オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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novelAIで挿絵作るのにハマって、これ以前の話に挿絵を追加しました。
2月~5月のイベントにそれぞれ1枚ずつ、本文中に挿入されています。


ジュニア級 7月ランダムイベント

 


 

 

【ランダムイベント生成】

 

イベントキーワード:「かわいい」「鳴く」「メイドインジャパン」

 

 


 

 

「みゃー」

 

などと、鳴かれたので。

 

「……にゃー」

 

と、返した。

7月のとある昼下がりの事である。

 

 

9月に走ると決めた未勝利戦に向けてのトレーニングも忙しい日々だが、さりとて毎日というわけでもない。

休みもなく走っていては体を壊すのは当たり前。

サナリモリブデンにも適切な休息は与えられていて、今日はちょうどその日であった。

 

なのでなんとなしに散歩に出かけたサナリモリブデンである。

その途中で、こうして猫に出会ったというわけだ。

 

「にゃー?」

 

「みゃーぅ」

 

「……ふふ」

 

今度はこちらからとひと鳴きしてみれば、ひと鳴き返される。

その愛らしさに思わずサナリモリブデンは笑みをこぼした。

 

「こんにちは。君は撫でていいタイプの子?」

 

それで興が乗ったらしい。

サナリモリブデンはしゃがみこんで猫を構う体勢を取った。

地面をのんびりと歩いていた猫と視線の高さが近くなる。

 

猫は白黒模様だった。

面積が多いのは白で、首元と腰回りが黒くなっている。

首輪はついていないが毛並みは悪くなく、それなりに良い物を食べている事がうかがえた。

どこかで餌でも貰っているのかも知れないとサナリモリブデンは予想する。

 

そんな猫に対し、サナリモリブデンは視線を向けずにそっと指だけを差し出した。

撫でられる猫かどうかを確かめる彼女なりのやり方である。

 

懐かない個体の場合の反応は分かりやすい。

こうして指を伸ばした時点で半数以上は逃げ出すし、残りは耳を寝かせて脚に力を籠めるか唸って威嚇するかだ。

そうなればそれ以上は刺激せず静かに立ち去ればいい。

 

では、懐く個体の場合はどうかというと。

 

「……」

 

「……ん。ふふ、くすぐったい」

 

スキップを思わせる軽い足取りで寄ってきて、指先の匂いを嗅ぐのだ。

興味深そうにヒゲを広げて、念入りに爪の中までを探ろうとする。

だがまだ油断してはいけない。

この段階で手を出すと驚いて逃げる猫も多いと、サナリモリブデンは知っていた。

 

くすぐったい鼻息の感触を我慢して、その時を待つ。

猫はサナリモリブデンの匂いを嗅いで、嗅いで、嗅いで、そして。

 

サリ、と硬い感触と共にヒゲの根本がこすりつけられる。

それにサナリモリブデンはよしと息を吐いた。

 

「いい子。よしよし。耳の後ろかいてあげようね」

 

「にーぅ」

 

猫がヒゲの根本、ヒゲ袋をこすりつけるのは自分の匂いをつけるためだ。

いわゆるマーキングである。

これは私の物、という主張だ。

初対面でそれが出るほどの猫は人懐っこさが極まっていると言って良い。

 

なのでサナリモリブデンも安心して猫を愛で始めた。

猫自身ではかきにくい場所をかいてやり、喉仏を転がしてゴロゴロ言わせてやり、肩こり解消のために首の後ろを揉みこむ。

そのどれにも、猫はいちいち気持ちよさそうな声を漏らした。

打てば響くとはまさにこのこと。

極上の甘え上手だ。

 

サナリモリブデンはどんどんと気をよくしていき、もっと念入りにやってやろうと抱き上げてベンチに連れていく。

それにさえ抵抗の素振りさえ見せない辺り、下手な飼い猫よりもよほど大人しい個体だった。

 

 


 

 

そうして、愛でる事しばし。

 

「……サナリ?」

 

そう声をかけられてサナリモリブデンは顔を上げた。

彼女は猫に夢中で気付かなかったが近くを通りかかる者があったようだ。

それも顔見知りである。

 

つい先日も会ったばかりの癖毛のウマ娘、チューターサポートと。

 

「え、アンタそれ猫? うわ、やだかわいい!」

 

サナリモリブデンの膝の上。

大人しく座って甘えている猫を見るや一瞬でヒートアップしたかと思えば再び一瞬で猫なで声に移行した栗毛の褐色娘。

ソーラーレイである。

 

「ん、こんにちは。……撫でるのは大丈夫そうだけど、驚いちゃうからゆっくりね」

 

「わかってるわかってる。ん-猫ちゃんこんにちはぁ。撫でていい? いいかにゃー?」

 

あ、これは相当重症だな、とサナリモリブデンは理解した。

ソーラーレイは大の猫好きらしい。

顔は崩れて手つきも怪しく、普段の強気がどこにもいない。

 

それを見たもう1人、チューターサポートの顔も崩れていた。

ただしこちらは猫の可愛さにではない。

ソーラーレイのとろけっぷりに対し、なにがいいかにゃーだこいつ、という類の呆れから来る崩れ方だ。

 

「なにがいいかにゃーだこいつ……」

 

というか実際言っていた。

 

幸いなのはソーラーレイにまともな聴覚が残っていなかった事だろう。

彼女は猫にメロメロでそんな言葉聞いてもいなかった。

 

「ソーラーレイとチューターサポート、知り合いだったんだ」

 

「あ、うん。レイとはクラスメイトなんだよね。寮の部屋も近いし、よく話すんだ」

 

なのでサナリモリブデンはチューターサポートに応対する事にした。

ソーラーレイは猫に任せておけばいい。

なんとでもしてくれるだろう。

 

「サナリはこんなところで何してたの?」

 

「わー毛ふわっふわだねぇ。どこかで洗ってもらってるのー? それとも自分でお手入れできる綺麗好きなのかなー?」

 

「ん……散歩してたら、猫を見つけて、撫でてたところ」

 

「あれ、思ったより見たまんまだった……」

 

うん、と頷いてサナリモリブデンは考える。

本当にただの休日。

何か目的あっての事ではない。

 

ただ、チューターサポートが別の用があると思ったのも理解できる。

何しろ、ここは広い公園なのだがその一角に芝のレーストラックがあるのだ。

幼いウマ娘や競走の世界に踏み入らなかった一般ウマ娘向けの簡素なものだが。

 

「そっちは自主トレ?」

 

「そ。学園の方が埋まっててさ、仕方ないからこっちで軽く流すくらいでって感じで」

 

「わ~~~肉球綺麗なピンク色なんだぁ。やわっこいねぇ。かわいいねぇ」

 

とはいえ、軽い自主トレ程度には十分な設備だ。

寮から近い事もあり、学園の方で予約が取れずにあぶれた生徒がたまに使うとはサナリモリブデンも聞いたことがある。

ソーラーレイとチューターサポートがまさにそれだったようだ。

 

「わ、わ、いいのぉ? しっぽも触っていいのぉ? ほんっといい子ね~」

 

「……なんかもう、予定とか頭から吹っ飛んでそうだけどね、この子」

 

「うん」

 

間違いないとサナリモリブデンも同意する。

ソーラーレイのデレデレっぷりは尋常ではなかった。

もはや今にも溶け落ちそうな勢いで猫に懐いている。

人懐っこい猫と、猫懐っこいウマ娘。

相性は抜群だ。

 

「ん~~~かわいい~~~! アンタなんて種類の子なの? 同じ仲間もこーんな甘え上手なのかなー?」

 

「見た感じ典型的な日本猫。頭が丸いし、鼻が通ってて耳の毛が薄いから多分間違いない。つまり普通のそこらの猫。この子が特別懐っこい」

 

「あー日本の子なんだぁ。そっかそっかぁ、甘えん坊なだけなんだねぇ」

 

「……猫、くわしいんだ」

 

「人並みくらい。普通に好きなだけ」

 

「普通で助かったよ。コレが2人も居たら大変だわ」

 

チューターサポートは苦笑して、彼女いわくのコレを指差した。

コレ扱いされている事も無視してソーラーレイは未だに猫に夢中だ。

 

が、流石にそろそろ放置もできなくなったのだろう。

チューターサポートがソーラーレイの肩を掴む。

 

「ほら、もういいでしょ。そろそろいくよ。予約の時間もあるんだから」

 

が、しかし。

 

「……イヤ。私ここに残るわ。猫ちゃんと遊んでく」

 

ソーラーレイはそれを拒否した。

まるで子供になったかのような態度である。

 

「というかアンタ、根詰めすぎなのよ。いい機会だから休みなさい。そして猫を愛でるの。いい?」

 

と思いきや、意外としっかりした理由もあるらしい。

言葉の最後には変なものもくっついてきたが。

 

「そ、そうかも知れないけど……」

 

言われた側、チューターサポートは歯切れが悪い。

どうやらオーバーワークの自覚はあるようだ。

癖毛の頭を手でかき回して、もごもごとしてから続ける。

 

「でも、予約もしちゃってるしさ。あと少しで掴めそうなんだよね。だからほんとお願い、併走1本だけ……」

 

「アンタのトレーナーはなんて言ってるんだっけ?」

 

「……う、それは、その、今日はできれば走るなって……」

 

「じゃあ走んじゃないわよ」

 

「……や、でもさぁ、できればとしか言われてないから……」

 

2人は猫と、そしてサナリモリブデンを挟んで言葉を交わしている。

練習を思いとどまらせようとするソーラーレイと、なんとか食い下がろうとするチューターサポート。

挟まれる形となったサナリモリブデンはなんとなく居心地が悪かった。

 

サナリモリブデンとしてはどちらの気持ちも分からなくもない。

 

友人がオーバーワークをしていれば止めるのは当然だ。

練習で無理を重ねて故障など起こしてしまっては元も子もない。

時にはひっぱたいてでも止めるのが友情というものだろう。

 

だが同時に、勝利を求めて無理を重ねたくなるのも理解できる。

それがあと少しで何かが掴めそうなタイミングとなればなおさらだ。

ウマ娘の体の専門家であるトレーナーも強く止めていないというなら、走らせても良いのではないだろうか。

 

「でもでもうっさいのよアンタ。いいから休む。ほら、諦めてここ座んなさい」

 

「……いや、本当1本でいいからさ。お願い! ほんとこの通り!」

 

2人は平行線のままだ。

ソーラーレイは立ち上がろうとせず、チューターサポートは頑なに走りたがっている。

 

「…………」

 

その真ん中で、サナリモリブデンはさてどうしたものかと考えた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

サナリモリブデンの行動

  • ソーラーレイに加勢して練習を止める
  • チューターサポートに加勢して説得する
  • ソーラーレイの代わりに併走に付き合う
  • 猫を連れて静かにこの場を離れる
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