※注意※
この話には以下の要素が含まれます。
・クリーチャー出現
・ほのぼの初心者
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危うくずんだ信者へと洗脳させられそうになった次の日。
東北家の綺麗さに感じるものがあった俺は、家の大掃除をすることにした。幸いじーさんは掃除用具ぐらいは持っていたようで、買い物に行く必要はなさそうだ。少しボロボロだが充分使えるだろ。
俺は塵埃に弱いためマスクやゴーグルは必須。中学生の頃に部活で使っていたスイミングゴーグルだが、最大まで伸ばせば少しキツめに吸い付く程度だし、隙間も無いから何かと便利なんだよなコレ。
「まずは家ん中だよな。2階から順にやってくか」
はたきで棚などの家具に溜まった埃を落としていく。2階の全ての部屋を回ると、次は掃除機で床に落ちた埃を吸う。一昔前の代物だからか音が大きくて吸いづらいが、箒とかだと床を傷つけるから仕方ない。新しい掃除機を買う余裕はないし。
次に雑巾を水で絞り、家具を拭いていく。本や置物も取りだし隅々まで汚れを拭き取る。
「…うっわ、汚ぇ」
何かを拭いたあとの雑巾って、なぜか拭いた面を見てしまうな。どれぐらい汚れてるのかを知ることができるが、まあ見て気持ちの良いものじゃない。でもつい見ちまう。
何度か雑巾に付いたゴミを取り除きながら拭いていくと、一つ目に留まるものがあった。
「ん?あ、これは…」
バイキンマンの顔のボールだ。長い時間が経ったからか空気が抜け、ベロベロになっている。表面も少し溶けて顔が大変なことになってて、思わず吹き出してしまう。
これは俺がガキの頃、じーさんが買ってくれたおもちゃの一つだ。柔らかくできていて、軽く握ってバイキンマンの顔を歪めるのが楽しくて仕方がなかった記憶がある。
それをじーさんが面白そうに笑っていた。一緒に顔を見て笑ったのか、俺がこのボールに熱中して遊んでいるのが面白かったのか。あの笑いが微笑ましいとかではなかったのは確かだ。
「…ま、流石に捨てだな」
思い出の品とはいえ、もうボールとしての機能すら失っている。残すことに旨みは無いだろうて。
ゴミ袋の中に放り込む。さて、そろそろ一階に取り掛かるか。できれば冷蔵庫裏とかもちゃんと掃除しておきたい。台所は念入りにしないと、虫たちの楽園になっちまうからな。
「ふぅ……どっせいっ!」
冷蔵庫の中を空にして、少し小さめの冷蔵庫を移動させる。これでも高校ではラグビー部キャプテン。大学に入ってもジムに通っていた。いくら冷蔵庫と言えども無理な物ではない。
「ん、んん……どっこいせっ!はぁ、おっもい」
流石に疲れはするがやれん事は無い。そして冷蔵庫があった所へ目を向けた俺は少しだけ肩を跳ねさせた。
黒光りするヤツ、Gが一匹二匹……四匹。
「…あーらら、やっぱり居た」
だがショックはそこまで無い。こんなもの、蚊やアブに比べたら大して怖くねえ。
「はーい、では頑張って逃げろ逃げろ」
手に持つはゴキジェット。なるべく背後から近付き、一気に吹きかける。Gが逃げ始めるが、俺は容赦なく追ってジェットをかける。
「よし、二匹仕留めた。このまま……うおっ?!」
逃げ場の無くしたGの一匹が、俺目掛けて飛び跳ねた。顔面直撃コースだったから思わず叩き落とし、背中から着地したヤツへとジェットでトドメを指す。
「ビビったぁ……さて、後一匹…ありゃ?」
最後の一匹がいつの間にか消えていた。素早く辺りを見回すと、台所から出ようとする姿を発見。
逃すわけにはいかない。ここで見失えばまたGが増殖して面倒臭いことになる。
「おう待て!大人しくしろ!」
始まるGと俺の鬼ごっこ。Gは初動から最高速を出すことができる上に、体が平たいため様々な場所に入り込んでは俺の目を誤魔化そうとする。
だがこちらも簡単に諦めるわけがなく。見失えばゴキジェットを辺りに噴射して炙り出し、姿を現せば箒とゴキジェットを持って追いかけた。
長い間追いかけっこは続き、やがて廊下の端に追い詰めることに成功した。
「はぁ…はぁ…ようやく追い詰めたぞ、この野郎」
荷物もない、ドアも引き戸。唯一の逃げ筋は俺を越えていくしかない。Gがなんぼのもんじゃ、恐怖の象徴みたいなイメージが人々にはあるみたいだがな、お前よりカメムシの方が怖いんじゃこっちは。
脳裏に浮かぶ苦い記憶。ガキの頃、昼寝中に顔に登られくっっさい汁をぶちまけられたあの大事件。あれ以来カメムシにはトラウマがある。その恐怖と比べたらGぐらい……。
その時、インターホンが鳴った。
「は?こんな時に来客っってぇ!?」
少し意識を逸らした。その僅かな間はGに勝機を見出させる。覚悟を決めたGは羽を広げ俺の顔に突撃。衝撃に仰け反った俺の顔を台に再び跳躍、ヤツの逃走を許してしまった。
「だああ!なんだってこんな事に!」
逃げたのは玄関方面。急いで追いかければそこには…。
「ぎゅ、ぎゅん!ぎゅーん!?」
「え、なんでいるの?」
玄関の隅っこでいつぞやの黄色い毛玉がGに追い詰められていた。まあこちらとしては好都合。
Gを飛び越え毛玉の前に着地。それによってGが反応するが、素早く箒でヤツの前に壁を作った。ヤツは基本的に前にしか動かないため、前を防がれれば跳躍するしかない。しかし箒を飛び超えれば、そこにはゴキジェットを構えた俺がいる。
かくして、Gの逃走劇は終わりを告げるのだった。
「やれやれ……おい、大丈夫か?」
「ぎゅ、ぎゅう〜…」
よほどGが怖かったのか震えている毛玉。可愛い。ひとまず刺激しないようにゆっくり手を差し出し、毛玉を両手で持ち上げた。
「よしよし、怖かったな〜。もう大丈夫だからな〜」
「ぎゅん、ぎゅーん……」
震える毛玉をポンポンと撫でてやる。そんな事をしていると、もう一度インターホンが鳴った。そういや来客がいたんだった。Gとの死闘で忘れてた。
「はーい……て、結月さん?」
「こんにちは道彦さん…って、何してるんですかけだマキちゃん」
「んあ、知ってるんですか」
「まあ、友達ですね。震えてるようですけど、何かあったんですか?」
「ちょっとGと戦ってまして、巻き込まれちゃったみたいなんです」
「あ〜……とりあえずけだマキちゃん?もうGはいないんですから。道彦さんに引っ付いてないで離れてください」
「そうだな。俺と一緒だとまたGと鉢合わせるかもしれないぞ」
「ぎゅん!?」
台所はまだ冷蔵庫しかできていない。他の家具の裏とかにいる可能性も充分ある。
「結月さんは何か用ですか?ウチは今大掃除中ですから、急ぎでないなら後日に回して欲しいんですけども」
「引っ越しで色々と大変かと思いまして、様子を見に来たんです。大掃除ですか、私も手伝いますよ」
「いやそんな、悪いですよ」
「遠慮なんてしなくていいんですよ。それじゃあお邪魔しますね」
「ぎゅんぎゅーん!」
結月さんはけだマキとやらを連れて中へ入っていく。後を追うと、結月さんは上着を脱いで腕を捲っていた。美人さんがこういうことするとカッコイイな。
「ありがたいですけど、服とか汚れるかもしれませんよ。いいんですか?」
「はい。それじゃあ早く終わらせちゃいましょう」
「ぎゅーん!」
そんなこんなで二人と一匹の大掃除が始まった。俺が家具を持ち上げ、結月さんが掃除機で、けだマキが器用に2本のアホ毛を使って雑巾で掃除していく。
「よっと。そんじゃあここお願いします」
「先程からよく持ち上げられますね。初めて会った時は気づきませんでしたけど、身体ガッシリしてますし、腕もかなり太いですね」
「まあジムに通っていたので」
格好は掃除で汗をかくだろうから、動きやすくて涼しい薄着を選んだ。その辺に気づくあたり、結月さんは視野が広いな。
「そうなんですか。ダンベルとか持てるんですか?」
「ダンベルなら30キロのを使ってますよ。ジムの時は週一のペースで40でやってますが」
「ダンベル持ったことないから、言われてもイマイチわかりませんね…」
たわいもない話をしながら、着々と掃除を終えていく。途中で疲れたのか、けだマキは俺の頭の上で眠り始めた。可愛い。
「すみません、けだマキちゃんが」
「いえいえ。バランスを取るトレーニングと考えれば。それに可愛いですし」
「ふふ、そうですね」
あ、そういえばけだマキを知っているということは、結月さんはあの紫の毛玉と人面花のことも知っているんじゃなかろうか。ちょっと聞いてみるか。
「結月さん、ちょっと聞きたいことがあるんですけども」
「はい、なんでしょう?」
「けだマキとはまた違った、紫色の毛玉と人面花のことは知ってます?」
「紫色の毛玉と人面花……あ」
反応あり。やはり何か知っていたか。けだマキみたいに名前ぐらいなら教えてくれるかもしれん。
「けだマキみたいに、アレらに名前ってあるんですかね?」
「はい、ありますよ。紫色の生き物は『みゅかりさん』、人面の花は『あかり草』という名前があります」
「へえ、そうなんですか」
みゅかりさんとあかり草。どういう生き物なのかはわからんが、まあ可愛いし害もなさそうだから別にいいか。
「家にその三匹……二匹と一本がきたんですよ。かなり慌ただしくて、引越ししたばかりだと言うのにかなり疲れました……」
「あ、あはは。それはご愁傷さまです」
「……でも嫌じゃなかったんですよね。この家に来てから色々と溜め込んじゃってたみたいで……みゅかりさんたちのおかげでなんとかって感じです」
「……そうですか」
頭の上で寝ているけだマキを起こさないように撫でてやる。あ、人差し指咥えられた。可愛い。
「また来てくれないかなって思うんです。お礼は伝わるかどうかはわからないので、美味いお菓子とか食わしてやりたいなって」
「……きっと、また来てくれますよ。みゅかりさんも楽しかったようですし」
「それならいいなぁ。みゅかりさんすっごい可愛いし、またモフモフしたいし」
「あ、そ、そうですか」
「男が何言ってるんだって思うかもですが、俺ってああいう可愛いのに目がないんです。今までは猫に熱中してたんですが、みゅかりさんにはアレですね。一目惚れしちゃいました」
「ひとめぼっ…!?」
「あんなに可愛い子は初めて見ましたよ。また来て欲しいなぁ……って、結月さんどうしました?手が止まってますよ」
「え、ああいえ!なんでもないです!」
結月さんが急いで掃除機がけを終わらせる。別にそんな急がなくても良かったんだが。
「よっこいせ。ふぅ……よし、これで家の中は終わり。休憩しましょうか」
「そ、そうですね」
「お茶入れてきますから、そこの居間でくつろいでいてください」
「ありがとうございます…」
台所でお茶を入れた後、少しばかり伸びをする。この調子なら今日中には終わりそうだ。一人だったらもっと大変だっただろう。結月さん様様だな。
「ぎゅん!?」
「あ、すまん。頭の上に乗っけてたの忘れてた」
伸びをしたことで頭から落としてしまったけだマキに謝罪し拾い上げると、俺の肩辺りに乗せておく。なにか摘めるものも持っていきたいが……昨日余った果物を持っていくか。
果物に興奮するけだマキを注意しながら、結月さんが待っている居間へと俺は歩を進めるのだった。
未だ食べていないずんだ餅から目を逸らして。
ゆかりさん達側の話いる?
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その時その時の心情回
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たまに主人公などに対しての心情回
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このまま主人公視点のまま