オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです 作:F.C.F.
【投票結果】
差し
郷谷の指示は、差し。
道中は中団後方に控えての末脚勝負。
サナリモリブデンが特に得手とする戦法の片割れだ。
『3番人気、5番サナリモリブデン。前走終盤で見せたど根性を今日も期待したいところ。2番人気は1番フリルドアップル、虎視眈々と前を狙うウマ娘。今日こそはこじ開けたい。そして1番人気はこの子、3番ブリッツエクレール。これまで対戦相手に泣かされてきましたが実力はピカイチ。先を行ったライバル達に追いつけるか』
短い回想を終え、サナリモリブデンは閉じていた目を開く。
そしてゲートの中、スッと姿勢を落として身構えた。
『各ウマ娘ゲートイン完了。今係員が離れて───』
厚い雲に覆われた空の下。
6月の敗者たちが雪辱を果たすための戦いが始まる。
『───スタートしました!』
【スタート判定】
難度:63
参照:賢さ/166
結果:110(成功)
『揃って綺麗なスタートとなりました中京レース場第3レース、ジュニア級未勝利。まずはポケットから第2コーナーへ駆けていきますが、早速激しい位置取り争い』
ポケット、あるいは引き込み線。
コーナーの途中から外に飛び出すように設けられた直線の事だ。
ウマ娘たちはこの短い直線を駆け抜け、第2コーナーへと向かっていく。
スタート直後のコーナーとなれば、枠番による有利不利は大きい。
誰もかれもが少しでも有利な走路を求めてポジションを奪い合う。
『ハナを狙って飛び出していくのは2番ケチャップステップと4番クロニクルオース。続きたい1番フリルドアップルですが、そこを寄越せと8番バトルオブエラが割り込んでいきます。フリルドアップル少し下がって前を譲った』
先頭では案の定熾烈な戦いが始まっていた。
前2人は互いに譲らず、レースを引っ張るのは自分だと主張しあう。
続こうとした1番は8番の鬼気迫る威圧に押されて足を緩めた。
そういった争いは、もちろんサナリモリブデンの周囲でも巻き起こっていた。
同じ作戦、差しを選んだらしいのは内で3番ブリッツエクレール、外で6番エーネアス、9番アクアリバー。
1番人気のウマ娘が悠々と最内を走る事は許せなかったのか。
6番と9番はサナリモリブデンをも巻き込んで3番に猛然と襲い掛かろうとしている。
【序盤フェイズ行動選択】
冷静に受け流して後方につける
その流れにサナリモリブデンは乗らない。
多少の不利は飲み込んで後ろに下がってとにかく脚を溜めていく。
最初のコーナーは内でさえあれば良く、競り合い、潰しあっての消耗は避けるべきだと判断したのだ。
サナリモリブデンはするりと立ち位置を変えていき、ブリッツエクレールの背後を目指す。
難度:63
参照:賢さ/166
結果:11(失敗)
「……っ」
だが、それを邪魔する者があった。
ブリッツエクレールの背後を狙った彼女の、さらに後ろ。
そこから発せられた重圧に思わずサナリモリブデンは反射的に加速した。
逃げるように前へ、ブリッツエクレールの隣に進み出て、失態に気付いた時にはもう遅い。
内に入ることのできるスペースはどこにもなくなっている。
(……やられた)
ほんの一瞬、サナリモリブデンは後方を振り返る。
そこに居たのはショートサイドテールを揺らして走る栗毛のウマ娘。
外から迫ってきた9番、アクアリバーだ。
闘志を漲らせて細められた視線はサナリモリブデンに注がれている。
『フリルドアップルに続くのは6番エーネアス。すぐ後ろに1番人気ブリッツエクレール。その外5番サナリモリブデン。ほとんど差がなく9番アクアリバー。少し開けて7番ブリーズチョッパーは単独の最後尾』
サナリモリブデンが狙った行動は、そのままアクアリバーが綺麗に遂行した。
代わりに押し出された形のサナリモリブデンは差し集団の中でただひとりコーナーを外で回っていく。
【レース中ランダムイベント】
モブウマ娘の行動:アクアリバーが妨害する
そこに、さらに追撃が加わる。
サナリモリブデンの耳に重い足音が届く。
同時に、先ほども感じた威圧感が再度生じていた。
それは一歩ごとにじわりじわりとサナリモリブデンに迫りくる。
外へ外へと押し出して、より大きな消耗を強要するように。
(……まさか、狙われてる?)
そこでサナリモリブデンは気付いた。
アクアリバーの狙いはブリッツエクレールではなく、初めから自分であった可能性にだ。
前走、メイクデビューにおいてサナリモリブデンはアクアリバーと戦っている。
最終直線での立ち位置は遠く、直接競り合いはしなかった。
しかしその時にアクアリバーは既に見て、知っているのだ。
あの雨の重バ場の中、根性だけで食らいついて2着をもぎとったサナリモリブデンの姿をだ。
だからこそ警戒すべき敵と見なし、序盤から潰しに来たのだろう。
【抵抗判定】
難度:63
補正:冷静/+20%
参照:根性/156+31=187
結果:165(大成功)
しかし。
「……」
「くそ、こいつ……!」
サナリモリブデンは動かない。
不意打ちならばともかく、来ると分かった威圧で揺れるほど彼女の肝は細くはない。
大きく踏み慣らされる足音も、睨む目に乗せられる敵意も、そのペースを微塵も揺らせなかった。
余りの手応えの無さに、逆にアクアリバーが焦燥をつのらせる。
絞りだしたような悪態はまさにその表れだろう。
アクアリバーの戦意が純度を失い、重圧がほどけていく。
失速こそしない。
だが、サナリモリブデンの背を追う刺客は明らかに精彩を欠きつつあった。
【序盤フェイズ終了処理】
消費:中速(4)/行動失敗(4)/平静(0)
補正:差しA(-2)
消費:8-2=6%
結果:スタミナ/148-8=140
『第2コーナーを駆け抜けて、向こう正面のゆるい登りに入ります。先頭はクロニクルオースがケチャップステップを押しのけてハナを取りました』
序盤の攻防を終え、ウマ娘達は直線を進む。
向こう正面中央へ向けてのゆるやかな登りだ。
逃げるクロニクルオースはハナの取り合いに決着がついたらしく、坂と合わせて落ち着いたペースでレースを引っ張るようだ。
『2番手はケチャップステップ。バトルオブエラがそこに並びかけて、それを見るようにフリルドアップルが続きます』
【中盤フェイズ行動選択】
不確定要素を排除する
その間隙を使い、サナリモリブデンは行動を起こす。
6月に比べて基礎的な能力は確かに伸びた。
だがそれは対等な勝負が出来るというだけで、多くの余裕を持てたわけではない。
(そっちが、狙ってくるっていうのなら)
そんな状況で背を狙う者は放置できないと、サナリモリブデンは考えた。
実力を発揮できてようやく対等。
それを阻む要因となりうるものは先に潰すと、そう決める。
そしてそのやり方は。
(やり返すだけ)
まさに先ほど、アクアリバーが教えてくれていた。
難度:50(対象の動揺/x0.8)
参照:パワー/189
結果:155(特大成功)
サナリモリブデンの左足が激しくターフを踏み鳴らした。
重く、深く、腹の奥の奥にまで届くような重低音。
同時に、芦毛の頭がゆらりと振り向き、アクアリバーの瞳へと視線が向く。
「ひっ……! ぁ……っ」
そこに乗っていたのは凍えるほどの冷たさだった。
サナリモリブデンの目はただ見つめているだけだ。
にもかかわらず、その眼光に射貫かれたアクアリバーは呼吸を乱す。
恐怖に心が縛られて脚が震える。
そうして生じた失速を、アクアリバーはまるで制御できなかった。
ずるずるという音が聞こえそうなほどの勢いで、最後尾のブリーズチョッパーと並ぶまで落ちていく。
「……!」
さらに、事はそれだけに収まらない。
動揺は広がり、恐怖は伝播した。
隣を走っていたブリッツエクレール、前を行くエーネアスが弾かれたようにサナリモリブデンを見る。
その表情はいずれも引きつり、強張っていた。
【レース中ランダムイベント】
モブウマ娘の行動:ブリッツエクレールがサナリモリブデンから距離を取る
表情はすぐに収まった。
だが、内心まではどうやらそうもいかなかったか。
『向こう正面中間を過ぎて、坂は下りへと変わっていきます。ここで1番人気ブリッツエクレールが前に出ていく。ちょっと仕掛けには早い気もしますがこれはどうか』
ブリッツエクレールは焦ったように進出を開始する。
下り坂を利用して加速するその意図は、背を見る側からすれば明らかだった。
威圧が予想を超えて効いている事を確信し、サナリモリブデンは驚く。
だが同時に、これ以上ない好機であるとも理解した。
【中盤フェイズ終了処理】
消費:中速(4)/平静(0)
補正:差しA(-2)
消費:4-2=2%
結果:スタミナ/140-2=138
【終盤フェイズ行動選択】
加速してブリッツエクレールを追い立てる
難度:63
参照:パワー/189
結果:88(成功)
(思い出せ。覚えてるはず。やり方は、確か)
サナリモリブデンの脳は、かつて見た映像を想起した。
チームウェズン。
そのメンバーの1人、セレンスパークがアイビーステークスで敢行した、後方から行う崩しの技術。
(……こう!)
それを、見様見真似で模倣する。
蹄鉄が芝を深く噛む。
土を蹴り抜いて生まれた加速力は、狙い違わずサナリモリブデンの体を加速させた。
『先頭変わらずクロニクルオースのまま、3コーナーへ。この辺りで後ろも動いてくる。高速でのコーナリングが要求される中京レース場、前に楽をさせてはくれません』
一度は距離を取り安堵していただろうブリッツエクレール。
彼女はまたも迫った足音にピクリと背中を震わせた。
【追加判定】
難度:56(対象の不安/x0.9)
参照:パワー/189
結果:8(大失敗/マイナスイベント発生)
だが、それは。
サナリモリブデンの狙いとは真逆の結果をもたらした。
「舐めるな……っ!」
サナリモリブデンに対してか。
それとも一度は怯えた自分にか。
ブリッツエクレールは怒りに満ちた言葉を吐き、その体に闘志をたぎらせた。
【レース中イベント/ランダムから固定へ変更】
モブウマ娘の行動:ブリッツエクレールがサナリモリブデンの進路を塞ぐ
『最終コーナー出口へ各ウマ娘向かっていきます。バ群がじわじわと横に広がって前が開くぞ。最初に立ち上がるのはどの子か』
押し出せない。
追い立てられない。
それどころか、揺らぎが消えたブリッツエクレールは巧みにサナリモリブデンの前を塞いだ。
進路妨害ではない。
サナリモリブデンがカーブを曲がり、自然と膨らみたい方向に、ただ先にブリッツエクレールが居るだけ。
必然的にサナリモリブデンは加速を殺された。
行き脚を自分で止め、踏みとどまるために消耗を余儀なくされる。
【終盤フェイズ終了処理】
消費:高速(6)/強制減速(4)/平静(0)
補正:差しA(-2)
消費:10-2=8%
結果:スタミナ/138-11=127
そしてその成果を足音の変化で確認したか。
サナリモリブデンが減速した瞬間にブリッツエクレールが先んじてスパートをかける。
中京の直線412メートル。
その始まり、高低差2メートルの坂へと向けて。
敵手にだけ遅れを強要し、自身は何も取りこぼさない。
息を飲むほどの見事さだった。
余計な事をしたと湧きあがりかけた思考をサナリモリブデンは飲み干した。
後悔は文字通り後で良い。
今はまだすべき事が残っている。
【スパート判定】
難度:63
補正:差しA/+10%
参照:スタミナ/127+12=139
結果:66(成功)
「はっ、は、……っ!」
坂を登る。
最初のコーナーで不利を負い、余計な消耗まで重ね。
しかしそれでもサナリモリブデンにはまだ余力は残されていた。
前へ、前へ、上へ、上へ。
勝利を目指す力は体の中に確かにある。
『さぁ最終直線だ。クロニクルオースここまで頑張ったがいっぱいか、脚が鈍い。懸命に逃げるがここで捕まった、ケチャップステップが先頭に変わる。だがしかし───』
そして、視界が開ける。
ラストの200メートルへ。
【スパート判定】
難度:63
補正:差しA/+10%
参照:スピード/202+20=222
結果:115(成功)
難度:63
補正:差しA/+10%
参照:パワー/189+18=207
結果:96(成功)
「……ッ!」
鋭く息を漏らし、サナリモリブデンは芝を蹴りつける。
満身の力を籠めて、失態を犯した己を叱咤するように。
『───だがしかし外から飛んでくる。ブリッツエクレールだ。素晴らしい末脚でグングン差を詰めて、今2人まとめて撫で切った。一歩遅れてサナリモリブデンも続いていく。どうやらこの2人の競り合いだ』
その加速は確かに前を捉えた。
逃げていたクロニクルオースとケチャップステップはコーナーで息を入れられず、坂で勢いを失った。
今のサナリモリブデンならば、実力さえ発揮できれば後方から差し切るに問題はない。
だが、まだ足りない。
先を行くブリッツエクレールまでわずか半バ身。
それだけの距離が埋まり切らない。
怒りをターフに叩きつけて猛進するブリッツエクレールは手が届きそうなほどに近いというのに、6月に見たあの背中を思わせるほどに遠い。
(……違う。遠くない。そこにある)
そんな錯覚を呼び起こした弱気を、サナリモリブデンは切って捨てた。
(届く。届かせる。届くと───)
【スパート判定】
難度:63
補正:なし
参照:根性/156
結果:113(成功)
(───決めた!)
歯を食い縛る。
痛いほどに瞳を見開き、遠くないと信じた背を睨む。
勝利すると己に断じた重みをもって、鋼の脚が振り下ろされる。
『サナリモリブデンがブリッツエクレールに並びかける。両者一歩も譲らないデッドヒート。後ろはもう届かない。この2人の争いだ。ブリッツエクレールか、サナリモリブデンか』
「……っ!」
「ぐ、うぅぅぅぅ!!」
言葉もなく、視線も合わせず。
ただそれぞれの全てを振り絞って、2人はターフを駆け抜けた。
『サナリモリブデンだ、サナリモリブデン前に出た、差し切ってゴール! サナリモリブデン、見事に熱い競り合いを制して1勝クラスに駒を進めました。2着はブリッツエクレール、3着はバトルオブ……』
その瞬間を、サナリモリブデンはうっかりと知覚し損ねた。
ゴール板を駆け抜け、レースが終わったと認識し、脚を緩めて。
白熱していた視界がゆっくりと色を取り戻した頃に。
(……あ、れ?)
少ないながらも確かにある歓声と拍手が、もしかして自分に注いでいるのではないかとようやく気付いた。
「……ちょっと、何してるのさ。手くらい振っておきなよ」
「え、あぁ、うん……」
そこにブリッツエクレールがやってくる。
振り向いたサナリモリブデンは、呆けたような表情だ。
「あの、私……勝ったの?」
そしてとぼけた事を言った。
頭を抱えたのはブリッツエクレールである。
激戦の相手に一言贈ってやろうと近付いた結果がこれではそうもなろう。
「そうだよ。私の負けでそっちの勝ち。……先に行って待っててよ。私も、次は負けないから」
ため息をひとつこぼしてから。
闘志は霧散しつつも、再戦を願う言葉を投げてブリッツエクレールは去っていく。
その背を見送った後、サナリモリブデンは恐る恐る手を振った。
自身を見つめるまばらな観客へ向けて。
途端、彼らの上げる声は一段大きくなった。
(あぁ、私……)
スタンドからターフへと、祝福が注ぐ。
(勝ったんだ)
それは他のあらゆる全てよりも確かな形で、サナリモリブデンに勝ち取った物の実感を与えたのだった。
【レースリザルト】
着順:1着
【レース成長処理】
成長:ALL+10/ウマソウル+5
経験:芝経験+5/マイル経験+5/差し経験+5
獲得:スキルPt+50
スピ:202 → 212
スタ:135 → 145
パワ:189 → 199
根性:156 → 166
賢さ:151 → 161
馬魂:97 → 100(MAX)
芝:C(6/20)
マ:B(9/30)
差:A(9/50)
スキルPt:240 → 290
■ サナリモリブデン
【基礎情報】
身長:164cm
体重:増減なし
体型:B77 W53 H78
毛色:芦毛
髪型:ショートポニー
耳飾:右耳(牡馬)
特徴:物静か/クール/囁き声〇/従順/温厚/鋼メンタル
【ステータス】
スピ:212
スタ:145
パワ:199
根性:166
賢さ:161
馬魂:100(MAX)
【適性】
芝:C(6/20)
ダ:F(0/10)
短距離:B(1/30)
マイル:B(9/30)
中距離:B(0/30)
長距離:B(0/30)
逃げ:A(1/50)
先行:B(0/30)
差し:A(9/50)
追込:C(0/20)
【スキル】
冬ウマ娘○(冬のレースとトレーニングが少し得意になる)
冷静(かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)
【スキルヒント】
冬ウマ娘◎(冬のレースとトレーニングが得意になる)
押し切り準備(最終コーナーで先頭の時、先頭をわずかにキープしやすくなる)
展開窺い(レース中盤に後ろの方だとわずかに疲れにくくなり、視野がちょっと広がる)
ペースキープ(レース中盤に追い抜かれた時にかかりにくくなり、持久力が少し回復する)
集中力(スタートが得意になり、出遅れる時間がわずかに少なくなる)
スキルPt:290
【交友関係】
ペンギンアルバム 絆30
ソーラーレイ 絆20
チューターサポート 絆 5
【戦績】
通算成績:2戦1勝 [1-1-0-0]
ファン数:801人
評価点数:400(1勝クラス)
主な勝ちレース:ジュニア級未勝利