※注意※
この話には以下の要素が含まれます。
・ご都合主義
・ほのぼの初心者
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一話の別のキャンパスに移るという部分を修正しました。キャンパスは変わりません。
とうとう休暇が終わり、また大学へと通う日々が始まった。
引越したとしてもキャンパスが変わることはない。大学はどのキャンパスによってどの学部学科があるかを分けている。そのため東京にある大学まで、このド田舎から向かわねえといけないわけだ。
高速道路、電車、もろもろ使って片道3時間以上。わざわざ電車を使うのは俺が働ける場所を探すためだ。車で全部やるよりも、駅出て軽く見て回る方が都合がいい。
まあこんな事をしてたら、家を出る時間、帰る時間はかなりキツイものにはなるが。寝る時間変えたらニキビとかできるから嫌なんだけどなぁ。
そんなわけで、9時開始の一限に間に合うために慣れない早朝に起きたせいで睡眠不足だ。普段も結構鍛えてガタイがいいからか他の生徒から避けられやすいのに、おまけで寝不足で顔が曇ってると外見最悪だ。あ、2度見された。
居心地の悪さに堪えながらも目的の教室に着く。基本的に大学の講義は自由席なため、俺は黒板側の窓際の席に着いている。外が見える席ならまだ眠る可能性は低いからな。
「…ふぁああふ……」
「おっはよーうさん!」
「うごっ」
今となっては少し懐かしくも感じる背中への衝撃。振り向けば見知った赤髪の女が一人。あくびが出た油断を突かれたからか、いつもは声一つ上げずに済むどつきに対応できなかった。
「お?反応したか?いま反応したやんな?ということはウチの勝ちか?」
「やかましい。それに毎度毎度勝手に勝負にしてるんじゃねえ」
「でも対抗しとるやろ?つまりアンタは勝負に乗ったんや」
小賢しい理論を述べてはドヤ顔をするソイツに呆れていると、その後ろからまた見知った顔がこちらへ近づいてきた。
「お姉ちゃん、また変なことしてるの?」
「変なことはしとらへんよ?これは、そう。
「はいはい
「ちょー適当にあしらわんといて」
「おはよう葵」
「おはようございます中尾さん」
「あ、ウチ無視?」
外見は髪色を除けばそっくりな2人。俺が引っ越すまでは同じ寮ぐらしの仲間であり、今まで俺が生きてきた人生では滅多に見ない『双子』だ。
関西弁を喋ってるのが姉の琴葉茜。一年生のはずなのに、反応がいいからと4年生である俺に何かと突っかかってくるど阿呆だ。
礼儀正しい良い子が妹の琴葉葵。何かと騒がしい姉とは違って静かで物分りがいい。暴走する姉を止めるでなく微笑ましそうに見ているだけなのは頂けないがね。
それにしても、改めて見れば髪の色以外で外見で判別できない。薄い赤色と薄い青色、これが同じだったら何かとトラブルが起きそうだ。まあ、すぐ性格や態度でわかるようになるから初見だけの話だが。
「んー?なんやなんやウチらの事ジッと見て。浪花の超絶美少女であるウチらに惚れたか?」
「まあ側は美少女だよな」
「え……あははそんなん当たり前やんウチと葵は最強なんやで今更わかったんかアカンでせめて最初ぐらいに気づいとかんと」
「コイツ皮肉が通じねえ」
「お姉ちゃん……」
『側は』の部分をすっ飛ばして何やら早口になっている茜。ここまでアホが来ると心配になってくる。
「……っと、そろそろ講義始まるぞ。席着いとけ」
「そうですね。ほら、座るよお姉ちゃん」
「ほえ?ああ、せやな葵」
茜の肩を押して俺の一列後ろの席へ座らせる葵。姉の手綱を握ってるのも大変だな。
さて、講師も到着し一限目の講義が始まった。大学の講義なんてものは小〜高校の授業みたいに指名されたりはせず、資料や参考書の範囲を1時間半ほど読み上げ、簡単な解説をするばかり。後は家なりなんなりで復習して理解してね、である。
ここで注意すべきは、スライドや板書きの写し間違い……等ではなく。
「…んひひっ」
「お姉ちゃんまたやってる…」
「………………」
シャーペンの先っちょで俺の背中を突いてくる茜である。これも俺が反応したら負け、という勝手なルールを設けられている。講義に集中しろよ、だから中間試験の時も前日にヒィヒィ言いながら勉強することになるんだぞ。
まずこれが気を引いて講義に微妙に集中できない。確かに講義は面倒で、後でネットに挙げられている資料を見たりすれば何とかなるようなものではある。だからといって、知らない仲ではないとはいえ暇つぶしに上級生の邪魔をするのは如何なものか。
ゲームに乗るのは癪だが、これで反応して『ウチの勝ち〜』だなどと調子に乗らせる方が面白くない。そんな俺をいいことに、茜は背中をツンツンツンツンツンツンツンツン。
初めは葵が止めてくれるかと思っていた。しかしこの子、姉のことになると途端に甘くなる。おいたが過ぎる姉への厳しい目ではなく、微笑まし気な優しい目をするのだ。それがわかってからは葵に頼ることはやめた。
そんなこんなで何とか耐えつつ講義終了。終わると同時に振り向きアイアンクローかました俺は悪くない。
「いだだだだ!ちょ、待って待って待って!」
「甘んじて受け入れるべき、そうは思わねえか葵」
「そうですね。お姉ちゃんの痛がる姿かわい……んんっ、お姉ちゃんにはいいお仕置きになると思います」
「これ以上やったら食い込む!ウチの頭が凹むていだだだ!」
このまま凹ませてやってもいいのだが、次の講義は別棟の教室。移動時間を考えるとそろそろ離してやったほうがいいか。
「ぐ、グリグリよりも痛い……」
「次はそれでやってやろうか?」
「アカンて。それだけはアカンて。道彦のグリグリは頭凹むどころか潰れてまうて」
「……まあ冗談だ。そんじゃ俺移動するから。じゃあな」
「はい、四限で会いましょう」
「またの〜」
二限も終わり、昼休憩の時間がやってきた。食事する場所といったら食堂が一般的だが、俺はあまり人の多いワイワイとした場所が苦手だから空き教室で静かに昼食を済ませている。
「……いただきます」
食事前の挨拶はしっかりと。たとえ人が居ようとも、これは欠かさずしているのもじーさんの影響だ。
コンビニで買った塩むすびや鮭おにぎりらを頬張りお茶を飲みながら今後について考える。
まずは生活についてだが、朝4時に起きる事は決定だ。農家の朝は早く、前々から習慣づけてなきゃ朝には慣れない。
大学卒業後は農業ではなく普通に就職することも考えたが、それだと田畑が荒れ放題になる。そこから害獣害虫が他の田畑にまで広がってしまうのだ。
だがその分睡眠時間が少なくなるため、大学と入る予定のバイトが終われば、1週間以上の期間が無い課題のみをこなして後は眠ろう。
さて、肝心のバイトだが大学に来る途中で良さげな店を見繕った。大学に近いが駅からは少し遠い場所にあった喫茶店だ。それでもまあまあ客は入っていたし、今日の講義が終わったら寄ろう。
「……ごちそうさまでした」
さて、残りの講義も頑張るか。まだ時間あるし、教室に着いたら少し仮眠でもとろう。
「……んがっ?」
肩を叩かれた感触で飛び起き、寝ぼけ眼で周囲を見渡す。一人の男子が、俺のすぐそばに立ち物言いたげな表情をしている。
「…………っ」
急いでスマホを取り出し待機画面で時間を確認する。寝始めて2時間ほど経過、俺は三限中ずっと寝ていたらしい。
ということは、この男子は四限の席でここを使いたいのか。
「ああすんませんね。今退きますんで」
とりあえず掲示された資料で今回の授業を埋めるしかないか。引越しでだいぶ休んじまったから追いつくのが大変だ。卒業論文もやらんといけんし疲れるわ……。
「セーフ」
「お、随分急いどったやん。どないした?」
「いやぁ寝過ごした」
「講義中に寝るなんて珍しいですね。やっぱり引越しで色々と忙しかったんですか?」
「ん、まあな」
四限は琴葉姉妹と同じ科目だ。春期からひょんな事で絡むようになってから、秋期でも延長線上の科目で話したりとかするようになって。
「あ、なあ茜、葵」
「なんや〜?」
「どうしました?」
「もし良かったら、同じ科目で俺が休んでた間の板書きとか見せてくんないかな。スマホで撮ってすぐ返すから」
「ええで……ちゅっても葵の方がウチより纏められてるし、そっち撮らしてもらいー」
「私はいいですよ。確か……この範囲だったはずです」
「おう、助かる」
ノートを見せてもらうと、これまた綺麗に要点を踏まえて纏められている。蛍光ペンとかも使ってるあたり、余念は無さそうだ。
「凄いな。綺麗なノートだ」
「そうですか?えへへ、ありがとうございます」
「せやろせやろ?ウチの葵は天才なんやで」
「もう、お姉ちゃんったら恥ずかしいよ」
「ほんと葵は凄いなぁ……茜は?」
「うっ……いや、別にええやんウチのなんて。葵の見せてもらったんなら気にせんとってもええやろ」
「毎回私のノート丸写しだもんねお姉ちゃん」
「ほー、やっぱりか」
「はぐっ……」
そりゃ講義中は俺で遊ぶようなヤツだ。素直に学ぶなんてありえないとは思っていたが、まあ葵頼りになるのか。
「ほれよく見てみろ茜。葵はこんなに工夫して頑張ってるんだぞ?これきっとお前のためだろ。蛍光ペンとかの色も可愛いし、明らかに女子力とかも負けてるぞ?ん?」
「おぐ…おぐぐぐ……」
「えへへ、そんなに褒めないでくださいよ〜」
珍しくたじたじな茜に気を良くして攻勢を続けた。が、まあこんなに話していたら声を抑えてもバレるわけで。
「そこ、話したいなら廊下出ろ。満足したら教室に戻ってくればいい。それをしないなら静かにしてくれ」
「「「すみません」」」
無事に講師に叱られましたとさ。調子に乗り過ぎた…。
「そんじゃ今日もお疲れさん」
「お疲れやで……ん、なんでそっち行くん?」
「お姉ちゃん忘れたの?中尾さん引越したんだよ?」
「あ、せやったせやった」
またボケをかました茜へ呆れた視線を向ける。四限の始まりにも話題にあがっただろ。
「いやぁ、今まで同じ寮で暮らしとったし、ずっと一緒に寮に戻っとったからつい」
「あはは、確かに枠被った時は一緒に寮まで行ってたね」
この大学では、本来は男子寮しか存在しなかった。その一部を女子も使えるように改装したことで男女混合寮となっている。その分、規則を破った際の罰則は重い。
「それじゃあ、気ぃつけて帰りや」
「ああ、お前らもな」
「寮はすぐそこですし、心配はいりませんよ」
二人と別れ大学を出る。秋の冷たい風を感じると、少し胸が痛いような、変な感じがした。
講義受けて、寮に帰って、飯食いながら駄弁って寝る。そういや、結構アイツらと一緒にいた時間って長かったんだなぁ。
「……なぁ葵」
「なに?」
寮への道すがら茜は浮かない顔だった。葵は理由を聞かず、ただ並んで歩いているだけ。しばらくして茜はやっと、思いの丈を口にした。
「辛そうやったな」
「……そうだね」
「ウチ、今日はほとんどアイツの顔見ておらんかった。いや……見てられんわ、あんな顔…」
「……私も、いざ前にしたら…前までより他人行儀になっちゃった」
何も変わらない。そう、変わらなさすぎる。今まで通りの姿だったが、それが余計に不自然さと不安定さを強調している。何かと絡んでいた二人にはその内が容易にみてとれていた。
「ボロボロやで。アイツの大好きなじーさんが亡くなって、思い出の家を守るために何もわからん所に移って」
「その上、普段の生活を無理をしてでも続けないといけない。私たちにはわからない辛さを、あの人は一人で耐えてるよ」
わざわざ越す必要などあったのか。今からでもこっちに戻ってくればいい。まだ猶予は充分ある。
そのどれもが事実。助けも無しに抱え込めるものではない。だが聞かされていたのだ。彼の祖父はどんな人なのか、自分にとってどんな存在なのか。
顔を輝かせて話していた彼に、亡き祖父の家を、その思い出を守ろうとしている彼に、果たして自分を大切にしろなどと言えるだろうか。そんな事、言えるはずもない。
「……なぁ葵」
「……なに?」
「支えて、やりたいなぁ……」
「……そうだね。私たちぐらいは…」
足取り重く道を行く。傾いた日は、そんな二人を照らし、長い影を作るのだった。
ゆかりさん達側の話いる?
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その時その時の心情回
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たまに主人公などに対しての心情回
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このまま主人公視点のまま