高度育成高等学校奉仕部   作:碧河 蒼空

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本文では全く表現されていませんが、メッセージアプリで由比ヶ浜が送るメッセージには絵文字満載だと思ってください。


ヒッキー引きこもる

 昼休み以降はつつがなく時が流れ、放課後を迎えた俺は足早に寮の自室へと戻った。

 

 特にする事も無いのでベットに身を投げ出して奉仕部のグループチャットを開く。

 

 

比企谷 八幡『しばらく部活休むわ』

 

由比ヶ浜 結衣『急にどうしたの!?』

 

 

 メッセージを送ると由比ヶ浜がすぐに返事を返してきた。

 既読が1であることから雪ノ下はまだこのチャットを見ていないのだろうが、俺は次のメッセージを打ち始める。

 

 

比企谷 八幡『話は長くなるんだが、今日の昼休みにCクラスがBクラスに乗り込んできてな』

 

 

 俺は昼休みの出来事を二人に説明する。勿論、俺がCクラスの奴を挑発した流れは省いた。

 

 

比企谷 八幡『巻き込まれないように暫くは放課後すぐに帰ろうと思ってる』

 

由比ヶ浜 結衣『••••••ヒッキーまた変なこと考えてないよね?』

 

 

 俺って信用無いね。まあ、中学時代に一悶着あったので文句は言えないのだが。

 

 

比企谷 八幡『ないない。そもそもAクラスを目指す気なんか無いのに何を考えるってんだよ?』

 

 

 嘘を言っていない。隠すべき所を隠して話しただけだし、すでにやらかした後なので、今更何か考える事なんてほとぼりが冷めるタイミングくらいなもんだ。

 

 

比企谷 八幡『部室で二人揃ったら教えてくれ。情報共有だけは通話でする』

 

 

 このメッセージを送ってから俺は携帯端末を布団の上に置いた。

 

 

 

 

 

 

 ~~Episode 八幡 out.~~

 

 特別棟にある奉仕部の部室。

 由比ヶ浜が話題を提供して雪ノ下が応えるという、一人の少年が居ない事を除けば馴染みの光景が広がっていた。

 

 比企谷との通話を終えた二人は今日も依頼が無いので、雪ノ下が入れた紅茶でティータイムとなっている。

 

「それにしてもヒッキー大丈夫かな?」

「またろくでもないことに事に首を突っ込んだか、それとも巻き込まれたのか。まあ、彼を問い詰めたところで白状しないでしょうけど」

「••••••ゆきのん何か知ってるの?」

「いいえ。でも、存在感を消すことにおいて右に出るものが居ない彼がどうして逃げ隠れするのかしら?」

 

 そう言われると確かに妙だと由比ヶ浜も思う。

 同時に思い起こされるのは中学二年生の文化祭や修学旅行における彼の行為。同年の生徒会選挙以降は、彼の自らを蔑ろにする行為に陰りを見せているものの、人の本質とは中々に変わりがたいものである。

 

「彼がろくでもないことをして、Cクラスに目を付けられてる事も考えられるわ」

「そんな!じゃあ何が起こってるか突き止めないとっ」

 

 雪ノ下の言葉に由比ヶ浜は身を乗り出して雪ノ下に訴えた。

 

「そうね••••••まずは比企谷君以外からお昼の事を聞きたいわ。由比ヶ浜さんはBクラスに知り合いは居るかしら?」

 

 奉仕部以外では必要最低限のコミュニケーションしかとらない雪ノ下は由比ヶ浜の交遊関係に期待を寄せるが、由比ヶ浜は首を横に振る。

 

「私もまだ他のクラスの子まで仲良くなってないよ••••••」

「なら直接Bクラスに出向くしかないわね。クラス対抗の形式が示された上に、あんな事があった後で歓迎されるかは分からないけれど」

 

 方針が固まりだしたその時、入り口の扉が滑車を鳴らして来訪者の存在を知らせた。

 

「二人ともやっはろー♪」

 

 奉仕部顧問の星之宮教諭が男女二人の生徒を引き連れて現れた。

 

「先生、ですから部屋へ入る時にはノックをと何度も••••••いえ、その話は後程。そちらの二人は?」

 

 雪ノ下から出かけた抗議に星之宮教諭は気にも留めず、後ろに控えていた二人を紹介する。

 

「彼等は1年Bクラスの一之瀬さんと神崎君。貴方たち奉仕部のお客さんよ」

 

 星之宮教諭から紹介を受けた一之瀬と神崎は彼女の前へと出た。

 

「こんにちは。Bクラスの一之瀬です」

「同じく神崎だ」

 

 “Bクラス”と聞いて、良すぎるタイミングに内心驚く雪ノ下と由比ヶ浜。

 

「1Aの雪ノ下よ」

「えっと、Dクラスの由比ヶ浜です」

 

 一之瀬と神崎に答える形で奉仕部サイドも自己紹介をした。

 

 雪ノ下は長机に一之瀬と神崎を案内して紅茶の用意をする。二人の前に紅茶を出すと、二人の正面に座る由比ヶ浜の隣に腰を掛けた。

 

「今日は比企谷君いないんだね」

 

 比企谷本人から奉仕部を立ち上げると聞いていた一之瀬は、この場に彼が居ないことを疑問に思った。その疑問に雪ノ下が答える。

 

「比企谷君はしばらく放課後はすぐ部屋に戻るそうよ。彼は何をしでかしてCクラスに目を付けられたのかしら?」

「にゃはは••••••そこまで分かってるんだ」

 

 一之瀬は苦笑いを浮かべると事のあらましを語りだした。その内容は比企谷がCクラスに食って掛かるまでは彼の語った内容と同じ。しかし、彼が語らなかった部分は雪ノ下と由比ヶ浜にとってとても重要であった。

 

「やっぱりろくでもないことをしていたのね••••••」

 

 比企谷への皮肉を込めて雪ノ下が言った。

 

「••••••ろくでもなくなんか無いよ」

 

 そんな雪ノ下の言葉を一之瀬は否定する。

 

「確かにやり方は誉められたものじゃないけど、比企谷君はクラスメイトを庇ってくれたんだよ」

「彼の場合、そのやり方がどうしようもないのよ」

 

 雪ノ下と一之瀬による言葉の応酬を聞き、オロオロしながら視線を行き交わせる由比ヶ浜。捻くれ者の比企谷の行為を認めてくれた一之瀬に嬉しさを覚えるが、雪ノ下が本心から言葉のまんま比企谷を貶してはいない事くらい彼女は理解していた。

 

「えっと••••••二人ともその辺にしてさ。一之瀬さん達は相談があるんだよね?」

 

 由比ヶ浜が二人の間に入り、話を本題に移す。

 

「そうだね••••••実はその相談が比企谷君の事なの」

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