じーさん家は不思議屋敷   作:サンサソー

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ピーンポーンパーンポーン

※注意※
この話には以下の要素が含まれます。
・クリーチャー出現
・ほのぼの初心者

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梅香る荒庭

結月さんとけだマキのおかげで一番面倒な家の中を片付けることができた。残る手入れするべき場所は倉庫と庭だ。

 

倉庫の中にはじーさんが使っていたトラクターや農作業用具が収められている。そのため土汚れがかなり目立つ。

 

「んー、まずはトラクターとかを外に出すか」

 

動かし方は車とあまり変わらない。機器や農具も外へ出し、ホースを使って水を掛ける。十分に濡らすと、ブラシを使ってこびり付いた泥や砂を落としていく。

 

「ん…じーさんこれ面倒くさがったか?」

 

かなり前からの物なのか落ちにくいし、顔を出すのは錆びた色。普段から手入れをしてればこうはならんだろ。

 

「……激落ちくん欲しー」

 

困った時は激落ちくん。買い物ついでにさりげなく店がないか探したが、取り扱っている所は無かった。

 

なんとかこうにかしつこい土汚れを落とし、隅に掃けておく。トラクターは古めの高圧洗浄機があったからそれを使おう。

 

トラクターの汚れを取るついでに、倉庫の壁も高圧洗浄機で洗っていく。蜘蛛の巣とかもかなり付いていたらしく、窓辺にジェットをかければボロボロと汚れで黒みがかった巣が剥がれ落ちていく。

 

あらかた綺麗になったら、今度は中の番だ。溜まった土や砂はいくらやってもキリがないから箒である程度掃いて終わりにしとくか。

 

一階を掃いて農具やトラクターを戻した後、階段を上がって2階へと上がる。ムワッと広がる埃の匂いに顔をしかめながら、窓を一つ一つ開けて換気する。そこで俺は鼻の異変に気が付いた。

 

「あ、まず、マスク…つけっ忘れえ''っックションッ!!」

 

窓を開けたことで空気がなだれ込み埃が舞いあがる。埃にはめっぽう弱い俺の鼻は反応し続け、くしゃみが出てはまた出て、さらに出てを繰り返す。

 

「クシュッ、ヘックション!!あ、やべ、ヘッヒ、鼻血出ックション!」

 

度重なるくしゃみで粘膜が傷ついたのか、鼻血が出始めた。急いで家の中に戻ると、ティッシュを丸めて鼻に詰める。

 

「あーやべ。あそこ埃ヤバ、ヘッ…ふぅ…」

 

なんとかくしゃみを耐え、血が止まるのを待つ。しばらくすると、まだ違和感はあるもののティッシュに付く血の量は少なくなっていった。

 

「……ん、よし。マスクとゴーグル必須だなこりゃ」

 

身体は鍛えられても粘膜は鍛えられない。いつしかマスクとゴーグルは、俺にとって無くてはならない物になってしまった。

 

支度を終え、再び2階に挑戦する。そこかしこにコガネムシとかの死骸が転がっており、箒で掃くのもちりとりで取るのも少しキツイものがある。

 

「ゆかりさんが来た時にここやらなくて良かった…」

 

どう反応するかはわからないが、けだマキがこの惨状を見れば失神するのではなかろうか。

 

「ん?セミか。ここに閉じ込められちまったのか」

 

窓のそばに落ちていたセミの死骸。おそらく入ってきたはいいものの、じーさんに窓を閉められてそのまま息絶えたのだろう。そしてそのままずっと放置されていたに違いない。

 

哀れには思っても、俺がすることは他のゴミと集めて捨てるだけ。気の毒だが、こんな所に迷い込んだ自分の不運を恨んでくれ。

 

「……さて、ここもだいぶ片付いたな」

 

元々この倉庫の2階は脆く、重いものはあまり置けない。そのためある物はデカいビニール袋などだけで、大した労力にはならなかった。

 

開けていた窓を閉め、元あった場所に物を戻す。これで倉庫は終了だ。

 

次は庭だが……その前に少し休憩しよう。

 

家に入り、縁側に座って庭を眺める。雑草がぼーぼーに生えまくり、未だに苔が残る池に水は無い。大きな木と、それを囲うように生えた低木はそこまで手入れされた様子もない。

 

「……あの木、またでかくなったんじゃねえかな」

 

俺がガキの頃からあった木。確か梅の木だったか?あの時はせいぜいそこらの木より少し小さいぐらいだったのに、今では結構見上げるぐらいになっている。

 

「しばらく見ねえ内に成長したのは、お前らもだったってことか」

 

木に限らず、そこらの雑草も背を高くしてまあ茂っていること。変なシンパシーを感じるが、俺はコイツらを引っこ抜いては捨てなきゃならない。まだじーさんが生きてたなら畑の肥料にでもなったんだろうがな。

 

「……そういや仕事、どうすっかな」

 

引越しということで特別に休みをもらえている今現在。だがそのうちまた大学へ通うようになるだろう。

 

金は今までそこそこ貯まった貯金と、遺産金がある。だが収入が無ければ金もやがて尽きるだろう。田舎だから家の維持には大金払う必要が無いものの、遠いキャンパスへ行くための交通費が馬鹿にならない。

 

車で行こうにも最近はガソリンの値段も上がってるし、駐車代に電車代もろもろ大変なことになっている。

 

だがここで立ち塞がるのが『田舎』である。店が少ないが人口も少ないため人手は足りる。結果、俺みたいな学生アルバイトを雇う店は無い。

 

かすかな希望とすれば、ラーメン屋だろうか。何故か知らんが田舎所の飲食店はラーメン屋が多い。だが自給自足のできるここいらでは客入りが少ないかもしれん。それだとさらに希望は微かなものになる。

 

「大学方面にいい感じの店があればいいんだがな……県またいで行くからバイト入れると家に帰るのが深夜とかになりそうだ」

 

こうなったら俺も農業始めてみるか?いや、俺みたいなど素人が作ったものを買ってくれるような人がいるわけが無いか。

 

「……フンッ!」

 

勢いよく頬を両手で叩く。ウジウジしているとじーさんが飛んできてぶん殴られちまう。バイトを探しつつ、手探りでも農業に手を出していけばいいんだ。売れなかったら自分で食えばいいんだから。

 

「さ、休憩終わり!最後の一仕事だ」

 

軍手を付け、手鎌を取り出す。背の高い雑草を切り根っこを掘り返してはゴミ袋へと入れていく。たまに虫と出くわすこともあるが、手前で鎌を軽く振ればどっかに行ってくれるから気にしない。

 

それにしても、しゃがみながらの作業になるから膝や腰が痛くなるな。足の筋肉も血がうまく流れなくて痺れてくるし。

 

「……ふぅ、よっこいせ」

 

適度に立ち上がっては軽いストレッチをし作業に戻る。あの木や池がある分、思ったより広い範囲をやらなくて済みそうなのが救いか。

 

しかし、何故かは知らんが普通の掃除と違って黙々と雑草の処理をするのは暇だと感じてしまう事がある。

 

「……この雑草らにあかり草が混じっていたりして」

 

ありもしない事を言って自分で苦笑していると、不意に肩を誰かに叩かれた気がした。

 

「あ?」

 

後ろを振り向くが、誰もいない。気のせいかと雑草を摘み取っていると、今度は頭に違和感を覚えた。

 

手をやってみると、パサリとした乾いた感触がある。見てみると枯れ葉が乗っかっていた。

 

木から落ちてきたのかとも思ったが、見た限り他の枯れ葉らしきものは見当たらない。風も吹いていないというのに、不思議なこともあるもんだ。

 

そう思って前へ向き直る。俺は間近にあった顔と目が合った。

 

「わぁ」

「わあッ?!」

 

驚いて後ろに飛び退く。いつの間にやらそこにいたあかり草は、表情を崩すことなく揺れている。

 

「なるほど、つまりはそういう事か」

「わぁ?」

「さっきからちょっかいかけてきたのはお前だなあかり草」

「……わぁ?」

「今日という今日は許さないからな。とっ捕まえてやる!」

「わぁ!」

 

飛びかかった俺をあかり草は地面に潜って避ける。別の場所に生えたあかり草を追って、また潜って。俺とあかり草の鬼ごっこが始まったのだった。

 

 

その時かすかに誰かの笑い声がした気がしたが、血が上っていた俺はすぐに頭から落としていた。

 

ゆかりさん達側の話いる?

  • その時その時の心情回
  • たまに主人公などに対しての心情回
  • このまま主人公視点のまま
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