俺のヒーローアカデミア エネルギッシュ! 作:すぱーくしーど
人生初めて飛んだ余韻を味わいながら、緩やかに着地する。地面は氷漬けになっているため、一度使ったエネルギーシューズを履いている状態だ。
それにしても轟の個性は強い。約20対1ほどで、多数を一撃で潰してしまった。それに、相手は全身氷漬けだ。屋内訓練の際は少し加減をしていたのが分かる。
「怪我はないか?」
「……。あ、あぁ。そうだ、他の奴らが心配だ。早く広場に戻らねぇと」
「いや、少しこいつらから情報を集める。こんな無茶は普通しねぇ。それに、オールマイトを殺すって言ってた。何か策があるはずだ」
「そうだな……!」
俺は、皆やプロの元へ戻る一心だけだったが、轟は違った。この敵襲を受け、情報収集を行おうとは個性同様、クールな男だぜ……
轟は一番手前のヴィランへ尋問を開始した。
「おい。オールマイトを殺すって策はなんだ?」
「誰が……、そんな……、ことを、言うか……」
「なら、別のやつに聞くだけだがな?なぁ、今はただ寒くて冷たいだけかもしれない。だけどこれ以上凍ったままだったら、その内、肉体は壊死しちまうんだよ。そんなことはお前らだって避けたいだろ?」
「ヒッ……聞いてねぇよ、こんなヤベェガキがいるなんて」
「そこなんだよ。お前らはただのチンピラレベルだ。しかし、そんな奴らが束になったってオールマイトには勝てねぇ。なぁ、オールマイトを殺すんだろ?どうやるんだよ」
「……黒いやつだ」
「霧の奴か?」
「違う。脳が剥き出しになってる化物だよ。アレが対オールマイトだと聞いてる」
「分かった。」
轟は情報が聞けて満足だったのか、こちらに向きを変え歩いてきた。
「エネ、さっきみたいに飛ぶの、あれ飛行は出来るか?広場に向かわねぇと他の奴らがヤバいかもしれねぇ。オールマイト用の化物なら、誰も対抗出来ねぇ」
「多分いける!そうだな、皆のところへ行こう!ついてこれるか!?」
「あぁ、問題ない」
轟を右手で抱え、左手で支える。立った人を介抱するみたいな感じだ。
エネルギードライブと、エネルギーを脚部に纏い、全力で跳ぶ!……よし!いけた!賭けではあったが、なんとか飛べたみたいで良かった。落ち着いたら、どういう流れで飛べているのか確かめたい。
「轟!方角分かるか!?」
「分からねぇ!だが、あのデカいゲートは目立つはずだ。それに目印の噴水もある。一度高く飛んで様子を見てくれないか!?」
「分かった!高度上げるぞ!」
高度15mほどだったが、30m近くまで飛んでみた。周りを見渡す。……あった!!結構遠いな。皆無事なら良いんだけど……!
「轟!見えたぞ!早速向かう!」
「頼む」
広場に向かって飛ぶ。大体距離は800mほど。2分もあれば到着するだろう。
「そういえば轟、氷溶かさなくて良かったのか?壊死がなんとかって」
「そんな簡単に壊死はしない」
「そっかぁ……」
やっぱり、この子冷たいなぁ……氷だけに。いや、今のはだめだな。本当に面白くない。流れで言おうかと思ったけど、口は閉じておこう。
広場に着いたとき、俺達は想像もし得なかった光景を目にすることを、このときは、まだ知らなかった。