オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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ジュニア級 11月イベント結果〜きんもくせい特別作戦選択

 

 


 

 

【投票結果】

 

料理の写真を送って煽りから気を逸らさせる

 

 


 

 

(流石に放っておくのも忍びないかな)

 

煽るソーラーレイと、煽られるチューターサポート。

その2人について考えて、サナリモリブデンはチューターサポートの側についた。

うっかり約束に遅れて焦りつつも煽りに煽られ額に青筋を浮かべる……そんな姿を思い浮かべて少し気の毒になったのだ。

いくら遅刻したチューターサポートに非があるといえどもフォローのひとつくらいは入れても良いだろうと。

 

しかし、かといって真っ向からソーラーレイに対立するのも角が立つ。

さて何かちょうどいい手はないかと探す。

するとそれは、まさに今サナリモリブデンの目の前に並んでいた。

 

「おん? 何してんの?」

 

「写真を撮ってる」

 

「そりゃ見れば分かるけど……あんたもそういうウマスタ的な事やんのねー」

 

サナリモリブデンは、既に注文して運ばれてきていた料理の数々をスマホで撮影した。

ニンジン入りのパウンドケーキに、ヨーグルトムースのニンジンゼリー乗せ。

キャロットクッキー盛り合わせに、別容器で用意されたたっぷりのハチミツに浸して食べるひと口スコーンなど。

いわゆる「ウマ娘の好きなやつ」ばかりだ。

キラキラとしていて見栄えも良い。

 

その写真をSNSにでも上げるのかとソーラーレイは思ったようだが、もちろん違う。

そもそもサナリモリブデンはそういったサービスのアカウントは持っていない。

ネットに慣れるまでは手を出すなと、郷谷からしつこいほどに言い聞かされているためだ。

 

「ていうかアンタのそれ今年発売の最新モデルよね。いいなぁ。私もスマホ買い換えようかな」

 

「? ソーラーレイのも古くないように見えるけど。そんなに頻繁に買い換えるものなの?」

 

「使う分には問題ないけど新しい方がいいじゃない。アンタもそれで買い替えたんじゃないの?」

 

「私は、今まで持ってなかったから新しく買っただけ。連絡用に必要だってトレーナーに言われて」

 

「マジ? アンタよく生きてこられたわね……」

 

「そこまで?」

 

と、このように、スマホには慣れていないので。

また、匿名掲示板の類に関わる事も固く禁じられ、従順なサナリモリブデンは素直に従っている。

ネット初心者からネットの闇を遠ざける、郷谷の好判断であった。

 

ともかく、撮った写真はウマッターやウマスタに上げるわけではない。

サナリモリブデンはソーラーレイと同じメッセージアプリを立ち上げると、同じグループトークを開く。

そしてそこに、撮ったばかりの写真を並べ始めた。

 

「なるほどね。お前がタラタラ遅れてる間にこっちは美味しいもの食べてるぞーっ、てやつね。アンタもやるじゃない」

 

「……そうだね」

 

断じてそういう意図ではない。

が、反論しても面倒が予想されるため、サナリモリブデンは黙って肯定しておいた。

そして「食べて待ってる」との文言をつけ足して終わりにする。

 

(さて、どうかな。アルだったらこれで10割通るけど)

 

サナリモリブデンとしては、ソーラーレイの煽りから目を逸らさせる事が主目的だ。

甘くて美味しそうな菓子類の数々は目を惹きつけて止まない。

チューターサポートの中に沸き立ったであろうちょっとした怒りが矛先を見失えば良いと、そう願うのだった。

 

 


 

 

「ほんとごめん! 待たせちゃって……!」

 

(通った)

 

その結果はサナリモリブデンの希望通りだった。

写真を送ってからおよそ15分。

慌てた様子で店にやってきたチューターサポートに怒りの気配はない。

代わりにあるのは……。

 

「あの、ほんと悪かったと思ってる。ついトレーニングに夢中で、もう1本だけって思っちゃってさ……。って言い訳にもならないんだけど。ちゃんとタイマーセットしておけばよかったのに……」

 

「……いや、もういいわよ。別にこっちを軽く見てたわけでもないでしょ、アンタだって」

 

テーブルの上に並んだ品々への強い興味だ。

謝罪しつつもチラチラとテーブルの上に視線が飛んでいる。

 

実にわかりやすい態度にソーラーレイも遅刻に対する悪感情を抱き続けるのが難しくなったのだろう。

苦笑を浮かべて話を流し着席を促していた。

チューターサポートはそれに気まずそうにしながらもソーラーレイの隣に座る。

 

そんな彼女に対し、差し出されたものがあった。

フォークの先に刺されたそれはスコーンだ。

ひと口サイズのもので、たっぷりとハチミツをまとっている。

 

「はい、駆け付け1口」

 

「なにそれ。はは、でもいいね。いただきます」

 

差し出していたのはソーラーレイだ。

悪戯っぽい顔でニヤリと笑い、どうぞとばかり。

それにどうもと、チューターサポートはパクリと食いついた。

 

ごり。

と音がする。

 

「…………ふぁにふぉれ(なにこれ)

 

「中くりぬいて角砂糖詰めておいたのよ。可愛らしい悪戯でしょ」

 

「このくらいはいいかなって」

 

ごりごり、じゃりじゃり。

盛大に音を立ててチューターサポートは微妙な顔だ。

折角のスコーンも砂糖の味ばかりだろうが、まぁこの程度ならとサナリモリブデンも止めはしなかった。

遅刻に対するペナルティとしては恐らく無難なところだろう。

 

 


 

 

「じゃあ改めて……アンタら2人の遠征がまぁ適当に上手くいくように、かんぱーい」

 

「音頭が適当すぎない?」

 

「ん、かんぱい」

 

「サナリはそれでいいんだ……。まぁ、うん、乾杯」

 

チン、と音を立ててカップがぶつかる。

グラスでもジョッキでもない辺りが微妙に格好がついていないが、とりあえずこの場に気にする者はいなかった。

 

「そう言われてもねぇ、なーんか気が乗らないのよね。あーあ、いいわよねーマイラーはさぁ。ジュニア級からG1あるんだもの。スプリンターのこっちはクラシックの後半待ちよ? どうなってんのよURA。勝負服のデザイン案ばっか溜まってくんだけど?」

 

「すごいよね、レイって。壮行会の初手が愚痴で始まるの初めて見たよ……」

 

「いいじゃない。オリジナリティってやつよ」

 

「せめて物は言い様って突っ込めるくらいには取り繕ってくれない?」

 

「勝負服……。デザイン、どんなの考えてるの?」

 

「お、聞いちゃう? んじゃ見せてあげるわ。参考にしてくれていいわよ」

 

ウマ娘、3人寄ればかしましいというやつだ。

細かい形式にこだわる声はすぐに聞こえなくなる。

 

「うっわ、スリットすご……」

 

「……流石に無理。恥ずかしくて走れそうにない」

 

「あぁ、それは深夜テンションの悪ノリの結晶よ。私だって嫌だわ。10億積まれてもきつい」

 

壮行会というより、もはやただ集まって駄弁っているだけ。

ただ、目的自体はどうやら果たせた。

実戦に向けたハードなトレーニングの日々の中、気分転換の清涼剤には間違いなくなっただろうから。

 

 


 

 

【イベントリザルト】

 

友好:ソーラーレイの絆+5

友好:チューターサポートの絆+5

成長:賢さ+15

獲得:スキルヒント/トリック(前)

 

スピ:257

スタ:160

パワ:234

根性:181

賢さ:166 → 181

 

ソーラーレイ    絆25

チューターサポート 絆10

 

トリック(前)(レース中盤に前の方にいると、後ろのウマ娘たちをわずかに動揺させる)

 

 


 

 

【レース生成】

 

【きんもくせい特別 秋/福島/芝/1800m(マイル)/右】

 

構成:スタート/序盤/中盤/終盤/スパート

天候:晴

状態:良

難度:80(ジュニア級11月の固定値80/1勝クラス倍率 x1.0)

 

 

【枠順】

 

1枠1番:グリンタンニ

2枠2番:サナリモリブデン

3枠3番:ムーンポップ

4枠4番:ボヌールソナタ

5枠5番:ジュエルカルサイト

6枠6番:アウトオブブラック

6枠7番:インテンスリマーク

7枠8番:タヴァティムサ

7枠9番:ダブルサラウンド

8枠10番:クピドズシュート

8枠11番:シュプールムーバー

 

 

【ステータス補正適用】

 

バ場適性:芝C/補正なし

距離適性:マイルB/スタミナ&賢さ+10%

バ場状態:良/補正なし

 

スキル:適用スキルなし

 

調子:絶好調/ALL+10%

 

スピ:257+25=282

スタ:160+32=192

パワ:234+23=257

根性:181+18=199

賢さ:181+36=217

 

 


 

 

そうして、レース当日を迎えた。

壮行会とは言い難い壮行会。

それでも気力の充填が行えたサナリモリブデンは、やる気十分のままだ。

 

控室の段階から既に集中が深い。

意識が常よりも一段広がり、空気の波から周囲の物の動きまで感じ取れそうなほどだった。

 

「調子は……聞くまでもありませんね」

 

「うん」

 

郷谷の問いに、サナリモリブデンは簡潔に答える。

それは短いからこそ、彼女が自身に感じている手応えを率直に表すものだった。

 

「結構。素晴らしいことです。それでは今回の作戦を伝えますね」

 

郷谷はその様子に満足げに頷き、口を開く。

きんもくせい特別。

その攻略に当たって必要な情報を提供するためだ。

 

「福島レース場の特徴といえば、まずなんと言ってもその小ささです。コースは1周1600メートル。これはURAのレースが行われる中では最小のレース場になります」

 

今回も説明のお供になるのはタブレットだ。

3Dデータが表示され、福島と他のレース場の大きさが比較される。

 

「いわゆる小回りになるわけですね。こういう場合の注意点はどこか、サナリさんは覚えていますか?」

 

「うん。コーナーがきつい」

 

「正解です。全体が小さいという事はコーナーの半径も小さいという事で、そうそう速度には乗れません」

 

郷谷が付属のタッチペンで画面をコンと叩く。

示す先はレース場両端、2つのカーブだ。

 

「きんもくせい特別は1800メートルで、レース場は1周1600メートル。必然的に第1から第4コーナーまで全てを通ります。これまでのレースよりも多く曲がるわけですから、コーナリングの重要性は高くなっています」

 

となれば、とサナリモリブデンは自分の枠順を確認する。

2枠2番。

内を取りやすい位置ではある。

 

「それと、小ささの影響がもうひとつ。最終直線の短さです。長さは292メートル。短い事で有名な中山よりもなお短いんですよね」

 

と、そこで郷谷はタブレットを覗き込んでいた体を起こす。

 

「福島レース場の特徴はこんなところです。起伏に関しては多少のアップダウンはありますがどれも緩やかで、ほぼ平坦に近いと思っていただいて構いません」

 

レース場の説明はこんな所のようだ。

なるほど、とサナリモリブデンは頷く。

そして画面を見つめながら頭の中で情報をまとめる。

 

 

カーブはきつく、コーナリングで速度は出しにくい。

今回はコーナーを多く曲がる必要があり、位置取りの重要性は高いようだ。

レース場の小ささから直線は短い。

 

そして距離は1800メートルのマイル戦。

 

 

情報を飲み込み切れたところで、サナリモリブデンは顔を上げた。

 

「ん。わかった。それで、今日はどう走ればいい?」

 

指示を求めてサナリモリブデンはトレーナーの目を見つめる。

それに対し郷谷は、タブレットの画面を切り替えて他出走ウマ娘の情報を示しながら、続けて答えた。

 

 


 

【他ウマ娘の作戦傾向】

 

追込:1 差し:3 先行:3 逃げ:3

 

【注目ウマ娘の情報】

 

1番人気/3枠3番:ムーンポップ(追込)

2番人気/5枠5番:ジュエルカルサイト(逃げ)

3番人気/8枠11番:シュプールムーバー(差し)

 

 

■ サナリモリブデン

 

【ステータス】

 

スピ:257+25=282

スタ:160+32=192

パワ:234+23=257

根性:181+18=199

賢さ:181+36=217

 

【適性】

 

逃げ:A(1/50)

先行:B(0/30)

差し:A(9/50)

追込:C(0/20)

 

【スキル】

 

冬ウマ娘○(冬のレースとトレーニングが少し得意になる)

冷静(かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)

 




※ レース描写はカロリー高いので、明日は夜の更新1回のみです

きんもくせい特別 作戦選択

  • 逃げ
  • 先行
  • 差し
  • 追込
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