オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

46 / 83
クラシック級 3月イベント結果~3月トレーニング選択

 

 


 

 

【投票結果】

 

ゾンビランナー ~命尽きても走れよ乙女~

 

 


 

 

そして当日。

午前10時に待ち合わせたサナリモリブデンとチューターサポートの2人は、映画館前で落ち合った。

よっ、とばかりに片手を上げて癖毛のウマ娘がサナリモリブデンの前へとやってくる。

 

「お待たせ。待った?」

 

「大丈夫、今来たところ」

 

なんてお決まりの挨拶を済ませ、そのまま館内に入る。

1回目の上映は10時30分から。

窓口でチケットと優待券を引き換え、オマケに大盛りのポップコーンとLサイズのコーラも購入する。

 

「やっぱり映画といったらコレがなくちゃね」

 

チューターサポートは歯を見せて楽し気にそう言った。

映画館の経験が殆どないサナリモリブデンも、その定番についてはテレビなどで見聞きしたことはある。

なるほどこれがと納得しつつ、座席番号を確認しつつ席につく。

 

スクリーンはサナリモリブデンの予想よりも小さかったが、これは仕方ないだろう。

何しろこの映画館はB級専門だという。

需要を考えれば余り設備に投資もできないに違いなかった。

 

「……でも、意外と人はいる」

 

「ね。ちょっと驚いたかも。もっとガラガラかと思ってた」

 

ただ、その割には客は居た。

2人はこそこそと、ほんの小声で囁き合う。

満席には程遠く空席の方が多いが、サナリモリブデン達の他に10人以上は入っている。

 

今日、この時間に上映される映画は「ゾンビランナー ~命尽きても走れよ乙女~」という題名だ。

そのいかにもB級らしい題と、パンフレットに映っていた各場面の安っぽさから、2人は到底内容に期待していない。

だがもしや、とサナリモリブデンは考える。

 

「これだけ人が来るってことは、もしかして良い映画だったりする?」

 

「どうかなぁ……怖いもの見たさって可能性もあるよ」

 

「む……」

 

対するチューターサポートは懐疑的なままだ。

そしてその意見には、実際怖いもの見たさでやってきたサナリモリブデンは反論できない。

 

そうこうしている内に、上映時間がやってきた。

ブザーが鳴り、館内の照明がゆっくりと消えていく。

スクリーンに光が投影され、まずは上映前のお決まり、CMが始まる。

 

期待と不安を半々に、サナリモリブデンはポップコーンをつまみながらもスクリーンに集中し始めた。

 

 


 

 

そして、70分後。

2人は映画館を出てすぐ隣の喫茶店に入っていた。

大手チェーンであり、そこそこの品質とがっつりの物量、そしてお財布への優しさで知られる店だ。

レース賞金で稼いでいるとはいえ、まだ学生で金銭管理は親やトレーナーに任せている2人にはちょうどいい価格帯である。

 

そこで2人は小さなテーブル席に向かい合って座り、とりあえずのコーヒーを頼んだ。

始まるのは感想会である。

 

「いやー……うん。見終わったわけだけど……どうだった?」

 

まず口を開いたのはチューターサポートだった。

探るような視線と声色。

それに、サナリモリブデンは率直に返答する。

 

 


 

 

【映画の採点/1~100点のランダム】

 

サナリモリブデンの結果:9点

 

チューターサポートの結果:12点

 

 


 

 

「9点。100点満点で」

 

「うん、そんなもんだよね」

 

ふんすと鼻息と共に返った答えに、チューターサポートは苦笑と共に同意した。

目を半目にし、頬杖をついた体勢で深々とため息を吐く。

 

「そっちは何点くらい?」

 

「私が採点するなら12点かなぁ……」

 

「すごく妥当」

 

今度はサナリモリブデンが激しく首を縦に振る。

 

「いやもうさ、映画の軸がブレすぎでしょ。ラブコメなのかスポ根なのかもわかんないし、コメディとシリアスの反復横跳びが多すぎるしシュールギャグにも走るし」

 

「ん……分かる。最後のレースシーンは特にひどかった」

 

正直に言って、粗悪もいいところだったのである。

話に出たクライマックスは特にだ。

 

全体の話の流れとしてはこうだ。

ある日、トゥインクルシリーズで活躍していたとあるウマ娘が病で死んでしまったが、レースへの未練の余りにゾンビになって動き出してしまう。

彼女は愛するトレーナーの協力を得て、死んだ事実を隠したまま走り続ける事を選んだ。

しかし、死んだ体は死んだまま。

少しずつ腐り始める体からはレースを走るための力は失われていき……。

 

と、ここまでは中々期待の出来るあらすじだ。

 

だがその内容を追っていくととにかくひどい。

腐っていく体を恐れ泣いていたシリアスシーンの次に「突然腕が千切れて困っちゃったゾ☆」というレベルのコメディが挿入されたり。

例え君が死んでいても世界で一番愛していると大真面目に愛を語ったトレーナーが5分後には鼻をつまみながらハエ対策の殺虫剤を主人公に吹きかけていたり。

果ては物語の主軸、主人公が死んでも走る理由が、最初は「待っているライバルと戦うため」だったはずなのにいつの間にか「トレーナーとの愛を証明するため」にシームレスに変わっていたり。

そしてそれらの全てが単調どころか全く動かないカメラワークと粗雑なセット、棒読みの大根演技で繰り広げられるのだ。

 

また、こういった物語では必須とも言えるだろう、秘密がバレそうになる場面がどこにもない。

疑いを抱いたファンと必死に隠そうとする主人公サイドの駆け引き……といった見せ場はゼロだ。

映画の中の世界は終始主人公とトレーナーの恋愛にゾンビ要素を交えたものでしかなかった。

序盤で語られたライバルウマ娘も写真での登場のみ。

 

レース要素でさえ、時折挟まれるランニングマシン以外出てこないトレーニングシーンと、トロフィー前での会話だけで示されるレースで勝ちましたよという報告だけ。

これはチューターサポートによる確度の高い予想だが、恐らく撮影用のコースを借りる予算をケチったのだろうとの事。

サナリモリブデンとしても多分そうかもと頷ける。

 

問題のラストシーンにいたっては、チューターサポートいわく頭が痛くて頭痛がした、との事。

日本語を話す力さえ奪われている。

だが実際それに相応な内容ではあった。

 

腐り続ける主人公の体はいよいよ秘密を隠しておけるような状態ではなくなる。

これ以上走れば体が崩れてファンにもバレてしまうだろう。

それでもと、トレーナーの反対を押し切って主人公は出走を決める。

 

そして。

 

「……あの崩れ方はさぁ。ないよ」

 

「うん。ちょっと擁護できない」

 

2人の言う通り、それはもうひどかった。

燃え上がる愛の力で生前以上の力を発揮した主人公はレースを圧勝する。

その代償に彼女の腐った体はついに崩れ落ちた。

 

……のだが、その崩れ方が問題だ。

まるで吸血鬼モノのラストシーンで、悪の限りを尽くした吸血鬼が日光に裁かれて灰になるかのような描写の仕方だったのである。

しかも「ここで盛り上げるぞ!」と言わんばかりに数十秒をかけて。

長く、長く、長く、そして単調に響き渡る主人公の悲鳴があまりにもシュールだったのを2人は忘れられない。

 

それに比べればまだマシだが、その後も微妙だった。

あ、ここグリーンバックに緑の服着て撮ったんですね?

と誰にもそう分かるくらいに合成背景から浮きまくった主人公の生首がトレーナーに最後の愛を告げるのだが。

その背景がレース場から謎の丘に変わっている上に、やはり謎の幼いウマ娘集団が笑顔でランニングしているのだ。

これまたチューターサポートによる確度の高い予想だが、合成用の背景を撮影するのを忘れたかそれとも手間と費用をケチってか、フリーの映像でも使ったのだろうとの事だ。

多分間違いないとサナリモリブデンも同意したところである。

 

「しかもその後で平然と生きてるしさ主人公。いや死んでるんだけども」

 

「トレーナーの部屋で鉢植えから首が生えてるのは、その、なんていうか、なんだろう……」

 

「大丈夫、無理に言葉にしなくていいから。わかるよ……」

 

「うん……」

 

「なんかもう、ごめん。こんなのに誘っちゃって」

 

「ううん。見ると決めたのは私だから。それに、あれと1人で戦わせる事にならなくて、よかった」

 

「サナリ……!」

 

チューターサポートがすっと手を持ち上げ、差し出す。

その手をサナリモリブデンは黙って握った。

今の彼女たちは戦友になった気分であった。

共にB級どころかZ級に足を踏み入れている映画を観て生き残った事を労いあい、半ば死んだ目で頷き合う。

 

と、そこに。

 

「失礼します。こちら、あちらのお客様からですが、お受け取りになられますか?」

 

突然、店員の一人が大きなパンケーキを持ってやってくる。

2人が「あちらのお客様」とやらを見てみれば、そこには女性が座っていた。

疲れ切った雰囲気に死んだ目。

そして、先ほど映画館の中、近くの席で見たような記憶のある背格好。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「えぇと、お受け取りになられる、という事でよろしいでしょうか……?」

 

同志だと確信し、サナリモリブデンとチューターサポートは無言でサムズアップした。

謎の女性も同じく返し、意思の疎通は完了する。

受け取ったパンケーキは大変に美味しく、乾いた心に甘味は優しく染み込むようだった。

 

 

 

その後、気を取り直した2人は損失を補填するように街をブラついた。

新しい服を見繕い、甘味系の屋台をハシゴして、寮の自室に飾る小物を物色する。

そのどれもを先導したのはチューターサポートだが、サナリモリブデンも普段訪れない店の数々を存分に楽しんだ。

 

そうやって時間を過ごし、気がつけば夕方近く。

門限に間に合うようにと電車に乗り、そうしてサナリモリブデンの休日はそれなりの充実を見せて終わりとなるのだった。

 

 


 

 

【イベントリザルト】

 

有効:チューターサポートの絆+10

成長:根性+20

獲得:スキルPt+30

 

チューターサポート 絆10 → 20

 

スピ:287

スタ:240

パワ:264

根性:246 → 266

賢さ:211

 

スキルPt:250 → 280

 

 


 

 

【3月トレーニング選択】

 

スピードトレーニング / スピード↑↑↑  パワー↑↑

スタミナトレーニング / スタミナ↑↑↑  根性↑↑

パワートレーニング  / パワー↑↑↑   スタミナ↑↑

根性トレーニング   / 根性↑↑↑    スピード↑  パワー↑

賢さトレーニング   / 賢さ↑↑↑    スピード↑  根性↑

 

 

3月のトレーニング

  • スピードトレーニング
  • スタミナトレーニング
  • パワートレーニング
  • 根性トレーニング
  • 賢さトレーニング
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。