高度育成高等学校奉仕部   作:碧河 蒼空

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イ○○ナ○○雪ノ下

「それじゃあ金田君を受け入れるってことで良い?」

「ま、見捨てるわけにもいかないからな」

「でもそうなるとリーダーをどうやって隠すか考えないと••••••」

 

 Bクラスで集まって話をしている中、離れた所で木に寄り掛かっている男子生徒が一人。だからと言ってこいつが除け者にされている訳ではない。ならば何故この男子生徒がBクラスの輪から外れているかといえば、それはあいつのクラスがCクラスだからだ。

 

 何故Cクラスの生徒がBクラスの拠点にいるのか、それを説明するには話を少し前に戻す必要がある。

 

 俺達が拠点の準備をしていた時の事だ。探索グループが続々と戻ってくる頃になるとBクラスの拠点はだいぶ様になっており、そんな俺達の成果を見渡していた。

 吸水ポリマーシートを敷いて居住性を上げたテントに石を積み上げた調理用の釜戸。仮設トイレを設置したことで不要になった簡易トイレのワンタッチテントは、ウォーターシャワーを使う際にプライバシーを守る存在へとその役割を変えた。

 

「一之瀬、ちょっと良いか?」

 

 探索グループの男子生徒が一之瀬に尋ねた。様子を窺っていると二人は拠点の端に立つ一人の男子生徒をチラチラ見ながら話をしていた。

 そんな様子を尻目に俺は探索グループが見付けたスポットの占有を行う為に拠点を発つ準備をしていた。

 

「みんなっ、ちょっと集まって!」

 

 一之瀬の掛けた招集にみな作業の手を止め彼女の周りに集まった。

 皆が注目する中、ここに集合してもらった理由を一之瀬と話していた男子生徒が話し始めた。

 

「あそこにいるのCクラスの金田なんだけど、あいつをうちに迎えられないか?」

 

 彼によると、探索中にあの金田とかいうCクラスの生徒が座り込んでいるのを見付けたそうだ。島を歩き回っていたことを考慮しても全身が汚れていた金田に疑問を抱き事情を聞くと、金田は龍園(王様)に逆らった事でクラスから追い出されたとの事。

 

 曰く、Cクラスは今回の試験を放棄したようで、与えられたポイントを湯水のように使い込み、浜辺を拠点にクラスのほぼ全員が豪遊しているそうだ。ポイントが尽きたらリタイアし豪華客船に戻るという計画にどうしても賛同できなかった彼はクラスから追いやられ、途方にくれていた所をここに連れて来られたらしい。

 

「勿論、あいつを迎え入れる事でリーダー割れリスクは承知の上だ。だが、放っておくわけにもいかないだろ?」

 

 何ともうちのクラスらしい。これが雪ノ下なら『彼がリタイアすれば済む話でしょ?どうせCクラスのポイントは残らないのだから彼が島に残る意味は無いはずよ』(←八幡の声まね)と言うに違いない。まあ、そう言いながらも結局は雪ノ下だって金田を受け入れてしまうのだろうが。

 

 うちのクラスも金田に試験続行の意思がある限り面倒を見てしまうのだろう。

 

『彼がリーダー当てを狙っているのなら尚の事彼を置いておく理由は無いわ』

 

 いや、分かってはいるんだが••••••って、何俺はイマジナリー雪ノ下と話をしてるんだ?

 

 やはり俺の予想していた通り、金田の受け入れ自体に難色を示すものは現れなかった。そして議論は冒頭に戻り、どうやってリーダーを隠すのかという点になる。

 

 スポットの占有する際には皆が集まり俺を隠すという案も出たが、拠点はともかくその他のスポットの占有にはそこまで多くの人員を割くことは出来ない。必然的にリーダーの候補は絞られてしまう。

 

 議論は煮詰まり、隣にいる柴田は頭を抱えていた。

 

「あーっ、どうすりゃ良いんだ••••••比企谷は何か良いアイデア無いのか?」

 

 俺に集まる皆の視線に気圧されるが、俺は口を開く。

 

「妥協案にはなるがあるにはある」

「マジか!」

「ああ。試験終了間際に俺がリタイアすれば良い。流石にリーダーがリタイアすればリーダーを変える正当な理由になるだろうよ」

 

 俺がリタイアすることで30ポイントが引かれてしまうが、仮にCクラスにリーダーを当てられた場合、50ポイントに加えスポット占有で貯めたポイントまで失うこととなる。更にCクラスがポイントを加算することも考えれば、Bクラスはcp(クラスポイント)で大きく詰め寄られる。それに比べれば30ポイントなんて大きな数字ではない。

 

 他にもリーダー隠しの為のカモフラージュ要員が必要なくなるという人員方面にもメリットがある。

 

 俺がプレゼンを終えると神崎が口を開いた。

 

「比企谷はCクラスが試験を放棄したという話どう思う?」

「逆に聞くが、あの王様がこの程度の試験を投げ出すと思うか?」

 

 学校のシステムが明かされてすぐ俺達のクラスに乗り込んできたり、Dクラスにちょっかいをかけたりと、この一学期だけで色々とやってくれたあの王様がだ。俺はあり得ないと思っている。

 

 俺の言葉に対し否定するものは一人もいなかった。

 

「••••••そうだね。リーダー交代については先生に確認しなきゃだけど、私は比企谷君の案で良いと思う。反対意見や他に案がある人はいるかな?」

 

 一之瀬の問いに返ってくる言葉はなかった。

 

「決まりだね。それじゃあ、比企谷君には負担を掛けるかもしれないけどよろしくね」

 

 あとで聞いた話だが、当初一之瀬はクラスの負担が大きいようなら拠点以外のスポット占有については行わないことも検討していたらしい。俺は不用意な発言をしたことについて後々後悔する事となるのだった。




本作の八幡の能力を作ってみました。

学力B-
身体能力C
機転思考力B
社会貢献生D+

こんな感じでしょうか。
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