オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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ジュニア級 5月トレーニング結果~6月固定イベント

 

 


 

 

【投票結果】

 

適応訓練:芝

 

 


 

 

「トレーニング中は普通にスポーツドリンクなのね……」

 

「……?」

 

「何の話、みたいな顔してんじゃないわよアンタ……!」

 

引き続いての適応訓練。

今日も今日とて芝を走るサナリモリブデンである。

基礎能力の向上は後に回し、時間のかかるターフへの慣熟を優先したのだ。

来月に控えたメイクデビューでの勝率低下を承知の上で、郷谷とサナリモリブデンは先を見据えたという事になる。

 

さて、そんなサナリモリブデンのトレーニングに付き合うウマ娘が1人居た。

サナリモリブデンが走った選抜レースの勝者、褐色肌に栗毛の娘、ソーラーレイである。

 

特に示し合わせての事ではない。

単純に芝のコースに同じ時間帯に予約を入れていて、ウマ娘同士が顔見知りであったために軽く併走でもという事になったのだ。

 

ソーラーレイの得意な短距離に合わせ、2人ですでに数本を走り終えた。

全力を出すわけではないウマ娘なり。

けれど熱の入りやすい併走という事もあり、疲労の回りは早く汗も多い。

それぞれのトレーナーも無理をさせる必要のない場面なので早めに休息を指示し、逆らう意味もないので普通に並んで休んでいるところだ。

 

「そうですね、スポーツドリンクですよ。サナリさんに合わせてちょっと調節してはいますけど」

 

「ぁ、ど、どうも……えっと、郷谷さんだっけ」

 

「はい、郷谷静流です。気楽にゴーヤちゃんでもいいですよ? なんなら静流ちゃんでも大丈夫です。教育実習の先生を呼ぶような感じで是非」

 

「あ、はは、考えとく」

 

と、そこにサナリモリブデンのトレーナー、郷谷がやってくる。

飲み物の話題が出たのを聞きとめたようだ。

サナリモリブデンが口をつけている水筒に目をやりながら、大人には弱めの態度らしいソーラーレイに言う。

 

「機能的には市販のものと殆ど差はありませんけどね。舌に感じる甘味の強さや喉越し、後口の風味なんかは若干工夫してます。ソーラーレイさんのものも恐らくそうでしょう?」

 

「え、うん、そのはず。トレーナーがそう言ってた」

 

ソーラーレイはちらりと自身のトレーナーに目を向ける。

そろそろ壮年から中年に呼ばれ方が変わるかという年齢の男性だ。

契約しているのはソーラーレイだけではないらしく、これから走ろうとしている他のウマ娘と何やら話し込んでいる。

 

「……でもそれ、そこまでする必要あるの? 別に普通に売ってるやつでいいと思うんだけど」

 

「ん、私も同感」

 

そちらを見ながらのソーラーレイの言葉にサナリモリブデンも同意する。

先日は麦茶に強いこだわりを見せた彼女だが、スポーツドリンクについてはそうでもない。

わざわざ郷谷の時間を奪ってまで用意してもらわなくても良いというのが率直な意見だ。

 

「それがですねぇ、そうでもないんですよ。これ、一応しっかり実証されて論文にもなってる事なんですけどね?」

 

が、対する郷谷は否定する。

いわく、そのほんの少しの差が休憩時の回復力増加ややる気の維持に役立つのだとか。

それも中々バカにできない程度には有意な差が確認されているらしい。

 

「なので基本的にはどのトレーナーも担当1人1人に合わせてドリンクを調整しているはずです。私の知る限り例外は1人だけですし、それも担当の子の体に市販品がピッタリ合ってたっていう事情でしたよ」

 

「へー……」

 

「はぇー……」

 

興味深そうに頷くサナリモリブデンに対し、どこか上の空な様子のソーラーレイ。

どうやらソーラーレイの方はこういった理論の話は苦手なようだ。

論文、という単語が出たあたりから既に彼女の顔からは興味や聞く気が失せていた。

 

感覚で走る子なのだろうな、と郷谷は理解する。

勝負根性に富むのは同じだが、その下で同時に思考も回せるサナリモリブデンとは逆側のウマ娘である。

 

こういうタイプは目で見てから判断を下し行動に移すまでがとにかく素早い。

思い切りの良さと、一瞬の判断に身を委ねられる自信を武器としているのだ。

フィジカルだけでなくメンタル面でもスプリンターという事。

その噛み合いの良さからすれば少なくともジュニア級の短距離戦では台風の目になるだろうという予想は、まだ年若い郷谷にも簡単に導き出せる結論だった。

 

といったところで休憩は終わる。

2人は再びターフに戻り、残り何本かの併走をこなした。

 

内容は全く普段と同じ。

変わり映えのしないいつも通りの芝を蹴るための適応訓練。

けれど、ドリンクの工夫の話を聞き、舌と頭の両面で効果を理解して走ったためだろうか。

この日の実入りは随分と良かったようにサナリモリブデンには感じられたのだった。

 

 


 

 

【トレーニング判定】

 

結果:大成功

 

 

【トレーニング結果】

 

成長:スピード+20/パワー+20

経験:芝経験+6

 

スピ:112 → 132

スタ:95

パワ:119 → 139

根性:126

賢さ:116

 

芝:D(7/10)

 

 


 

 

【固定イベント/スキル習得・ジュニア級前期】

 

 

さて。

芝、芝、芝と日々走り続けているサナリモリブデンだが、他に何もしていないわけではない。

本格的に鍛えるほどではないもののプールにも入るし坂路も駆ける。

タイヤを引く事もあればウェイトトレーニングを行う事もある。

 

そしてもちろん。

 

「さ、今日の授業を始めますよ。教本の47ページを開いてください」

 

「ん」

 

座学もそのうちのひとつだ。

 

トレーナー室の中、お馴染みホワイトボード前で教鞭を取る郷谷にこくりと頷き、サナリモリブデンは教本をめくる。

そこに書かれているのはレース中に行われる駆け引き……の、基礎の基礎だ。

内容としてはごく軽いもので、いっそ稚拙にさえ見える。

こんなものが本当に何かの役に立つのかと思えるほどにだ。

 

「ですが、実際に走り始めると抜け落ちるんですよねぇ、これが。全力で走りながら頭を回すのがどれほど難しいかっていう事です」

 

だが実際は郷谷の言の通り。

自動車にも匹敵する速度で走る最中では、初歩の駆け引きですら行えるウマ娘は、少なくともジュニア級ではそう多くない。

メイクデビュー前後ではいっそ希少と言って良いほどだ。

仕掛けられた側もごく簡単なはずの対処法を思い出せず、見ているだけの側からすればなんで引っかかるのかと首をひねるほどあっさりと追い詰められるような場面も良く見られる。

 

「ですのでしっかり学んでおきましょう。極限状態でも自然と思考に乗せられるぐらいに、何度も復習を繰り返します。1つ覚えれば勝機が1つ増えるんですから、やらない手はありませんよ」

 

「うん、了解。頑張ってしっかり覚える」

 

「えぇ、はい、その意気です。期待していますよ」

 

芝の訓練以上に地味だが、こうした積み重ねなくして勝利を掴む事は出来ない。

やる気いっぱいで頷いたサナリモリブデンは、聞き逃しのひとつも無いようにと郷谷の指導に耳を傾ける。

 

 


 

 

≪System≫

6ヶ月ごとに1度、スキル習得が可能です。

習得にはスキルごとに設定されたスキルポイントを消費する必要があります。

習得を希望するスキルをスキルヒント一覧から選んでください。

スキルを習得せず、ポイントを貯めておく事も可能です。

スキルポイントは日常イベントやレース出走で獲得できます。

 

【スキルヒント一覧】

 

冬ウマ娘◎  100Pt

(冬のレースとトレーニングが得意になる)

 

押し切り準備 150Pt

(最終コーナーで先頭の時、先頭をわずかにキープしやすくなる)

 

展開窺い   150Pt

(レース中盤に後ろの方だとわずかに疲れにくくなり、視野がちょっと広がる)

 

所持Pt:160

 

 


スキル習得内容

  • 冬ウマ娘◎
  • 押し切り準備
  • 展開窺い
  • 今回は習得しない
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