オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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ジュニア級 11月次走選択結果~12月固定イベント

 

 


 

 

【選択結果】

 

朝日杯FS

 

 


 

 

「…………なるほど」

 

サナリモリブデンの選択に、郷谷は少しの沈黙の後にそう答えた。

その表情は硬い。

顔の前で組んだ手の指を落ち着きなさげにすり合わせ、それからサナリモリブデンと視線を合わせる。

 

「朝日杯フューチュリティステークス。その選択でいいんですね?」

 

「うん」

 

「以前にも言いましたが、勝算はありません。過酷なレースになります。サナリさんにとっては、ただただ世代トップとの実力差を見せつけられるだけの一戦になるでしょう」

 

 


 

 

【ウマソウル判定】

 

参照:ウマソウル/100

 

成功確率100% 判定を省略します

 

 


 

 

「構わない」

 

それでもいいのか、と発する前に決意は語られた。

サナリモリブデンはまっすぐに、わずかな迷いも含まない瞳で郷谷を見つめる。

 

「トレーナーは、2月に言ってた。やると言わせてみせるって。この世界の頂点に、G1に挑んで勝ってみせると、私に言わせてみせるって」

 

芦毛の下に、表情は無い。

だがそこには焼けつくほどの熱があった。

 

「そして証明してくれた。私が頂に向かって走っていけるって。トレーナーはやってくれた。だから私もやる。やるよ、トレーナー」

 

まるで。

と、郷谷は述懐する。

まるで、鋼を溶かす炉のようだ。

 

「見ておかないといけない。目指すところがどれだけ高いのか。私はどれだけ足りていないのか」

 

サナリモリブデンを低く見積もった覚えも、侮った覚えも郷谷にはない。

だが改めて彼女は思う。

 

「脚を止めている暇はどこにもない。やらせてほしい」

 

冬のように儚い姿をしているくせに、鋼のように鋭く硬いこの少女を育て上げる。

それはなんという重責なのだろうかと。

 

12月。

サナリモリブデンに降りかかるだろう絶望を。

払いのけてやるだけの力が、自分に本当にあるのかと。

 

 

 

「それに、前にも言った。叶わないと分かっている程度の事が───」

 

「脚を止める理由にはならない、でしたね。えぇ、覚えていますよ」

 

そんな不安を漏らした己の心を、郷谷は鼻で笑い飛ばす。

まさしくサナリモリブデンの言う通りだ。

その程度の事が挫ける理由になってたまるものかと奮起する。

自分よりも年若い少女がやろうと言うのに、大人の自分が尻込みなどしていられるかと郷谷は顔を上げた。

 

「分かりました。やりましょう。本番までに出来る事は私が全て整えます」

 

「うん」

 

そしてほがらかな笑みを浮かべて、言う。

トレーナーとはウマ娘を支えるものだ。

ならば折れる様など想像もできないような者でなければならない。

どれだけ寄りかかろうともただ安堵しか生まないほどの巨木たらんと、郷谷は自身を定義し、表情の上に余裕を形作る。

 

「ありがとう、トレーナー」

 

「ふふ。その感謝は遠慮なく貰っておきましょう。その方が張り切って準備が進められますからね」

 

「ん。頼りにしてる」

 

決戦までの猶予期間はたったの1か月。

出来る事は多くなく、積み上げられるものはわずかだ。

 

それでも、と2人は前を見た。

サナリモリブデンと郷谷。

彼女たちが歩んだ1年の集大成が、この冬に試される。

 

 


 

炉には炎が燈り、鋼は投げ入れられた。

されど鍛造は未だ始まらず、果ての形は定まらない。

鋼はただ、打ち鳴らされる時を待っている。

 


 

 

【固定イベント/初めてのG1を控えて】

 

 


 

 

「というわけで、こちらが届きましたー!」

 

などと、テンションの高い郷谷である。

年の暮れ、師走。

本格的に寒さがこたえるようになった12月、トレーナー室にて彼女は備え付けのクローゼットを開けてみせた。

 

「……!」

 

そこにあったものを見て、サナリモリブデンの尻尾がピンと高く持ち上げられた。

さらにはその勢いで振り回され、ふおんふおんと音を立てる。

ふんすと鼻息が荒くなるのを止める事も難しいようだ。

サナリモリブデン、昨今稀にみるハイテンションである。

心なしか瞳の中の光も強い。

 

「いやぁ、発注が間に合ってよかったです。デザイン自体は早めにやっておいて正解でした。この───」

 

サナリモリブデンの興奮を見て取って、郷谷の笑顔がさらに明るくなる。

そのまま勢いよく身振りでそれを指し示し。

 

「───勝負服! 私としては渾身の出来だと思いますが、いかがです?」

 

「トレーナー」

 

「はい、率直なご感想をどうぞ、サナリさん」

 

「とてもいい」

 

「そうでしょうとも」

 

ご満悦。

という言葉が両者ふさわしいだろう。

 

サナリモリブデンは自分専用の勝負服に目をとにかく輝かせ。

郷谷はサナリモリブデンの喜びにしてやったりとほくそ笑む。

そしてどちらからともなく片手を上げ、同時にグッと親指を立てる。

息ぴったりの仕草であった。

 

「さて、それではサナリさん。1回着てみましょうか」

 

「! いいの?」

 

「もちろん。というか試着して着心地を確かめないといけません。最終調整です」

 

「……それもそうだった」

 

そうして、サナリモリブデンが勝負服を手に取る。

着慣れない形式の衣装をスムーズにまとえるよう、郷谷も手伝いながらお楽しみの時間は始まるのだった。

 

 


 

 

「んー、素晴らしいですね。サナリさん、こっちに視線お願いします」

 

「…………んぅ」

 

パシャパシャとシャッター音が連続する。

サナリモリブデンがポーズを取り、郷谷がそれを撮影する音だ。

 

着替え終えてからおよそ10分。

延々と続いている撮影会に、サナリモリブデンのテンションはいつも通りになっていた。

理由は単純で、嬉しさよりも恥ずかしさが勝るようになったためである。

 

「ビューティフォー……。いいですよぉサナリさん。麗しのヒロインって感じですね。次はちょっと窓に手をかけて黄昏る感じの表情でどうでしょう」

 

「トレーナー」

 

「はい、なんですかサナリさん」

 

「流石にもう恥ずかしい」

 

なので、サナリモリブデンはそう訴えた。

褒められれば素直に喜べるのが彼女である。

あるが、何事にも限度があった。

次から次へと写真を撮り、かわいいだの綺麗だの素敵だのと言い続ける郷谷相手では分が悪かったようだ。

 

「そうですかぁ……仕方ありません、ここまでにしましょう。では最後に公式プロフィールに載せる分だけ1枚撮りますね」

 

「……今までのは?」

 

「私の趣味の分です」

 

「そうなんだ」

 

サナリモリブデンからの突っ込みは控えられた。

趣味とは何かと聞きたい気持ちも彼女にはあった。

が、藪をつついてまた誉め言葉が出てはたまらない、というところか。

 

ともかく、そうして最後の1枚が撮影される。

 

 

【挿絵表示】

 

 

サナリモリブデンの勝負服は、黒を基調にした落ち着いたデザインだった。

 

メインとなる部分はジャンパースカート型の学校制服を思わせる意匠の、ノースリーブのワンピースだ。

銀色の飾りボタンが並ぶだけで飾り気のないタイトな作りでスラリとした印象。

それは二重構造になっていて、胸元のわずかなスペースとスカートの側面に白い下側の生地が覗いていた。

 

その上から短いケープを羽織る形になる。

こちらもまた静かな色合いで、襟をピッチリ覆う作り。

 

さらに別で身に着けた長手袋も合わせて、フォーマルな雰囲気のある勝負服となっていた。

 

「サナリさんは殆ど白に近い綺麗な芦毛をしていますからね。これを活かさない手はないと思ったんですよ」

 

この服について、郷谷は語った。

サナリモリブデンが通常時まとっている静かな雰囲気に沿うようにデザインしたのだと。

 

「なので基本は黒に。後は所々に髪と同じ白を差し込んで落ち着きと統一感を出してみました。着てみたご感想は?」

 

「……最初と同じ。とてもいいと思う。何枚も撮られたのは恥ずかしいけど」

 

「ふふ、ごめんなさい。ついです、つい」

 

 

 

こうして、2人だけの勝負服のお披露目は終わる。

大きく手直しすべき部分も見つからず、調整は本番までに余裕をもって完了すると郷谷は言った。

 

サナリモリブデンは改めて、鏡で自身の姿を見る。

 

「……この服に」

 

そうして、ぽつりと呟く。

 

「恥ずかしくない走りをするから。見てて。トレーナー」

 

「えぇ、いつだって見ていますよ、サナリさん」

 

ほんの小さな、なんという事はない囁きだったが。

そこには確かに煮え滾る戦意が満ち満ちていたのだった。

 

 


 

 

【イベントリザルト】

 

成長:ALL+10

獲得:コンディション/絶好調

 

スピ:267 → 277

スタ:170 → 180

パワ:244 → 254

根性:191 → 201

賢さ:191 → 201

 

絶好調/次のレース時、能力がすごく上がる状態。レースが終わると解消される。

 

 


 

 

【12月固定イベント/スキル習得】

 

 

さて、そんな撮影会の後。

サナリモリブデンは普段の服に戻ると、そのままトレーナー室のテーブルについた。

目の前にノートと教本を広げ、ペンを手に取って前を見る。

 

その視線の先に居るのは郷谷だ。

マジックインキを手にホワイトボード前に立つお馴染みの姿である。

 

「それでは朝日杯に向けて、仕上げのお勉強です」

 

「ん」

 

というわけで、授業が始まった。

 

レースを優位に進めるための技術。

それを学び、身につけ、習得する時間である。

 

 


 

 

【スキルヒント一覧】

 

冬ウマ娘◎/100Pt

(冬のレースとトレーニングが得意になる)

 

押し切り準備/150Pt

(最終コーナーで先頭の時、先頭をわずかにキープしやすくなる)

 

展開窺い/150Pt

(レース中盤に後ろの方だとわずかに疲れにくくなり、視野がちょっと広がる)

 

ペースキープ/100Pt

(レース中盤に追い抜かれた時にかかりにくくなり、持久力が少し回復する)

 

集中力/150Pt

(スタートが得意になり、出遅れる時間がわずかに少なくなる)

 

トリック(前)/150Pt

(レース中盤に前の方にいると、後ろのウマ娘たちをわずかに動揺させる)

 

 

スキルPt:340

 

 


 

 

≪System≫

スキルは票が多い順に、スキルPtが許す限り習得されます。

 

 

習得スキル選択

  • 冬ウマ娘◎
  • 押し切り準備
  • 展開窺い
  • ペースキープ
  • 集中力
  • トリック(前)
  • 今回は習得しない
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