じーさん家は不思議屋敷   作:サンサソー

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ピーンポーンパーンポーン

※注意※
この話には以下の要素が含まれます。
・ご都合主義
・ほのぼの初心者

こちらの注意事項にご不満の方は、戻るボタンを。それでもいいという方はごゆっくりお楽しみください。


一つ事が起これば連鎖する

「バス停までそこまで距離はないが、気をつけて行くんだぞ」

「はい。行ってきます!」

 

ランドセルを背負って、きりたんが家を出る。俺も今日大学があるが、それは三限目から。だからこうしてきりたんが家を出るのを見れるってことさ。

 

「……出発時間まで1時間半ってところか」

 

だいぶ時間が空く。しかしゲームをするような気分でもないし……縁側に座って日向ぼっこでもしとくか。

 

もはやいつもの場所と化しつつある縁側に座り、梅の香る庭を眺める。日課にもなった日向ぼっこだが、早いうちに飽きが来ると思っていたこれは案外ずっと続いていた。

 

今となっては、これをしないと一日が始まらないと言っても過言ではないほどにまでなっている。まあ、きりたんにジジくさいと言われたのは堪えたが。

 

「…んん〜……はぁ…」

 

身体を伸ばして、一息つく。朝の鳥のさえずりや木々が風で靡く音が心地良い。庭にある梅の木によるものか、梅の香りはとても心を落ち着かせてくれる。

 

「………と、危ねぇ。寝そうになってた」

 

少し船を漕ぐ程度で正気を取り戻した俺は、一度目を覚ますために洗面台へと向かう。顔を洗い、タオルで拭いていると……ふと気付いた。

 

「ん?………ありゃ」

 

服の匂いを嗅いでみると、物の見事に梅の香りがする。いつの間にか濃く付いてしまったらしく、洗面台まで香りが広がってしまった。

 

「こんな匂い強いもんだったっけ……まあそこまで気になるほどキツい訳でもないし、天然の香水とでも思っとくか」

 

気を取り直して台所へ行くと、シャケを使っておにぎりを幾つか作る。大学近くに着いたらちょうどお昼時だろうから、講義室で席に着いた時に食べる用だ。

 

「ええっと、パックどこだっけ……」

 

おにぎりをラップで包んだ後、戸棚を開けてパックを探す。まだどこに何があるかは全部は把握しきれていない。だからこうやって探すことも多いんだが……無いな。もしかして食器棚の下か?

 

「…お、あったあった。んじゃこれを……あ?」

 

やっとこさ見つけたパックを持って戻ると、少し違和感を覚えた。俺が作ったのは全部で6つ。だがそれが3つにまで減っていた。

 

「……何が起こってんだ?まさか、またあかり草か?」

 

食べ物が消えるのは大抵があかり草の仕業だ。いや、でもゆかりさんやマキさんたちは帰ったから居ないはず……まさか1本以上存在するなんてことないよな?

 

「…まあ、3つでもいいか。米だからそこそこ腹膨れるし」

 

少し小腹が空く感覚はあるだろうが、別に大丈夫だろ。パックの中におにぎりを詰め、魔法瓶の水筒に冷たい茶を入れる。これをリュックの中に入れれば……うし、準備は完了だ。

 

鍵をチャリチャリと鳴らしながら玄関へと向かう。外に出て、軽く身体を捻って音を鳴らすと、玄関の扉に手をかけた。

 

「……行ってきます」

 

誰にでもなく、ふと出た言葉。聞いてるとしたらじーさんぐらいかな、と思いつつ。俺は玄関の鍵を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜…やっぱ長時間車の中にいるのは身体が固まるなぁ…」

 

近くの有料駐車場に停め、大学内へと足を踏み入れる。お昼休みだからか、弁当や買ったものを広げて食う生徒がチラホラと見受けられた。時間も少し余裕がありそうだし、講義室でゆっくり食うか。

 

「えっと、三限は日本史Aか。なら6号棟の4階……げっ」

「うん?」

 

ちょうど6号棟の前に着いた時、俺とソイツは目が合った。

 

フード付きの特徴的な黒い上着、首にかけたヘッドフォン。そして赤い眼鏡を付けたあの優男は…。

 

「おやおや、誰かと思えば道彦じゃないか!やっと大学四年かぁ、とりあえず元気そうだねえ!」

「え、お前…なんでここにいんの?」

 

親しげに話しかけてくるコイツは水奈瀬コウ。俺と同い年でありながら先に大学を出て教職に就いている、まあ…悪友だ。

 

俺は考えもしなかったまさかの再開に驚いた。俺が留年して大学に入れなかった間、コイツは一発合格で悠々と大学生活を満喫していた。あの時の顔は腹立ったなぁ…!

 

「ちょっと教授に呼ばれてね。ほら、僕は教諭だから何かと話が合うんだよね!」

「あの教授とお前が合うのは頭ぶっ飛んでる所だろ」

「なんてこと言うんだ!?」

「うるせえ自分見返して出直してこい」

 

傍から見ればじゃれあいのようにも見えるやり取り。まあ実際そうなんだが、俺はできれば早くコイツから離れたい。いや、離れちゃマズイか。だってコイツは……あ?

 

「コウ?おい!どこ行っ…」

 

「やあ君たち!是非とも僕も話に混ぜて欲しいんだけど!」

「え?あの、誰ですかあなた」

「急に出てきて怖いんだけど」

「まあまあそう言わず。僕は…」

「すみませんでしたあああ!」

「あべし!?」

 

少し人目の付かなそうな所にいた女子二人に話しかけていた馬鹿をしばきそのまま連行する。驚いた様子の二人だったが、少し微妙な顔をしたあと()()()()()去って行った。

 

「い、痛いじゃないか!そんな簡単に暴力を奮っちゃ駄目だろ!」

「やかましいわ!まだそれ直してなかったのか!」

「直す?いやいや、これは直す必要のないモノだよ」

「はぁ?」

「そこに百合がある。なら、僕のすべきことはたった一つ!僕に無くてはならない部分なのさ!」

「よーくわかった。その部分吹っ飛ばしてやるから歯ぁ食いしばれ」

「ちょ、わかった!これからは自粛するから!なるべく…」

 

これが俺が離れられない理由だ。コイツの願望は『百合の間に挟まれたい』。本当に教師かお前と言いたくなるような事だが、コイツのそれはよく暴走する。

 

だからさっきの女子たちみたいなのを見て、唐突に『百合の波動を感じる』とか吐かして迫っていくんだ。何度俺が引っぱたいて止めてきたことか…。

 

「あ、それより大丈夫?」

「あ?何がだ」

「あと5分足らずで昼休み終わるけど」

「あ?……あぁ!?」

 

スマホで時間を確認すれば、コウが言った通りもうすぐ終わる。畜生が、思わぬ所で時間食っちまった!飯は食ってねーけど!

 

食いながら行こうと小さいパックからおにぎりを取り出しながら、この馬鹿のせいで離れてしまった6号棟へと急いで向かう。

 

「あ、僕にも頂戴よ」

「チッ……ん!」

「お、サンキュー」

 

クルリと回りつつおにぎりを一つ投げれば、ドンピシャのコース。コウは難なくそれをキャッチした。まだラグビー部だった頃の経験は生きてんな!

 

階段が来たため結局食えなかったおにぎりパックを抱え、二段飛ばしで駆け上がる。そして残り1分半ごろ、なんとか講義前に間に合った。

 

「お?来た来た。おはようさーん」

「こんにちは中尾さん」

「ぜぇ…ヒュー…ヒュー…」

 

さ、流石に4階までダッシュは急すぎたか。眠ってた身体が上手く動いてねぇ。その状態で動いたせいで酸素が足りねぇ。頭も回らねぇ。今聞こえたのは…茜と葵か?たぶんそうだ、うん。まず息整えねぇと。

 

「大丈夫…そうじゃないね」

「せやな〜……お!おにぎり。なあなあ、一つ貰ってもええ?」

「お姉ちゃんさっきお昼ご飯食べたでしょ?」

「いやぁ、道彦のはなんでも美味いのがいけんのや」

「ぜぇ…好きに…しろ……ぜぇ…」

「よっしゃ〜。ん、おにぎりなのに上手いなぁ。葵も貰い?」

「あ、えっと…それじゃあ、頂きます」

 

何やら聞こえたが特に考えずOKを出す。ハンカチで汗を拭いてなんとか息を整えた頃に、少しばかり遅れた先生が到着。そのまま講義となった。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「んあ?何がだ」

 

そんな中、小さい声で話しかけてきたのは隣の席に座っていた葵だ。珍しい、授業中はいつも静かで優等生なのに。

 

「いえ、そうじゃなくてですね…いや、それもなんですけどそれよりも……おにぎり貰っちゃいましたけど、パックの中…」

「ん?……あ」

 

そういえばコウにあげたからおにぎりはあと二つ。そして茜と葵に一つずつやったから……。

 

「お、俺の昼飯…」

「す、すみません…後で何か埋め合わせを…!」

「いやいや、別に大丈夫だ。美味いって言ってくれて嬉しかったし」

「で、でも……」

 

なかなか食い下がるじゃないの。別に食わずとも三限と四限だけだから帰って食えるし、大したことじゃないんだけどなぁ。

 

「……よし、貸し一つだ。なんか困ったらその時に助けてくれ」

「…ふふ、わかりました」

「おい、笑うところあったか」

「だって…やっぱり、中尾さんって優しいなぁって」

「……やめろ、むず痒くなる」

「ふふふ、可愛いですね」

「ん…ぐ……」

 

この状態の葵は苦手だ、茜とはまた違った厄介さがある。そんなこんなで、特に大事もなく恙無く講義は終わった。

 

 

 

 

「やあ道彦」

「うわ、出た」

「え、いくらなんでも酷くないかな?友達でしょ?」

「…………そうだな」

「間があったのは照れだと認識する事にするよ」

「その発言は『殴って欲しい』って意味だと認識する事にするぜ」

「ストォオオップ!ごめんって!」

 

6号棟から出た俺を迎えたドアホこと水奈瀬コウ。教授の件は終わったのか?なら早く帰れよ教師だろ。

 

「いやぁ教授との件は意外と早く終わっちゃってね。実は今日は休みだったから暇になっちゃったんだ」

「……だからって出待ちするかフツー」

「ははは、まあとりあえず。道彦は今日何限までなの?」

「……四限。次で終わりだ」

「そっかそっか!なら一緒に少し飲まないか?二十歳行っての一回だけだったしさ!」

「馬鹿野郎、俺は車で来てんだ。飲酒運転になっちまうじゃねーか」

 

俺に犯罪者になれってか。もう少し相手のこと考えて言ってくれ教師だろ。

 

「あー……道彦が引っ越してから色々とままならないなぁ」

「何がままならないって?」

「だってお酒を飲む仲間が減ったし、あの人はちょっと付き合い悪くなったし、何故か警察を呼ばれたりしたし」

「前はすまねえと思うがその後は知らねーよ。あの人って、アイツか?なんかあったのかよ」

「君が居ないからだろうねー。仲良かったでしょ?連絡とってる?」

「いや……」

「君も彼も遠慮しすぎなんだよ。少しぐらい連絡取り合ったっていいじゃんか」

「……そうだな。またお前も交えて3人で飲むのも、良いかもな」

 

帰ったら、久しぶりにメールでも送ってみるか。久しぶりに会ってみたくもあるしな。

 

「んじゃ、そろそろ講義だから行くわ。じゃあなコウ、次はアイツも一緒に会おうぜー」

「はーい、頑張りなよ〜」

 

最近は色々と起こりすぎて退屈しないな、まったく…。

 

少し湧き上がる嬉しさと、新たな楽しみ。それを胸に抱えつつ、次の講義の教室へと向かうのだった。

 

 




うう、ネタが思いつかないからってこの小説に逃げてる感じがする…他のも更新しなければ。

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ゆかりさん達側の話いる?

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