高度育成高等学校奉仕部   作:碧河 蒼空

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評価を付けてくれた方々、ありがとうございました。

顔見せ程度にあの人が登場します。


苦手な人

 夏の日差しが遮られた影の中で本を読みながら潮風に当たり涼を取っていた。

 今日も俺はベストプレイス••••••ではなく、今いるのは視界いっぱいに海の広がる船の上である。

 

 夏休みに入った俺達は1学期を頑張ったご褒美として豪華クルーズ船の旅を学校からプレゼントされていた。

 

 さて、たかだか1年の1学期を乗り切っただけでこんなご褒美を学校から貰えるなんて、そんな話あり得るだろうか?

 んな訳がないだろ。

 この結論はBクラス及び奉仕部内でも一致している。

 

 今は夏休みだというのに、俺達は学校によって絶海の孤島の様なこの船に連れて来られてしまったのだ。逃げ場など一切無い。

 社会に出たら残業に休日出勤といった時間外労働からは逃げられないという有難い教えを学校は高校生の内から説いているのだろう。流石は日本政府が作り上げた、未来を支える人材を育成する全国屈指の国立名門校である(皮肉)。

 

「あれ、比企谷君?こんなところで何してるの?」

 

 うわぁ••••••ただでさえ気分が萎えている時に面倒な奴が現れた。

 

「そんな嫌そうな顔をされると流石に傷付くなぁ」

 

 今、俺の目の前で眉尻を下げている少女は櫛田 桔梗、Dクラスに所属する女子生徒である。

 クラスメイトの由比ヶ浜曰く、性格は非の打ち所が無く、この麗しい見た目もあって男女問わずクラスの垣根を越えて人気のある少女だそうな。

 この庇護欲を誘うような猫なで声も男子達を惑わせるのだろう。

 

「もしかして比企谷君、私の事キライ?」

「いや、そうでもない。ただ苦手なだけだ」

「それ女子的にキライとほぼ同じだよ」

 

 そういえば、出会った頃の由比ヶ浜も同じことを言ってたっけか。

 

 困ったように苦笑いを浮かべる櫛田はおもむろに距離を積めてきた。

 

「私はもーっと、比企谷君と仲良くなりたいな」

 

 俺の肩に手を当てた櫛田が耳元で囁く。

 

 そうゆう行動がですね、多くの男子を勘違いさせ、結果死地へと送り込むことになるんですよ。分かったら今後、ボディータッチはしない、休み時間や放課後男子の席に座らない、忘れ物をしても男子から借りない、徹底してくださいね。ってあれ、デジャブ?

 

 櫛田に離れるよう声を掛ける前に、彼女自ら距離を取る。

 後ろで手を組んでこちらに満面の笑みを向ける櫛田の姿に、俺はあざとい以外の言葉が見付からなかった。

 

「あんまりしつこいと本当に嫌われちゃうといけないし、私もう行くね。さっきの言葉、考えておいてくれると嬉しいな」

 

 そう言って去っていった櫛田 桔梗。俺は彼女の事が苦手だ。

 器量良し、性格良しで男性の理想像そのもの。これだけならばうちの一之瀬にも同じことが言える。あざとさで言えば一色も引けを取らない。にも関わらず、上手く言えないのだが俺は櫛田に対し違和感を覚え、本能が警鐘を鳴らすのだ。

 

 俺は櫛田を見送ると再び本に視線を落とした。今度こそ心穏やかな時間が訪れるようにと願う。

 

 しばらくの間、波の音をBGMに読書を続けていた。最近は椎名のみならず雪ノ下からも本を借りているので、暇さえあれば本を読んでいる状況だ。

 

 まあ、本を読むのは苦じゃないし、あのら二人が勧める本だけあってハズレはないから良いんだけどね。

 

 さて、いくらずっと座って本を読んでいたとしたも腹は減る。昼食を取るにも良い頃合いなので、俺は本を閉じて立ち上がると昼食を求めて歩きだした。

 

 歩いている内に次第に人が増えてきて周囲が賑やかになっていく。

 

「おや、比企谷くんではないですか」

 

 最近聞き慣れた声に振り向くと、そこには予想通り椎名が立っていた。

 

「比企谷くんはどこへ向かっているのですか?」

「これから昼飯にしようと思ってんだが、まだ場所は決まってないな」

 

 俺の答えを聞いた椎名は笑みを深め、両手を合わせる。

 

「でしたらご一緒しませんか?私もお昼はこれからなんです。本の事もお話ししたいですし、どうでしょう?」

「そうだな••••••予定もないし、良いぞ」

「はい!それでは行きましょう」

 

 椎名は先に歩き出すので、俺は彼女の斜め一歩後ろを歩く。

 

「椎名はどこで食べるか決めてたのか?」

「元々はカフェスペースで食べようと思っていたのですが、せっかくご一緒するのでしたらレストランに行きませんか?」

「別に構わないぞ」

 

 特に反対する理由もなかったので椎名の提案に乗った。

 

「あれ?ヒッキー?」

 

 今度はずいぶん前から聞き慣れた声で呼ばれる。まずもって俺の事をヒッキーと呼ぶのは一人しかいない。

 

「由比ヶ浜••••••と雪ノ下も居たのか」

「ええ••••••••••••」

 

 雪ノ下の視線は俺と椎名の間を行ったり来たりしている。

 

「えーっと••••••ヒッキーは二人でどこか行くの?」

 

 由比ヶ浜も椎名の事が気になる様子で、チラチラの椎名の事を見ていた。

 

「俺達はこれから飯だけど」

「あー、そうなんだ。じゃあ私たちと一緒だね••••••」

 

 由比ヶ浜は続けて何か言いたげだが、言葉が出てこない。

 

「ああ。お二人は奉仕部の方ですか?」

 

 そんな沈黙を破ったのは椎名だった。合点がいったという具合で二人に問い掛けた。

 

「ええ。あなたは比企谷君の読書仲間だったかしら?」

「はい。Cクラスの椎名と申します。Cクラスには読書を嗜まれる方がおらず、そんなおり比企谷君と仲良くなりました」

 

 椎名が名乗ったのに続いて、雪ノ下と由比ヶ浜も自分のクラスと共に名前を口にする。

 

 そういや俺と出会う前、椎名は読書仲間を探していたんだっけか。なら••••••。

 

「椎名。雪ノ下もなかなかの読書家だぞ。しかも、海外の本なんかは原文を読んでる」

「まあ!」

 

 俺の話を聞いた椎名は目を輝かせ、雪ノ下のパーソナルスペースへの侵入を果たす。

 

「雪ノ下さんはどんな本をお読みですか?」

「えっと••••••特に決まったジャンルは無いのだけど、比企谷君みたいにライトノベルは読まないわ」

 

 雪ノ下は急に距離を詰めてきた椎名に圧倒されながらも質問には答えていた。

 由比ヶ浜はというと、急にテンションの上がった椎名を見てポカンとしている。

 

「お二人もこれからお食事でしたら、是非ご一緒にいかがでしょう?比企谷君もよろしいですか?」

「お、おう。俺は大丈夫だ」 

 

 椎名の期待に満ちた目にたじろぎながらも、俺は了承した。

 

「私は構わないわ。由比ヶ浜さんはどうかしら?」

「うん。私も大丈夫」

「では行きましょう」

 

 船内へと向かう椎名に俺達三人は付いていく形で歩き出した。

 

 余談にはなるが、二学期に入ると椎名は度々、俺や雪ノ下と本の話をする為に奉仕部の部室を訪れるようになる。

 その間、話に入れない由比ヶ浜は疎外感を感じたのか、俺や雪ノ下から割りとハードな小説を借りて読むのだが、やはり由比ヶ浜には難解だったようで、うーんうーんと唸りながら本に目を落とす彼女の姿を見るようになった。ただ、それもまた別の話である。




 今さらになって響け!ユーフォニアムを見ました。

 元々、青春ものは好きなので、私的にはかなりのハイペースで劇場版まで視聴し、残すはテレビ版3期のみ。

 そうなると書いてみたくなるのが二次創作。折角なのでまたもや八幡を絡ませています。

 誰かペットを飼ってるキャラは居ないかなぁと探してみたが一人もおらず、犬の代わりは琥珀ちゃんに努めてもらいました。
 となれば、俺ガイルの流れを組めば川島緑輝はヒロインレースから脱落するわけで。

 八幡の性格を考えるならばヒロインは高坂麗奈になるわけですが、おいら別に麗奈が好きなわけではないんですよね。まあ、それを言えば緑輝も取り立てて好きなキャラって訳ではありませんが(麗奈よりは好き)。



 こんな余計なものを書いていなければ文字数的にこっちをもう2話くらい更新できたんだろうなぁ••••••。
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