オリウマ娘はダイスと選択肢に導かれるようです   作:F.C.F.

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クラシック級 11月 イベント結果

 


 

【投票結果】

 

セレン&ミーちゃんと一緒にステージへ:235票

ひとりでテーブルの間をうろついてみる:235票

 


 

≪System≫

得票数が同数のため、ダイスによるランダム分岐が採用されます。

 


 

【ランダム分岐】

 

結果:セレン&ミーちゃんと一緒にステージへ

 


 

 

少しの思案の後、サナリモリブデンの脚は自然とステージ脇へと向いた。

 

(?)

 

それに、サナリモリブデンは内心首を傾げた。

はて、なんで私はこちらに向かおうとしているのだろう、とだ。

 

道理の通らない選択である。

イベントの手伝いをするならば、より多くの来場者と触れ合える役割を。

サナリモリブデンはそう考えていたはずである。

もう手伝いの時間は終わったとはいえ、方針まで置いてきたわけでもない。

ここはテーブルの間を歩くなどしてみるのがより自然な選択と言えるだろう。

 

(……でも、なんだかとても気になる)

 

なのだが、サナリモリブデンの興味は妙にそちらに引きつけられた。

セレンスパークと手をつなぎ自分の番を今か今かと待つ幼いウマ娘がどうにも気になってたまらない。

理由はまるで分からない。

 

もしあるとすれば、と考えてサナリモリブデンは少女の頭に目をやった。

 

サナリモリブデンと良く似た、真っ白に近い芦毛。

少々珍しい色ではある。

もしかしたらそこに親近感でも覚えて贔屓したくなったのだろうか、というくらいが精々の心当たりだった。

 

 

 

「セレンスパーク。……と、ミーちゃん?」

 

ともかく、やりたいという気持ちは止められなかった。

ならばやろうとサックリ決断し、サナリモリブデンは2人に声をかける。

 

「サナリちゃん?」

 

「はいっ、ミーちゃんです!」

 

2人は声に振り向いた。

セレンスパークは不思議そうに、仮称ミーちゃんは元気いっぱいに繋いでない方の手を上げてだ。

見るからに素直で良い子な姿にサナリモリブデンは微笑ましさを覚え、柔らかく破顔する。

そして、少女と目線を合わせるようにしゃがんで提案した。

 

「私はサナリモリブデン。私も、ミーちゃんと一緒に踊っていい?」

 

「サナリお姉ちゃん?」

 

「うん」

 

「ん-、サナリお姉ちゃんもうまぴょいしたいの?」

 

「うん。ダメかな?」

 

少女はうーんと考えているようだった。

衣装の裾をいじりながら、ちらりとセレンスパークを見上げる。

 

「私は大丈夫だよ、ミーちゃん」

 

「んっ、だいじょーぶだって! サナリお姉ちゃんもはいっていいよ!」

 

それから満面の笑みでサナリモリブデンに向き直る。

仲間に入れてあげるとばかりにちょっと得意そうだ。

 

その後ろ、セレンスパークは素早くジェスチャーする。

 

(ありがとうサナリちゃん! 正直ちょっと緊張してたから心強いよー! あ、でもミーちゃんのお姉ちゃんポジションは渡しません!)

 

(夏にもやってたけどこの脳内に直接届くのは一体?)

 

(お姉ちゃんの威厳を保つぞパワー!)

 

(…………?)

 

原理は不明だが、セレンスパークの威厳を保ち、かつ奇行めいたジェスチャーをミーちゃんの視界に入れずにメッセージを伝える試みは上手くいった。

どうやら参加に問題はなさそうである。

 

「ありがとう。とても嬉しい。急いで着替えてくるから待ってて」

 

ならば急いで準備を整えなければとサナリモリブデンは立ち上がり、併設された更衣室へと駆けて行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ミーちゃーん! 頑張ってー!」

 

「ちゃんと撮ってるからなー!」

 

ステージの下、最前列のテーブルから男女の声が上がる。

もちろんミーちゃんの両親のものだ。

注文した飲み物もひと口ふた口手を付けただけ。

中身はコーラのようだが、もう炭酸が抜けて飲めたものではなくなっているだろうに気付いてもいない。

娘の出番のためにカメラの調整に勤しんでいた彼らは万全の態勢で曲のスタートを待ち構えている。

 

対し、ステージ上のミーちゃんは腰に手を当てて誇らしげに胸を張った。

どうやら物怖じしないタイプらしい。

ふんすふんすと鼻息荒く、ぴょこんとした可愛らしい短めのツインテールを揺らしている。

ちゃんと見ててねと言わんばかりだ。

 

そして、曲が流れだした。

 

ファンファーレを思わせる前奏。

それに合わせてミーちゃんの両親と、近くのテーブルに座っていた他の来場者グループが手拍子を叩く。

 

「位置についてー」

 

「よーい……」

 

「ドン!」

 

曲はうまぴょい伝説。

一部界隈では電波曲との声もあるが、耳に残るキャッチーさに定評がある。

歌詞もメロディも特徴的であるためにレースに興味が薄い層であってもこの曲は分かるという者も多い。

ウマ娘の歌と言えば、と街頭でアンケートを取ればまず一位を取るだろう楽曲だ。

 

そしてそれはつまり、世間一般に広く浸透しているという事だ。

幼稚園や保育所のお遊戯会、低学年あたりでは小学校の文化祭でも踊る機会は多い。

 

「うまうまうみゃうにゃ 3 2 1 Fight !!」

 

となれば当然、ミーちゃんにも慣れ親しんだ歌と振り付けということ。

事前の最低限の指導だけで高らかに声を響かせている。

ステップも年齢からすれば随分としっかりしていて、さぞかし好んでいるだろう事がうかがえる。

 

 

 

出来るだけ目立たないよう。

けれどミーちゃんが安心して踊れるように寄り添いながらバックダンサーを務める2人はチラッとアイコンタクトを交わした。

 

(いい感じ。この子、度胸がある)

 

(でしょ!!!!!!!!!!!)

 

サナリモリブデンが緊張知らずに手足を大きく振るうミーちゃんの様子を褒めると、セレンスパークがどやとばかりに返す。

視線がうるさい。

見るからにミーちゃんを溺愛しているようだ。

 

「キャー! ミーちゃん素敵ー!」

 

カメラのシャッターを無限に切りまくっている母親や。

 

「はいっ! ちゃー!」

 

全くブレなくビデオカメラを構えて合いの手を入れる父親もそれと同レベルか。

良い家庭に、良い姉貴分。

サナリモリブデンは見ているだけで幸せな気持ちが湧いてくるようだった。

 

「風を切って 大地けって♪」

 

見ているだけでそうなのだ。

ならばそんな愛を一身に受けているミーちゃんはどうかと言えば、こちらも一目瞭然。

 

「きみのなかに 光ともす♪」

 

ご機嫌もご機嫌だ。

振り付けのキレは秒ごとに増していく。

初めは実に子供らしくちょっと外れていた音程も綺麗にノリ始めた。

微笑ましく見守っていただけの無関係な来場者が、垣間見えた素質に「おっ?」と声を上げるほど。

 

 

 

「きみの──っ」

 

と。

しかしそれが逆に良くなかったのか、あるいは履き慣れないブーツに足を取られたか。

左右に脚を広げたタイミングでミーちゃんがつまずき、小さな体がグラリと揺れる。

 

 


 

【救助成功判定】

 

難度:140

補正:なし

参照:パワー/414

 

結果:411(大成功)

 


 

 

転倒は──起こらない。

 

「「愛バが!」」

 

その瞬間、横から支える手があったのだ。

サナリモリブデンとセレンスパークだ。

 

当然の事だ。

こういう時のために彼女達がついているのである。

つまずいた拍子に止まった歌詞を引き継ぎフォローも入れる。

見守る両親もホッとした様子。

 

とはいえ、どうやらつまずいた本人はそうもいかないらしい。

アクシデントに目をパチクリさせて、次の歌詞が出てこないようだ。

 

(サナリちゃん、お願い!)

 

(任された!)

 

だがご安心。

こういった場合の時間稼ぎはすでに前日のリハーサルで打ち合わせ済みだ。

体勢の関係上、セレンスパークより自分の方がやりやすいと判断したサナリモリブデンが小さな体を抱え上げる。

 

「ずきゅんどきゅん 走り出しー♪」

 

背中と膝裏に腕を入れてお姫様抱っこの形。

そのままサナリモリブデンはステージの上を走り出した。

セレンスパークは逆方向へ。

ステージ中央から見て点対称に、スペースの関係上小さく、しかしレースウマ娘らしい速度でグルグル回る。

 

「わぁ……!」

 

自分の脚で走るよりもずっと速く流れる景色にミーちゃんは思わず声を漏らした。

点になっていた目はすっかりキラキラとしている。

ステージの反対側から手を振るセレンスパークにブンブン腕を振り返せる余裕も出てきた。

 

もう大丈夫だね。

いける?

そう問いかけるサナリモリブデンの優しい目に、力強く「うんっ」と頷いて返す。

 

「ずきゅんどきゅん 胸が鳴りー!」

 

そして腕から飛び出すように中央へ走り戻り、幼い歌声は再開された。

セレンスパークとサナリモリブデン。

引率バックダンサー2人のファインプレーに歓声と口笛が送られる。

 

 

 

ミーちゃんはもうすっかりノリノリだ。

アクシデントはむしろ程良い刺激になったようで、テンションは天井知らずに高まっている。

 

(けど、どうせなら)

 

 


 

【盛り上げ成功判定】

 

難度:140

補正:ご機嫌ミーちゃん/+15%

参照:賢さ/421+63=484

 

結果:228(成功)

 


 

 

もう少し、とサナリモリブデンは欲張った。

セレンスパークと速度を合わせ、左右対称に見栄えが良くなるようミーちゃんの横に並びながら。

 

(セレンスパーク──)

 

(サナリちゃん──?)

 

視線で素早く意志を疎通させる。

 

 


 

【連携/セレンスパーク】

 

参照:絆x1.0=50(%)

 

結果:成功

 


 

 

ぴきーん!

 

などと、効果音が鳴るような楽し気な光をセレンスパークの瞳は発した。

自分の提案が過不足なく伝わった事をサナリモリブデンは確信する。

 

「はぴはぴ だーりん♪」

 

「3 2 1 Go Fight♪」

 

2人がステージ最前列に踏み出すのは同時だった。

そしてちらりとミーちゃんを振り向く。

 

(よく見てて)

 

(よーしお姉ちゃんいいとこ見せちゃうぞー! 見ててね! 絶対見ててねー!)

 

不思議そうな瞳はすぐにワクワクしたものへと変わった。

歌い踊りながらも、何が起きるのかと2人を見つめる。

 

「「うぴうぴ はにー 3 2 1♪」」

 

熱い期待を背に受けて、サナリモリブデンはテーブルの間を探す。

ちょうどいい相手はまさにそこに居た。

この会場にて、サナリモリブデンがはじめにコーラを届けた2人組の少女達だ。

 

推しが居る場所から離れるわけがなかった彼女達は当然のようにこのステージを嗅ぎつけていた。

揃ってスマホを向けながら、しかし邪魔にならないようにと必死に黄色い悲鳴を押し殺してそこに居る。

 

「「うーー……」」

 

最高の標的である。

サナリモリブデンは自身の目的が完璧に達成できる事を確信し。

 

「「Fight !!」」

 

渾身のウィンクと共に少女達を指差して撃ち抜いた。

 

 

 

「──────オ゛ァ゜」

 

「√﹀\_︿╱﹀╲/╲︿_/︺╲▁︹_________」

 

少女達は死んだ。

許容量を遥かに超えた幸福により白い灰と化し、病院に送られることだろう。

 

 

 

「ひゅー!」

 

逆サイド、セレンスパークが指差した側からは「わっ」と歓声が返された。

5人ほどの集団だ。

中心に居るタルッケは口笛が苦手なためそれっぽい音を叫んでいる。

どうやら彼女の友人グループらしい。

誰もがノリ良く、セレンスパークの振りに全力で応じて拳を突き上げていた。

 

 

 

「わぁ……!」

 

ミーちゃんの反応は劇的だった。

瞳の放つ輝きは倍以上に膨れ上がっている。

 

「「うーーー♪」」

 

「うまぴょい♪」

 

「うまぴょい♪」

 

サナリモリブデンとセレンスパークは手応え十分と頷き合って後方へ下がった。

小さな体に寄り添い、揃って伸ばした手で、次はあなたの番だよと背中を押す。

 

ミーちゃんはそれに、全力で応えた。

 

 

 

「「うーーー♪」」

 

「好きだっち!」

 

初手はもちろん両親に。

 

「うちの子可愛いー!」

 

「俺も好きだっちー!」

 

2人の感情が爆発する。

強く握られすぎたカメラからはちょっと嫌な音がした。

 

 

 

「「うーーー♪」」

 

「うまぽいっ!」

 

続いてはその隣のテーブルに。

 

「ぐわー!」

 

「やられたー!」

 

気の良い連中のようだった。

大袈裟なリアクションで胸を撃ち抜かれましたと倒れ込む。

 

 

 

「あははははっ!」

 

大満足。

最高潮。

ミーちゃんはそう全力で訴えるような喜びまみれの笑いを響かせた。

 

そうして、先ほどは歌いきれなかったフレーズを、今度こそ晴れ空に向かって歌い上げるのだった。

 

 

 

「きみの愛バがっ!」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「楽しかったっ! すっごく楽しかったーっ!!」

 

高まりきったテンションはステージから降りても下がらない。

両手を振り回し、ぴょんぴょん飛び跳ねながらミーちゃんは訴えた。

こんなに楽しい事は他に知らないと尻尾の先まで使って主張している。

 

「良かったー! ミーちゃん頑張ったねぇ! 上手にできてたよー!」

 

「うんっ! セレンお姉ちゃんもかっこよかったー!」

 

その勢いのまま、ミーちゃんはセレンスパークに抱きついた。

真っ白な芦毛頭を肩口にグリグリ押し付けている。

セレンスパークはもちろんデロンデロンだった。

これだけ全身全霊で好かれればそうもなろう、とサナリモリブデンはクスリと笑う。

 

「かっこよかった? かっこよかった? どこが一番!?」

 

「あのね、指でビシッてやったとこ!」

 

「やったー! ありがとうミーちゃん大好きー!」

 

「ん! ミーちゃんもセレンお姉ちゃん好きー!」

 

「うぅっ、幸せ……! 我が世の春……! あっ、そうだ、いっぱい頑張ったからご褒美! ミーちゃんが大好きないつもの飴ちゃんあげちゃう!」

 

「わー!」

 

「いっぱいあるからねぇ!」

 

ただ、ちょっと古臭いパッケージの飴の袋を取り出し欲しいだけ与える姿は、お姉ちゃんというよりもお婆ちゃんのようだったが。

 

「……」

 

一瞬、パッケージに書かれた文字に手が伸びかけた自分をサナリモリブデンは自制する。

麦こがし飴、などと。

チョイスの渋さもまたセレンスパークのそれっぽさを助長していた。

 

 

 

「ねーお父さん、もっとやりたい!」

 

ミーちゃんは飴を頬張りながらねだった。

それに、父親はちょっと困った顔をする。

 

「うーん……やらせてあげたいけど……」

 

チラッとサナリモリブデンに向けられる視線。

残念ながら応える手段はなかった。

先ほどのような光景は全てのステージで展開されており、どこも順番待ちでいっぱいだ。

 

「すみません。今日もう一度というのは難しいと思います」

 

「ですよね……いやぁ、仕方ないです」

 

なのでサナリモリブデンも首を横に振るしかない。

父親も頭を掻いて納得した。

 

「えー……」

 

だが、子供はそれで簡単に納得できるものでもない。

唇を尖らせ眉を八の字に。

ご機嫌はみるみる萎んでいく。

 

「なんでー?」

 

「えっとえっと、ごめんね、順番待ってる子がいっぱいいるから……」

 

セレンスパークが慰めるように頭を撫でるもさして効果はない。

 

「うー……じゃあいつもテレビでやってるおっきなステージは?」

 

「うぐ、あ、あれはレースで勝った子じゃないと立てないから……」

 

なので謝る他にない。

が。

 

「…………レースで勝ったらあそこでやれるの?」

 

その一言が何やら幼い琴線に触れたらしい。

 

 

 

「お父さん、ほんと?」

 

恐る恐る、というような慎重さでミーちゃんは父親を振り仰いだ。

 

「そうなんだ、本当の事だよ。いつも見てる大きな所はね、レースで勝たないと使えないんだ」

 

「勝ったら行ける、ってことだよね?」

 

「え、う、うん。そうなるね」

 

しばしの沈黙。

その間、小さな体は何かを噛み締めるように震えていた。

 

 

 

子供というのは一見愚かなようでいて、大人が思うよりも賢い。

彼女とて理解していた。

自分がそれなりに長く順番を待たされたのと同じように、ステージの空きを待つ者は居ると分かっていた。

どれだけ自分が駄々をこねたところで今日はもうステージに上がれないのだとも。

 

だから、この一幕はそれでももう少しと訴える心が落ち着くまでのほんの小さな癇癪だ。

ちょっとばかりワガママを言って、周りの大人に気持ちを受け止めてもらって楽になり、それで納得しようというものだ。

もちろんそこまでを冷静に思考しているわけではないが、心の動きとしてはそういう流れになる。

 

大きいステージ、という言葉もその一環で飛び出したに過ぎない。

つまり、本当にそこに上がれるとも、上がる手段があるとも思っていなかったのだ。

 

()()()()は。

 

 

 

「……出る!」

 

「え?」

 

「ミーちゃんレースに出る! それで、おっきなステージでいっぱい踊りたい!」

 

不機嫌は一瞬で立ち消えた。

眩いばかりの瞳が戻り、小さな両手が胸の前で握りしめられる。

 

「ミーちゃん? レースって大変なんだよ?」

 

そこに、母親が目線を合わせて話しかけた。

心配するような声色。

 

大きなステージとなればトゥインクルだ。

狭き門である。

レースでの勝ち負けよりも遥か前に、そもそも走る事が出来るかという篩に何度もかけられる。

地方や民間の草レースならともかくトゥインクルを本気で目指す言葉が出てしまえば、親としては案じる心地にもなろう。

 

「いっぱい頑張らないといけないし、いっぱい疲れるし、ケガすることもあるんだから」

 

「やる!」

 

が、決意は固められようとしていた。

止めても聞かない、と首をブンブン横に振る。

 

「いっぱい頑張る! 疲れても平気! ケガしても我慢するもん!」

 

幼い想像力は羽ばたいた。

小さなステージでの、ほんの一曲があれほどに楽しかったのだ。

ならばもっと大きく広く、そして煌びやかなステージで歌い踊った時、自分がどれほど幸せになれるのか。

 

 

 

「まだ足りないの! セレンお姉ちゃんみたいに、サナリお姉ちゃんみたいに──」

 

そう考えてしまえばもう走る脚は止まらない。

 

「かっこよく踊りたいの! もう一回!」

 

 

 

「──」

 

その言葉に。

サナリモリブデンは己の胸から音を聞いた気がした。

カチリ、と。

何か小さなピースがはまるような。

 

 

 

「じゃあ、一回レース見に行ってみようか」

 

「うんっ!」

 

「ちょっとあなた、そんな簡単に……」

 

「はは、いいじゃないか。折角ミーちゃんに夢が出来たんだ。応援してあげなきゃ。……それに、ミーちゃんがあのステージに立つとこ見たいだろ?」

 

「見たいわ。カメラ10台は入れて撮りましょう。永久保存版にして記念館立てて展示しないと」

 

音の元。

心の裡の感触を探っている間に親子の会話は進んでいた。

 

幼い夢は両親のバックアップに支えられる事となったようだ。

折角東京に来ているのだからトレーニング用のシューズや蹄鉄も見ていこうという提案を経由してから、いつどこにレース見学に行こうかと話し合っている。

 

「そうだ、どうせならお姉ちゃん達のレースを見に行こうか」

 

「──あ。私の次のレースは……」

 

「はは、大丈夫、知ってます」

 

我に返り次走を教えようとするサナリモリブデンに、父親は笑って言った。

流石にそれは知っていると。

 

「地元に帰ったら自慢させてもらいますよ。うちの子はあのサナリモリブデンと一緒にステージに立ったんだぞってね」

 

「ん……」

 

「あ! 私! 私もその前の日に京都走りまーす! 比叡ステークス!」

 

「あら、セレンちゃんも? なら土日泊りがけでいかないとね」

 

「やったー! お母さん大好き! お父さんも!」

 

とんとん拍子に親子の予定は決まった。

この熱の入りようでは変更はまずないだろう。

セレンスパークとサナリモリブデンの次走には、小さな観客が増える事になるようだ。

 

 

 

「そう。見に来てくれるの?」

 

「うん! 絶対行く! お姉ちゃんたちのかっこいいのいっぱい見たい!」

 

確かめ、噛み締めるように問うサナリモリブデン。

彼女に返されたのは、今この瞬間も根を伸ばしていこうとする憧れに満ちた眼差しだ。

 

「わかった。私も楽しみにしておく。だからちゃんと覚えておくために、あなたの名前を教えてくれる?」

 

子供の瞳はどこまでもまっすぐだ。

それを受けてサナリモリブデンは。

恥ずかしいような。

むずがゆいような。

けれどそれらを遥かに超えて、そう見てもらえるようにあれた自分が誇らしいような。

 

 

 

「ん! クロスミネラル! 8才です!」

 

 

 

そんな暖かな心地を感じていた。

 

 

 

 

 


 

【イベントリザルト】

 

友好:チームウェズンの絆+10

成長:スピード+5/スタミナ+5/パワー+5

獲得:コンディション/絶好調(2段階上昇)

 

チームウェズンの絆 50 → 60

 

スピ:502 → 507

スタ:405 → 410

パワ:414 → 419

根性:476

賢さ:421

 






【お知らせ】

今回ダイスに選ばれなかったうろつきは余裕が出来た時に閑話として挿入します。
折角同票だったので。


【お知らせ②】

今回のダイスログはレース生成分まで含まれてしまっているため、次回まとめて出します。
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