オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです 作:F.C.F.
【投票結果】
スピードトレーニング
【友情トレーニング判定】
成功率:絆×1/3
ペンギンアルバム:失敗
チームウェズン:成功
「わはははは! どーしたサナリィ! そんなもんかぁ!?」
ひとり。
「うおー! 私はやるぞやるぞやるぞぉー!」
ふたり。
「ぜひゅっ……こひゅっ、し、しぬぅ、しんじゃうってこれぇ……」
さんにん。
「ご、ゴーヤちゃーん! タルちゃんダメそうだから脱落させるねー!」
「ごふっ」
よにん。
からのマイナスいち。
計3名のウマ娘たち、チームウェズンと共にサナリモリブデンはターフを駆ける。
限界まで振り絞って最高速度に乗り、それを維持する。
既に何度も経験しているスピードトレーニングだ。
それを、今月はウェズンに混ざって行っている。
「はぁっ、はぁっ、は、ぐっ」
これはサナリモリブデンにとって相当にきついトレーニングだった。
何しろ相手は全員シニア級なのだ。
セレンスパークはシニア1年目、トゥトゥヌイとタルッケは2年目、アビルダが3年目。
踏んだ場数も違えばこなしたトレーニングの量も違う。
競り合う事さえ難しい。
なんとかついていくことが精一杯という有様だ。
……約一名、純粋なスプリンターであるタルッケだけはサナリモリブデンよりも早くに脱落したが。
「ま、だまだっ……!」
「おっ、いいぞぉ! その意気だサナリ!」
「おっしゃー! 私も燃えてきたぁ!」
だが、だからこそ身になるとサナリモリブデンは奮起する。
この実力差がとてもいいと彼女は胸の裡に火を灯す。
休みなく打ちのめされる日々こそが己を強くしてくれると、サナリモリブデンは信仰していた。
「……ッ!!」
「ひ、ひぇ、また始まったぁ……!」
そして今日もいつものように頭のおかしい芦毛は限界を超えた。
放つ気配がウマ娘のそれから、鋼でできた何かへと変じていく。
変化に聡いセレンスパークが怯え、最後尾だったサナリモリブデンが徐々に差を詰め始める。
「ほ、ほわ、おわー!? 食われる!?」
「やべーこえー! でも負けぬぇー!!」
「な、なんでみんな毎回そんな新鮮に驚けるのぉ!? バカなの!?」
「……! ……!!」
「やだぁぁぁ! 全然離せないぃ! うわぁんサナリちゃんそれ怖いよぉ!!」
ドタバタと、しかし誰もが懸命に。
己の限界に挑んで、わずかずつ肉体の練度を磨き上げていった。
「……ふ。青春だよねぇ」
「タルッケさんは何キャラなんですかそれ」
「うむ、これぞ青春だ。ウェズン魂だな……!」
そしてそれを、一抜けしたタルッケと、郷谷、加えてウェズンを率いる大柄な中年の男性トレーナーが見守る。
タルッケは柵に寄りかかりながら恰好をつけていたが、手足がガクガクと震えていてなんとも締まらない。
が、ウェズントレーナー……大槍という名の彼はそれをむしろ良しとタルッケの頭をガシガシ撫でた。
「よーしよし、お前も良く走った。偉いぞ、今日も花丸だ!」
「ちょーせんせぇー。髪崩れちゃうじゃん、もー」
やられた側のタルッケは口では文句を言うもののその頬は柔らかく緩んでいる。
尻尾は嬉し気に揺れ、乱暴な手つきをむしろ歓迎しているのは誰の目にも明らかだ。
「チーフも本当相変わらずで……」
「ははは、今更俺が変わるもんかよ。どぉれ、静流もやってやろうか」
「あはは、やめてくださいねー? 最悪セクハラで訴えますよ?」
「あ、それは怖いな……うん……」
ただ、それは郷谷には通じない。
大槍は厳ついひげ面をシュンとさせて伸ばしかけた手をひっこめた。
「えー、やらせてあげればいーのに。先生、静流ちゃんの事ずっと褒めたがってたんだよね」
「はい? 何かしましたっけ私」
「何言ってるんだ。しただろう」
そこにタルッケが首を突っ込み、郷谷が首を傾げる。
大槍はといえば、郷谷を覗き込むように顔を寄せ、にぃっと笑う。
「昔から見る目のあるやつだと思ってたが、やっぱりだった。よくサナリモリブデンを捕まえた。よくぞ見逃さなかった。本当に、よくあの子にトゥインクルを走らせてくれた。ほら、これ以上に偉い事なんてあるか?」
大槍は言うと、コースに視線を戻した。
全力を振り絞って食らいつくサナリモリブデンはついにセレンスパークに追いついた。
泣き言を漏らす余裕が失せたセレンスパークもまた歯を食い縛り、さらに前のアビルダとトゥトゥヌイを追う。
「よぉし、そこまでぇ!」
そこでいよいよ限度と大槍は判断した。
ビリビリと響く大声で終了の合図を送る。
「ぜひゅー……こひゅー……!」
「お、おっしゃぁ、セーフ……今日も、リーダーの、意地ぃ……見せたったぜぇ……っ」
「も、もうだめ、たおれるぅ……」
「はっ、は……とどかな、かった……」
各員が足を緩め、コースから外れ、よろよろと座り込んでいく。
サナリモリブデンはどのようなトレーニングであっても緩まない。
ならば先輩として情けない姿を見せられないウェズンのトレーニング強度も右肩上がりの日々だった。
「うぅむ、本当に良いウマ娘だ。今からでもうちに入れて育てたいくらいだな」
「ダメですよ、あげません。サナリさんのトレーナーは私だけです」
「まさか本当にくれとは言わんさ。で、それは間違いなく静流の功績だろう?」
「……ま、そうですねぇ。流石に否定はできませんか。はぁ、今日だけですよ? 私ももういい年した大人なんですから」
「20代の小娘が何言っとるんだか。……うむ、よし。偉いぞ。よくやった」
「はいはい」
頭をそっと撫でた手を少なくとも表面上はぞんざいに扱ってから、郷谷は座り込む4人に歩み寄っていく。
胸元に抱えるのは4人分のドリンクだ。
体力がすっからかんになるほどの頑張りを見せたウマ娘たちに、郷谷はいつもの笑顔と柔らかな口調で適切な休息を指導する。
「照れちゃった静流ちゃんもかわいいじゃんね」
「お前、それ本人に言ったらまた角でやられるから気をつけるんだぞ」
「マ? こわ……」
その後方がやっぱり締まらないのは、もうウェズンらしい事として数えてしまってもいいだろう。
【トレーニング判定】
成功率:失敗5%→0%(トレーナースキル)/成功85%/大成功15%
結果:大成功
【トレーニング結果】
成長:スピード+30/パワー+20
成長:スピード+10/パワー+10(友情トレーニング)
成長:スピード+40/パワー+30(大成功ボーナス/全体2倍)
スピ:297 → 377
スタ:240
パワ:269 → 329
根性:281
賢さ:251
【ランダムイベント生成】
イベントキーワード:「桜餅」「永久保存」「危うい」
【登場人物判定】
各員同確率/複数人登場率50%
結果:ペンギンアルバム&チームウェズン
「こしあんってどのくらい持つんだっけ?」
という。
トゥトゥヌイの言葉からそれは始まった。
キョトンとした顔で疑問を聞いて、えーとと考え始めたのはセレンスパークだ。
チームウェズンのうち、こういうまともに質問に返答する能力を持つのは彼女くらいのものである。
「確か冷蔵で数日、冷凍で2、3ヶ月だった気がするけど……どうしたの?」
「ありゃ、じゃあそろそろやばいかも。3月にいっぱい作って部室の冷凍庫に入れといたんだけど使い切らないとだ」
「なんて?????」
そして、返答に対してさらに投げられるわけのわからない続きに困惑するまでがお決まりだ。
チームウェズンでは日に1度は見られる様式美であった。
「だから、3月にあんこいっぱい炊いて冷凍庫に入れといたの」
「なんで!? なんか随分黒い保冷剤だなぁって思ってたけどアレあんこだったの!?」
「え、何言ってんのセレン、あんな黒い保冷剤あるわけないでしょ」
「部室の冷凍庫にあんこ並べておく方がもっとないんだよ!」
「うお、すごい顔……大丈夫? お茶飲む?」
気圧されたトゥトゥヌイがそっと湯呑を差し出した。
中身はぬるめの緑茶。
受け取ったセレンスパークはごっごっと喉に流し込む。
「っぷはぁ! ふぅ、少し落ち着いた。えーと、それで、あんこかぁ。消費しなきゃだよね。お汁粉でも作る……?」
「ん-? そんなら桜餅にしない? 冷蔵庫に桜の葉っぱに塩したやつ置いてあるっしょ」
「なんて?」
「3月に桜の葉っぱいっぱい取ってきて漬け込んどいたんだよねー。えらくない?」
「あのタッパー何かと思ったらそんなの入ってたの……!?」
「マジかよタルちゃん最高! そんなの桜餅やるっきゃないじゃん!」
「ぬいぬいもナイスぅ。あんこは買うより炊いた方が美味しいよねー。いえーい」
「YEAH!!」
パァンとトゥトゥヌイとタルッケの手が打ち合わされる。
そのテンションに置き去りにされたセレンスパークは何が何やら分からなかったが、とりあえず分からないままに折り畳みテーブルを引っ張り出して並べていく。
こうなったらどうせ、わけのわからないお祭りが始まるとだけは分かっていたからだ。
悲しい順応である。
というわけで。
「第3回! ウェズン桜餅パーティーを開催するッッッ!!」
「うおー! 桜餅うおー!」
「フー! まってましたぁ!」
「この炊飯器とかどこから出てきたの? 見間違いじゃなきゃロッカーから出てきたよね? なんで? なんで部室に炊飯器が置いてあるの? どういうこと? っていうか第3回? 私の知らないところで2回もあったの?」
あんこと桜の葉っぱを消費すべく、そんなアレが始まったのだ。
参加者はまずもちろんチームウェズンの4人。
アビルダが音頭を取り、トゥトゥヌイとタルッケが追随し、セレンスパークがくらくらする。
いつも通りの布陣だ。
「……!」
それとそこに無言ながらもやる気に満ちた顔で固く握った右腕を上げるサナリモリブデンと。
「いぇー! 桜餅ー!」
事情は全く知らないながらもとりあえず甘いものが食べられるならとテンションを上げるペンギンアルバムが加わる形。
なお、ペンギンアルバムが連れてこられたのは完全に巻き添えだ。
桜餅パやるならサナリも誘おう。
そう言いだしたアビルダ達がサナリモリブデンの拉致を敢行したところ、ちょうどペンギンアルバムが隣に居たので一緒に持ってきたのである。
ちっちゃくて運搬しやすかったとは、彼女を担当したタルッケの言だ。
と、そこにピーピーと電子音が響く。
炊飯器が1ロット目のもち米を炊き上げた音だ。
今回の桜餅には道明寺粉ではなくもち米を使うらしい。
早速飛びついたタルッケがパカリと開け、ぶわりと広がった湯気を嗅ぐ。
「ん-! いい匂いです隊長!」
「よぉし! ではここからは時間との勝負だッ! 各員配置につけぇ!」
「「「「おー!」」」」
「配置!? どこ!? そんな打合せなかったよね!?」
そして調理が始まる。
「へへへ、パワー系なら任せてくれていいよ!」
ペンギンアルバムが杵を持ち上げてむんっと気合を入れ。
「あんこ解凍完了ヨシ! 丸めていくぞぉ!」
トゥトゥヌイがあんこを器用にまんまるくしていって。
「あ、とりあえず私一番落ち着いてやれそうなのやっとくね……」
セレンスパークが塩抜きした桜の葉っぱの水気を取り、ちまちまと1枚ずつ広げていく。
「くくく、腕が鳴るぜ……タル、どっちが上手く桜餅を丸められるか勝負だ! 負けたら罰ゲームで余った桜の葉っぱ直しゃぶりでどうよ」
「それ普通においしそーじゃない?」
「ふ、塩抜き無しだとしたら?」
「……! や、やばぁ、アビー考える事が"悪"じゃん……!」
アビルダとタルッケは桜餅包み班として待機を始めた。
それを見てサナリモリブデンも、ここが自分のフィールドだと担当を決定した。
※ 「1D好きな数字」を振れて、かつタイムスタンプつきのログが残せるサイトを発見したため、ダイスログの掲載が可能になりました。
今後は後書き部分に載せておきます。
タイムスタンプは時刻のみですが、能動的に消さない限りログは残り続けるようなので、消さずに続けていく事で証明にしようと思います。
【挿絵表示】
サナリモリブデンの行動
-
もち米をつく
-
あんこを丸める
-
葉っぱを広げる
-
桜餅を包む
-
食べる役に立候補する