オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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クラシック級 8月 次走選択

 

 

レース後のサナリモリブデンを出迎えたのは、もちろん彼女のトレーナーである郷谷だった。

だがその様子は常とは異なっている。

 

「ああ! おかえりなさいサナリさん! 本当にもう、すごい事をしてくれましたね!」

 

郷谷は飛び掛かるようにサナリモリブデンへと向かってきた。

表情は当然のように満面の笑みだ。

愛バの両手を握ってぶんぶんと振る様などは最早そこらの少女のよう。

普段のどちらかといえば飄々とした姿とは随分とかけ離れている。

サナリモリブデンが余りの勢いに思わずのけぞり、目を白黒とさせてしまうほどだ。

 

「ん……うん。やったよトレーナー」

 

「もう! サナリさんはこんな時でも淡泊なんですから! 重賞なんですよ、重賞!」

 

とはいえ無理からぬ事ではあった。

何しろ関屋記念はG3レースである。

数多のウマ娘が夢見て、しかしその大半が挑戦さえ許されずに終わる重賞という舞台だ。

それを制したというのは「やった」の一言で済ますような出来事ではない。

 

しかも、今回は内容が内容だ。

レースの中ほどから盤面を完全に支配し、チューターサポート以外の全ウマ娘を振り回しての掌握劇。

そのチューターサポートに対しては一騎討ちの形となったが、こちらも並ばせすらしなかった。

 

圧倒。

完封。

そういった言葉が似合う完全勝利なのだ。

ただのオープンレースではない、重賞でこれをやってのけた事実は途方もなく大きい。

 

実際、サナリモリブデンとしても喜ばしい事この上ない。

尽きることなく湧き出してくる達成感に体が震えそうになるのを止めるために集中が必要なほどだった。

郷谷の喜びようにも彼女自身素直に理解と同調は出来る。

 

「ほら、見てくださいよコレ! さっきからずーっと鳴りっぱなしなんですよ!?」

 

が、その隙もないほどにまくしたてられてはそうもいかない。

更なる勢いを発揮する郷谷にサナリモリブデンはまた一歩退いた。

 

そこへ渡されたのは一枚の板きれ。

衝撃保護カバーが取り付けられただけで、飾り気のないスマホだ。

レース前に郷谷に預けておいたサナリモリブデンのものである。

 

それが軽い電子音を立てる。

メッセージアプリの受信音だ。

郷谷の言う通り、それがひっきりなしにやってくる。

 

”おめでとうサナリン! サナリンなら絶対やれるって分かってたよ!”

 

真っ先に目に付いたのはペンギンアルバムのものだ。

文言はシンプルながら、スタンプの量がとんでもない。

飛び散るハートマークだの花火のアニメーションだの、何とも画面が騒がしかった。

 

”うおおおお! ウェズン! ウェズン!”

”サナリちゃんマジすげー! 見ててめっちゃ燃えたよー!”

”ねーねーお祝いパーティー準備してるんだけど何か欲しいものある?”

”それサプライズって言ったよね!? なんで初手でバラしちゃうの!?”

 

騒がしいというよりやかましいグループチャットはチームウェズン。

余りにもいつも通りな様子にサナリモリブデンの頬も緩んだ。

 

”こ っ ち に こ い”

 

祝福の言葉もなく威圧感たっぷりな6文字と、付記されたスプリンターズステークスの日程。

これはソーラーレイだった。

強敵との勝負が何より大好きな友人に「挑みたい」と思わせるだけの走りが出来たようだと、サナリモリブデンの胸がまた熱くなる。

 

他にもメッセージの通知は山積みだ。

学園の友人知人、ライバルたちのトレーナー陣。

行きつけになった寮周辺の店の店員からのものもある。

未読メッセージの数はすぐに上限に達し、99+と表示されるだけになった。

 

”見てたよ”

”すごいね、サナリ”

”おめでとう”

 

もちろん、母親からのものもあった。

言葉少ないそれは、けれどサナリクロムという人物の人となりを良く知る者にとっては十分すぎる言葉だった。

きっと噛み締めるように一文字一文字を打ち込んでくれたのだろうと、サナリモリブデンは微笑む。

 

ひとつを読む度に元々大きかった感情が膨れ上がっていく。

本当にやったのだと、じわじわと理解が染み入っていくようだった。

 

が、余りそれに浸っている暇はない。

 

「サナリさんならやれるとは思っていましたが、実際やってみせられてしまうと流石に落ち着いてはいられませんねぇ。……あ、違った違った、感じ入っている場合ではないんでした! さ、ここからも忙しいですよ? 表彰式にインタビューに、何よりウイニングライブです」

 

「……そうだった。サークルどっちだっけ?」

 

郷谷の言う通り、勝者にはのんびりとした時間は与えられない。

もう既にウィナーズサークルでは準備が進められており、サナリモリブデンと郷谷の到着を待っている様子だった。

喜び合う二人を微笑ましく眺めていたスタッフが軽く頭を下げ、手招きする。

 

待ちわびているのは観客もだった。

歓声は声量を下げたものの未だ鳴りやまない。

これ以上人々を待たせるわけにはいかないと二人は慌ててサークルに向かう。

 

それにつれて大きくなるファンの声に包まれて、この日一番の勝者は万雷の喝采をその身に浴びるのだった。

 

 


 

 

そしてその後。

場所を変えてサナリモリブデンと郷谷はメディアのインタビューを受ける事となった。

 

多くの報道関係者達の前で、二人は机に並んで座る。

郷谷は先ほどまでの興奮を綺麗に収めていた。

内心はともかく、今はもう表面を取り繕える程度には落ち着いたらしい。

 

対するサナリモリブデンの側はこちらも当然のように静かなものだった。

普段通りの無表情で背筋を伸ばし、しゃっきりとした姿を見せている。

こういった場面でも冷静でいられるのも彼女の強みであるかも知れない。

 

ともかく、インタビューが始まる。

初めに発言したのは男性の中年記者だった。

 

「まずは関屋記念G3、優勝おめでとうございます。サナリモリブデンさんはこれが重賞初勝利となりますが、今のお気持ちをお聞かせ願えますか?」

 

それに答えるのはサナリモリブデン本人だ。

トレーナーとしての意見が必要ない部分に関してはサナリモリブデンに任せる。

そういった話し合いは事前に済んでいるのだ。

 

「率直に、とても嬉しく思っています。これまでの努力が実った事を実感しましたし、私にとって大きな一歩となったレースになりました」

 

「なるほど、では続いてレースについて振り返ってみていかがでしょうか?」

 

「展開に恵まれたと思います。序盤から中盤にかけて、状況を利用して有利を作る盤面が整ってくれたのは幸運でした」

 

「となると、やはりあの全体の暴走は狙ってのものだったと?」

 

「はい。やれると思ったので、やりました」

 

インタビューは卒なく進んでいく。

記者が不躾な質問を投げる事も、サナリモリブデンが返答を間違える事もない。

これはまぁ当然の話だ。

おかしな記者がのこのこと入って来れるほどURAも甘くはなく、そういった者達が失言を狙うならもっと他の場面になるだろう。

 

サナリモリブデンの側も肝の太さは折り紙付きだ。

緊張で口が滑るなどというアクシデントとは無縁のウマ娘である。

淡々と、しかし不愛想で失礼になる事のないようにと気を配って返答している。

 

あの戦術は普段から学んでいた事なのか。

直線で競ったチューターサポートの印象は。

今の喜びをまず誰に伝えたいか。

そういった当たり障りのない質問と無難な答えが応酬されていく。

 

そうして最後に、当然あるだろうと予測していた質問がやってくる。

 

「サナリモリブデンさんは今回の見事な勝利で、マイル路線での有力ウマ娘として注目される事となるかと思いますが……ズバリ、次走の予定は? やはり王者マッキラに挑まれるのですか?」

 

立ち上がって滑舌良く言ったのは年若い女性記者だった。

マッキラのファンなのか、それとも王者に対する挑戦者を望んでいるのか。

その表情は返答への期待にキラキラと輝くようだった。

 

この質問に、サナリモリブデンは郷谷を見た。

予定を共に決定したトレーナーである彼女は微笑んで頷く。

答えて良いという事だ。

 

 


 

【クラシック級 9月】

 

ポートアイランドS(OP)    秋/阪神/芝/1600m(マイル)/右外

丹頂ステークス(OP)     夏/札幌/芝/2600m(長距離)/右

 

京成杯オータムハンデ(G3)  夏/中山/芝/1600m(マイル)/右外

新潟記念(G3)        夏/新潟/芝/2000m(中距離)/左外

 

セントウルステークス(G2)  夏/阪神/芝/1200m(短距離)/右内

神戸新聞杯(G2)       秋/阪神/芝/2400m(中距離)/右外/ペンギンアルバム

オールカマー(G2)      秋/中山/芝/2200m(中距離)/右外

セントライト記念(G2)    秋/中山/芝/2200m(中距離)/右外/ジュエルルビー、アクアガイザー

 

スプリンターズステークス(G1)秋/中山/芝/1200m(短距離)/右外/ソーラーレイ、他2名

 

 

【クラシック級 10月】

 

ルミエールオータムダッシュ(OP)秋/新潟/芝/1000m(短距離)/直線

オパールステークス(OP)    秋/京都/芝/1200m(短距離)/右内

信越ステークス(OP)      秋/新潟/芝/1400m(短距離)/左内

カシオペアステークス(OP)   秋/京都/芝/1800m(マイル)/右外

オクトーバーステークス(OP)  秋/東京/芝/2000m(中距離)/左

 

スワンステークス(G2)     秋/京都/芝/1400m(短距離)/右外

毎日王冠(G2)         秋/東京/芝/1800m(マイル)/左/マッキラ、チューターサポート

富士ステークス(G2)      秋/東京/芝/1600m(マイル)/左

京都大賞典(G2)        秋/京都/芝/2400m(中距離)/右外

 

天皇賞秋(G1)         秋/東京/芝/2000m(中距離)/左/クラースナヤ

菊花賞(G1)          秋/京都/芝/3000m(長距離)/右外/ペンギンアルバム、他2名

 

 

【クラシック級 11月】

 

オーロカップ(OP)       秋/東京/芝/1400m(短距離)/左

キャピタルステークス(OP)   秋/東京/芝/1600m(マイル)/左

アンドロメダステークス(OP)  秋/京都/芝/2000m(中距離)/右内

 

京阪杯(G3)          秋/京都/芝/1200m(短距離)/右内/ソーラーレイ

福島記念(G3)         秋/福島/芝/2000m(中距離)/右

 

アルゼンチン共和国杯(G2)   秋/東京/芝/2500m(長距離)/左

 

マイルチャンピオンシップ(G1) 秋/京都/芝/1600m(マイル)/右外/マッキラ、チューターサポート

ジャパンカップ(G1)      秋/東京/芝/2400m(中距離)/左/スレーイン、ジュエルルビー

 

 

【クラシック級 12月(出走状況未確定)】

 

タンザナイトステークス(OP)  冬/阪神/芝/1200m(短距離)/右内

ラピスラズリステークス(OP)  冬/中山/芝/1200m(短距離)/右外

リゲルステークス(OP)     冬/阪神/芝/1600m(マイル)/右外

ディセンバーステークス(OP)  冬/中山/芝/1800m(マイル)/右内

 

チャレンジカップ(G3)     冬/阪神/芝/2000m(中距離)/右内

中日新聞杯(G3)        冬/中京/芝/2000m(中距離)/左

 

阪神カップ(G2)        冬/阪神/芝/1400m(短距離)/右内

ステイヤーズステークス(G2)  冬/中山/芝/3600m(長距離)/右内

 

有馬記念(G1) ファン数不足  冬/中山/芝/2500m(長距離)/右内

 


 

 

視線を戻したサナリモリブデンは一度小さく呼吸を挟んだ。

それから、口を開く。

 

「次のレースは───」

 

 


 

 

■ サナリモリブデン

 

【ステータス】

 

スピ:442

スタ:385

パワ:364

根性:451

賢さ:376

 

馬魂:100(MAX)

 

【適性】

 

芝:B(9/30)

ダ:F(0/10)

 

短距離:B(1/30)

マイル:A(2/50)

中距離:B(0/30)

長距離:B(0/30)

 

逃げ:A(11/50)

先行:B(0/30)

差し:A(22/50)

追込:C(0/20)

 

【スキル】

 

領域/決意の鏨、鋼の轍 Lv1(効果不定。勝敗を分ける局面で奮い立つ)

 

冬ウマ娘◎     (冬のレースとトレーニングが得意になる)

冷静        (かかりにくさが上がり、かかった時に少し落ち着きやすくなる)

集中力       (スタートが得意になり、出遅れる時間がわずかに少なくなる)

弧線のプロフェッサー(コーナーを容易に曲がれるようになる。また、コーナーで少し速度が上がる)

 




※アンケート項目数が全然足りないためOPレースをまとめました。
 OPが選択された場合出走までの間に隙を見つけて再度アンケートを挟んで決定します。

次走選択

  • 9月のOPレース
  • 京成杯オータムハンデ(G3)
  • 新潟記念(G3)
  • セントウルステークス(G2)
  • 神戸新聞杯(G2)
  • オールカマー(G2)
  • セントライト記念(G2)
  • スプリンターズステークス(G1)
  • 10月のOPレース
  • スワンステークス(G2)
  • 毎日王冠(G2)
  • 富士ステークス(G2)
  • 京都大賞典(G2)
  • 天皇賞秋(G1)
  • 菊花賞(G1)
  • 次走は11月以降
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