キーンコーンカーンコーン
異界にチャイムが鳴り響く。
今や一級河川ほどに広がった清流の土手傍に、よくある鉄筋3階建ての校舎と体育館がある学校が出現していた。
銘板には「友引高校」と記されている。
竜ちゃんを召喚した後、俺は佐賀に行き、炬燵を餌に
そして異界で校長先生を再召喚したら、にょきにょきと校舎生えてきたんだわ。
当人は校長室でコタツネコとのんびり茶を嗜んでるけど、いや、ビッグネームは流石凄まじいな!
因みに校舎内で勉強すると、学習効率大幅上昇の加護が付く。
受験生垂涎だろ?
まあ、前提として覚醒してないと、異界のMAG濃度に耐えきれないんだけどな。
親父は、ここの校庭で所員を扱くのが最近の日課だ。
何しろフィールドが自在に変更できる上、訓練悪魔には事欠かない。
にっこにこで玄さん達への特訓三昧である。
お蔭で、MACの事務はおユキさんが全て回すようになっている。
営業実績は右肩上がりなんだとか。
…乗っ取り完了だな(呆れ)。
所員達も所員達で、異界に住み込み始めている人も出てきているとか。
具体的には、桃井さんなんだが。
彼女、メキメキと腕を上げ、ピクシーとジャックフロストを
んで、異界の温泉に毎日入ってるもんだから、お肌艶々で、最近お袋も異界への引っ越しを真剣に考えている。
あれ?、終末まだ来てないのに、もう引き籠りの展開になってる?
首を傾げながら、ラムと保健室の扉を潜る。
「ちわーす、サクラさん、爺さんの調子、どう?」
「おう、諸星か。もう心配はいらんぞ。」
ぎしり、とデスクチェアを軋ませながら振り向くサクラさん。
その視線の先には、ベッドに横たわる死神博士にそっくりな老人と、それに寄り添う女性が居た。
玄さん達がパトロールしていたところ、メシア教徒に襲われていたところを救出したのだが、普通の病院では、メシア教徒の襲撃の恐れがあるため異界に連れ込んだとの事。
あのさあ…、秘密厳守って言ったでしょう!?
玄さん?
今親父の
「すみません、祖父を助けていただいて。」
こちらに頭を下げてくる、女性。
う~む、一寸奇抜な服装(頭に銀色のバンダナ?と着け、つるんとした材質の緑のワンピースに白い手袋)をしているけど、人間にしか見えんな。
「のう、諸星、この女人、人でも、悪魔でも無いな?」
女性を観察していた俺に、サクラさんが声を顰めて聞いてくる。
「あ、サクラさんも分かっちゃうよね?MAGが全く感じられないもんな。」
「ええ、そうだったのけ!?」
そう、人であれ悪魔であれ、存在するためには僅かであっても持っているマグネタイトが無い彼女は。
原作通りであれば、ベッドに横たわっている老人が作り出したアンドロイドだ。
「う…、ここは…?」
「お爺ちゃん、気が付いたの!?」
呻きながら目を開き、身を起そうとする、老人。
女性はすかさず老人を支えようとする。
「ご老人、無理をするではない。怪我は癒えて居るが、体力は戻っておらぬわ。」
「!、貴方、は…、随分と高位の悪魔なようじゃが、何故私たちを助けてくれたので?」
サクラさんに注意された老人がそちらに視線を向け、途端彼女から発せられる気配に蒼白になりながらも、質問してくる。
「ふむ、それはワシの役目ではない。諸星、任せたぞ。」
それを、俺にパスするサクラさん。
まあ、しゃあないけど。
「偶々、本当に偶然にウチの管轄の見回りをしていた所員が、爺さん達がメシアン共に襲われているところを助けただけなんだよ。ほんで、お人好しなことに、ウチの秘匿異界に治療の為に連れて来たってワケ。」
俺は肩を竦めながら説明する。
「で、爺さん達は何でメシアン共から追われてたんだ?言っとくけど、ダンマリはお勧めしない。」
続けて、少し霊圧を加えながら、爺さんを睨む。
「わ、分かっておる…。わしらでは全く歯が立たんじゃろうしな…。」
「おじいちゃん…。」
話を纏めると、爺さんの名前はドドル。
欧州某所で、ロボット開発のチームのトップに居たのだが、実はここはメシア系列の研究所だった。
ドドルは、古くからゴーレムを研究していた家系であったが、霊能を持ちつつも科学との融合を見事に成し遂げたある偉大な霊能者に触発され、人工霊魂の研修をしていた。
そこに
穢れた人から生まれたのではなく、無から生み出される魂は純粋である。
それを核にしたアンドロイドであれば、メシアの器として相応しい。
…狂ったやつの言う事は分からねぇ…。
当初は純粋にアンドロイドを造ることに邁進していたのだが、途中でメシアン達の最終目標、今ある世界を滅ぼして千年王国を築く、を知り、自分の創造物、いや、最早子供同然のアンドロイド…カロリンを悪用させないために隙を見てドドルは脱走したのであった。
目指したのは、メシア教の影響が比較的少ない日本。
国境はメシアンが管理側に潜り込んでいる可能性があるため(欧州ではそこまで浸透しているらしい)、カロリンに背負ってもらって道なき道を突破し、途中野良悪魔から身ぐるみ剥がして、現地ダークカオス勢に売り払い路銀を稼ぎ、ブローカーに繋ぎを取って、日本に渡ったところで日本に潜伏していたメシアンに発見され、今に至る。
なるほど。
爺さん、密入国者じゃん!?
思わず頭を抱えた俺の前に、おユキさんがトラフーリで現れた。
「申し訳ありません、あたるさん。私では判断できないお方が訪問されました、お義父様はどちらに?」
珍しく、困ったように眉を顰めながら俺に述べる、おユキさん。
「どうしたのかな、おユキさん。困った事があったら、何時でも言っていいから。」
にこやかに、背中にひりつく様なラムの視線を感じながら俺が言うと、おユキさんは、小首を傾げながら、言の葉を載せた。
「ドクターカオスと名乗ってる方が、責任者への面会を求めておられるのですが。」
は?
名を残してる作品は、なんだかんだ偉大ですよね。
注連さん、ご指摘ありがとうございます。