ありふれた(?)女神転生   作:はるまき

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メガテンやると、一回は手に入れてるはずです。


第7話:憎み切れないろくでなし

異界の拡張は順調だ。

最初は体育館位の大きさであったのが、今では直径500m位の範囲に広がっている。

異界の中央には100m程の高さの鉱山が配置されていて、木々は生えていない。

そこに、しのぶとサクラさんが加わったことにより、中腹に湧き水による小さい泉が出来、そこから清流が流れだして、周囲に薬草が生えてきている。

清流脇の山裾には質素な小屋が立っており、ボス部屋兼、鍛冶小屋である。

既に面堂は、イッポンダタラ(サングラス軍団)が集めてきた魔鉄を使って鍛冶を始めており、霊槍の作成に成功している。

なに?、刀は作らないのかって?

先ず、まだ魔鉄の採掘量は少なく、刀を打てるまで、無い。

そして、刀ってやつは素人が扱えるものじゃないんだぜ?

下手すりゃ自分の足を斬ってしまうし、刃をしっかり立てないと、斬ることも出来ずに曲がる事すらある。

刀に精通した新選組でも、池田屋討ち入りの後では鞘に入らなかったって言うしな。

その点槍は、農民主体だった足軽が使用していた事からも分かるように、比較的容易く扱える。

なにしろ、へっぴり腰でもミドルレンジから攻撃できるし、振り回しても自分を傷つける可能性が低い。

まあ、極めるのは逆に難しいらしいけど。

 

それは兎も角として、異界が拡張するにつれ、イッポンダタラ(サングラス軍団)以外の悪魔も出現するようになった。

 

ジャックランタン。

 

メガテン世界では有名な、アギ使いの悪魔である。

やはり鍛冶神がボスだからか、異界の性格として火炎属性が強く出たのだろう。

そこらでフワフワと浮いている。

一見、魔法使いのコスプレをしたパンプキンヘッドが、空中で踊りあっているかのようなファンシーな風景だが、管理異界じゃなきゃ、絶望的だな。

四方八方からアギが飛んでくるかもしれないんだぜ?

 

今、ここで鍛えられているMAC所員の目標は、ジャックランタンを仲魔にすることだ。

Lvは5~6で、スキルもアギ位しかないのだが、遠隔攻撃があるのは大きい。

特に、女性所員の桃井さんの熱意は高い。

…まあ、見た目かわいいもんね。

 

「ねえ、ダーリン?新しい仲魔を喚び出すのじゃないのけ?」

現実逃避をしながらジャックランタンを眺めていた俺を、頭上から逆様にラムが覗き込んできた。

「分かっとる!…はあ。」

 

しぶしぶとアプリに指を沿わせる。

 

知ってるか?

ジャックランタンの日本語訳って、鬼火なんだぜ?

つまり…。

 

"SUMMON DEVIL"

 

「なんや、ワイを喚び出したんは、お前か?」

ラムと似た髪色の、虎柄パンツをはいた頭に小さな一本角が在る幼児が、顕現した。

 

「そうだ、だから契や」

うわあ、お姉さん綺麗ぇやなぁ、お名前教えてんか?

言い掛けた俺の言葉の途中で、ふよふよとラムの方に移動する、ジャリ。

 

むんず、と頭を掴んで引き留める。

 

「何さらすんじゃ、われ!」

「じゃかあしい、人の話の途中だぞ!」

「知るか、ボケ、世の中の綺麗な姉ちゃんは、み~んなワイのもんや!」

ぎゃあぎゃあ、と、罵りあう俺らを見て、ラムがぽつりと零した。

 

「…なぁんか、よく似てるっちゃね、二人とも?」

 

そのラムの言葉にガーン!!と言う擬音が見える位の驚愕を顔に張り付けながら、ジャリはヘロヘロと落ちて行った。

 

「そんな、ワイが、こんな阿保面した間抜けと似てるやなんてとても耐えられへん…!

「ホント失礼だな、お前!!?」

 

すったもんだはあったが、ラムからの説得もありジャリは渋々肯いたのであった。

 

「しゃあない、契約したるわ。コンゴトモヨロシぅな、サマナー。」

「ああ、コンゴトモヨロシク、テン。」

 

さて、テンのステは。

 

種族:妖精(ジャックランタン)Lv10

火炎吸収 氷結弱点 魅了弱点

アギ アギラオ

浮遊

 

まあ、ジャリテン、原作でも火炎放射器としてしか活躍してないし、こんなものか。

しかし、大分属性もそろってきた。

あとは、衝撃と破魔と呪殺か。

破魔は、多分、信じられない気持ちはあるが、錯乱坊が覚えるだろうな、あれでも地蔵菩薩だし。

衝撃と呪殺は、心当たりはあるけど遠いからなぁ。

日帰りではいけないし…少しずつ距離を伸ばしてトラポートを繰り返すしかないか。

豊穣を司る悪魔も仲間にしなきゃならないしな。

 

テンには再びスマホから出てきてもらって、異界に待機してもらうことにする。

 

この悪魔召喚アプリ、機能としてはシンプルで、召喚機能と、5体までの悪魔をMAGの消費無く収容できることと、待機中の悪魔のステータスを表示する位しかない。

悪魔が死亡した時は自動で戻って再召喚できるようになる、と言った機能もないし、エネミーサーチ機能や警戒機能もない。

シンプルに悪魔をプログラミングコードに変換して、メモリーに記憶させているだけだ(それでも十分すぎるほど偉業だが)。

一応他の記憶媒体にバックアップすることはできるが、どうやって認証しているか不明だが、マスターで無いサマナーが召喚しようとしても不可能で、またマスターであっても同時に同じ悪魔を顕現させる事は出来ない。

バックアップが出来る管、と言ったほうが良いか。

 

正直これを使うことに抵抗が無いわけではない。

これによりサマナーが増えて悪魔を召喚すればするほど、GPが上昇して終末に至りやすくなるだろうし、全くの素人が、興味半分で使って悪魔の餌食になっていることも、起こっているはずだ。

幸い覚醒していない一般人が使っても起動せず、只のジョークアプリとして表では扱われている。

しかし、使わなければ備えることすらも出来ないのだから、もう開き直って使っているのが現状だ。

 

基本俺は仲魔を閉じ込めていることは好まないし、異界の成長にも良いので異界に居てもらうことが多い。

移動時には、3体ほど組み合わせて中に入ってもらい、自宅では、自分のMAG容量を増やすために常に誰か一人顕現させている。

…お袋が、娘を欲しがっているのは、関係ないぞ、うん。

 

そんな仲魔の中でも、特殊な立場になった者がいる。

おユキさん、現在MACに出向しているのだ。

戦闘目的ではない。

 

経営コンサルタントである。

 

今異界の入り口は、MAC所長室の可動式書架裏に、厳重にMAG漏れ対策をした上で繋いである。

この気軽に異界に潜れる環境で特訓を受け、MACは少しずつ地力が付いてきていた。

玄さんはLv8、黒田さんはLv5、他の所員もLv2~3となっていて、少しずつ上昇する悪魔へも何とか対応できている。

しかし、他の零細退魔組織はその上昇に耐えきれず、組織崩壊に追い込まれるところも出てきていたのだ。

親父は、それらから残った人員などを引き受けていたのだが、その計画性の無さを見るに見かねて(守銭奴の血が騒いで)おユキさんが手伝ったのが切っ掛けだ。

そこから他の経理やなんやらにも手を付けて、気が付けば今やMACはおユキさんが居ないと回らない、とまで言われる状況になってしまった。

MAGもMAC負担となっている。

おい、親父、良いのか?

事務作業から解放された嬉しさは分かるが、「的の最大の召喚の功績は、おユキさんだ。」、って言ってるけど、退魔組織が悪魔(おユキさん)に乗っ取られてるんだが?

…おユキさん楽しそうだから、ま、いっか!

 

そんな日常であったが、少しずつ終末の気配が漂ってくることに、俺は内心焦燥感を覚えるのであった。




題名、悪魔アプリにも掛かってます。
生存には欠かせないけど、使えば使うほど危険度が上がっていくと言う。
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