オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです 作:F.C.F.
【投票結果】
沖合いの無人島サバイバル体験
「無人島。それは浪漫の塊……!」
「急にどしたのサナリン」
ふんすと鼻息荒くサナリモリブデンは上陸した。
合宿所のある浜から船で十数分。
ウマ娘8名とトレーナー陣5名の計13名は自然あふれる無人島にやってきた。
さほど大きな島ではない。
全景としては楕円に近く、浜辺を一周しようと思えば1日とかからない程度で、島の中央部には小さな森が広がっている。
訪問の目的はと言えばレクリエーションのためだ。
「よぉし、それじゃあ説明を始めるから集まってくれー」
号令を掛けた大槍が皆を浜辺の一角へと集める。
そこには簡易的な天幕が建てられており、中には寝袋やランタンなどの各種キャンプ用品が用意されていた。
緊急用と赤い文字が書かれた鍵付きの箱もある。
「今回はみんなに、この島で1泊2日のサバイバルを体験してもらう!」
つまりそういう内容だった。
用意された資材は最低限の道具のみ。
食料は無く、火種もない。
寝袋はあるがテントは無いので屋根や壁の類も準備しなければならない。
生活のほぼ全てを自然相手に勝ち取って過ごそう、という企画なのだ。
「とはいっても何かあったらまずいから本当にダメそうな時の備えもしてある。気楽にやってくれていいぞ。あくまでレジャーなんだからな」
大槍はそう言って、鍵付きの箱をぽんぽんと叩いた。
かなり大きなものだ。
中には恐らく非常食やテントが詰め込まれているのだろう。
失敗に失敗が重なったとしても悪い事にはならなさそうだ。
「意外とな、サバイバルってのも楽しいもんだぞぉ? 生活に必要なもののうち何を優先するのか。どれがどれだけ必要で、どこを探せば手に入るのか。役割分担は? そういう事を考えるだけでも、どうだ、ワクワクしてこないか?」
ニンマリと笑う大槍に対し、真っ先に賛同したのはやはりウェズンだった。
普段から教え教わる関係であるために感性が近い。
タルッケが高々と手を上げて叫ぶ。
「してくるー! 葉っぱでテント作っていい? いいっしょ?」
「先生! 宿より飯! 宿より飯を提言します! 食べ物探そう!」
「おっ、いいぞいいぞ。意見はどんどん出していけー」
それにトゥトゥヌイが続けば、他のウマ娘も言葉を交わし始めた。
特に飯の一言に反応したペンギンアルバムが早い。
「食べ物って何が取れるのかな? 果物とか?」
「おいおい、そんなつまらない獲物でいいのかぁ? 小さいったって自然だぞ! イノシシとか捕れるかもだ!」
「肉!? もしかして、鹿とかも……!?」
「居ないとは言い切れないぜ。赤身肉で美味しいって言うよなぁ」
釣れた獲物は逃がさないとばかりにアビルダがペンギンアルバムの肩をがっしり掴む。
サナリモリブデンはその様に、あっ、と察した。
恐らく彼女はもう逃れられない。
すっとんきょうな空気に飲み込まれたまま狩りに出かける事になるだろう。
「いやこんな島にいないでしょイノシシなんて。居ても精々ヘビくらいじゃないの?」
「普通に考えてそうだよね。トレーナー達も事前調査はしてるだろうし、危ない動物が居たら選ばないと思う」
「ま、それはそれとして私も狩りには行くけどね。楽しそうじゃない」
「あぁ、うん。レイはそういうの似合いそうだ。槍掲げて雄叫び上げるやつ」
対して冷静なのはソーラーレイとチューターサポート。
彼女たちの言う通り、事前の確認は徹底して行われている。
サバイバルとは言ってもあくまで遊びの範疇だ。
もちろん、それを盛り上がっているところに突き付けて水を差すなんて事はしないが。
「ふん。そういうあんたは地味な方が似合ってるわよね。ちまちました家づくりとか」
「性には合ってるね、間違いなく。拠点は任せてよ。お土産期待してるから」
「怪しいキノコとカラフルなヘビあたりでいい?」
「もっと毒のなさそうなとこがいいかな」
こちらの分担も自然と終わりそうなところだ。
ソーラーレイは楽しさを求めて島の森へ狩りに、チューターサポートはやりがいを求めて拠点作りに精を出すらしい。
葉っぱでのテント作りに興味を持っていたタルッケもチューターサポートと組む事になるだろう。
そして他に。
「……………………」
「セレ───」
(サナリちゃん、聞こえる? 私は空気。空気なの。存在感を消して島に溶け込んで、他の組に巻き込まれるのを防ぎたいの……!)
(直接脳内に……!?)
集団の隅でじりじりと目立たない日陰に移動しつつ、セレンスパークがアイコンタクトでサナリモリブデンにメッセージを伝える。
そして手と腕、耳と尾を素早く動かし、サササとジェスチャーで語りかけた。
(私は海で魚とか貝とか捕るね。アビー達は成果があるかちょっと怪しいし。……それと、一人で静かに自然に癒されたいの)
(了解。健闘を祈る)
サナリモリブデンもまたジェスチャーで返答した。
意志が伝わった事に安堵する様を眺めて、サナリモリブデンは被害担当は大変だなぁなどとのんきに考えた。
そんな2人のやり取りをトレーナー陣は訝しむように見ていたが、まぁ些細な事だ。
さて、こうして役割はおおむね出揃った。
最後にサナリモリブデンも自分の胸に問いかける。
何をすべきかという義務ではなく、何をして楽しみたいかと。
【イベントランダム分岐】
結果:狩りへ出かける
「狩り。それこそ浪漫……!」
「あんたソレさっきも言ってなかった?」
「言った。何度言っても良い。浪漫こそ今最も必要なもの」
ふんすふんすとサナリモリブデンの鼻息が荒くなる。
分かりやすくテンションが上がっている。
端的に言って、はしゃぎまくっていた。
「島に潜む伝説の怪物……神々が愛した幻のフルーツ……隠された古の秘宝……」
「テレビの見過ぎじゃない?」
「滾ってきた……!」
「あ、うん。もう好きに盛り上がったらいいわ。ちょっと見てて愉快だから」
ソーラーレイの言葉にもさらにやる気を上げるだけで鎮静効果はない。
なにしろサナリモリブデンの憧れのひとつであったのだ。
裕福とは口が裂けても言えなかった幼少期、サナリモリブデンの数少ない娯楽といえば安価に楽しめるテレビ番組が主だった。
その中で繰り広げられるキャラの濃い探検隊による探索行は幼いウマ娘の心に焼き付いたものであった。
あれらが作り物のエンターテイメントでしかないと理解した今であっても、この状況に心が躍らないわけもない。
サナリモリブデンはきょろきょろと辺りを見渡し、あるものを見つけて拾い上げる。
一抱えほどもある太さの大きな枝だ。
というよりも風か雷かそういったもので折れた幹と言っても良いかも知れない。
より分かりやすく言うなら、丸太に近い生木だ。
「アビー隊長、丸太があった!」
「でかした! そいつならイノシシだってイチコロだな!」
「こいつら頭のおかしい時はマジで面白いわね」
それを棍棒のように構えるサナリモリブデン。
アビルダは発見を称賛し、ソーラーレイはにまにま笑って高見の見物を開始した。
こうして探索の準備は整った。
サナリモリブデン、アビルダにタルッケ、ソーラーレイにペンギンアルバム。
5名の探検隊は意気揚々と森へ踏み入っていく。
島の森はうっそうと茂っていた。
背の高い木々が天を覆いつくし、陽光を遮って薄暗い。
足元には大小さまざまな草花が生えている。
道なき道をかき分け、5人は森の中を進んでいった。
「気を付けろぉ……どこからイノシシが見てるかわからんぞ」
先頭のアビルダが注意深く視線を巡らせながら言う。
その装いは長袖の上着に長ズボンと分厚いブーツ。
さらには帽子も被った完全防備だ。
つまりは探検隊ルックだった。
森に入る直前でトレーナー達から支給された物であり、全員が同じ装備を身につけている。
「みんな、耳だよ、耳で周囲を探るんだ……! やつらは背が低くて草に隠れるから目では見つけられない!」
その統一感はいわゆる"それっぽさ"を出すには抜群の効果を発揮した。
アビルダに続くトゥトゥヌイもまた役に入り込み、何やら熟練のハンターのような雰囲気を醸し出している。
「う、うぅー……変な鳴き声ばっか聞こえるぅ」
「アル。私の横に来るといい。守るから」
「で、でもサナリン大丈夫? なんかぐぇーぐぇー言ってるよ……?」
「問題ない。丸太は全てを解決する」
未だ丸太を担いだままのサナリモリブデンも纏う空気が戦士めいていた。
のしのしとした歩みには迫力がある。
森に踏み入って想像よりも深かった暗さと生き物の気配に怯えるペンギンアルバムにはそれが何とも頼もしく見えた。
「最後尾から見てるとまるっきりコントね、コレ。特にサナリの絵面がシュール」
まぁ、実際はソーラーレイのコメント以上の物ではないのだが。
「ペン子もそんな怯えんじゃないわよ。精々虫かカエルかでしょこんな声」
「ペン子はやめてよ可愛くない! あと虫もカエルもどっちも怖いじゃん! 顔に飛び掛かってきたらとか考えないの?」
「叩き落とすか蹴っ飛ばすかすればいいじゃない」
「女子力ぅ……」
「あいにくレースに使えないもんは高めない事にしてんのよね」
カラカラと男前に笑うソーラーレイだ。
しんがりを任せるにはピッタリの豪胆さである。
そんな隊列で彼女たちは進み、やがて開けた場所に出た。
そこは小さな泉だった。
透き通った水面は日の光を反射してきらめき、周囲の木々の影が揺れ動いている。
「あ、水場だー!」
真っ先に反応したのはトゥトゥヌイだ。
アビルダの横を抜け、泉へと飛び込むように突っ込んでいく。
「ダメだ! 危ないっ!」
「おグぇっ」
だがそれをアビルダが止めた。
物理的に、後ろ襟をつかんでだ。
「水場といえば動物達の集まる場所だ! 何が潜んでいてもおかしくない……!」
「あ、すごい。一応まともな事言えんのねこの人」
かすかに聞こえたソーラーレイの感嘆はともかく、サナリモリブデンはハッとする。
確かにその通りである。
森の中の泉は何が利用していてもおかしくない。
島のヌシのような存在が縄張りとしている可能性だってあるだろう。
そのようなものが本当に居るのなら、という話ではあるが。
「っ! っっ!!」
ともかく、ここは武器持ちの自分の出番だとサナリモリブデンは前に出た。
丸太を振るってあちこちに向け、警戒に努める。
何が出てきても即座に撃退できるようにだ。
そうしてそのまま、五秒、十秒、十五秒。
「……どうやら何もいないみたいだな」
「うん。気配はない。とりあえずの危険は無いとみていい」
ふぅ、とアビルダが安堵の息を吐く。
その横でサナリモリブデンは掲げていた丸太を下ろす。
「げほ、ぐぇほっ、ぜひゅ、ぷひゅー」
「あーよしよし落ち着いて落ち着いて、ゆっくりね。出来るだけ大きく吸ってー吐いてー」
「シメられた鶏ってこんな感じなのかなってぐらいの声だったわね。正直ウケるわ」
「レイはほんとさぁ……」
そして2人の後ろでは、首が絞まった衝撃でピンチに陥っていたトゥトゥヌイがなんとか復帰していた。
呼吸が整うように優しく背中をさするペンギンアルバムが、涙目の先輩ウマ娘を笑って見やるソーラーレイにジト目を向ける。
さてともかく。
探索の区切りとするにはちょうど良い場面であった。
警戒を解いたアビルダが声を張る。
「よーし、この泉を中心にぐるっと回ってみよう。獲物以外にも果物やら何やらがあるかもしれん」
4人が頷く。
特に異論はなく、彼女たちは樹上や足元に注意を払いながら泉の周辺を歩き回った。
【イベント分岐判定】
難度:115
補正:なし
参照:賢さ/261
結果:49(失敗)
「……なんにもないわね」
「ねー。野イチゴのひとつでも生えててもいいのに」
が、見つかるものはない。
樹上に木の実は見当たらず、足元に生えているのは緑の葉っぱばかりだ。
ペンギンアルバムの言う通り野イチゴぐらいは見つかっても良い季節なのだが、誰も発見できずにいる。
「こういう時は、謎の足跡が見つかるのが定番……」
「はーん? で、あったの?」
「………………ない」
「でしょーね」
テレビ番組でお決まりのパターンに従ってサナリモリブデンが言うも、撃沈は即座だった。
現実とお話は違うのだ。
「んー。マジでなんもないな……」
「だねー。隊長、こういう時ってどうするもん?」
「わからん! ……一回戻るかー」
ウェズン組もどうやらアイディアはない。
こうなっては仕方ない。
このまま成果なしで歩いていてもやる気がなくなっていくだけだと、5人は泉に引き返した。
と、その時だ。
「っ! アビー隊長……!」
「総員、警戒態勢!」
突然、ガサガサと茂みから音が聞こえてきた。
揺れる草の動きからそれなりに大きな動物だと予想が立つ。
サナリモリブデンが呼びかけつつ飛び出し、アビルダが3人を背に庇いつつ拳を握りしめる。
「え、まさかイノシシ!? ほんとに出た!?」
「いやいやまさかでしょ。え? まさかよね? ほんとにそんなの居たりしないわよね?」
後方2人は少々腰が引けていた。
森は暗く、何が飛び出してきてもおかしくないような雰囲気が漂っている。
至近に感じられる動物の気配は、彼女たちの怯えを誘うに十分なもののようだ。
「アビー隊長、一応退路は確保しとくよ……!」
「あぁ、頼むぞヌイ……!」
万一に備えてトゥトゥヌイが背後の逃げ道を警戒し、戦闘態勢が整う。
するとちょうど、草の揺れも最高潮に達した。
隠れ潜む何者かはいよいよその姿を現そうとしている。
【イベント分岐判定】
潜む何者かの危険度:Lv4(最大10)
「キー!」
茂みから飛び出したそれは、地面の上で身を低くすると鋭く鳴いた。
毛むくじゃらで赤ら顔。
ヒトのような長い手足をもつ動物だ。
「って、なによサルじゃない」
ソーラーレイがほっと気の抜けた声を漏らす。
その言葉の通り、飛び出した動物はサルだ。
それも特に大きな個体ではない。
少なくともウマ娘の強靭な肉体を害する事が出来るとは到底思えない存在だった。
「サル……サルは流石に食べれないよねぇ」
「いやー無理でしょ。ペンちゃん捌ける?」
「無理無理絶対無理! ……あれ? そもそもイノシシも捌ける人いなくない?」
「……マジじゃん!」
ペンギンアルバムの気も抜け、サルの可食性に関して触れたりもする。
その過程でこの探索行の致命的な欠陥にも気付いたようだがそれはそれ。
「追い払う! 任せて!」
とりあえず、未だ気の抜けていないサナリモリブデンは丸太を振りかぶった。
ぶぉんと轟音を伴って丸太が大気を裂く。
狙いはサル……ではなく、その手前の地面。
叩きつけて大きな音と振動を発生させ、驚かせて追い払おうとサナリモリブデンは画策する。
【イベント分岐判定】
難度:115
補正:なし
参照:パワー/339
結果:79(失敗)
が。
「あっ……」
「キ?」
すぽーん。
と音が出るような間抜けさでサナリモリブデンの手は滑った。
丸太は彼女の手を離れ、くるくると回りながら宙を飛んでいき。
「……」
「……」
「……」
「……ぷっ、くく」
「きー……」
どことなくいたたまれない空気が場に流れる。
例外は面白そうにお腹を抱えるソーラーレイぐらいのもので、追い払われようとしたサルですら生ぬるい温度の視線をサナリモリブデンに注いでいた。
「きぃ……」
そしてそのまま去っていく。
あ、じゃあ僕はこれで。
言葉が発せたならばそんな風だったかも知れない。
「その、なんだ」
「……ん」
「───ドンマイ!」
「ま、守ろうとしてくれたのはかっこよかったよサナリン!」
「もう穴でも掘って埋まりたい」
アビルダとペンギンアルバムの慰めはさしたる効果もなく。
サナリモリブデンは森の中、そっと天を仰ぐのだった。
そして結局、その後も探索を続けたもののこれといった成果は得られなかった。
5人は肩を落とし、トボトボと拠点の浜辺へ戻っていく。
【イベント分岐判定】
タルッケとチューターサポートの成果:Lv3(最大100)
「ちょー……えぇー、これむっずくない? 全然テントにならなくなくなくない?」
「あ、あれぇ、おっかしぃなぁ……柱の強度は足りてると思うんだけど」
帰った先で見たものは、拠点とは名ばかりの緑の塊だった。
地面に突き刺された巨大な葉、葉、そして葉。
それがトンネルのような形に組み合わさり、ギリギリ1人が横になれる程度のテント状の何かになっている。
が、とてもではないが安眠はできそうもない。
雨はなんとかしのげるだろうが、これではまるで緑の棺桶だ。
サイズが極小すぎて閉塞感で息が詰まりかねない。
タルッケとチューターサポート、残っていた2人も懸命に努力した形跡はある。
浜辺に山と積まれた……というより作っている最中に崩れ落ちたらしい天然素材テントの残骸がその証明だ。
結局、モノになったのは何もないようだが。
「お? あー、おかえりー! なんかご飯見つかったー?」
「えっ、もう!?」
そんな中でもタルッケは能天気に狩猟組の帰りを歓迎する。
対するチューターサポートは慌てた様子だ。
無理もないだろう。
拠点は任せろと吐いた言葉に対して成果がこれではそうもなる。
「はいただいま。安心しなさいよ。こっちもあんたら責められる感じじゃないから」
「何の成果も得られなかった……」
「あ、あぁ、そうなんだ……よ、くはないけど、えぇと、お疲れ様……」
そしてそれはすぐに微妙な顔に変わった。
失敗したのが自分だけではないという後ろ向きな安堵と、今晩本当にどうしようかという不安。
「こうなったら、セレンだけが頼り……」
その不安はサナリモリブデンも同じだったようだ。
しょんぼりしたまま最後の1人の名前を呟き、最後の希望を託している。
すると、噂をすれば影というやつだろうか。
沖に沈む夕日を背負いながら、浜を歩いて当のセレンスパークが現れた。
【イベント分岐判定】
セレンスパークの成果:Lv88(最大100)
「あぁ───」
最初に気付いたのは誰だっただろうか。
喉を揺らして出たその声は希望に満ち溢れていた。
「すごい、まさか、あんな……」
感嘆。
称賛。
次々とメンバーが口をついてセレンスパークを讃え始める。
それにふさわしいだけの成果が目の前に示されていたためだ。
夕暮れの浜を歩くセレンスパーク。
彼女はその体の後ろに、数多の魚を引きずっていた。
どこで手に入れたのか大きな網に魚を詰め込んで。
「あっ、みんなー! 見て見て! あのね、向こうに網が流れ着いてたから使ってみたらこんなに───」
大きく手を振り、誇らしげに語るセレンスパーク。
その言葉が最後まで発せられる事はなかった。
「うおおおおお!! すげー!! セレンすげー!!」
「こんなん英雄じゃん! あたしらのスーパーヒーローだ!!」
「うわー! さかなー!」
「英雄のがいせん? っていうんだっけ!? それだー! 胴上げしよーよ胴上げ!」
「あっははは! こんな事されたら異存なしよ! セーレーン! セーレーン!」
「「「「「「セーレーン! セーレーン!」」」」」」
あっという間にセレンスパークは取り囲まれる。
勢いのまま体が持ち上げられ、宙を舞い始めるまで数秒とかからない。
「えっ、えっ!? なになになに!? こわ、こわいからやめてぇー!」
「「「「「「「セーレーン! セーレーン!」」」」」」」
「高いぃ! 高いってぇ! ひゃわぁぁぁあああぁぁ!!!?!?」
高く飛ぶセレンスパーク。
合唱されるコール。
通じ合う心。
そして響き渡る悲鳴。
サナリモリブデンたちはかつてない一体感を感じていた。
一名を除いてだが。
「どうなるかと思いましたが、割と良い所に収まりそうですねぇ」
それを遠目に眺めて、探索行をこっそりドローンで追跡していた郷谷が言う。
ウマ娘達にバレないようにドローンを回収し、万一がなくて何よりと安堵していた。
「うむうむ。青春だなぁ」
「青春ですかねぇ……?」
「とりあえず缶詰食べて野宿とならなかっただけいいんじゃないでしょうか」
大槍が笑い、郷谷が首を傾げ、朝比奈が苦笑して締める。
全員が失敗とならなかった事を祝福して、彼らトレーナー陣はテントの設営を完了させた。
少々味気なくはなるが、寝床を確保できなかった以上こうするほかない。
ともかく、こうして昨日に引き続き宴の準備が始まる。
火を起こし、育て、大きなキャンプファイアーにして夜を赤く照らし出す。
その周りで魚が次々に焼かれていき、ウマ娘たちのお腹を満たした。
こうなれば多少の失敗談は笑い話だ。
丸太がすっぽ抜けた件に話が行くとサナリモリブデンは少々恥ずかしい思いもしたが、それも楽しさが押し流していく。
無人島での経験はきっと良い思い出になった事だろう。
夜が明けて日が昇り、本島に戻ればいよいよ夏合宿の本番がやってくる。
高まった連帯感はそのトレーニングの日々を、より実り多きものにしてくれるはずだ。
【イベントリザルト】
友好:全員の絆+10
成長:スタミナ+10/パワー+10/根性+10
獲得:スキルPt+50
獲得:コンディション/好調
【ステータス】
スピ:387
スタ:260
パワ:349
根性:316
賢さ:261
【6月夏合宿トレーニング選択】
ランニング スピード↑↑↑ パワー↑↑
遠泳 スタミナ↑↑↑ 根性↑↑
筋トレ パワー↑↑↑ スタミナ↑↑
浜辺タイヤ引き 根性↑↑↑ スピード↑ パワー↑
早押しクイズ 賢さ↑↑↑ スピード↑ 根性↑
≪System≫
クラシック級夏合宿では以下の効果が発動します
・ステータス上昇量の合計値+20
・友情トレーニング発生率100%
・大成功発生率2倍
・トレーニング成功以上の場合、スキルPtをランダム獲得
6月のトレーニング
-
ランニング
-
遠泳
-
筋トレ
-
浜辺タイヤ引き
-
早押しクイズ