「う゛ぉえぇえぇ……死んでません……自分は、今日も、死ねませんでした……」
地獄マラソン。ドロップスティアーのメイントレーニングであり、『力尽きるまで何万メートルでも走れ』という、中央でも常軌を逸した超距離トレーニング。その翌日のドロップスティアーは、ゾンビの様な風体で下校していた。
間違いなく普通のウマ娘であれば心身のどっちかが壊れるこのトレーニングだが、その馬鹿げた内容から来る負担によって、流石に実施する頻度は少ない。
調子を見て、約一週間に一度。まぁそれだって心身に凄まじいダメージ――心の被害は羞恥が九割だが――をウマ娘側に与えるソレを受けながらも、なんとかドロップスティアーは生き残って無事今日という
「……ティ、ティアちゃん? だ、大丈夫ですか~?」
「あぁ……グラスさぁん……まぁ、はい……死んではいませんよ……」
「それは全然大丈夫では言えないと思うのですが……」
下校途中、亀よりも遅い足取りと闇よりも暗い空気を纏いしドロップスティアーの背より、グラスワンダーが声をかけてきた。
振り返ったドロップスティアーの顔は、もう『あはっ』の『あ』の字も浮かばないだろうという位に酷い様相をしている。
トレーニングという物はストイックで、自らの限界を目指して研磨するモノ。そういう認識を持つグラスワンダーであったが、同期でこの友人以上に自分を追い込んでいる者は居ないだろうとは思っていた。
一日かけて万メートル単位で走るだけというトレーニングなど、誰一人考えないしやらないだろう程にバランスが悪いというのもあるのだが。
「と、とりあえず座りましょうか~。ほら、丁度そこにベンチもありますし……」
「……そうですね……ちょっと、脚ヤバいんで……その方が良いですね、ハイ……」
寮に辿り着く前にぶっ倒れるんじゃないか。そう心配したグラスワンダーは、噴水広場にあるベンチにドロップスティアーを誘導した。
直後、どすんと音を立てる勢いでドロップスティアーは自らの腰を下ろす。レースで全力を尽くして完膚なきまでに敗北した直後の如き、己を真っ白に燃やし尽くした姿。とてもオフの日とは思えない消耗の具合を、グラスワンダーは真剣に憂いていた。
「……その~……の、飲み物っ。飲み物、何か欲しくはありませんか? 私、買ってきますよ?」
「……み、水……水を……」
「…………」
死ぬ。このままでは確実に死ぬ。本気でそう思ってしまった程に、力も欲も失せているリクエストにグラスワンダーは怖気がした。
慌てて自動販売機まで行き、ペットボトルサイズのスポーツドリンクを購入。”怪物”の三割程の駆け足は、それでも十分な切れ味を持つ救援速度でベンチに帰還した。
「ど、どうぞ――」
「ごくごくごくごくごく!」
「そんな一気に飲んだら危ないですよ!?」
グラスワンダーがペットボトルを差し出した瞬間、
神速。レースで培った動体視力ですら追えない速度で、ドロップスティアーはグラスワンダーの手元からペットボトルを奪い、
その時間、およそコンマ三・四秒。キャップを捻らず、まっすぐ力尽くで引き抜き中身を呷るというワンアクション。極限まで追い詰められていたドロップスティアーは、中央でも最速だろう水分補給を成功させた。
「――ふぃーっ! あはぁっ……! 地獄の底から舞い戻った気分です……! あはっ、あは、あははははっ!」
「まだちょっと壊れていませんか~……?」
劇的ビフォーアフター。五百ミリリットルのペットボトルを一息で飲み切ったドロップスティアーは、蘇生と同時に一気にハイになった。
実際、彼女が地獄の底に居たのは間違いない。同期の中でも純粋なスタミナだけはぶっちぎりであるにも関わらず、それが尽きるまでたった一つのコースを一日中走る。単なるスパルタかと思いきや、クールダウンは入念にやっているし、止め所も見誤っていない。
ウマ娘十人分ぐらいの競走生命が破壊出来そうな彼女のトレーニングは、高性能スーツから得られる情報を鑑みて、名入・タキオン・シャカールのデータ三銃士によって支えられ、死ギリギリの崖っぷちで留まる事に成功している。
尚、アグネスタキオンは『貴重なモルモットが居なくなったら私が困るじゃあないか』という無感情から。エアシャカールは『オレが間接的にくれてやったモンで潰れられたら気分が悪ィだろうが』という無感情に見える気遣いからのケアであった。
「いやー、助かりましたよグラスさん。ちょっと三途リバー見えてましたよマジで。……アレ渡ってたら自分も皆に勝てるぐらい上位の存在に成れましたかね?」
「天上へ行ってもレースに出れないのでは意味が無いのでは……?」
「あっはっは、まさに”雲の上の存在”ですね! ……骨は拾って下さい」
「……やめましょうね、そういう事言うのは」
グラスワンダーは本気で冗談に聞こえないドロップスティアーの言葉を諫める。
”不退転”。グラスワンダーは普段は穏やかな顔と人当たりのウマ娘だが、その内心に秘める座右の銘と闘志は滾る様に熱い。
”怪物二世”という称号を背負い、ジュニア王者と言われ。それでも尚、グラスワンダーは上を目指す。これから先に聳え立つ苦難の山を、自身に匹敵する同期の友人達を、そして親友たる『世界最強』を。それらを全て打ち倒し、頂に立つ。そう思っている。
誰もが頂を目指し、努力している。しかし、この友人程ではない。ドロップスティアーは、真の意味で命を賭けて走っている。それも毎レース毎レース、笑いながら。
死を視る事、帰するが如し。そんな精神で言えば、自分ですら並べない。グラスワンダーはこの友人のその心持ちを本気で尊敬していた。それとして、余り危険過ぎる事は止めて欲しいが。
「……エルが、前のレースから随分燃えてましたよ?」
「へ? エルさんが? なんで?」
「『ティアに負けたからデス』、と」
「あの、自分確か三バ身以上ぐらい付けられてぶっちぎられた筈なんですけど。ありとあらゆる策を捻じ伏せられた筈なんですけど。ベッコベコなんですけど」
良い機会として、グラスワンダーは彼女に関連するだろう話題を切り出す事にした。
共同通信杯を終えてから、エルコンドルパサーのトレーニングに対するモチベーションは一段階上がっていた。レース直後の数日の雰囲気などは、グラスワンダーですら目を見張る程の迫力を静かに湛えていた。
その理由は、この自他共に認める純然な敗北者である彼女にあった。
「聞きましたよ? レース終盤、最終直線。差し返した時、エルの事を見もしなかったって」
「え。いや別に、来てるなーってのはちゃんとわかってましたよ? はっやー! ってビックリしましたし」
ドロップスティアーの”ヤマ勘”は、一定の範囲内にさえ入れば反応する。見るまでもなく”なんとなく”でブロック出来る程の精度を誇るこの技能は、当然エルコンドルパサーに差される直前から警鐘を鳴らしまくっていた。
相手が強ければ強い程、勘で知覚するモノも大きくなる。エルコンドルパサーの仕掛け所を潰した直後、抜き去った辺りから。少し離れた位置からでも、ドロップスティアーはエルコンドルパサーの大きすぎる存在感を感じ取っていた。
見もしなかったというよりは、見る必要すら無い程にエルコンドルパサーを把握出来ていたというだけである。だが、傍から見ればそんな事など解る筈も無い。
「『速いだけじゃダメデス。それじゃあ”最強”になんてなれない、それがあの時に良く分かったんデス』。そんな事を言ってましたよ」
「えぇ……? 速くて勝ってるんですから良くないですか……?」
「ふふっ。……私も、エルと同感なんですよ?」
ドロップスティアーは困惑するのみである。レースの強さは手段や過程はともかくとして、ゴールをどれだけ速く通過出来るか、たった一つである。彼女はそうとしか考えていない。
だからこそ彼女はあらゆる策を使い、相手の速さを抑え込もうとしている。なので、そんな策など通じない程速ければそれで良いと思っていた。事実、エルコンドルパサーはそうして勝ったのだから。
だが、あの最終直線の一瞬でエルコンドルパサーが抱いた感情は違った。
「勝つ事。只それのみに専心する事。それがどれだけ難しいか、私にも良く分かります」
グラスワンダーは朝日杯を走った時の緊張感と高揚感を、今でも鮮明に思い出せる。
レースの中では数々のウマ娘達が皆、自分の勝利の為に走っている。練習と違い、どう走るのが正しいかは誰も保証してくれない。相手がどう動くのか、どれだけのペースで走っているのか、どのタイミングで仕掛けるべきか。そういった不明瞭な要因が重なり、レースでは実力以外の所で波乱が起きる。
朝日杯でレコード勝ちをしたあの時、グラスワンダーは絶好調だった。絶好調だったが故に間違えずに走れた。だがしかし、
どうしても走る相手を見てしまうのだ。特に最終局面、最も集中すべき場面。そういった時は、勝つ・負けないという強い意識から競う相手の顔を見てしまう。
だが、ドロップスティアーはそれをしない。一切しない。狙った相手に仕掛けて、その後は走り抜けるだけ。不動とすら言える集中力と精神力は、並大抵の物では無い。
「エルは、もっと強くなりますよ。……次は、私も危ないかもしれませんね~」
「次?」
「約束したんですよ。エルと私で、まずはマイルの”最強”を決めよう、って。だから私達はまず、ニュージーランドトロフィーで戦う事に決めました」
ニュージーランドトロフィー。四月に行われる、マイルのGⅡレース。
GⅠウマ娘たる彼女ら二人が、
「ほえー。なんか凄いレースなんです? GⅠじゃないですよね?」
「ふふっ、その調子だとティアちゃんは来ないんですね。少し安心しました」
「えっ、”安心”ってなんです? 自分危険物かなんかです? 冗談ですよねグラスさん?」
「さぁ、どうですかね~?」
グラスワンダーが茶化す様に言うも、ドロップスティアーからすれば笑い事では無い。しかし自ら言った”危険物”という比喩表現は限り無く正しい物だ。当然の扱いである。
それはそれとして。ドロップスティアーは代表的なGⅠレースぐらいは流石に覚えたのだが、数々ありすぎて目を通すだけでパンクしそうになる他の重賞レースについては殆ど把握出来ていない。GⅡですら覚えるのを途中からやめた。
だが、ニュージーランドトロフィーはGⅡレースの中でも少し
「ニュージーランドトロフィーは、トライアル競走なんですよ。
「あっ、それは知ってますよハイ! いやー流石の自分でも覚えましたよ、確かマイルのGⅠですよね――うわぁ……」
「えっ、どうしましたか、その反応……?」
「いやぁ……そうですね、グラスさん達クラスだともう当たり前の様に出ますよね、そりゃ……流石ジュニア最強コンビですわー……」
ドロップスティアーのテンションが一瞬にして沈下する。
NHKマイルカップ。クラシックに八つしか存在しないGⅠレースの一つ。実質的なこの世代のマイルウマ娘の最強決定戦である。
確かにそこで勝てば、一つの”最強”だ。グラスワンダーは朝日杯の圧勝を見てもわかる通り、典型的なマイラーである。エルコンドルパサーもこれまで2000メートル以下の距離しか走って来ていない様に、マイル寄りのウマ娘である。
最強決定戦へ当然の様に出る事を決め、
「キングちゃんもあなたとのレースから一層力を入れる様になりました。……ティアちゃん、あなたとの勝負は普通のレースと違う。だから、エルも少し変わったんでしょうね」
「……いやまぁ、エルさんにはちょっと申し訳ないレースさせちゃったなとは思いましたけど。文句とか預かってます? 苦情はいくらでも受け入れてますよ自分?」
「いえ。……ただ、次に対戦する時は。覚悟した方がいいかもしれませんよ~?」
「わかりました、その時は出走回避しますね」
「それで良いんですか……?」
真顔で白旗を上げるドロップスティアーへ、グラスワンダーは白い目を向ける。このウマ娘は本当に、勝負への想いが強いのか弱いのか良く分からない。
世代の注目株と呼ばれている五人。スペシャルウィーク・キングヘイロー・セイウンスカイ・グラスワンダー・エルコンドルパサー。この五人は、今の所レースで直接当たった事が無い。
だが、世代の伏兵として評価に困っているこのウマ娘――ドロップスティアーと当たったキングヘイローは目に見えて強くなった。エルコンドルパサーも、明らかに意識が変わった。
有り得ないレースをする、有り得ないウマ娘。彼女の勝負に対する姿勢に触れれば、普通のレースとは異なる影響を受けてしまう。
ドロップスティアーからすれば、”絶対に勝てないシリーズ”とすら呼ぶ程に強いウマ娘が更に強くなるのはたまったものではないのだが。
「機会があれば、私もティアちゃんとは走ってみたかったのですが~……その調子では、マイル路線には来ないんでしょうね。残念です」
「自分は絶対イヤです。引退後はグラスさん達から貰ったサインを後生大事にするだけの小市民になるんです。なんでグラスさんまで自分をボコろうとするんですか。泣きますよ。いや泣けませんけど自分」
「…………」
果たし状がその場で紙飛行機にして投げ返されたかの様な、高速の突っ返しにグラスワンダーは少しだけ笑顔が引き攣る。彼女は本当に”勝負”にのみ拘っているのだろう。
キングヘイローに迫られても横を見なかった。エルコンドルパサーに差されても一瞥もしなかった。レースに出たからには勝利を目指す。その一志を貫徹する事のみが彼女のスタイルであり、そして強い相手と競い合いたいという意識はそこに無い。
その上で、キングヘイローに勝った。エルコンドルパサーを追い詰めた。そんな彼女と走りたいとグラスワンダーは真剣に思っていたのだが、それを真剣白刃取りされて逃げられてはどうにもならない。
はぁ。溜息を一つ付いて、グラスワンダーは立ち上がった。
「もう元気も出た様ですし、私は失礼しますね~? ……エルに、勝たなければいけませんから」
グラスワンダーはベンチを立って、笑顔を消した。
ニュージーランドトロフィーは四月にあるレースだ。グラスワンダーはNHKマイルカップを見据えて入念なトレーニングと調整に努めており、年始からレースに出ていない。
今のエルコンドルパサーと当たれば、自分も勝てるかどうか分からない。そう思わせる程に、共同通信杯から彼女の雰囲気は変わっていた。
恐らく、朝日杯よりも厳しいレースになるだろう。それまでに、この脚を更に磨き上げねばならない。グラスワンダーは一切の驕心を削り取るべく、トレーニングへ向かおうとして――
「――……」
「……ティア、ちゃん?」
向かおうとして。
制服の裾を、ドロップスティアーに摘まれた。
「えっと……どうかしましたか? 何か、他にエルに伝えたい事でもありました?」
「え……? あれ……えっ……?」
だが、ドロップスティアーの様子がおかしい。裾を掴んだ張本人たるドロップスティアーは、ぽかんと口を開いて困惑していた。
引き止めた本人が、グラスワンダーよりも戸惑っている。それもおかしい、のだが。
「
「あ……れ……? え、なんで、自分……え……?」
グラスワンダーを引き止めているドロップスティアーの手が震えている。
その震えの理由が、ドロップスティアー本人にすら分からなかった。自分の行動が信じられない。何故グラスワンダーを止めたのか、何故手が震えているのか。
ドロップスティアーの行動は滅茶苦茶であっても、理由はある。意図がある。自分でもそう思っている筈のドロップスティアーは、
「ど、どうしたんですか? やっぱり体調が悪いんじゃ……」
「ち、ちがい、ます。なんか、なんか……ヘンな、感じがして……」
歯切れが悪くなる。いつも回る口が動かず、言いたい事が浮かばない。
ドロップスティアーは明らかに変だった。グラスワンダーから見ても、ドロップスティアー自身から見ても。何故、何故自分はグラスワンダーを止めているのか。その理由を、理屈を探す。
しかしいくら考えても、理由は無い。ただ何故か、手が出た。
「……今日は、ゆっくり休んではどうでしょう? やっぱりあれだけ走り込んでいては、何か変調が出てもおかしくはありませんし……」
「……は……はい……そう、ですね……」
グラスワンダーがドロップスティアーの手を撫で、離させる。手を離した後も、ドロップスティアーは自分が何でグラスワンダーを引き止めたのかわからなかった。
グラスワンダーからすれば、その姿は体調不良にしか見えなかった。それで自分を引き止める理由にはならないが、変調の理由が不明な以上は過度なトレーニングの影響としか考えられない。
「それじゃあ、また。その内休みが重なったら、エルと一緒に出掛けましょうね~?」
「……は……い……」
明らかにおかしい様子のドロップスティアーを置いていくのは少々気が引けたが、顔色は戻っているし、寮まで歩く程の元気はある筈だ。そう思って、グラスワンダーはその場を後にした。
一人、ベンチに残されたドロップスティアー。手の震えは、少しずつ止まっていった。
今まで、こんな事は無かった。確かに地獄マラソンの翌日は大体気分は最悪だが、今の震えはそういう変調とは明らかに違った。全く見当が付かない、そんな挙動を自分の体がしたのだ。
「……なんで……?」
ドロップスティアーは座ったまま、自分の両の掌を見る。
改めて、考え直す。手が震えた理由を、そして震えが止まった理由を。
手が震えたのは、グラスワンダーの裾を摘むと同時――手を震えさせながら、グラスワンダーを引き止めた。そしてグラスワンダーが去った後、震えが止まった。
理由の無い行動を自分はしない。その自己分析から、理由を思い出す。
「――……」
なんとなく。なんとなく、手が出た。
――
◆ ◆ ◆
――”ヤマ勘”。これは本来、ドロップスティアーが山道でやっていた、無茶なショートカットの中で培われた感覚である。
壁走りを始めとする彼女の一発即死クラスの技。実の所、そういった危険度と難易度が高い近道は、彼女でも
壁走りは無駄に高度な技術だ。足と壁との距離、速度と跳躍のバランス、足裏の角度合わせ、体幹コントロール。一つでも間違えれば、この技は脚をへし折る程のしっぺ返しを食らう。彼女は勝負所でミスをしないだけで、練習の段階で出来ない事は幾度もあった。
出来ない時があるにも関わらず、彼女は壁走りで怪我をした事が無い。それは、
「……」
驚異に対する感覚。
シンボリルドルフと出会い、その勘は変異した。強いウマ娘達に対するセンサーの役割へと変わり、その範囲は同期の強敵相手にも反応する様になった。だが、大本は変わっていない。
彼女の勘とは、元来。
「……入って、いいですか?」
「……良いですよ」
こんこんと、ドロップスティアーはある扉をノックする。
扉の中から届いた許可に従い、扉を開いた。
「……グラスさん……」
「……ごめんなさい、ティアちゃん。
その勘は、警告だった。身の危険を察知し、体がなんとなく反応する。
”ヤマ勘”は、他のウマ娘達に対しても働く様になった。それは、
そして、その共感覚が
「……脚……大丈夫、ですよね……?」
「……お医者様には。骨折と、言われました」
グラスワンダーは微笑んでいた。しかしそこに、平常の穏やかな空気は無い。
ドロップスティアー達が居るのは病院の一室だった。
「――なさいっ……」
「……ティアちゃん?」
「ごめんなさいっ……ごめんっ、なさいぃっ……!」
ドロップスティアーは、頭を下げた。
”ヤマ勘”による
初めて人の為になる能力を覚えた主人公
明日更新する時に説明しますが、そこまで万能の技能ではありません。
実馬グラスワンダー号は一月末より足に原因不明の乱れが見られ、三月に骨折しました。
彼女が「不死鳥」と呼ばれる物語の始まりなので、これだけは回避出来ませんでした。