんですけど―――」
藤堂
「残念だが、私ゃ何も知らないよ。今の話も初めて聞いたことさね」
明久
「そうですか……」
期待していた分、明久は落胆してしまう。
藤堂
「そうがっかりすることもないさ。代わりと言っちゃ何だが、吉井にこれを渡しておくよ」
引き出しから何やら金色の腕輪を1つ出すと、明久に差し出した。
明久
「この腕輪は?」
藤堂
「ソイツは今制作中の『
明久
「召喚獣と融合って、凄い腕輪ですね」
藤堂
「ただし、ソイツはあくまで試作品だ。最大で3回しか使えない。使いどころをよく考えるんだよ」
明久
「わかりました」
雄二
「では、失礼しました」
ドアを開けて退室する雄二達。彼らを見送った学園長はふぅ、とため息をつくと誰もいない空間に言った。
藤堂
「……隠れてないで出てきな」
すると、彼女の視界の先にキュゥべぇが現れた。
キュゥべぇ
「さすがカヲルだ。よく僕がいたことに気づいたね」
藤堂
「アンタの無自覚なエゴくらい、余裕で感じられるさ。で…何しに来たんだい?」
キュゥべぇ
「相変わらず変わったことをしているなと思ってさ」
ぴょん、と机の上に飛び乗ってキュゥべぇが言う。
キュゥべぇ
「君がまだ中学生だった頃……僕は君に契約を持ちかけたけど断られた。その目的がこのシステムなのかい?」
藤堂
「ああ。アンタのせいでアタシの同級生は魔女になったり、ソウルジェムを砕かれて死んだ。だから必死で勉強して、召喚獣システムを完成させたんだ。全ての魔女と、アンタを倒す為にね」
キュゥべぇ
「ふうん……彼も似たようなことを言ってたね。自分の妹が魔女になって倒されたからってライダーシステムなんてのを作って、なり損ないのミラーモンスターと僕達を倒すと。……相変わらず、人間のやることは理解できないよ」
それだけ言い残すと、キュゥべぇはいずこかへと消えた。
藤堂
「……アタシも神崎も、してやれることはあれくらいが限界さね。勝手ですまないが、今を生きる魔法少女達の運命、託させてもらうよ……吉井明久、兵藤一誠。そして、仮面ライダー達」
翌日。さやかは仁美と共に恭介の定期健診に付き添っていた。その間も周りに迷惑を掛けない程度で火花を散らしていたので、恭介は「早くどちらかはっきりさせないと」と真剣に悩み始めた。健診が終わった後、さやかは恭介達と別れ帰ったが、その際まどかとキュゥべぇと偶然出くわし仲良く話していた―――が、途中で病院の近くで孵化しかかっているグリーフシードを見つけた。
まどか
「このままじゃ魔女が!」
さやか
「まどか! ここは私が見張っておくから、アンタはマミさんと北岡さんと吉井先輩達を呼んで来て!」
キュゥべぇ
「僕も残るよ。マミとはいざとなったらテレパシーで会話できるし、いざとなったらさやかを魔法少女にすることもできるからね」
まどか
「わかった、任せて!」
まどかはまず真っ先に北岡法律事務所に出向き、マミ達を呼びに行った。が、いたのはマミだけで北岡はモンスターを倒す為に出向いていたので、まどかはとりあえずマミに事情を話すと明久達から受け取った連絡先を元に、近くにあった電話で連絡を取った。
少しして、まどかはマミとほむらを連れて戻って来た。明久達は若干遅れて来るそうだ。
マミ
「キュゥべぇ、状況は!?」
結界に入り、テレパシーを使って会話をする。
キュゥべぇ
『大丈夫、孵化まではまだ時間がある。下手に刺激するのはまずいから、なるべく静かに来てくれないかい?』
マミ
「わかったわ。……2人共。焦らず、確実に先に進むわよ」
まどか
「はい!」
ほむら
「ええ」
同時に頷き、マミ達は奥へと向かった。
一方結界の外では、一誠達が到着していた。
雄二
「暁美達は既に突入した後か」
明久
「僕らも早く行こう」
一誠
「ああ!」
一誠を先頭にして、3人は結界に突入した。
ほむら
(観察していて、わかったことがある)
お菓子だらけの結界を進みながら、ほむらは思考を始めていた。
ほむら
(巴マミの精神状態は以前のどのループよりも良好らしい)
実は先日、マミは自分の身に起きたことを話した。交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ったこと。その際、キュゥべぇに「助けて」と願ったことを。ここまではほむらも知っていることだ。が、問題は次からだ。この後マミは、加害者側の弁護をする為事故現場に訪れていた北岡と五郎に偶然発見され、引き取られたのだ(当初の理由は助けたことによるイメージアップが半分程含まれていた)。故に孤独感はなく、またキュゥべぇに対しての依存もなく、逆に若干不信感を抱いているようだった。
ほむら
(今回の魔女は、幾度となく巴マミを葬って来たけど……今回なら、もしかしたら)
自分も援護するし、助かるかもしれない。そう考えていた。そこへ、明久達が走って合流した。
明久
「ごめん、遅れちゃって!」
マミ
「大丈夫です。先に進み―――」
その時、キュゥべぇから急に連絡が来た。どうやら魔女の孵化が始まったようだ。
マミ
「なら、もうコソコソする必要はないわね!」
すぐさま魔法少女に変身する。
雄二
「明久!
明久
「ようし!
一誠
「派手に行かせてもらうぜ!」
マミは両手に持った銃で、明久は召喚獣で、一誠は卓越した身体能力を武器に使い魔と戦い、先に進んで行く(その間、ほむらは主にまどかを守りながら戦っていた)。
やがて、さやかとキュゥべぇがいる最深部へ辿り着いた。
マミ
「お待たせ!」
さやか
「よ、良かった! 間に合った!」
一誠
「魔女はどこだ!?」
辺りを見回していると、何やら人形のようなものが1つ出てきた。
明久
「アレがここの魔女? 何か可愛い……」
雄二
「見た目に騙されんな。どんな力を隠し持ってるかわからねぇぞ」
ほむら
「彼の言う通りよ。あの魔女は他とは訳が違う。手痛いしっぺ返しを食らう可能性があるわ」
マミ
「そうね……なら、出てきたところを悪いけど、早いとこ決めさせてもらうわ!」
まずは銃を連射し、お菓子の魔女『シャルロッテ』に全弾命中させる。その間、シャルロッテは避けることも防御することもせず、ただただ一方的に攻撃を受けていた。そして、リボンで拘束すると締めに巨大な大砲を召喚する。
マミ
「いくわよ…ティロ・フィナーレ!!」
必殺の弾丸が放たれ、シャルロッテに直撃した。
まどか・さやか
「「やった!」」
歓喜の声をあげるまどかとさやかだが―――
一誠
「気をつけろ! まだアイツは死んでねぇぞ!!」
マミ
「え?」
一誠の忠告にマミが再度魔女を見ると、口にあたる部分から巨大な芋虫のようなものが現れた。これこそがシャルロッテの本体だ。シャルロッテは口を大きく開けてマミを捕食せんと接近する。一瞬反応が遅れた為、マミは避けることができなかった。
マミ
「しまっ……!」
ほむら
(まずい、早く時間を止めないと!)
もう少しで飲み込まれるかと思った―――その時。
『SHOOT VENT』
ドガァァァン!
ゲルニュート
「グゲェェェェェェェェェェェェェェェェ!?」
音声と爆発音と叫び声と共にミラーモンスターのゲルニュートが吹っ飛ばされ、真っ直ぐシャルロッテの口に飛び込んだ。
パクッ、ゴクン!
思わずシャルロッテはそれを飲み込んでしまい、大いに困惑していた。
ゾルダ
「今だ! 一旦離脱しろ!!」
マミ
「っ! はい!!」
ゲルニュートを吹っ飛ばした本人―――ゾルダが叫び、我に返ったマミはシャルロッテから離れる。
まどか
「北岡さん! どうしてここに!?」
ゾルダ
「いや、モンスターと戦ってたら魔女の結界に逃げられたんで追いかけて来て、そしたらあんな状況だったんで思わずな」
さやか
「え、魔女の結界とミラーワールドって繋がってるんですか!?」
ゾルダ
「最近わかったことだけどね。……大丈夫か? マミちゃん」
マミ近づき言葉を掛ける。
マミ
「は、はい。何とか……」
そうは言うが、足は震えていた。
ゾルダ
「震えてるぞ? 本当は怖かったんだろ?」
マミ
「……はい。いつかこうなることは覚悟してたんですけど、いざなってみると……怖かったです」
ゾルダ
「それでいいさ。人間誰しも死ぬことは怖いもんだからな。それがわかった分、一歩成長だ」
わしゃわしゃとマミの頭を撫でてゾルダは言う。当のマミは、少し恥ずかしそうに顔を赤くしていた。そこへ、シャルロッテが再び近づこうとしていた。
ゾルダ
「さて……ウチの紅茶係を食べようとした報いを与えてやるか!」
マミ
「私もやります!」
決意を秘め、シャルロッテと対峙する。シャルロッテは真っ直ぐ突っ込んで来るが、そこへマミの銃弾とゾルダのギガランチャーが放たれ、仰け反る。その隙を、マミとゾルダは逃さない。
『FINAL VENT』
ゾルダは契約モンスターのマグナギガを召喚し、召喚機兼武器であるマグナバイザーを背中に接続する。マミは周囲に大量のマスケット銃を作り出して配置し、自らも右手に銃を持って相手に向けた。
マミ
「パロットラ・マギカ・エドゥ……インフィニータ!!」
ゾルダ
「ふんっ!」
ほぼ同時にトリガーを引いた瞬間、全てのマスケット銃から弾丸が、マグナギガからレーザーやガトリング砲、ミサイルが放たれシャルロッテに直撃した。
圧倒的な火力を全て受けたシャルロッテは、残骸1つ残すことなく消滅した。
明久
「今度こそ倒したみたいだね……」
ゾルダ
「結界も消えるし、間違いないだろう。……ところで、これで君達もわかった筈だ。本当の戦いがどんなものか」
まどかとさやかを見て、ゾルダが言う。
マミ
「常に、痛いことや辛いことを我慢しながら戦って、それでもゲームみたいに止めることができない……魔法少女になるというのは、そういうことでもあるのよ」
それにマミが付け加えると、2人は何度も頷いた。その様子をほむらはじっと見ていた。
ほむら
(何とか巴マミは生存することができた……イレギュラーの存在が運命を分けたと言うの……? だとしたら、今回はどんな結末を迎えるのか……)
考えながら、ほむら達は帰路についた。
その頃、風の街『風都』では。
亜樹子
「し、翔太郞君! フィリップ君!」
鳴海探偵事務所の所長である鳴海亜樹子が慌ただしい様子で部屋に入って来た。
翔太郞
「どうした亜樹子? 何かあったのか?」
亜樹子
「何かじゃない! 依頼よ依頼! 久々に大きな依頼が舞い込んで来たのよ!」
翔太郞
「マジか!? で、どんな内容なんだ?」
驚きと歓喜を隠しつつ(全然隠れてないが)翔太郞は亜樹子に尋ねた。
亜樹子
「えっとね、見滝原市で起きている事件について調査してほしいんだって。詳しいことは、ここに来てから話すって書いてあるわ」
翔太郞
「どれどれ……見滝原学院高校オカルト部!? おいおい、見滝原学院って言ったら超有名な公立校じゃねぇか!!」
フィリップ
「そんなところから依頼が来るとは……是非行ってみたいね」
興味を持ったのか、翔太郞の相棒であるフィリップも顎に手を当てて言う。
亜樹子
「行った方がいいわよ! 風都のことは竜君に任せておけば安心だから、ね?」
翔太郞
「そうだな……よし、行ってみるか! フィリップ、しばらく事務所空けることになるからしっかり支度するぞ!」
フィリップ
「了解した。すぐに……ん?」
準備に取りかかろうと席を立った時、偶然窓の外を見たフィリップは訝しんだ。
翔太郞
「どうした? 何かあったか?」
フィリップ
「今……窓の外に猫のような、ウサギのような生き物がいた気がしたんだが……」
翔太郞
「え?」
言われて、フィリップが見てるのと同じ方向を見るが、何もなかった。
翔太郞
「見間違いだな。あ、待てよ。そういえば、ちょっと前に迷い猫と迷いウサギの捜索願いが届いてたが、もしかしたらそれか?」
亜樹子
「多分そうじゃない? じゃあ、私が探しておいてあげる」
翔太郞
「悪りぃな」
フィリップ
(……本当に見間違いだったのだろうか?)
出発の直前まで、フィリップは首を捻っていた。
?1
「ふぅ、これで今日の分の仕事は終わりか」
?2
「お疲れ様です、善吉君」
生徒会室にて、生徒会長である支取蒼那と人吉善吉が仕事を片付けていた。何故生徒会長が2人なのかと言うと、この学校では男女一組で生徒会長となり、生徒会を仕切る制度になっているからだ。
蒼那
「それで、リアスから聞いた話についてですが……」
善吉
「ああ、魔法少女っていう奴か。話を聞く限りどうも怪しいが、立場上安易に動くこともできないし……どうするんだ?」
蒼那
「大丈夫です。リアスと相談した上で、鴻上ファウンデーションに応援を要請しましたから」
善吉
「応援となると、バースか?」
蒼那
「いいえ、あの人です」
蒼那の言葉に、善吉は「おいおい、マジか」と目を丸くした。
善吉
「そこまで行くとは考えつかなかったぞ……まあ、今回のことを考えると仕方ないかもしれんが」
蒼那
「ええ。迂闊に調査できない分、彼と探偵達に任せておけば大丈夫でしょう」
善吉
「そうだな……」
呟くと、善吉は小さくため息をついた。
映司
「はぁ、呼び出されたと思ったらいきなりこの場所へ行けだなんて……鴻上さんも人使いが荒いなぁ」
鴻上ファウンデーション前にて、火野映司という男性が手に持った紙を見てため息をつく。彼は海外から鴻上光生に呼ばれて日本に帰国し、彼に見滝原学院高校生徒会執行部に行くように命じられたのだ。
映司
「にしても、どんな学校なのかなここ……ん?」
ふと、映司の視界に白い何かが映った。
映司
「? 気のせいか……」
が、特に気にも止めず歩いて行った。
キュゥべぇ
(危ない危ない。もう少しでバレるところだった。イレギュラーが多数介入する以上、僕も保険を持っておいた方がいいからね)
そう考えるキュゥべぇは―――USBメモリのようなものとメダルのようなものを手にしていた。
マミさんは無事生存できました。同時に物語も大きく変わっていきます。