俺のヒーローアカデミア エネルギッシュ! 作:すぱーくしーど
ヒーロー側になった轟と障子。訓練開始後、障子はすぐさま、個性で索敵を行う。
「三階に2人、足音が変だ。何か細工してる可能性がある。それに一人走っているな。なにが目的なんだ……?とにかく、核は三階で間違いないだろう」
「わかった、……障子だよな。危ないから少し離れててくれ、すぐに終わる」
轟がそう言うと、建物全体を個性で凍らせてしまった。あまりの範囲、そして速度に障子が少し驚いていると、轟が何も言わず屋内へ進んでしまう。
「おい、待て!」
「氷、転けないように気をつけろよ」
「あぁ……わかった」
一階、二階と特に問題なく進んだ轟と障子。あまりのあっけなさに、障子は索敵を怠っていた。
そのため、轟達が三階に着いた時、襲撃に気づかないのも不思議ではなかった。
障子が迫ってくる尾白に気づいたのは、すでに尾白が轟に切迫している時だった。
「轟!!」
障子が複製腕を伸ばす。しかし、コンマ1秒遅かったのか、尾白が尻尾を振り抜き、轟が目の前から消える。
轟は動揺していた。自分の氷で確実に動きを止めたと思っていたからだ。しかし、結果は自分が攻撃されているという事実。障子の声で、防御姿勢は取れたが、ギリギリだったため、反撃することは出来なかった。
「なぁ、索敵頼めるか?」
「わかった。一人は、足音がしないが恐らくどこかに潜んでいる。もうひとりは1階、走ってこちらに向かってきている!」
「それなら、短時間で決着をつける」
轟が氷を走らせる。尾白はそれを避け、轟に接近しようとするも、障子が前に出てそれを拒む。
「すまねぇ、障子。氷の射線に被っちまう。後ろか横に避けてくれねぇか?」
「わかったが、大丈夫なのか?あの尻尾、当たりどころが悪ければ即気絶するんじゃないか?」
「なんとかする」
再度、尾白の方へ氷を走らせる。尾白は氷を躱し、轟へ近づいた。難なく近づけたことに、少し疑問を抱くが、直ぐに頭から消え、懐から捕獲テープを取り出す。
「確保だ、轟!」
「轟!!」
「大丈夫だ」
轟は焦っていなかった。左側からの攻撃を右手で迎え撃つようにしている。
尾白の尻尾の威力に、片腕だけでは完全に防御出来ないと障子は思い、援護に駆け寄ろうとするが、斜め後方からの足音に気づいた。
「俺からみて右後方にいるのはわかっているぞ」
「……!」
足音が遠ざかる。代わりに足音ではなく、大声が横から響いてきた。
「エネルギーマグナム!!」
飛んできたエネルギー弾が、轟の右手に当たり、手が跳ね上がる。それと同時に尾白の尻尾が轟の身体へ吸い込まれた。
轟が吹き飛ぶ。3メートルほど飛んだ轟は、再度驚いたような表情をしていた。
(最初の戦闘訓練だからとたかをくくっていたが、まさかここまでやられるとはな。少し甘くみてた)
轟が起き上がり、障子へ話しかける。
「尻尾の方は、お前に任せる。さっきのやつは俺がやるから、透明のやつに注意しといてくれ。足音聞こえたら、すぐ教えてほしい」
「わかった、次は油断するなよ」
「バレたか、分かってる」
「なら、行くぞ!」
戦況は轟と絵音、尾白と障子、隙を伺う葉隠という状態になっていた。
つづきまぁす