仮面ライダーミスリックサーガ   作:式神ニマ

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どうもこんにちは。
今回いよいよ戦闘開始です。

そしてラストにはついに仮面ライダーが登場します。


Saga1  仮面ライダー~復活の勇者~③

◇◇◇◇◇

 何かがおかしい。アイリス・ルナレスの勘がそう告げていた。

 

 風の様に素早く、軽やかに。けれど、立ち塞がる者には暴風の様に容赦なく。

 火の手に揺らめく街を電光石火の速度で疾駆しながら、目につくデブリスを片端から切り捨てていく。コウモリ人間———『カブーラデブリス』はアイリスよりも上背があり、長い手足から繰り出される攻撃は驚異的だ。だが、旅の過程でもっと大型のデブリスすらも相手にしてきた彼女にとって、通常ならば大した知能も持たないカブーラなど、驚異のうちには入らない。

 

 でも…この数は理不尽すぎる…‼

 さっきから一体何体の怪物を切り捨てたのか、途中で数える事は放棄してしまったのでわからない。アイリスが握る剣———『神聖剣 パーラケイン』は彼女がパラディンに叙任された際に打ってもらった特別な一振りだ。その刃は軽量にして、だが非常に頑健。そう簡単に壊れる事はないと思うが、不測の事態はいつ起きるかわからない。

 

 ストック(在庫)はそんなに多くはないのだが———やむを得ない。

 

 アイリスは腰のホルダーから赤い薬瓶———ファイアライドラッグを取り出すと、それを剣の柄に装填する。

 

 〈FIRE ENCHANT〉

 剣が無機質な音声でエレメント解放機構の発動を告げる。次の瞬間、パーラケインの刀身は赤い炎の様なエレメントエネルギーに包まれる。カブーラ相手には最も有効打となる霊薬がこれだった。

 

 「キシャァァァッッッ‼」

 「や、やめろォ!放しやがれ、こいつっ…‼」

 前方で数人の兵士が5体程のカブーラに取りつかれ、身動きが取れなくなっていた。

 カブーラは今にも兵士達の喉輪に食いつかんとしている。息を整える間も惜しく、アイリスはデブリス目がけて突っ込んでいった。

 

 「ハアァァァァッッッッ!!!!」

 裂帛(れっぱく)の叫びと共に繰り出される、聖剣の一突きがデブリスを2体纏めて吹き飛ばす。弱点である炎のエレメントを纏った剣に刺し貫かれたデブリスが苦悶の叫びを上げ、絶命する。だが、ただやられっ放しで終わる程、デブリスたちも愚かではない。残りの3体がその翼を広げ、上空へと飛び上がる。無論、逃げたわけではない。渾身の一撃を放った直後のアイリスが、直ぐに次の行動に移るのは難しい。その隙を突かんと上空のカブーラ達は一斉に襲い掛かってきた。

 

 「着眼点は良いけれど…遅い‼」

 アイリスが叫ぶと、まるでその声に呼応するかの様に、彼女の腰に装備されたローブが波の様に揺らめき、次の瞬間、勢いよく伸展すると上空のカブーラを3体纏めて切り裂いていた。

 

 錬真術装備の1つ『ウェイビングローブ』である。一見ただの布の様だが、それには自在に形状・硬度を変える金属『オリハルコン』が錬真術によって編み込まれている。装着者の錬真力に反応し、ある時は刃に、またある時は盾としても使える万能装備だが、使いこなすには相当の訓練と素質がいると言われている。

 それだけで、目の前の少女が並の素質の持ち主でない事が伺える。

 

 「あ、あんた…一体何者だ…?」

 助けられた兵士が怪訝な声でアイリスに問う。だが、アイリスは「話は後です」とそれに応えず、兵士たちに向き直る。

 「あのデブリス——カブーラには炎の霊薬と銀製の武器が有効です。生き残っている兵士たち全員に装備する様に通達して下さい」

 「あ、ああ…わかった」

 「それと、必ず2人1組で対応する様に。飛んだ際には慌てず、アーククロスや槍などの武器で撃ち落として下さい。数は多いですが、それで確実に倒せます。…住民の避難は進んでいますか?」

 「そ、それが…中央広場にまだ大多数が取り残されている、という話だ…」

 「わかりました、そちらには私が向かいます。南門の詰め所に避難者が集まっているので、デブリス達をそちらに近づけない様にして下さい。それでは——!」

 言うが早いか、アイリスは身を翻し、中央広場に向けて弾丸の様に疾駆していく。

 

 「な…何者だよ…あの娘は…?」

 「あれじゃないのか…おやっさんの宿にパラディン様が泊まってるって噂になってたろ…」

 「マジかよ…俺、敬語使うべきだったか…?」

 兵士たちのそんな声も今の彼女には届かない。目で、耳で、皮膚感覚で、そして何よりデブリス達との戦いで培ってきた経験に基づく感覚で戦場の状況を掴みながら、一体また一体と、カブーラの群れを切り裂いていく。

 

 そんな中、やはりその経験が「何かがおかしい」と訴えかけていた。

 

 カブーラは吸血鬼(ヴァンピール)クラスタと呼ばれるグループに分類されるデブリスであり、その中でも最も低級の下級ヴァンピールと呼ばれる種類だ。人間の様な体躯をしているが、性質的には臆病な方で、(むし)ろ野生動物等を標的としている。人間を襲う時もあるが、それは相手が1人か2人程度の場合であり、人口密集地を、しかもこれ程の群れを成して襲撃した例など聞いた事もない。

 

 こうもあっさり防壁が突破された事も引っかかる。街の周りには衛兵たちが常に嫌忌剤を撒いている筈だ。種類によっては効かない者もいるが、カブーラ如きにそれも考え辛い。

 

 「まるで…何かに操られている様な…?」

 そんな考えが頭を過ぎった刹那、アイリスは開けた場所に飛び出していた。珍しく石畳で舗装された地面は中央広場の特徴だった。そして、広場の真ん中には街の名物である巨大な噴水が———噴水へと目を転ずると、そこには人々が押し込められ、その周囲をカブーラが10体程で取り囲んでいる様子が見えた。

 

 あれは…何をしているのだ?まさか、人質?

 

 その行動も下級ヴァンピールらしからぬ行動だ。だが、迷っている暇はない。アイリスは勢いよく、噴水へ向かって走り、瞬く間に2体のカブーラを切り裂いた。 残りの8体が一斉にアイリスに向き直るが、気付いた時にはもう遅い。ウェイビングローブがその形をまるで螺旋状の槍の様に変形させ、次の瞬間には残りのデブリス達は纏めてローブに貫かれていた。

 

 全てのデブリスを撃破し、アイリスは噴水に近づいていく。皆、血を吸われたのか血の気の薄い顔色をしていたが、息はある。どうやら血を僅かに吸われ、気を失った所をここに集められたらしい。

 

 「でも一体…何の為に…?」

 「おやおや…。もう少し粘ってくれると思ったんですがネ…」

 不意に背後から聞こえてきた声に、アイリスは慌てて向き直る。

 

 そこに立っていたのは1人の男だった。

 「いくら下級の木偶(でく)の坊どもといえども、まさか一瞬でやられてしまうとハ…。人間の中にも出来る者がいるのですネ。少し甘く見ていましたヨ。…で?あなたは一体何者ですカ?」

 

 話すのは明らかに人間の言葉。体格は全身が一枚布のローブの様なもので覆われているから分からない。覗くのは顔だけだ。その顔も造作は人間の様だが、血の気の無い青白い肌色や切れ長の赤い瞳からは、明らかに人とは異なる気配を感じた。

 

 「…その言葉、そっくりそのままお返しします。あなたこそ、何者ですか。人…ではありませんね?」

 「確かニ!人間などと一緒にされるのは酷く心外でス。本来なら人間相手に名乗りたくもないのですガ…特別に教えて差し上げましょウ。我らは『エルシングス』———あなた方人間からは『ジェネラルクラスデブリス』等と言う名で呼ばれておりますねェ…」

 男が不遜に笑うと、その口が耳元まで裂け、中から鋭く尖った歯が覗く。その姿、そして男が名乗った名に、アイリスは衝撃を受けた。

 

 将星級(ジェネラルクラス)

 それは、デブリスに対峙する者の間で語られる伝説の様なものだ。

 

 高度な知性と下級デブリスを指揮する力を持つとされる、デブリスの中核的存在が存在する、と言われている。大半はルーキーを怖がらせるだけの噂だと言われているが———まさか、目の前に立つこの男がそれだと言うのだろうか。

 

 「ン~?顔色が変わりましたネェ?恐れているのですカ?そう!そうこなくてハ!」

 男は喜悦の表情を更に濃くし、堂々と両手を広げる。ローブに隠されていた手は、びっしりと鱗で覆われ、猛禽の様な黒々とした鋭い爪が生えていた。

 

 「勇敢なあなたの武勇を讃えて、特別に名乗りましょウ‼我は吸血鬼(ヴァンピール)が長、『暗星のノクターヴ』‼以後、お見知りおき、ヲ!」

 

 ノクターヴと名乗った男が指をパチリ、と鳴らす。すると次の瞬案、カブーラが20体程、中央広場に降り立ってきた。

 「なんだ、残ったのはこれだけですカ?人間どももやるものですネェ…。いい感じで意表をつけたと思ったのですガ…」

 ノクターヴがつまらなそうにぼやくのが聞こえた。つまり、ここに集まったカブーラで最後という事なのだろう。アイリスはノクターヴに剣を突き付け、口を開いた。

 

 「暗星のノクターヴ…と言いましたね…。この襲撃を仕組んだのはあなたですか?」

 「その通リ!不思議に思いませんでしたカ?何故、腰抜けのカブーラどもが急に街を襲ってきたのカ。答えは簡単でス!私がこいつらにちょっと催眠術をかけてやったのですヨ。人間を襲いたくて堪らなくなれ、とネ…。一種のトランス状態とでもいうんですカ?お陰で嫌忌剤すら全く無意味だったでしょウ?」

 「…ッ!なぜ、その様な事を?」

 

 人はおろか、同類の下級吸血鬼すら貶める様なノクターヴの言葉に、アイリスは神経がささくれ立つのを感じた。だが、アイリスが苛立つのに呼応する様に、ノクターヴの顔はますます歪みを強くする。そして、ここにいない何かに宣言するかの様に、「決まっているでショウ!」と仰々しく両手を掲げ、叫んだ。

 

 「人間どもを襲い!喰らい!惨たらしく殺す事で!この地に消えない恐怖を刻み付ける為でス‼やがて、根付いた恐怖の紋は…我らが主、『魔王ディアバル』様を蘇らせるのでス‼」

 『魔王ディアバル』。その言葉にアイリスは衝撃を受ける。確かその名前は…

 

 「…!そんな馬鹿な…。魔王ディアバルは滅ぼされた筈でしょう?勇者ディライトの手によって…」

 「あァ…あの三文小説ですカ?私も読みましたヨ。あまりの馬鹿馬鹿しさに、笑いを堪えるのに必死でしたけどネェ!」

 ノクターヴが腹を捩らせる様にして哄笑を上げる。だが、『勇者ディライト』という言葉を聞いた瞬間、その声色が僅かに苛立った気がした。

 

 「残念ながら、我らが王は生きているのですヨ…!さぁ、お喋りはここまででス。あなたにも、我らが王の礎となってもらいましょうかァ‼」

 早口に言い捨てると、次の瞬間、ノクターヴの右腕が勢いよく伸展し、アイリスに向けて襲い掛かってきた。矢の如き速度で突如として襲い掛かる腕。確かに意表を突かれはするが————。

 

 「隙が多いっ!」

 

 アイリスは僅かな動作だけで、その右腕を逃れる。そして、そのままアイリスの後方へと流れていく腕を容赦なく切り飛ばした。

 

 「ギャアァァァァッッッッ!バ、バカなァァァッッッ‼」

 腕を切り落とされ、甲高い悲鳴を上げるノクターヴ。その隙を逃す訳にはいかない。アイリスは勢いよく駆け出し、ノクターヴの懐へと肉薄した。

 

 「ちょっ…!ま、待ちなサッ…‼」

 「待つわけないでしょう!」

 皆まで言わせず、右手のパーラケインを一閃。今度は左腕を肩口から一気に切り落とした。最早声も上げられず、膝から崩れ落ちるノクターヴを睥睨(へいげい)しながら、その喉元へと剣を突き付ける。

 

 「勝負を急ぎすぎたわね、ノクターヴ。あなたにも恐れる心がある様で安心したわ。さて、ディアバルが生きている、というのはどういう事かしっかり説明してもら————ッッ⁉」

 問いを途中で中断して、後方へと飛び退るアイリス。

 

 それもその筈、先程切り飛ばした筈のノクターヴの右腕が、切断面から再生し(・・・・・・・・)、再びアイリスを急襲してきたからだ。何とか直撃は免れたが、右手の先に咢の様に生え揃う爪がアイリスのフーデッドケープを掴み取り、引き裂いてしまった。

 

 「おやおヤ、素早いですネ。殺れると思ったのですガ…」

 ゆらり、とノクターヴが立ち上がる。なんと切断した左腕すらも、肩口から再び生える様に、僅か数秒で再生してしまった。

 

 「上級吸血鬼ですからねェ…これ位の再生能力はもっていますヨ。私を恐れるあまり、勝負を急ぎすぎたのはあなたの方ではありませんカ?…と、おヤ…?」

 不遜にほくそ笑むノクターヴの目がアイリスの一点を見て止まる。フーデッドケープを切り裂かれ、露出した少女の右肩。そこには広がる翼の様な、灰色の刺青が刻まれていた。ノクターヴが知るところではないが、それは先程レイトに手渡した、勇者ディライトの遺品に刻まれていた紋様と同じものだった。

 

 「クハハハハハッッッッ‼これは良イッ!あなたはパラディンでしたカ!素晴らしイ、実に素晴らしいですヨ!それでこそまさしく…ディアバル様への供物に相応しイッ‼」

 

 ノクターヴが猛る様に哄笑を上げ、全身を包んでいたローブを脱ぎ捨てる。それに呼応する様にノクターヴの肉体がおぞましい変化を始めた。人間の様だった青白い皮膚を突き破る様に、筋繊維の様な僧帽筋が肉体を覆い始める。生え揃っていた爪は更に長く、鋭利に伸展し、口内に生えた牙も更に肥大化する。背中の肉を食い破る様に身長の2倍はあろうかという翼が姿を現す。その先端にも黒々とした鋭利な爪が輝いていた。

 

 これが、上級吸血鬼の真の姿…!

 

 全身のフォルムは下位種たるカブーラとよく似ている。だが、全身から放たれる威圧感は全く違う。皮を剝がれたコウモリとでも言うべき、そのおぞましい姿にアイリスは全身が激しく震えるのを感じた。

 

 「クハッ!良いですねェ!恐れなさい、(すく)み上がりなさいッ!それでこそッ、ディアバル様の復活を早めるというモノッ!」

 より怪物的な変化を遂げたノクターヴの腕が、またしても猛烈な速度でアイリスへと躍りかかってくる。アイリスは縺れそうになる足を叱咤し、何とか転げる様にして攻撃を躱した。先程までアイリスがいた場所が爪に貫かれ、硬い石畳に深い穴が穿たれた。

 

 あんなの喰らったら、ひとたまりもない…!

 戦慄が体中を駆け巡る。だが、それが却って竦む足を立ち上がらせるいいきつけ(・・・)となってくれた。間髪入れずにノクターヴの左腕、そして背中の翼もがアイリスへと襲い来る。だが、アイリスも一方的に嬲られる気はない。躍りかかる爪撃を紙一重で躱しながら、パーラケインとウェイビングローブを閃かせる。上級吸血鬼の腕や翼に決して浅くはない切創が刻まれていく。しかし———、

 

 「無駄無駄ァ!それくらい、いくらでも再生するんですヨッ!」

 腕をいくら貫こうとも、翼爪をいくら切り落とそうとも、傷は立ちどころに再生し、勢いが衰える事は全くない。アイリスのパーラケインもそうそう傷つくことはないが、手ごたえのない戦闘を繰り返していても疲労感が蓄積されていくばかりだった。

 

 「なら…!これはどうっ⁉」

 アイリスは剣にファイアライドラッグを装填した。炎熱のエレメントを纏った刀身が上級吸血鬼の肉体を切り裂く。もし、効果があれば肉体の再生を少しでも阻害できる筈なのだが———。

 

 「だ・か・ラ!効かないと言ってんだろウッ、小娘がァ‼」

 「…っ‼」

 

 身体に纏わりついた炎のエレメントは、しかしノクターヴの叫びに搔き消される様にして霧散してしまう。苛立たし気な怒声と共に、砂塵を突き破りノクターヴの腕が鞭の様にしなりながら、アイリスへと飛来した。爪の一撃と違い、範囲が広い横薙ぎの攻撃。避けられない、という思考が脳に到達する間もなく、腕鞭がアイリスの腹を強かに打ち据えていた。

「……ぁくっ…!かはっ…!」

 敵を前にしてせめて無様な声だけは上げまいとしてきたアイリスだが、臓腑を揺さぶられ、呼吸が乱れる声までは隠しようがない。丸太が打ち付けられた様な衝撃と共に、アイリスは後方へと吹き飛ばされ、地面へと激しく叩き付けられた。衝撃に少し遅れてアイリスの全身が痛みを訴えかけるが、怯んでいる暇はない。先ずは素早く全身状態を確認し、動けるのなら直ぐにでも立ち上がらなければ。炎のライドラッグは通用しなかったのなら、別のを試せばいいだけの事だ。次は雷か水の霊薬を———。

 

 「いい加減…諦めて貰いましょうカァッ!」

 アイリスが体勢を立て直す暇も与えず、爪の咢が真正面から突撃してくる。だが、アイリスの体が爪牙に刺し貫かれることはなく、長い指に首を鷲掴みにされ、そのまま上級吸血鬼の足元まで引き倒された。

 

 「…くはぁっ…!」

 「おやおヤ…やっといい声で啼いてくれましたネェ…。その調子で今度は無様な命乞いでも聞かせて貰いましょうカ?」

 

 アイリスの眼前に鋭い爪が突き付けられる。それと同時に喉輪を締め付けていた爪の拘束が僅かに緩むが、それでも全身が万力の様な力で押さえつけられ、指の一本も動かすことが出来なかった。

 

 だが。

 「そんな事…するわけ、ないでしょう…」

 ノクターヴのにやけ顔を精一杯睨めつけるながら、アイリスはなんとか声を絞り出した。全身を押さえつけられ、死の気配を間近に感じながらも、決して手にしたパーラケインを手放すこともしない。ノクターヴは苛立たし気に舌打ちをもらす。

 

 「パラディンの誇り、という奴ですカ…?死の際まで、そんなものを後生大事に抱えテ…くだらなイ…実にくだらないですネェ…」

 「……くだらなくなんか、…ないっ…。パラディン…いえ、人間は…あなた達(デブリス)になんか決して屈しない…」

 「それガ!くだらない、と言ってるんですヨッッッ!!!」

 我慢も限界だと言わんばかりに、ノクターヴが吠えた。

 

 「貴様ら人間ハッ!惰弱な下等生物の癖しテッ!何度プチプチ踏み潰しても、諦め悪く増殖しテ!おまけにディライトだのパラディンだのと、力を手にした途端にイキり倒しテ!我らが同胞を何千何万も殺しやがっタ!馬鹿にするのも程々にしろってんですヨッ‼」

 「…それは…あなた達も同じでしょう…⁉」

 「下等生物と我らデブリスの命じゃ重みが違うんだヨッ!てめェ等人間は素直に我らが王の贄となって生きりゃいいんダッ‼」

 最早口先だけの慇懃さなどかなぐり捨てている。上級吸血鬼の圧倒的な膂力がアイリスの体を持ち上げ、そのまま石畳の上へと叩き付けた。受け身を取る暇すらない。全身を圧する圧倒的な痛みに、アイリスは遂に握っていた剣を手放してしまった。

 

 「決めましたヨ…。あなたの体を千々に引き裂いて、住民どもの前に叩き付けてやりましょウ…。パラディンは人々の希望なのでしょウ?それが無様に敗北した姿を見せつけてやれば、一体どれ程の絶望と恐怖がこの地を埋め尽くすことカ…!残念でしたネェ…あなたの使命とやらも徒労に終わりそうダ…」

 最早笑っているのか怒っているのか。人間の言語では判別できない様な歪んだ面相を貼り付けたまま、ノクターヴが身動き一つ取れないアイリスへとにじり寄ってくる。その両腕の爪があちこちから上がる火の照り返しを受けて、ぬらりと妖しい色合いで光る。戦慄が体を駆け巡るが、それでもアイリスは静かに「…やれるものなら…やってみなさいよ…」と声を絞り出した。

 

 分かっていた事だ。この道を選んだ瞬間から、いつか自分も路傍のゴミの様に打ち捨てられ、その命を散らす瞬間が来るかもしれないと覚悟してきた。それが偶々、今日のこの瞬間だったというだけでしかない。だが、全てを諦めた訳では決してない。アイリスには確信があるのだった。1人での旅の過程で、己が“使命”に何度も向き合ってきたからこそ得られた確信が。

 

 「言ったでしょう…。人はあなた達になんて…絶対に屈しない…。どれだけ弱くても…人は僅かな希望があれば、それだけで明日へ踏み出せる……。そんな図太い存在よ…。私が希望なんじゃない…。私の“使命”は…この世界に希望の足跡があるんだって事を示すだけ…。私が残せたものなんて、たかが知れてるかもしれないけど…それでも、きっとそれだけでまた人々は立ち上がる…。残念ね…徒労に終わるのはあなたの方よ…」

 諦観ではない。ただ強い確信を込めて少女は僅かに笑って見せた。対する様にノクターヴの顔に怒りの色が浮かび、「いつまでも減らず口ヲッ…!」と爪を振り上げた。

 

 体が刺し貫かれ、自分の命はもう直ぐ散る事になる。その僅かな一刹那の合間に、アイリスは自分が残せたかかもしれない“希望の足跡”へと思いを馳せた。

少し頼りなくとも、見ず知らずの他人の為に身を投げ出す勇気を持っている少年。最後に無責任な約束をしてしまった事が心残りだが、きっと彼なら———。

 

 〈ARROW…LOADING…〉

 

 沈みかけた思考に水を差したのは、耳障りな合成音、そして風を切って飛ぶ矢の飛翔音だ。高速で飛来したアーククロスの銀矢が、今にも少女を貫こうとしたノクターヴを穿ち抜き、僅かによろけさせた。

 

 「彼女から離れろ!」

 一体誰が…?と問う間もない。そう響いた怒声がその答えを雄弁に物語っていた。

 顔に虚勢のような、しかし確かな覚悟と怒気を滲ませながら、アーククロスを構えて佇むレイトの姿があった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 「レイト…⁉」

 アーククロスを構え、怪物の前に立ち塞がったレイトの姿を見止めたアイリスの口から、案の定驚きと困惑が入り混じった声が漏れる。逃げろと確かに伝えた筈のレイトがここにいるのだからその反応も至極当然、というものである。こりゃ後で怒られるかもしれないな…、という不安感はしかし、石畳の上に傷だらけで横たわる彼女の姿を目にした途端に霧散した。

 

 変わりにこみ上げてきたのは、その暴状を引き起こしたであろう目の前の怪物に対する怒りだった。それは、全身を筋繊維の鎧で覆う圧倒的な異駆への恐れなど消し飛ばす程の焦熱の感情となって、レイトの体中を駆け巡っていった。

 この惨禍を引き起こした元凶は間違いなく目の前のこの怪物だ。こいつを倒さなければ、何も解決などしないだろう。

 

 「やめて…レイト…。あなたじゃ…そいつには…!」

 アイリスが息も絶え絶えに叫んだ。必死に体を起こそうとしているのも見えるが、痛みが酷いのか、声を出すのもやっと、という感じだ。今すぐ彼女に駆け寄って、傷の状態を確認したいが、今はこの目の前の怪物から目を離す訳にはいかない。レイトはアーククロスを構えたまま、アイリスの壁になる様に怪物の前に立ち塞がった。弩弓には既に射出成型機から精製された新しい矢が番えられていた。

 

 「おやおヤ…カッコいいご登場ですネ。あなたの騎士(ナイト)ですか、パラディン殿?」

 嘲弄を帯びた声で怪物が口を開く。堪えた風もなく、脇腹に刺さった銀矢を引き抜く。すると、穿たれた傷痕がたちどころに再生して消えていった。

 恐ろしい再生能力だ。生半可な攻撃では全く効果を成さないだろう。

 

 「だが、無駄ですヨ。これしきの攻撃で、この暗星のノクターヴを倒せると思ったら大まちが———」

 暗星のノクターヴと名乗った怪物の言葉を喘ぎる様に、レイトは再度アーククロスの引き金を引き絞った。ひゅうっ!と疾風の速度で射出された銀のボルトがノクターヴの眉間を深々と貫いた。頭部周辺は言うまでもなく人体———いや、あらゆる生命体にとっての急所の密集地だ。あれだけ深く矢が突き刺されば、即死もあり得る。

 

 だが。

 「話の途中で撃つとハ…!無作法な真似をしてくれますネ…‼」

 「…っ!」

 眉間の矢を乱暴に抜き去り、怪物が憎々し気に吐き捨てた。

 予測はしていたが、全く効果はない様だった。言葉を話すデブリス、というだけでも特別な存在である事はわかるが、このノクターヴという名のデブリスの再生力は尋常なものではないようだ。

 アイリスが先程言おうとしていた通り、自分では恐らくどうする事もできないだろう。

 だが、だからといってこのまま引き下がる気は毛頭ない。気を抜けば襲い掛かってくる恐怖を必死に飲み下しながら、レイトはアーククロスを再度怪物に向けた。

 

 「もう…やめてっ…!」

 直後、少女の声が背後で爆ぜた。痛む体に鞭打つようにアイリスが必死の思いで叫んだことが分かった。

 

 「レイト…逃げてって…言ったじゃない…!あなたが…これ以上…命を懸ける理由なんて———」

 「うるさいっ‼」

 アイリスの呼びかけにレイトの怒声が被さる。同時にレイトは今の自分がひどく怒っているのだと自覚した。目の前の、一方的に人の尊厳を蹂躙しようとする暴虐の意思に。そして何よりも、それに対して太刀打ちする事もできない自分自身の弱さに。

 

 「わかってるよ…!自分がどれだけ弱くて…、今ここにいる資格もないんだって事くらい…!」

 

 生来の臆病さと卑屈さを言い訳にして、ただ変わる事から逃げてきた日比野玲人という人間。それこそが、あの息苦しさから逃れられない日々の根幹だった。だからか、心の奥底ではいつも思っていた気がする。

 

 自分が生きている、という事にはきっと何の意味もないだろう、と。

 

 「それでも…!もう逃げたくないんだ…‼」

 幼馴染の少女を凶刃から庇った際。だが、あれは立ち向かったのではない。あの時の自分は逃げ出したのだ(・・・・・・・)自分如きどうなっても構わない(・・・・・・・・・・・・・・)、という自棄の様な思いで、その命を差し出したに過ぎないのだ、と今は思えた。よもや自分自身が、誰かの心の穴になるかもしれない、等とは想像もせずに。

 

 今際に見た、櫻井明日未の慟哭がフラッシュバックする。あの時、自分はどうしようもなく悟ったのだ。

 

 命が失われる、ということは。

 それだけで、誰かの心に消せない穴が穿たれるという事なのだと。

 

 なればこそ。

 「命を失う痛みも…大切な人を奪われる悲しみも…これ以上誰かに味わわせたくない…!もうそこから…目を逸らして逃げたくもない…!今、逃げない理由は…それだけで沢山だ‼」

 

 転瞬。

 その思いに呼応する様に、レイトの懐から激しい光が漏れだして来た。懐中に手をやると、出てきたのはアイリスから託された、あのメダリオンだった。ただの石材の様でしかないそのメダリオンは、しかしその内から何かが生まれ出でようとしているかの様に、光の鼓動が高まっていった。

 

 「一体…何が…?」

 レイトの口から疑問が漏れる。次の瞬間、まるでそれに応える様にメダリオンが溢れる様な輝きを放ち、レイトの意識もろとも全てを包み込んでいった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 意識が明瞭となるまでにどれ位の時間がかかっただろうか。一瞬の様であったかもしれないし、永久の時を過ごした様にも感じられた。だが、レイトは気付くとただ真っ白な虚空の中にぽつねんと佇んでいた。

 

 「…っ⁉どこだよ…ここは…?」

 まさかもう涅槃(ねはん)の淵にいるとか…?そんな不穏な想像が頭を駆け巡りかけた刹那。

 

 〈応えよ…。貴様は…どう在りたい?〉

 「…は…?」

 声が聞こえた。

 男とも女とも、老人とも若人とも、生き物とも機械とも捉えられない不可思議な声が。

 周囲から反響して聞こえた様にも、心の内から滲み出てきた様にも感じられる声が、テイトに問いかけてきた。

 

 「ちょっと待てよ…。ここは何処で…あんたは誰なんだ?」

 〈応えよ…。貴様は…どう在りたい?〉

 レイトは疑問を投げかけるが、声がそれに応える様子はない。ただ、先程と同じ問いを繰り返すのみ。レイトは混乱する頭で、取り敢えず周囲を見渡してみる。相も変わらず、何も目につくものがない、ただ光の奔流だけで構成された様な空間。さっきまで確かに近くにいた筈のアイリスやノクターヴすら見当たらない。

 

 もしかしなくても、ホントに死んでしまったのだろうか。確か、ここで目覚める直前、アイリスから渡されたあのメダリオンが、眩い輝きを放ったところまでは覚えているのだが———。

 そこまで考え、レイトはハッと気付いた。

 

 「まさか…あんたは…勇者ディライトなのか…?」

 〈肯定する。…問いを変えよう。貴様は、我が力を引き受ける覚悟はあるか?〉

 やはり…!

 

 あのメダリオンは勇者ディライトの遺品、と言われていた物だった。状況から察するに、この不可思議な空間に連れてこられたのは、あのメダリオンに込められた勇者ディライトの力が働いた、という事なのだろう。信じ難い気もするが、異世界転生やら人を脅かす怪物との遭遇やらを経験した身には今更…という話だ。

 

 それよりも、先程の問いで気になる事が1つ。

 「力を引き受ける覚悟はあるかって…そう言ったよな…。それは、かつて世界を救った勇者の力を使える様になるって…そういう事でいいのか?」

 〈肯定する〉

 「…そうか…。その力があれば…俺でもデブリスと戦う事ができるか?アイリスや街の人々を…守る事ができるか?」

 〈それは…貴様次第である、と返答しよう〉

 「そうだな…あくまでも俺自身の覚悟の問題か…」

 

 レイトは己が心に問いかけた。どれだけ強力な力を手にしたとしても、それを使って戦い抜く覚悟がなければ、ただの宝の持ち腐れで終わってしまう。自分にはあるだろうか?かつて世界を救った、と言われる程の力を引き受ける覚悟が。

 

 …いや、考えるまでもない事だ。既に誓ったではないか。死す痛みも、奪われる悲しみも、もう他の誰にも背負わせないと。その為には、逃げずに立ち向かえるだけの力が必要なのだ。

 

 ならば、答えは1つしかあり得ない。

 

 「わかった…。引き受けるよ。あんたの力を」

 〈…後悔はせぬか…?〉

 「さぁ…?いつかする時が来るのかもしれないけど…でも今は…ここで逃げる方が絶対に後悔する」

 〈…では…よかろう〉

 

 白き虚空からあのメダリオンが姿を現した。それは、また強く輝いたかと思うと、光の粒子の様に散らばっていき、レイトの中へと吸い込まれていった。

 

 〈これより継承を開始する。付加された制約により、力の全てを受け継ぐことは出来ぬが、この局面を脱する事はできるだろう〉

 「わかった…。1つだけ…教えてくれ。あんたの力を受け継ぐと、具体的にどれ位の事が出来る様になる?」

 〈それもまた、貴様次第である…と返答しよう。どういう力で在りたいかは、貴様自信が決めるといい…〉

 

 その言葉を最後に、空間がまたしても強い輝きを放ち始める。そして、輪郭さえも溶け出すように光の渦にレイトはまたしても飲まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 メダリオンが強い輝きを放ち、レイトをあの白い空間へと誘っていたのは、現実時間にしてただの一瞬にも満たなかったらしい。ノクターヴは依然として傲然と佇み、アイリスも立ち上がれる程には体力を回復させていない。状況は何1つ好転していない様だった。

 

 だが、明確な変化が1つだけ存在していた。

 レイトの腰にベルトの様な器具が出現していたのだ。

 

 〈ディライトドライバー!〉

 

 ベルトが名乗りを上げるかの様に叫んだ。その言葉の意味は誰にも理解出来ていない。だが、レイトだけにはピンとくるものがあった。

 

 「力のあり方を決めるのは俺…って、そういう事だったのか…」

 

 ベルト状のアイテム。ドライバーという名前。そしてレイト自信が思い描く、「力」のイメージ。思いつくものは1つしかあり得ない。

 

 レイトは腰のベルトを触れ、その構造をよく確認する。先程のディライトのメダリオンが中心に据え付けられ、その左右には何かを差し込むかのようなスロットが開いている。

 

 「このスロットは…?…いや…わかった…こうか…」

 レイトは懐から何かを取り出した。黄色に輝く薬液が充填された小瓶。レイトが所持していた、あの謎のライドラッグである。

 

 レイトは薬瓶の側面に配置されたスイッチを押し込む。プシュッ、と空気が抜けたような音と共にライドラッグが強い輝きを放った。それを右側のスロットに装填する。

 

 〈ライト!〉

 ベルトがまたしても声を上げる。次いでレイトはアーククロスから銀の霊薬を引き抜くと、それを左側のスロットに装填した。

 

 〈シルバー!ファンタスティック‼栄光のレシピ!〉

 左右のスロット両方にライドラッグが装填された途端、ベルトが一際大きな声で叫びを上げた。次の瞬間、戸惑うアイリスやノクターヴを他所に変化は始まった。

 

 ベルト中央に据え付けられたメダリオンに2つの薬液が充填されていき、最大まで貯まったところで、メダリオンが2つの光の粒子を放出した。1つはシルバーライドラッグ同様の銀色の光、そしてもう1つは黄色の光だ。それらはやがてレイトの頭上を旋回し、1つの渦の様なゲートを形作っていった。

 

 やがてゲートから銀色の人型の鎧とエレメントエネルギーで構成されたグローブや仮面といったパーツ群が飛び出してきた。それらがレイトの周りを旋回する様は、まるで夜闇を飛び交う星の様でいて、アイリスとノクターヴは息を飲んだ。

 

 レイトはベルト横に付いたスイッチにその指をかけた。これを押し倒すと、恐らく何が起こるか、レイトは多分わかる。そして、その名を名乗る事(・・・・・・・・)は、レイトにとって決して軽い事ではない。

 

 確かにこれは覚悟を問われているのだろう、と思えた。もし、この力の形(・・・・・)をレイト自身が選んだとするなら、もう容易に戦いから降りる事は出来ないだろう。それは即ち、その名を貶める(・・・・・・・)事にほかならないからだ。脳の冷静な部分が、いいのか?と問うてくるのが聞こえた。恐らくそれが引き返す最後の一線なのかもしれない。

 

 だが、レイトには引き返す気はなかった。その名を使う事がこれ程までに重くのしかかるのならば、寧ろ丁度いい。その名を、自分が逃げない(・・・・・・・)為の覚悟に(・・・・・)してしまえばいいのだ(・・・・・・・・・・)

 

 レイトの手がベルトのスイッチにかかる。そしてレイトは、今自分に命じるべき、たった1つの言葉を口にした。

 

 「…変身!」

 〈オールセット、ディライト!〉

 

 レイトが掛け声と共にベルトのスイッチを押し込む。次の瞬間、ベルトがこれまで以上に眩く輝きを放ち、レイトはその光の中に吞まれていく。光の奔流の中でレイトは己の身の内から、強烈なパワーが湧き上がっていくのを感じた。

 

 まばゆい光に目を凝らしながら、やがてアイリスはレイトの体が徐々に輪郭を崩し、変化していくのが見えた。体全体が鎧の様な金属質の装甲で覆われていき、少年の顔すらも包み込んでいく。更に周囲を旋回していた輝くエレメントのパーツ群が、レイトの顔や手足、胸部へと吸い込まれるように装着されていった。

 

 やがて光の渦が終息していくと、そこに立っていた筈のレイトは全く別の姿に変わっていた。体全体は白銀色の鎧で覆われ、手足・胸にはそれぞれ黄色に輝くグローブ・ブーツ・胸甲が装着されている。変化は顔すらも例外ではなく、頭全体も白銀の鎧に包まれていき、人間の目に相当する部分には円形の青い複眼が配置される。更にその上を黄色のエレメントが包み込み、3本の角や仮面状のパーツを形成していった。

 

 〈ライトアップブレイバー!ミスリックナイツ‼〉

 

 ベルトが謳う様に高らかに宣言する。最後にディライトの右肩からマフラーの様なエネルギーが吹き出し、“変身”が完了した。先程まで震える様にしていた少年の姿はない。一切の怯みなく、堂々と佇むその姿は間違いなく戦士の姿だった。

 

 「なんですカ…?その姿ハ…⁉」

 その威風に気圧された様にノクターヴが尋ねる。戦士は静かに上級吸血鬼を見つめ返し、だが間違いなくレイトの声で答えた。

 

 「今、名づけよう…。仮面ライダーディライト…ミスリックナイツだ!」

 




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