オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです 作:F.C.F.
【投票結果】
今回は習得しない
「さて、それではまずおさらいしましょうか。レース中、サナリさんが他の子に何か駆け引きを仕掛けられたとします」
郷谷がホワイトボードにマジックを走らせる。
それは意外なほど上手く、最低限の線でありながら2人のウマ娘とわかるイラストがするりと描き出された。
片方は髪型からサナリモリブデン。
もう片方は特に誰という事もなさそうだが、サナリモリブデンに向かって体を寄せようとしているようだ。
「こういった時に冷静に対処するためには何が効果的か。サナリさんは覚えていますか?」
「ん。どういう時にどう対応するか、事前に決めてパターンを覚え込んでおく」
それをトントンと叩きながらの問いにサナリモリブデンは即答した。
教え子が以前教えた内容をきっちり記憶していた事に郷谷は気を良くし、ニッコリと目を細める。
「はい、その通りです。レースでは秒単位で状況が移り変わります。そんな中で悠長に、相手がこう動いたから自分がこう返せばこうなる……なーんて考えている暇は普通はありません」
郷谷はイラストを描き足した。
デフォルメされたサナリモリブデンの頭から漫画的な吹き出しが伸びる。
その中には簡略化された樹形図がぽんと放り込まれた。
「ですので、レース中にやるべき事は定型化された対応の内、適したものを選択するだけ。考えるのは事前に落ち着いた場所で済ませておく、というわけです」
「うん、よくわかる。合理的」
「まぁ本当に頭の良い子の中には走りながら当たり前みたいに思考を回せたりですとか、あるいは周囲がどんな対応を選ぶかを読み切ってその先に罠を仕掛けるですとか、そういうちょっと信じがたい天才もいますが……っと、そんなのは今は気にしなくていいですね。そういった怪物は現れるとしてもシニア級でしょう。流石に全員が発展途上なジュニア級やクラシック級の前半では出てこないはずですから」
話を戻して、と郷谷は樹形図をコンコンと叩く。
「ともかく、今日詰めるのはここです。レース中にはどんな事が起きるのか。サナリさんの能力ではどう対処するのが適切か。映像資料を見ながら話し合っていきましょう」
そうして、ホワイトボードの横にモニターがやってくる。
郷谷のノートパソコンを接続されたそれには再生待機状態の動画が表示されていた。
タイトルには「XX年10月 アイビーステークス」とある。
芝のマイルで争われるジュニア級のオープンレースだ。
ネット上に上げられているようなものではなく、PCの中に直接保存されている動画データらしい。
「これは去年ウェズンの新人の子が走ったレースです。この時期では珍しいくらいに駆け引きが飛び交った一戦だったので教材にはちょうどいいんですよ。まずは一度全体を流しますね」
「ウェズンの……そうなんだ。何番見てればいいかな」
「最初は前の方を見ていて下さい。6番のドラグーンスピアさんの動きと、それに押されて形を変えていくバ群の様子ですね」
郷谷はまだ動いていない画面の中、ゲートに佇む6番を指す。
それから指をついっと滑らせて、今度は別のウマ娘を示した。
「800を過ぎたあたりから注目すべきは中団後方。3番のセレンさん……セレンスパークさんが前を崩しにかかりますので」
セレンスパークを見る郷谷の目はやや緩んでいた。
おそらくこのウマ娘がウェズンのメンバーなのだろうとサナリモリブデンにも分かる。
視線が親しい知人に向けるそれだ。
「わかった。2人から目を離さないようにしておく」
サナリモリブデンは頷き、動画が始まる。
メイクデビューまであと少し。
その直前、最後の詰めのトレーニングは部屋の中で静かにスタートした。
【習得済みスキル/変動なし】
冬ウマ娘〇(冬のレースとトレーニングが少し得意になる)
冷静(かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)
そうして時は過ぎ、レースの日が迫る。
6月、メイクデビュー。
トゥインクルシリーズに挑むウマ娘達全員が挑む、本番における最初の関門である。
メイクデビューは様々な条件のものが存在する。
芝、ダート。
短距離、マイル、中距離。
成長中の体を鑑み長距離のレースはないが、他はウマ娘の資質に合わせて自由にエントリーが可能だ。
サナリモリブデンもまた、郷谷との相談の下に出走するレースを選択することとなる。
判断の材料となるサナリモリブデンの現状はこうだ。
まず、芝の適応訓練に時間を取られたサナリモリブデンの基礎能力は周囲よりも劣っている。
特にスタミナの不足が大きい。
スピードとパワーもやや足りない。
選抜レースの時期と比べれば良く伸びたが、芝に完全に適応しきれていない都合で全力を出し切る事ができないためだ。
こうなれば真っ向から戦っての勝率は低いと言わざるを得ない。
サナリモリブデンが勝ち負けに関わるにはいくらかの紛れ、フロックが必要になるだろう。
そしてそれは距離が短い方がより起こりやすいとされている。
なのでメイクデビューで勝利を狙うなら短距離戦にエントリーするのが無難である。
だが、これは目先の事のみを考えた場合の話だ。
サナリモリブデンが将来的にマイルや中距離を主戦場にしたいと願うなら、この段階から経験を積んでおく手も有効だろう。
幸い、サナリモリブデンは選抜レースで見せた逃げと同じ程度に差しも得意としている。
中距離のレースであっても体力を温存し最終直線に賭けるという戦法ならば目がなくはない。
2人はそれらの要素を秤にかけ、じっくりと話し合った。
その結果、導き出された答えは……。
■ サナリモリブデン
【ステータス】
スピ:132
スタ:95
パワ:139
根性:126
賢さ:116
馬魂:94
【適性】
芝:D(7/10)
ダ:F(0/10)
短距離:B(1/30)
マイル:B(0/30)
中距離:B(0/30)
長距離:B(0/30)
逃げ:A(1/50)
先行:B(0/30)
差し:A(0/50)
追込:C(0/20)
【スキル】
冬ウマ娘○(冬のレースとトレーニングが少し得意になる)
冷静(かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)
【お知らせ】
レース回は描写カロリーが多いため、明日10/6の更新はおそらく1回のみとなります。
メイクデビュー レース選択
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芝 短距離
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芝 マイル
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芝 中距離