オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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ジュニア級 10月イベント結果〜10月トレーニング選択

 

 


 

 

【投票結果】

 

たっぷり歓待してもらう

 

 


 

 

「ほほう、あたしたちの歓待を受けたいとな?」

 

うむ。

とサナリモリブデンは頷いた。

 

「歓迎しなきゃ嘘ってさっき言ってたから。じゃあそうして貰うのがいいかなって。トレーナー。私はそれで終わりでいい」

 

そういう意見であった。

正直な話、サナリモリブデンはさっぱり負の感情を抱いていない。

驚いたのは確かであったがそれだけだ。

事情を把握して以降はむしろ何やら面白めな非日常がやってきたぞくらいの心境である。

言ってみればほぼほぼアトラクション感覚だった。

 

が、何事にも落とし所は必要だ。

郷谷とて流石にカラーコーンズを「被害者が許したから無罪放免」とはしにくいだろう。

だがサナリモリブデンとしては「この程度」としか感じないような被害で長々と説教される姿を見るのも忍びない。

 

よって、加害側による被害側への奉仕活動。

それが2人の間を取ったくらいのちょうどいいところではないかとサナリモリブデンは考えたのだった。

 

「んー……サナリさんがそれでいいなら構いませんが……大丈夫ですか? この子達ですよ?」

 

「ちょいちょいちょい静流ちゃーん、それどーゆー意味ー?」

 

「後輩の歓迎くらい私たちにも余裕だよ! 静流ちゃん心配しすぎ! 真面目にやるって」

 

「任せなよ。今年誰も入んなかったからさぁ、代わりにセレンの2回目の歓迎会やったんだわ。寂しさ紛れなかったから3回目も追加で。おかげで腕は鈍ってないぞ……!」

 

「そういうところなんだよ、みんなぁ……」

 

「少し面白そう」

 

「あれ、サナリさんそっち側なんです……?」

 

そういうわけで。

そういうことになった。

 

 


 

 

「へへへ、漫画の王様にありがちな葉っぱのうちわ、お加減はいかがっすかサナリちゃーん」

 

「うん。いい風、悪くない」

 

「肩おもみしまーす! くくく、痒いところはございませんかー?」

 

「右の肩甲骨の下くらい……ん、もう大丈夫」

 

「うっすお待たせしゃーしたぁ! ハムサンドと卵サンドのセット買ってきたぞー!」

 

「ありがとう、お疲れ様」

 

 

【挿絵表示】

 

 

ゆったりと椅子に腰かけ、マッサージを受けながら、葉っぱの扇であおがれつつ、アビルダが自発的にパシリとなって買ってきたサンドイッチをパクつく。

喉が渇けば口元にストローがささったカップが差し出され、食べ終われば紙ナプキンで口を拭かれる。

サナリモリブデン、やりたい放題の図であった。

実際にはサナリモリブデンがこうしろと言ったわけではないのだが、甘んじて享受しているのなら同じことだろう。

 

「それとサナリ様、こちらは皆で準備しておいた初勝利の祝い酒でございます」

 

「ん、くるしゅうない」

 

何しろ大分ノリノリである。

そんなサナリモリブデンに新たな貢ぎ物だ。

どこからか取り出された瓶の蓋が外され、黄金色の液体がコップに注がれる。

しゅわしゅわと泡を立てるそれは。

 

「麦茶だこれ」

 

子供ビールであった。

ぐいっと飲み干せばすっきり爽やか。

麦茶に炭酸という取り合わせは少々違和感はあるものの、慣れればそれなりに美味しく頂ける程度のものだった。

 

 

 

「漫画の王様でもここまでじゃなくないですか?」

 

それを見ていた郷谷は心底呆れた様子でこぼす。

額を抑えて天を仰ぎ、ふーっと長い溜息。

もう色々とバカらしくなったようで、お説教の気分はすっかり抜けたようではある。

 

「あの、タルちゃん? その絶対そこらに生えてなさそうな葉っぱどこから持ってきたの? まさか買ったの? チームの予算でじゃないよね? ね?」

 

その隣では青い顔をしたセレンスパークがわなわな震えていた。

こちらは逆に何かしらのメーターが溜まっていそうだった。

天井まで達した時に何が起きるかはおおむねお察しである。

 

「え、ちがうちがう。わざわざ買わないよー」

 

「あ、あぁ、そうだよね……うん、流石にギリギリなのにそんな無駄遣いしないよね……よかっ───」

 

「こないだ保健室いったら鉢植えに生えてたんだよね。使えると思って1本抜いてきといたんだー」

 

「───なお悪くない? なんでいけると思ったの? バカなの?」

 

すんっと真顔になるセレンスパーク。

カラカラと笑うタルッケ。

 

「くひひひひ、さぁ受けるがいい! 我が秘奥義骨抜きトロトロマッサージを……!」

 

「まさか、もう出すのか……!? 先生を茹ですぎのお餅みたいに変えたあの肩もみを……! に、逃げるんだサナリー! 流石にまだ早すぎる!」

 

「あー……うん。とてもいい」

 

「……バカな!」

 

「無傷、だとぉ……!?」

 

眼鏡を光らせて謎の奥義を繰り出すトゥトゥヌイに、さらりと受け流すサナリモリブデン。

その横でアビルダはリアクション芸人だ。

 

端的に言って頭の痛くなる空間だった。

バカとバカとバカによる相乗効果で際限なく空気が緩んでいる。

 

「いやぁ、懐かしいですねぇ。ウェズンってこうでしたよねぇ。えぇ、はい」

 

「ゴーヤちゃん、すーっと存在感薄くしないでね? 私1人で突っ込みやってるの本当疲れたんだからね。居る時くらい代わってほしいなぁ」

 

「私はもうその役割は引退した身ですから。現役のセレンさんにお任せしますよ」

 

「はぁぁ……まともそうに見えたサナリちゃんもあっち側みたいだし、もうダメなんだね……」

 

「とても心外」

 

「そうですか? サナリさん、なかなかウェズンの才能ありそうですが」

 

「……少し心外」

 

「少しなんですねぇ」

 

「ん-? どーゆーこと?」

 

「わかんねーのか? こいつもウェズンだってことさ。知らんけど」

 

「くくく……! サナリちゃん、お前ももう家族だ……!」

 

「まともなのは私だけかぁ……」

 

昼の部室は賑やかに、いかにもバカバカしく時が過ぎていく。

居心地にはそれぞれ差はあるようだが、とりあえず平和ではあろう。

チームウェズン、平常運転の様子であった。

 

 

その喧騒は結局、ウェズンのチーフトレーナーがやってきてトレーニングが始まるまで続いた。

大きく両手を振って見送るカラーコーンズと、控えめに手を振るセレンスパーク。

それにトレーナーを合わせての5人に手を振り返しながら、サナリモリブデンと郷谷は自分たちのトレーナー室に向かう。

 

サナリモリブデンとチームウェズンの初遭遇はこうして終わった。

騒がしい彼女たちは後輩であるサナリモリブデンの存在を喜ばしく思っているらしい。

ならば当然、これからも何かしら顔を合わせる機会はあるだろう。

サナリモリブデンにはその時が、少し楽しみであった。

 

 


 

 

【イベントリザルト】

 

友好:チームウェズンの絆+25(初期値)

成長:スタミナ+10/根性+10

 

スピ:217

スタ:150 → 160

パワ:204

根性:171 → 181

賢さ:166

 

 


 

 

さて、それから数日後のある日。

トレーナー室でサナリモリブデンは郷谷を待っていた。

 

彼女が早く着きすぎたわけでも、郷谷が遅刻しているわけでもない。

いざトレーニングを始めようとしたその時、ちょうど郷谷に電話がかかってきたのである。

郷谷は少し待つように言い残してスマホを手に席を立ってしまった。

特に急ぐ理由もないサナリモリブデンはのんびりと電話が終わるのを待っているというわけだ。

 

「はい、はい。えぇ、こちらは問題ないと思いますが、念のためサナリさんの意思を確認してからまた折り返し連絡しますので」

 

と、そこに郷谷が戻ってきた。

サナリモリブデンはそちらにふいっと目を向ける。

郷谷は通話を終えて、お待たせしましたと声をかけた。

 

「大丈夫、そこまで待ってない。……私の話?」

 

内容が気になったサナリモリブデンは問いかける。

自分の名前が話に出ていたのだから当然だろう。

郷谷は頷き、話を切り出した。

 

「はい。ペンギンアルバムさんのトレーナーさんからの連絡でして。共同トレーニングのご提案でしたよ」

 

それにサナリモリブデンはなるほどと納得した後、おや、と首を傾げる。

これまでも何度か併走を行った事はあるが、意思の確認が行われた事は殆どない。

あっても、わざわざ電話を切ってまではされた経験がなかったのだ。

電話口から数秒顔を離して、やりますか、やる、で終わる程度の事である。

 

その疑問を素直に投げると、郷谷はホワイトボード前に移動した。

マジックインキのキャップを取り、にこやかにサナリモリブデンに向き直る。

つまり、いつものだ。

 

 

 

「サナリさんの疑問は当然ですね。その通り、今回のお誘いは普段の併走とは違います。まずなんと言っても、その期間がです」

 

郷谷はホワイトボードに絵図を描く。

併走するサナリモリブデンとペンギンアルバムの絵を、2セット。

その片方の横にはほんの短い棒と、1dayの文字。

もう片方の横には長ーーーい棒と、1monthの文字。

 

大変に分かりやすかった。

サナリモリブデンもなるほどなーと納得する。

 

「1か月の間、みっちりと共同でやるわけですね。連日競わせる事で闘争心を煽り、互いの長所を学び合わせ、比較により自身の短所に気付かせ修正に生かす。そういった効果が期待できる優れたトレーニングです」

 

チームが作られる理由のひとつもこれであると郷谷は語る。

1人でのトレーニングよりも大きな成果を得られるそれを、専門用語でいわく。

 

「これは、友情トレーニング、と呼ばれています」

 

「…………?」

 

「あ、そんな顔しないで下さいね。本当の正式名称なんですから。学会とかでも偉い人が真顔で発言するんですよ」

 

まぁ、ネーミングについてはともかく。

そう言って郷谷は続ける。

 

「ただ、これは参加する全員の都合を合わせて本当に毎日しっかり競わせる必要があります。なので毎月ずっとというわけにはいかないのが玉に瑕です」

 

郷谷が言うにはそこが問題なのだという。

ウマ娘はひとりひとり資質が違い、必要となるトレーニングが異なる。

サナリモリブデンがスタミナを鍛えたい時に相手がスピードを鍛えたいならば、話は当然流れてしまう。

 

なので、友情トレーニングを行えるかどうかは運が絡む

 

ただ、相手が熱烈にサナリモリブデンとのトレーニングを希望している場合は話が別だ。

メンタルというのは、フィジカルに対して莫大な影響力を持つ。

ウマ娘の状態次第では相手のトレーナーが予定の変更を決める事もあるだろう。

つまり、より仲の良い相手とは友情トレーニングが行いやすいという事になる。

 

そしてもちろん、そういった相手が何人も居れば可能性はより高まる

ウマ娘にとって人脈とは宝なのだ。

 

 

「と、いうわけです。これで説明は終わりですね。さて、それではサナリさん。共同トレーニングの話を受けますか?」

 

「うん。断る理由がない。こっちから頼みたいぐらい」

 

郷谷の最終確認に、サナリモリブデンは即座に頷く。

プラスにしかならない提案なのだから当然か。

 

効果が常よりも高い上に仲の良いペンギンアルバムと一緒ならばよりトレーニングに身が入るだろう。

それが1か月も行える事に、サナリモリブデンは心が浮き立つのを感じるのだった。

 

 


 

 

【10月トレーニング選択】

 

スピードトレーニング / スピード↑↑↑  パワー↑↑

スタミナトレーニング / スタミナ↑↑↑  根性↑↑

パワートレーニング  / パワー↑↑↑   スタミナ↑↑

根性トレーニング   / 根性↑↑↑    スピード↑  パワー↑

賢さトレーニング   / 賢さ↑↑↑    スピード↑  根性↑

 

 


 

 

■ サナリモリブデン

 

【ステータス】

 

スピ:217

スタ:160

パワ:204

根性:181

賢さ:166

 

 


 

 

今回のトレーニングは必ず友情トレーニングが発生し、効果が1ランクアップします

 

 

 

10月のトレーニング(友情確定)

  • スピードトレーニング
  • スタミナトレーニング
  • パワートレーニング
  • 根性トレーニング
  • 賢さトレーニング
  • 適応訓練:ダート
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