オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです 作:F.C.F.
【投票結果】
5人で入れるように他の客を先に行かせる
「テーブル席、空くの待つ?」
「そーすっか。そんなに長くもかかんないだろーし」
サナリモリブデンの提案に、アビルダは当然のように頷いた。
他の3人も特に異論はないようだ。
チームウェズンの4人と1人は店外のベンチに腰掛けて順番を待つ。
「───だからね、海苔はいらないの。ネギとメンマと煮卵、それにチャーシューで十分なんだよ」
「ないないない、絶対いるっしょ海苔。スープ吸ってふにゃふにゃになったのしゃぶりたくない?」
「だよなー。それこそセレンの言ってる”風味”だろ。中間地点の補給ポイント的なやつだわ」
「ちょっと! ナルトともやしは!? なんかナチュラルに省かれてるんだけど!」
「「「一番いらなくない?」」」
「許さないよ!?」
その最中、話題に上るのはラーメンについての話だった。
スープの次は具材。
戦争のタネは尽きないものである。
「ん、なるとは必要」
「んおぉ! さすがサナリちゃん話がわかるぅ!」
「あの派手な赤と緑のぐるぐるがあるとラーメンだなって感じがする」
「え? ナルトといえば白地に赤のぐるぐるでしょ?」
「……? 白いのはなるとじゃなくてカマボコじゃないの?」
「許さねぇ……」
現にサナリモリブデンとトゥトゥヌイの間にも亀裂が生じていた。
ただ、歯を剥いてぐるると威嚇するトゥトゥヌイに対し、サナリモリブデンはきょとんとした顔だ。
温度差がありすぎるために本格的な争いには発展しそうにない。
と、そんな事をしている内に順番がやってきた。
5人は店内に通され、6人掛けのテーブルにつく。
そして、座るやいなやウェズンの4人は注文した。
「煮干し豚骨味噌チャーシューメンのウマ盛りを4人前、お願いします」
「あとトッピングでー、バターとコーンもおねがいしまーす」
「もやしは抜きゅもごごっ」
「あ、こいつの言ってる事は気にしないでくださいね! もやしありで!」
それに、サナリモリブデンは少し驚いた。
店の前で各々が言っていた好みとは少しずつずれている。
いや、正確にはずれているのではなく、ごちゃまぜのようだ。
アビルダの好きな豚骨、セレンスパークの好きな煮干し。
トゥトゥヌイの味噌に、タルッケのバターコーン。
なるほど、とサナリモリブデンは納得する。
そして、らしい、とも思った。
バランスが取れているやらいないやら。
寄せ集めのようでいて破綻はせず美味しそうな辺りがなんともウェズンだった。
「私は煮干し豚骨味噌チャーシューメンのチャーシュー多め、コーンバタートッピング、ウマ盛りで」
なので、予定を変更する。
折角テーブルを同じくして食事を楽しむのだ。
それならば合わせてみるのも良いだろうというのはごく自然な発想である。
「にひ」
「ん」
わかってるじゃん、とばかりに得意げに笑うアビルダ。
サナリモリブデンも悪い気はせず、軽く頬を吊り上げるのだった。
そして。
ラーメンを揃って楽しんだ後に。
「おっしゃー! 次回メニュー決定権争奪戦はじめっぞー!」
「おー!」
「次こそは鶏がら煮干しをみんなに食べさせて、味音痴を治してあげるからね……!」
「ねーねー、そのトリニボってバターコーン合う?」
サナリモリブデンは何故か砂浜に連行されてきていた。
といっても、府中に海はない。
砂浜は砂浜でも屋内型人工ビーチだ。
海の風景は書き割りで、夏らしい鮮やかな青空も天井に描かれた絵に過ぎない。
しかし広い土地を確保して地面にたっぷりと砂を敷きパラソルを並べられればなんとなくそれっぽさは出ている。
真冬にも夏の雰囲気を楽しめるという、少々面白い施設だった。
「なにごと?」
ただ、そこに連れて来られた理由がわからない。
サナリモリブデンは率直に質問した。
「なーに簡単だよ。あたしらがあのラーメン屋で何食べるかってさ、ちょっとした勝負で決めてんだ」
それに、ウェズンのリーダーであるアビルダが胸を張って答える。
レンタルの水着まで身につけてノリノリだ。
なお、先述の通り海は書き割りだしプールがある訳でもないため、完全に気分を出すためだけの衣装である。
「勝ったヤツは自分の好きなラーメンに少しずつ寄せられるんだ。例えば前回はヌイが勝ったから味が味噌になったんだよな」
「その前は私だったから煮干し入れたんだ。そして今日勝って、次は豚骨を排除するの……!」
話を継いだのはセレンスパークだ。
こちらも水着姿な上に、必要性が微塵もない水中眼鏡まで装備している。
彼女はずずいとサナリモリブデンに歩み寄ると、その手を取って懇願した。
「サナリちゃん、味にこだわりないって言ってたよね? 私と組もう……! そして鶏ガラ煮干しの地位向上に協力して……!」
「すごい必死」
「はいはいチーミングは禁止でーす! 罰則適用だよー!」
「あ、あぁぁぁぁ……そんなぁ……!」
が、即座に勧誘を阻止されてズルズル引きずられていった。
そして、罰則罰則とはしゃぐトゥトゥヌイとタルッケによって砂浜に埋められていく。
そう経たない内に出ているのは頭だけになってしまった。
黒鹿毛の頭の上で、ウマ耳が情けなくへにょりと垂れる。
うわぁんサナリちゃん助けてぇ、という声もふにゃふにゃだった。
「ん、話はわかった。勝負内容は?」
「あれっ? サナリちゃん結構薄情な感じ?」
「くくく、内容は前回最下位だったヤツに決定権がある。つまりあたしだ。指定するのは砂浜といったらド定番、砂の城作りだ!」
「っ! ……テレビで見た事はある。一度やってみたかった。とても楽しみ」
「普通に助けてくれないパターンなんだね……」
「なになにサナリン初挑戦? じゃー私と組もうよ、これ結構むずいしさ」
「あっ! チーミングだ! 審判! チーミングだよアレ! 罰則適用しないと!」
「むっ、トゥトゥヌイ審判、裁定は?」
「初心者なら致し方なし! 認めましょう!」
「ズルくない!?」
わいわいと騒ぎつつ、真冬の砂浜遊びはスタートする。
セレンスパークの抗議をBGMに、開始の合図はトゥトゥヌイのやたら上手い口笛ファンファーレで。
途中で脱出に成功したセレンスパークも含めて、寮の門限に間に合うギリギリまで、バカバカしくも愉快な空気の中で遊び続けた。
なお、勝負の行方であるが。
トゥトゥヌイが見事な2連覇を達成し、次回の注文はどろ味噌豚骨チャーシューメンのコーンバタートッピングと決定された。
件の店では煮干しとどろ味噌が両立するメニューはないためセレンスパークが砂上に崩れ落ちて慟哭する羽目になった事も、サナリモリブデンの思い出に記憶されるのだった。
【イベントリザルト】
友好:チームウェズンの絆+10
成長:スタミナ+10/根性+5
獲得:スキルヒント/シンパシー
シンパシー/150Pt/絆70以上のライバルウマ娘と出走するレースがわずかに得意になる
スピ:287
スタ:230 → 240
パワ:264
根性:241 → 246
賢さ:211
チームウェズン 絆25 → 35
【レース生成】
【きさらぎ賞(G3)】
【冬/京都/芝/1800m(マイル)/右外】
構成:スタート/序盤/中盤/終盤/スパート
天候:晴
状態:良
難度:118(クラシック級2月の固定値95/G3倍率 x1.25)
【枠順】
1枠1番:スーペリアブルーム
2枠2番:トゥージュール
3枠3番:ジュエルエメラルド
4枠4番:スローモーション
5枠5番:アウトスタンドギグ
6枠6番:サナリモリブデン
7枠7番:アーリースプラウト
8枠8番:ミニコスモス
8枠9番:ファスターザンレイ
【ステータス補正適用】
バ場適性:芝C/補正なし
距離適性:マイルB/スタミナ&賢さ+10%
バ場状態:良/補正なし
スキル:冬ウマ娘◎/ALL+10%
調子:普通/補正なし
スピ:287+28=315
スタ:240+48=288
パワ:264+26=290
根性:246+24=270
賢さ:211+42=253
「今回のレースに出走する有力ウマ娘は1人です」
京都レース場への移動中。
郷谷トレーナーはサナリモリブデンにそう説明を切り出した。
「ん……詳しく聞きたい」
サナリモリブデンは手元のタブレットに落としていた視線を上げる。
自動車の助手席で背筋を伸ばし、運転席の郷谷の横顔をじっと見つめた。
「そうですね。これまでマイルを専門に走ってきたウマ娘で、重賞出走経験もありながら掲示板を外した事がありません」
それに、郷谷は満足そうに笑って説明を始めた。
「得意な作戦は逃げ、もしくは差し。レース展開やコースの作りに合わせて走り方を変えられる点は対策が立てにくく面倒な相手です」
サナリモリブデンは大まじめに聞き入っている。
一言一言を咀嚼し、飲み下して染み込ませるようにだ。
「ですがこのウマ娘の本当に恐ろしいのはそこではありません。彼女の脅威はどんな状況でも諦めや妥協を知らないという点です。無理、無茶、無謀。それらを当然のように押し通して平然と実力以上の力を発揮する能力に極めて優れています。正直言って、敵にした時にこんな嫌なウマ娘はそうそう居ませんよ。マッキラさんみたいな規格外は別としてですが」
確かに、とほぼ真っ白な芦毛の頭が上下する。
聞くだに恐るべき強敵である。
何しろ事前の対策がほぼ無意味だ。
相手が選ぶ作戦は予想が難しく、逆境に強いというならどれほど優位を積もうが安心はできない。
実際に走り切ってゴール板を通過するまで何一つ気を抜けない相手となるだろう。
「そして前走のG1では、無敵と誰もが断言するマッキラさんに追いすがり、トップスプリンターであるブリーズグライダーさんと真っ向から争い、3着での入賞を果たしています。地力も相応にあると見ていいでしょうね。確実に今期のクラシックにおける中心人物、その1人になると思われます」
「……ん?」
が、そこでサナリモリブデンも気付く。
「私?」
「えぇ、そうです。サナリさんの事ですよ」
目をぱちくりとさせるサナリモリブデンだった。
一体なんの冗談だろうという顔だ。
そんな彼女を確認して、郷谷は苦笑する。
「残念ですが冗談ではないんですよ。今、確実にサナリさんはそういう目で見られています」
そこでちょうど車は目的地に到着した。
郷谷は関係者向けの駐車場に車を入れてエンジンを止め、サナリモリブデンの持つタブレットに手を伸ばす。
数度操作すると、画面はきさらぎ杯に関する記事を表示した。
その中には予想の欄もある。
6枠6番サナリモリブデンの欄には、◎の印が並んでいた。
「これが世間の、サナリさんに対する評価です。他のウマ娘やトレーナーからの認識も似たようなものでしょう。マイルではマッキラさんに次ぐ、世代のトップ層。誰もがそう見ています」
「でも、実力は」
「レースで発揮されたものが実力です。少なくとも世間やライバルにはそう取られます。ですので」
郷谷はサナリモリブデンの言葉を遮って言った。
現実を認識させるためにだ。
「サナリさん。今貴女には最大限の警戒が向けられています。レース中、マークや妨害はこれまでよりも厳しいものになるでしょう」
「……ん」
「どうか今まで以上に冷静に。対処の仕方はこれまでのトレーニングで教えてきました。落ち着いて、やるべき事を思い出してくださいね」
「うん。わかった。気を引き締めていく」
どうやらそれは通じたらしい。
サナリモリブデンは神妙に頷き、自身の現状を飲み下す。
よろしいと郷谷も首肯し、次いで今回の作戦の説明に入った。
いつものようにタブレットにレース場の3Dデータが表示される。
全景はスタンドから見て左が小さく右が大きい非対称だが、前走の阪神レース場ほどではない。
そのコースには一見してわかる大きな特徴がひとつあった。
「京都レース場の名物といえばこれです。高低差4.3メートルにもなる、通称淀の坂ですね」
向こう正面の中ほどから始まり、3コーナーで頂点に達し、4コーナーへ、そして直線へと駆け下りていく坂だ。
坂というよりも、3コーナーに丘があると考えた方が分かりやすいかもしれない。
ゆっくり上ってゆっくり下る。
かつてはそれがセオリーとされていたコースだが、現在では下り坂を利用して加速をつけたまま404メートルの直線に突っ込んでいくケースが多い。
この坂以外は平坦な作りで最終直線も例に漏れない。
「あとは、そうですねぇ。スタート直後の直線はとても長く取られています」
次に表示されたのは向こう正面の直線だ。
第2コーナーを曲がらずにまっすぐ突き出したポケットからスタートする形で、3コーナーまでの長さは900メートルほどになる。
流石にこれだけあっては内枠外枠の有利不利はない。
以上を説明し終え、最後に他のウマ娘の情報を出しながら、郷谷は今回の作戦を指示した。
【他ウマ娘の作戦傾向】
追込:2 差し:2 先行:2 逃げ:2
【注目ウマ娘の情報】
1番人気/6枠6番:サナリモリブデン
2番人気/5枠5番:アウトスタンドギグ(追込)
3番人気/8枠9番:ファスターザンレイ(逃げ)
■ サナリモリブデン
【ステータス】
スピ:287+28=315
スタ:240+48=288
パワ:264+26=290
根性:246+24=270
賢さ:211+42=253
【適性】
芝:C(17/20)
ダ:F(0/10)
短距離:B(1/30)
マイル:B(20/30)
中距離:B(0/30)
長距離:B(0/30)
逃げ:A(6/50)
先行:B(0/30)
差し:A(15/50)
追込:C(0/20)
【スキル】
領域の萌芽 (名称・効果不定。勝敗を分ける局面で奮い立つ)
冬ウマ娘◎ (冬のレースとトレーニングが得意になる)
冷静 (かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)
集中力 (スタートが得意になり、出遅れる時間がわずかに少なくなる)
きさらぎ杯の作戦
-
逃げ
-
先行
-
差し
-
追込