じーさん家は不思議屋敷   作:サンサソー

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ピーンポーンパーンポーン

※注意※
この話には以下の要素が含まれます。
・ご都合主義
・クリーチャー出現
・ほのぼの初心者

こちらの注意事項にご不満の方は、戻るボタンを。それでもいいという方はごゆっくりお楽しみください。


みゅかりさんとぎゅんぎゅん行くよー

店長……いや、弦巻さんに夕食を御馳走してもらい、談笑も終えて帰宅する頃には真っ暗闇に包まれていた。

 

東京と違って明かりなんてほとんどないここだが、月明かりと共にもう一つ頼りになるものがある。

 

満点の星空。都会では味わえない綺麗な星明かりだ。

 

「……何度見ても飽きないのは、越してくるまで東京にいたからなのかねぇ」

 

これがあるからか、いつの間にかじーさんのように月を見、星を見ながら酒を一杯やることが日課になっていた。といっても、酔うまでというより本当に一口含んで味を楽しみながら空を眺めるだけだが。

 

ゆったりと動く雲をジッと眺めたり、どの星が一番輝いているかを比べたり。そんで最後はおっきなお月様に行き着いたり。

 

虫の音が鳴る静かな庭も目に収めながら、ゆったりとした時間を過ごす。東京にいた時は、こういう時間はゲームに当てていたというのに……随分とジジ臭くなったな。

 

「……軽くツマめるものでも」

 

台所へ向かい、引き出しの中から煮干しの入った袋を取り出す。酒は……明日は土曜日だし、もう少しだけ飲むか。

 

もう一本追加で酒を持っていくことにし、ツマミらと共に縁側へと戻る。煮干しを数本口に入れつつ、先に残り少なかった酒瓶を空にしようと器へ傾けた。

 

「…………ん?」

 

瓶の口から何も出ない。軽く振ってみても雫一滴が零れるだけ。残っていたはずの酒はいつの間にやら消えていた。

 

「あらら。いつの間にか飲んじまってたか?しょうがない。新しいの開けるか」

 

持ってきた酒瓶を開け、波々と注ぐ。それを一気に呷ると、そばに置いてあった煮干しの袋へと手を伸ばし……。

 

「……あ?」

 

床の感触があった。目を向ければ煮干しの袋は少し離れた所へと移動しており、取って見てみれば中身が減っている。

 

まさか、またあかり草が来やがったか?それともみゅかりさんたちが来たのか……それにしては一言も無しというのが気になる。もしやじーさんが化けて出でもしたのか?

 

「…………まあいいや。好きに食って飲みな」

 

食いたい奴は食えばいい。飲みたい奴は飲めばいい。騒ぎたい奴は騒げばいい。それが酒宴だと、じーさんに聞いたことがある。

 

ふと、花の香りがした。次いで何かが焼けるような匂いも。咲いているものなど見当たらないというのに、焼けているものなど何も無いというのに、不思議と少しだけ何かが香る。しかしそれも束の間、呷った酒の匂いがそれを気にする前に濁し、煮干しの臭みが全て持っていく。

 

疲れの溜まった身体に気持ちの良い風が吹き、静かな暗闇から星が瞬く。俺は酒で火照った身体を横にして腹に布を一枚掛けて、そのまま気持ちの良いままに眠りこけたのだった。

 

 

 

 

 

 

翌日。ふと起きれば、煮干しは底を尽き酒は無くなっていた。どうやら昨日は少し楽しみ過ぎたらしい。

 

「新しい煮干しとか買っとかねえとなぁ」

 

今日は休日。といっても一昨日まで休みではあったが、その間にできることはやった。やることといえば正午からあるバイトぐらいか。

 

「ん〜……バイトついでに買い物でもするか」

 

身支度を整えて軽トラックを出す。家にあった干し柿を口にくわえながら、長い車旅を始めるのだった。

 

 

 

初めてのバイトではあるが、人と話すことにあまり抵抗がない俺は大して不足は無かった。せいぜい注文のテーブルを間違えてしまったりぐらいだが、客がそこまでないこの店ではそのミスも稀だ。

 

店長が言うには、休日だからこれでも客は来ているのだとか。しかし大学帰りに寄ってくれる学生さんたちが少ないから微々たるものではあるらしいが。これで店が持つのかと心配になるが、なんとかやりくりできていると店長は言った。

 

「それじゃあ弦巻さん、お疲れ様でした」

「うん、お疲れ様。気をつけて帰ってね」

 

大して客が入ることもなく、三時間は過ぎていった。仕事中は店長と言ってはいるが、仕事も終われば弦巻さんと呼ぶ。あんなことがあった後で他人行儀にできるわけもなく、しかしメリハリを付けるために仕事中は呼び名を変えさせてもらった。

 

まあ弦巻さんがグイグイ来るから断りきれなかったというのが本音だけど。

 

その後はスーパーでビクビクしながら買い物を済ませ、真っ直ぐ家に向かう。いよいよ家が見えてきたところで、ふと門前で何かが動くのを見つけた。

 

「……ん、誰かいるな」

 

その人はこちらに気付くと、邪魔にならない程度に近付いてきた。

 

金髪のアホ毛を立たせた女性だ。ゆかりさんと同じぐらいかな?そんで、なぜかわからないけど胸の前でみゅかりさんを抱えている。もしやみゅかりさんやけだマキの飼い主だろうか?それだとゆかりさんの立場がわからなくなるが……。

 

ガレージに軽トラックを入れ荷物片手に外へ出れば、女性の腕から紫の毛玉が飛びついてきた。

 

「みゅみゅ〜!」

「おっと、久しぶりだなぁみゅかりさん」

「みゅい!」

 

みゅかりさんをキャッチした俺は、久々の再開に内心大歓喜しながらも冷静に撫でてやる。うーんこのモフモフよ。けだマキもいいけどやはりみゅかりさんこそ原点にして頂点……。

 

「いやぁ、忘れられてるなぁ」

「あ、すみません。私はこの家に住む中尾道彦です。ウチには何用でしょうか」

「丁寧にどうも。私は弦巻マキ、ゆかりんから話を聞いてちょっと寄ってみたんです」

「ゆかりさんから……ご友人ですか?」

「ええまあ。だからそんなかしこまらないで大丈夫だよ」

 

友人……まあみゅかりさんと一緒にいたんだし本当だろう。それにしても初対面なのに随分とグイグイ来るな。まあ本人がそうしてくれと言うなら構わないんだが。

 

「みゅ〜」

「ん…ああ、そうだな。まずは家にあげよう」

「あれ、みゅかりさんの言ってることがわかるの?」

「なんとなく、ではあるんだけどな。みゅかりさんは人の言葉がわかるみたいだし、何をすればわかってくれるか考えられる賢い子なんだ」

「みゅふんっ!」

 

ムフーッと胸を張るみゅかりさん。マジ可愛い。頭を撫でてやると気持ち良さげに腕の中で蕩け出した。

 

「…………ふーん。あ、そういえば面白い話があるんだ。この間の事なんだけど」

「ふむ?」

「みゅかりさんがね、けだマキとゲーム……じゃなかった。遊んで負けたんだ。そうしたら何度も何度も再戦を要求しては負けてね」

「みゅっ!?」

 

何やら腕の中が騒がしい。荒ぶるみゅかりさんを落ち着かせようとするも、みゅかりさんはまったく落ち着きを見せない。

 

「泣きの一回でも負けてさ、相当悔しかったのかコントロー……じゃなくて、玩具を投げたんだよ。そしたらちょうどバランスボールに当たって跳ね返ってさぁ……」

「みゅー!みゅみゅー!」

「おでこにぶつけてんの!もう呆れよりも笑いが勝っちゃって、お腹筋肉痛なんだ!」

「ブフッ」

「みゅあー!!」

 

ペチペチと前足を使って猛抗議してくるみゅかりさん。可愛い。てかみゅかりさんってそんなギャグ性質持ってたのか。微笑ましいと言うべきか面白いと馬鹿正直に言うべきか。

 

というか投げたものが跳ね返っておでこに当たるとか可愛すぎないか。大丈夫かー痛かったねーと言いながらおでこを指の腹でコシコシしてやるとさらに猛反発してくる。

 

「みゅっ!みゅあー!」

「ははは……ん?あ、そうだった。家にあげないと」

「ごめんねー。話逸らしちゃって」

「みゅかりさんが可愛かったからグッド」

「みゅっ!?」

 

門を開けてマキさんを中へと招き入れる。思えばゆかりさん以外で初めて家に人をあげた気がするなぁ。

 

 

 

 

 

「え、けだマキの名前ってけだマキマキなの?」

「けだマキって呼んでるけど実はそうなんだよねえ」

 

お茶菓子も用意して始まった談笑。これがまあ面白かった。マキさんは話題が豊富で、取っ付きやすい雰囲気がある。だからついつい同級生に話しかけるような軽い感じで話してしまう。これがまた進むんだわ。

 

あまりにも俺とマキさんが喋り続けているからか、先の一件と合わせみゅかりさんは拗ねてしまったようで。俺の膝の上でバリボリとお菓子を貪っている。しかし撫で撫でを要求して居座っているあたり居心地が悪いわけではないのだろう。

 

「そういや、マキさんの苗字って『弦巻』だよな?」

「うん、そうだよ〜?結構珍しいよね」

「んだな。そんで最近バイト始めるようになったんだけど、そこの店長さんの苗字も『弦巻』だったんよなぁ」

「え……道彦さん、そこって喫茶店?」

「ああ。『マキ』って名前の……マキ?」

 

今更ながらに気づいた。もしかしてマキさんって弦巻さんの言ってた娘さんじゃね?そういや友人と一緒に旅行に行ってるとか言ってた気がする。

 

「すごいよ!こんな偶然なんてあるんだ!」

「はー、なんか……世の中って狭いんだなぁ」

 

東京の店で存在を知った娘さん、それとこんなド田舎で会うなんて。何が起こるかわからないもんだなぁ。

 

「まあでも、マキさんが居ないから人手が欲しかったようだし。マキさんが帰ったらまた別のバイト探さないと」

「え、なんでさ。ずっと働いていればいいじゃん」

「人手が足りすぎても困るだろ。ま、客としてなら行くだろうけど」

「別に気にしないと思うけどなぁ」

 

それに、いずれは農作業もしようかと思っていた。そろそろ着手し始めてもいいだろう。図書館の本とかで勉強もしてるし、まずは簡単な物から始めていくのが良さそうだな。

 

「みゅっ!」

「ん?どうしたみゅかりさん」

「みゅ〜!」

 

俺の膝から飛び下りたみゅかりさんが、俺の袖を引っ張ってくる。どうやら俺を庭に出したいらしい。

 

「はいはい。それで、何かあるのか?」

「みゅー!みゅー!」

「遊んで欲しいんじゃない?」

「みゅあー!」

「なるほど。なら何して遊ぼうか」

 

その言葉を聞いたみゅかりさんは低木の陰に隠れ、チラチラとこちらを伺ってくる。隠れる…か。

 

「かくれんぼかな?」

「みゅみゅい!」

「………………」

 

缶蹴りとか考えていたがもっとシンプルだったか。思えば、みゅかりさんちゃんと缶蹴れるか心配だし、速さだとみゅかりさんガン不利だしでナンセンスだったな。

 

「かくれんぼか……小学校以来だな」

「私もそんな感じだな〜。さー遊ぶぞー!」

「みゅー!」

 

唐突に始まったかくれんぼ。本気になるのは大人気ない気もするが、負けるのはなんか癪だし。

 

元々小さい頃にはここに住んでたんだ。元田舎っ子の力、見せてやらあ!

 

 

ゆかりさん達側の話いる?

  • その時その時の心情回
  • たまに主人公などに対しての心情回
  • このまま主人公視点のまま
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