オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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クラシック級 8月イベント結果~8月関屋記念作戦選択

 

 


 

【投票結果】

 

具沢山で色んな味が楽しめるペスカトーレ

 


 

 

それはペスカトーレだった。

塩、ニンニク、ワインで味付けがされたトマトソースをベースに、多種多様な魚介類を加えたパスタである。

この店のものはオーソドックスなタイプのようで、アサリ、イカ、エビが入っている。

そこに期間限定のパスタフェアで全体的に増量され、オマケでズワイガニが追加されているようだ。

 

他の2人の前にもそれぞれの注文した品が置かれたのを確認し、サナリモリブデンは早速食べ始める。

ペスカトーレの魅力といえばなんといってもその味の豊富さだ。

アサリ、イカ、エビ、カニ。

どれもたっぷりと出汁の出る具材ばかり。

これらを煮詰めたソースにはとんでもない密度で旨味が凝縮されている。

 

「ふぅ……」

 

などと、サナリモリブデンも思わずため息を漏らすほどだ。

口に含み、咀嚼し、嚥下する。

その間中ずっと、それぞれの具材の芳香が次々に主張していくのだ。

しかも、トマトによって絶妙に調和が取られており嫌味がない。

そんなただでさえ満足感たっぷりのソースがしっかりと絡むパスタは食べ応え抜群の一品だった。

 

「……もぐ」

 

もちろん、出汁だけでなく具材そのものも美味しい。

エビはプリプリと、イカはサクサクと、それぞれ食感良く歯を楽しませる。

柔らかいアサリも噛み潰すと濃厚な味が飛び出し、これだけ出汁を取られておきながらまだこんなに味が強いのかと驚きを与えてくれる。

カニに至っては言うまでもなくご馳走だった。

 

ペスカトーレに舌鼓を打ちながら、サナリモリブデンはその時ふと閃いた。

次々に襲い掛かってくる味わいの波。

このアイディアはレースに活かせるかもしれない!

 

「あんた時々何言ってるかわかんない時あるわよね」

 

なお、その閃きはソーラーレイにすっぱり斬られた。

が、実際のところ悪くない閃きではあった。

数多の具材による波状攻撃から、サナリモリブデンは様々な技術の習得に発想を飛躍させ、そちらに対するモチベーションを向上させた。

これは少なからず彼女の成長にプラスの影響を与えるだろう。

 

「そんな事よりさ、少し交換しない? そっちも美味しそうに見えてきちゃった」

 

「2:1のレートなら応じる」

 

「ちょっとー、ぼりすぎじゃない?」

 

「ミックス麦茶」

 

「ちっ……食後にすべきだったか。しゃーないわね、それでいいわ」

 

「あ、なら私もいいかな。サナリのそれ、匂いがさぁ、美味しそうすぎるんだよね」

 

それはともかく食事は楽しく進む。

パスタは3人の間で数口分ずつ交換された。

ソーラーレイからは唐辛子の強烈な辛みが食欲を加速させるアラビアータが。

チューターサポートからは安定感のある定番のミートソースが。

それぞれサナリモリブデンの皿の空き部分にやってきて、新たに舌を楽しませてくれた。

 

 

 

さて、そうしてパスタは胃袋に収まった。

程よい満腹感を抱えて余韻とおしゃべりを楽しむ時間となる。

お供となる飲み物は再びソーラーレイが補充に向かった。

 

その時間の最初で。

チューターサポートはサナリモリブデンを見つめて切り出した。

 

「関屋記念。サナリも出るんだって?」

 

「うん」

 

それにサナリモリブデンは端的に返した。

好戦的な光を宿すチューターサポートの瞳をまっすぐ見返して、まるでブレずにだ。

 

「……挑ませてもらう」

 

宣戦布告であった。

滾る戦意を隠しもしない。

そこに友人だからと敵意を抑えようとする意志はかけらもなかった。

むしろ、力有るアスリートと理解している友人であるからこそ全身全霊をもって上回ってみせると言葉少なに、しかし苛烈な気配をもって雄弁に語っている。

 

「……へぇ」

 

対するチューターサポートもまた同様だった。

彼女は普段、落ち着きに富む常識人である。

どちらかといえば柔和な表情ばかりを多く見せる少女だ。

 

しかし今は、挑発するかのように頬を吊り上げている。

愉快そうに細められた目は敵手を見定めるそれだった。

 

「サナリと戦うのはメイクデビュー以来だね。……実を言うとさ、ずっとやりたかったんだ。あの日の借りは、あいつだけにある訳じゃなかったから」

 

言いながら、チューターサポートの裡に宿る熱は温度を上げていくようだった。

眼の奥に揺れる炎は、一言ごとに大きくなっていく。

 

「思えば、あの後は情けないとこも見せちゃってたし。上書きしてあげるよ。今度は───」

 

チューターサポートは顔を近付け、至近からサナリモリブデンを覗き込む。

 

【挿絵表示】

 

「私が勝つ。あの日教えてもらった気持ちと、私の走り。ようやく折り合いがついてきたんだ。答えにして、きっちり返してあげる」

 

「それは良い。とても見たい。……楽しみにしておく」

 

投げられたものを投げ返すように。

サナリモリブデンもまた頬を吊り上げてみせた。

慣れない表情はさほど似合うものではなかったが、全力で叩き潰しあうという誓約を交わすには十分だっただろう。

 

 

 

 

 

「……ところで、レイ遅いね」

 

「何をやってるかは大体想像がつく」

 

と、敵の時間はそこまでだった。

示し合わせたように空気がふっと緩み、飲み物を取りに言っている残り1人に話題が飛ぶ。

彼女の性格を考えれば帰りが遅い理由は明白だった。

 

「どうする?」

 

チューターサポートが真面目な顔でサナリモリブデンを見る。

 

「3人分なら許す。挑戦もそう悪くないって教えられたし」

 

「なるほど。じゃあ私もそれに乗ろうかな」

 

返した言葉は簡潔だった。

友人らしい理解度でチューターサポートも頷き、それから視線をサナリモリブデンの背後に移す。

 

「ケッケッケ、お待たせ~♪」

 

いかにも悪役感のある笑い声とともに、ソーラーレイがようやく戻ってきたところだった。

手に持ったトレイには。

ごく普通のコーラが1人分と、怪しい色合いのコップが2人分。

 

「「ギルティ」」

 

「あん?」

 

両者一致での有罪判決だった。

自分1人だけを安全圏に置くなど許されるわけもない。

狩られる側になったとまだ気付いていないソーラーレイを左右から抑え込んで座り、処刑は開始される。

 

かくしてコップ2杯分の地獄はソーラーレイの胃袋に収まる事となった。

その過程には相応の苦しみがあったようだったが、まぁ自業自得というものだろう。

 

 


 

【イベントリザルト】

 

友好:ソーラーレイの絆+5

友好:チューターサポートの絆+5

成長:スタミナ+10

獲得:スキルPt+40

 

ソーラーレイ    絆35 → 40

チューターサポート 絆35 → 40

 

スピ:432

スタ:365 → 375

パワ:354

根性:441

賢さ:366

 

スキルPt:170 → 210

 


 

【レース生成】

 

【関屋記念(G3)】

 

【夏/新潟/芝/1600m(マイル)/左外】

 

構成:スタート/序盤/中盤/終盤/スパート

天候:晴

状態:良

難度:156(クラシック級8月の固定値125/G3倍率x1.25)

 

 

【枠順】

 

1枠1番:ミニジニア

2枠2番:ジュエルルベライト

3枠3番:サナリモリブデン

3枠4番:ハートリーレター

4枠5番:ロングキャラバン

4枠6番:モアザンエニシング

5枠7番:チューターサポート

5枠8番:ブラボーアール

6枠9番:プカプカ

6枠10番:オボロイブニング

7枠11番:スローモーション

7枠12番:スウィフトアクセル

8枠13番:デュオエキュ

8枠14番:デザートベイビー

 

 

【ステータス補正適用】

 

バ場適性:芝B/スピード&パワー+10%

距離適性:マイルB/スタミナ&賢さ+10%

バ場状態:良/補正なし

 

スキル:補正なし

 

調子:絶好調/ALL+10%

 

スピ:432+86=518

スタ:375+75=450

パワ:354+70=424

根性:441+44=485

賢さ:366+73=439

 


 

 

「新潟レース場といえば直線の長さ、というのはサナリさんも覚えていましたね」

 

郷谷の言葉にサナリモリブデンは静かに頷いた。

ここは新潟レース場の控室だ。

いつもの出走前最後の作戦会議の時間である。

 

「左外回りコースではその特徴がズバリ出ます。最終直線は日本最長の658.7メートル

 

タブレットに表示される全景ではそれが良く分かる。

最終コーナーを曲がった後、ホームストレートのほぼ全てを走る事になるのだ。

日本で二番目に長い東京のそれよりも130メートル以上も長い。

さらに。

 

「この直線の長さはレース場全体の大きさに由来します。つまりコーナーも大きく、曲がりやすくなっています。しかもスパイラルカーブになっている上に、緩いとはいえ3コーナーの頭から下り坂になっているんですね」

 

「……これは、速度が落ちない?」

 

「そうなります。ペースが落ちる事はまずありません。全体が高速化したままコーナーを抜けて、その勢いのまま直線勝負が始まります。清々しいほどの末脚重視のコースと言えるでしょう

 

なるほどと、サナリモリブデンは情報を飲み込んだ。

他に留意すべき点としては、スタート直後の展開は緩くなりがちだという辺りだろう。

末脚を爆発させる時に備えて誰もが序盤は脚を溜める展開が多いようだ。

 

 

次いで郷谷が触れたのはチューターサポートについてだ。

彼女の戦績を表示させて、ゆるりと語り始める。

 

「これまでに6戦3勝。うち重賞1つ。今年1月のシンザン記念ですね。ですがより脅威と言える情報として……チューターサポートさんはとある2人以外に負けた事がありません」

 

郷谷の言う2人が誰かは明白だ。

1人は先述の通りサナリモリブデン。

だがこれは一度忘れるべきだろう。

確かに一度、サナリモリブデンはチューターサポートに先着している。

しかしそれはもう1年以上も前のメイクデビューでの事だ。

2人とも当時の能力とはかけ離れている。

 

重要なのはもう1人の方だ。

マイル戦線において絶対的な暴威を振るう王者、マッキラである。

未だ無敗を誇る彼女以外に負けた事がない。

それはつまり、他のあらゆるウマ娘に勝利し続けてきたという事だ。

 

「能力は頭ひとつ突出していると言って良いでしょう。もしマッキラさんが居なければ、今頃王者と呼ばれていたのは彼女だったかも知れません」

 

改めて理解した敵手の強大さに、サナリモリブデンは背と尾を震わせた。

吐息は大きく深くなり、取り込んだ酸素を燃料にして胸の中央に火が灯る。

見据えた敵手に早く挑みたいと逸る心を抑えるのに苦労するほどだった。

この夏に磨き抜いた力をぶつける相手としてなんら不足はないだろう。

 

「そんなチューターサポートさんですが、戦法としては先行から差しを状況に応じて選択するタイプですね。……ジュニア級の頃は精神面に弱点を抱えていたようでしたが、どうやら今はもう克服しています。弱点らしい弱点のない、全般的に隙の無い高レベルの能力を常に揺らぎなく発揮してくるウマ娘です」

 

言い換えれば、1人で完結しているという事でもある。

ライバルに対する干渉は過去のレースでは殆ど見られていない。

いかに自己のベストを引き出し続けるかという点に彼女の集中は向けられている。

 

 

 

情報は以上のようだ。

 

そのまましばし。

サナリモリブデンの理解が細部にまで及ぶのを待ち、郷谷は今回の作戦を決定する。

 

 


 

【他ウマ娘の作戦傾向】

 

追込:2 差し:4~5 先行:4~5 逃げ:2

 

【注目ウマ娘の情報】

 

1番人気/5枠7番:チューターサポート(差し~先行)

2番人気/5枠8番:ブラボーアール(追込)

3番人気/2枠2番:ジュエルルベライト(先行)

 


 

■ サナリモリブデン

 

【ステータス】

 

スピ:432+86=518

スタ:375+75=450

パワ:354+70=424

根性:441+44=485

賢さ:366+73=439

 

【適性】

 

逃げ:A(11/50)

先行:B(0/30)

差し:A(15/50)

追込:C(0/20)

 

【スキル】

 

領域の萌芽 (名称・効果不定。勝敗を分ける局面で奮い立つ)

 

冬ウマ娘◎     (冬のレースとトレーニングが得意になる)

冷静        (かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)

集中力       (スタートが得意になり、出遅れる時間がわずかに少なくなる)

弧線のプロフェッサー(コーナーを容易に曲がれるようになる。また、コーナーで少し速度が上がる)

 

 




【ダイスログ】

【挿絵表示】

作戦選択

  • 逃げ
  • 先行
  • 差し
  • 追込
  • マーク:チューターサポート
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