仮面ライダーミスリックサーガ   作:式神ニマ

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本編に登場する怪物『デブリス』達について解説します。
性質上、ネタバレがありますのでご注意を。


File05 怪物図鑑

《デブリス》

「かつて、大陸で隆盛を極めていたかの帝国が、天の神を地に堕とそうとした。それによって開かれた常闇の門を潜りて、あの『デブリス』共はこの世に現れる事となったのだ」

——『勇者降臨伝』より

 

 デブリスと呼ばれる怪物達の起源がいつ、どこで、どの様な理由によるものか——。今となってはそれも分からない。ドランバルド連合共同体の結成はデブリス打倒を目的としたものだから、少なくとも130年以上前であるのは間違いない。

 だから実際のところ、勇者ディライトの伝記に記されている様に、謎の帝国(シドニアではないらしいわ)なるものが常闇の門を開いた、という記述が正しいのかも定かではない。ただ分かっている事は…彼らが人類に対して脅威でしかないという事。

 デブリスは全部で『吸血鬼(ヴァンピール)』『巨人(タイタン)』『妖精(フェアリー)』『野獣(ビースト)』『幽霊(ゴースト)』『(ドラゴン)』『悪魔(デモニック)』の7つのクラスタに分類され、それぞれで姿も生態も特徴も全く異なっている。共通点は彼らが体内に『デブリス細胞』という特異な細胞組織を持ち、それらが世界に対して非常に侵略的な毒物となる、という事。

 このデブリス細胞に汚染された土地は作物を育てなくなり、生き物も住めない環境へと変わってしまう。また生物が触れれば、『デブリス病』という謎の病を発症し、悪い時では死亡、もしくはデブリスへと変えてしまう事さえある。そうして長い間、人々は世界を蝕む恐怖に怯えながら生きてきた。

 パラディンとして旅をしながら、実際にいくつもの怪物達と相対し、その存在を真正面から見つめてきたつもり。ただ醜悪だと思っていた怪物達も、しっかりと見つめていれば意外な側面が見えてくるものだった。デブリス達の生態を記したこの記録が、世界に立ち向かいたいと願っている貴方の一助となる事を願います。

世界は決して優しくなく、危険で満ちているけど、恐怖に立ち向かう事はできる。私にだって出来たのだから。

——神聖騎士 アイリス・ルナレス

 

 

 

〇イェーティーデブリス

 

 ◇種類:巨人(タイタン)クラスタ

 ◇階級:銅級

 ◇生息域:高山地帯

 ◇特効霊薬:光、土、炎

 ◇準効霊薬:雷

 ◇非効霊薬:水、風

 

「人を知りたければイェーティーを見ろ。彼らは正しく人そのものだ」

——デブリス生体学者 A・レイチャーズ

 

 上記の言葉は、あるデブリスの生態学者の発言。言った瞬間、会場は紛糾してその人は学会を追われたと聞いている。人と残虐なデブリスが似通っているなんて信じたくない人々の気持ちは解らないでもないけど…実のところ的を射ている言葉だと思うわ。

 イェーティーは主に山岳地帯に生息するデブリスの一種で、生息域によって体毛の色や形態は微妙に異なるみたい。大雑把に岩地に生息する『岩イェーティー』と寒い地域に生息する『ハイイロイェーティー』に分けられる。

 二足歩行を取るあたり人間に近しいけど、その体は筋肉の塊そのもの。繰り出される打撃は人間のみならず、大型の家畜の骨さえも一撃で砕いてしまう。ただ力強いのみならず、人間の様に道具を使える器用さも厄介な点ね。

 凶悪なデブリスではあるけれど、人間に近い社会性を持っており、群れの中での順位付けを行う様だ。人の言葉を解する程の知能を持つようだけど、ロジックが異なり過ぎてて対話にもならなかった。今回、彼らの持つ「奇祭」を初めて目撃するに至ったけど、それは衛星ルネアが満ちる夜に、人々に徹底的に恐怖を与えた上で殺そうとするという、悍ましいものだった。それに何の意味があるのかは最後まで分からなかった。意味なんてないのかもしれない。人間にも無意味に他の生き物を害そうとする者がいるのと同じで。

 なにぶん数が多いので、戦闘の際は一個中隊クラスの動員が最低でも必要。火や土の霊薬に弱く、また遠距離からの攻撃にはあまり対処できない為、爆弾やアーククロス等の装備を充実させて対処する事を推奨する。

 

 

 

〇コボルトデブリス

 

 ◇種類:野獣(ビースト)クラスタ

 ◇階級:石級

 ◇生息域:ドランバルド全域

 ◇特効霊薬:光、炎、水、土、雷

 ◇準効霊薬:風

 ◇非効霊薬:なし

 

 討伐ギルドに加入すると、新人が真っ先にやらされるのがコボルト討伐系の依頼だったりする。昔それは何故?ってギルド『グランメイターズ』の女将ジョアンナさんに聞いた事があるんだけど、なんて答えたと思う?「そりゃ簡単だ。あいつらが一番可愛げがあるからさ」ですって!

 まぁ、人に犬の頭がくっついた様な彼らに可愛げがあるかはさておいて、確かに「理解しやすい」デブリスであるとは思うわ。基本的に彼らは自分たちより強い相手に襲い掛かる事はしない。自分たちの不利を判断すれば、逃走していく事もする。生物としては当たり前の事だけど、デブリスの中にはそれすらしないものがいるから…。

 人の様な見た目に違わず、道具を活用する事も出来るが、イェーティーの様に自分達でそれを作るという事はしないみたい。主に人間が作ったものを奪って使うんでしょうね。最大の武器は口部の牙だけど、こちらも落ち着いて対処すればあまり脅威にはならないでしょう。あまり強靭さはなく、全ての霊薬が有効となるから、万事落ち着いて対処すること。但し、大きな群れを形成すると途端に凶暴化する報告例もあるから、くれぐれも油断しない様に。

 

 

 

〇カブーラデブリス

 

 ◇種類:吸血鬼(ヴァンピール)クラスタ

 ◇階級:石級

 ◇生息域:森林地帯

 ◇特効霊薬:炎

 ◇準効霊薬:光、雷、風

 ◇非効霊薬:水、土

 

 こいつらがターフィッシュの空を覆いつくしていた時の恐怖感は今でも覚えてる。夜の帝王の時代が到来したかの様な光景に、来るべき時が来たんだって悲壮な覚悟を決めて、それでも身も世もなく慌てていたと思う。今思い返すと少し気恥ずかしくもある…。

 大型のコウモリ人間という姿のカブーラは、正しく人がイメージする“吸血鬼”という見た目のデブリスだけど、実のところ彼らによって齎された人間社会の被害は相当少ない。ここ10年くらいはないんじゃないかしら?

 それもその筈、彼らの性質は相当に臆病だ。各地の森林地帯に生息する彼らは夜になると行動を開始し、主に野生動物の血液を摂取して生きている。光や熱に対しては相当な忌避感を持つ様で、人の居住区画にはまず近づかないと思っていた。ほぼ存在も忘れられていたこの怪物が群れを成して街を襲撃するなんて、誰も想像もつかなかったし、だからこそ私も困惑していた。『暗星のノクターヴ』はその事も想定して、この怪物達を手駒として活用しようとしたのでは…?というのは穿ちすぎかな。

 先述の通り、あまり人に襲い掛かる事はない。ランプ等を持っていればそれだけで近づいて来ないから、夜の森林地帯を抜ける時は覚えておいて。但し、怪我をしていて血が流れている場合は注意が必要かもしれない。例え僅かであっても、血の香りはそれだけで彼らを狂わせるから…。

 

 

 

〇ジェネラルヴァンピールデブリス 『暗星のノクターヴ』

 

 ◇種類:吸血鬼(ヴァンピール)クラスタ

 ◇階級:将星級

 ◇生息域:森林地帯

 ◇特効霊薬:光

 ◇準効霊薬:なし

 ◇非効霊薬:炎、水、風、土、雷

 

「勇敢なあなたの武勇を讃えて、特別に名乗りましょウ‼我は吸血鬼(ヴァンピール)が長、『暗星のノクターヴ』‼」

 

 人を小馬鹿にした様な慇懃な口調でその男——否、怪物は自らをそう呼称した。デブリスの中核に位置する、高度な知性と数多のデブリスを操る力を持つ上位種『将星級デブリス』(彼らの言葉では『エルシングス』と言う様だ)だと——。

 ターフィッシュ襲撃事件の黒幕であり、人間や同族であるカブーラすら見下していた将星級デブリスで、恐らく初めての目撃例となった筈。今まで、将星級デブリスの存在が不透明だったのは、目撃した者全員が死亡しているからだと思われる。

 その不遜さに違わない実力の持ち主で、体は切り飛ばしたその片端から再生し、おまけにあらゆる霊薬に対して強い耐性を持っていた。パワー・スピードも今まで相対してきたデブリスの中でもトップクラスで、正しく夜の帝王と呼ぶに相応しい実力の持ち主だった。

 しかし、そんな彼の敗因は『仮面ライダーディライト ミスリックナイツ』の光の力に相当に弱かった事。そして何より、彼自身が人間を舐め過ぎており、高度な知性を持っているにも関わらず、引き際を誤ってしまった事。その所為で、彼は上級吸血鬼には訪れる事のない死を迎える事となってしまった…というのは何とも皮肉な話よね。

 

 

 

〇コカトリスデブリス

 ◇種類:(ドラゴン)クラスタ

 ◇階級:銀級

 ◇生息域:山岳地帯

 ◇特効霊薬:水、風

 ◇準効霊薬:光、雷、土

 ◇非効霊薬:炎

 

「コカトリスの赤い目に睨まれたら最期だ。奴らは決して怒りを忘れない」

——アネスタのギルド員のメモ書きより

 

 コカトリス。『火炎鳥』とも呼ばれるこのデブリスは、鳥の様な見た目に比して実はドラゴンの一種。人里に近い山岳地帯にも棲みつく事がある為、目撃例の少ない竜の仲間では最も身近な個体と言われている。

 恐ろし気な見た目に比して実は草食性で大人しい性格をしている。だが一度怒らせてしまえば彼らは手に負えないほど凶暴化し、生涯その怒りを忘れる事がないと言われている。コカトリスの目が赤く輝くのは怒りを感じている時であり、「コカトリスは睨むだけで命を奪う」という伝承はこれが元になっていると考えられる。

 ドラゴンの中では翼が退化していて飛ぶことは出来ないけれど、爪や蹴りによる攻撃をその巨体からは信じられない程のスピードで繰り出してくる。相対した時は風や水の霊薬を使用しつつ、リーチの長い武器で戦うのを推奨する。戦いを長引かせると怒りで凶暴化するため、なるべく手早く仕留める必要性がある。

 

 

 

〇マンドラゴラデブリス

 ◇種類:妖精(フェアリー)クラスタ

 ◇階級:鉄級

 ◇生息域:森林地帯

 ◇特効霊薬:炎、光、風

 ◇準効霊薬:雷、水

 ◇非効霊薬:土

 

 木が生い茂り、地面に十分に栄養が行き届かない。そんな暗くジメついた地に生息する事から、植物の怨霊と呼ぶ者もいるとか。

 全種族の中でも最大の種類を誇る妖精クラスタタイプのデブリスで、植物系デブリスの代表格みたいな存在。木の根の様な見た目に違わず、地面の栄養を吸収して生きている。だから上記の記述は正確ではなくて、マンドラゴラが生息するから地面の栄養分が消えていくと言う方が正しいわ。地面の栄養を吸収したら、次は木の栄養を奪う。そして周辺の植物を殺したら——場所を移動して、今度は人や生き物を殺していく。地面から伸ばした蔓で地中に引きずり込まれ、養分だけを吸い取られた人間の姿は目も当てられない…。

 人々から忌み嫌われているマンドラゴラだけど、実は意外と被害数は多くない。詳しい事はまだ分かっていないのだけれど、マヤ曰く、「移動する方が余計にエネルギーを使うから、地中でそのまま死んでしまってるモノが多い」らしいわ。爆弾などで大きな音を立てると驚いて地上に姿を現すから、『華雷』などを携行すれば対処可能。

 余談だけど、その『討伐の証(レセプト)』を加工する事で、滋養強壮作用の薬になるの。ゼオラに勧めたら、全力で拒否されたけど。

 

 

 

〇キャシャラデブリス

 ◇種類:吸血鬼(ヴァンピール)クラスタ

 ◇階級:石級

 ◇生息域:森林地帯

 ◇特効霊薬:光、炎、水、風、雷

 ◇準効霊薬:土

 ◇非効霊薬:なし

 

 昔、ある貴族が壁の外の民の死体がキャシャラに食い荒らされているのを見て、「彼らストラドはその卑しさ故に、死体を食い荒らされるのだ」なんて笑ったそうだけど、そんなのは大間違いよ。キャシャラ達の前では貴賤も種族も関係ない。死体であれば、彼らの前では全てがご馳走とってしまう。

黒猫の様な、サルの様なその怪物は、死の臭いを敏感に嗅ぎつけるとゾロゾロと群れを成してやってくる。死体を奪い去り、五臓を食い千切り、死の先にすら安息を与えようとしない。簡単な嫌忌剤の調合で彼らを寄せ付けなくできるので、死者があった時には神聖教会まで届け出を。そこまで驚異的な怪物は言い難いが、死者を食い荒らす怪物だからか、高確率で病気を媒介する。牙に噛まれない様に硬い鎧の装備を推奨します。

 

 

 

〇ワーウルフデブリス

 

 ◇種類:野獣(ビースト)クラスタ

 ◇階級:銀級

 ◇生息域:ドランバルド全域

 ◇特効霊薬:水

 ◇準効霊薬:光、風、雷、土

 ◇非効霊薬:炎

 

「人狼がどういう生き物か、皆はよく知ってるだろう。奴らは人の心につけ入り、隣人との絆を断とうとしてくる。こうして我らが争う事も、既に敵の術中に他ならないんだ。…恐怖はあるだろう。しかしだからこそ!今は村が一丸となってこの危難を乗り越えなければいけないんだ!」

——とある協力者の発言より

 

 ワーウルフ———人狼との戦いは、いつも心の強さが問われる。人狼が数多いデブリス達の中で最も悪名高い存在となっているのは、彼らが人の根幹、即ちコミュニティを揺さぶる侵略者だからでしょうね…。

 人が怪物化してしまうデブリス病の症例の中で最も有名なのがワーウルフなのは間違いない。怪物化してしまう人間は理性を失って暴れる事が多いけど、人狼は違う。彼らは人間時代の記憶を利用して、人として振る舞い、私達の社会に侵入する。どれだけ壁を張り巡らせようとも、人は内側からの攻撃にはかくも脆い。姿の見えない人狼の姿に怯え、疑心暗鬼に苛まれ、遂には人同士で争い合う最悪の結果を招く———そうして滅びたコミュニティはいくつもある。

 人の姿を取っている人狼と人間を見分ける方法は基本的に存在しない。それ故に不安が増すのは当然だけれど、それこそ敵の術中に他ならない。人狼は不安定になった人の心に必ずつけ込んでくる。上記の言葉が示す通り、そんな時だからこそ全ての人間が一丸となって立ち向かう事が大切なんでしょうね。

 昔から出現例の多いデブリスだけあって、対策は割としっかり確立されている。コミュニティへの人狼の侵入を確認したら、速やかに専門家へ報告し、その後は3人組以上での団体行動を取り、慎重に怪物の正体を探る事が必要。戦闘時は水の霊薬と銀の武器が特効となる為、それらの準備もお忘れなく。

 

 

 

〇ミミックデブリス

 ◇種類:妖精(フェアリー)クラスタ

 ◇階級:銅級

 ◇生息域:墓場、湿原地帯

 ◇特効霊薬:水、光、炎

 ◇準効霊薬:雷

 ◇非効霊薬:土、風

 

「こんな事が信じられるか?宝箱を開けたら、中から人型の怪物が飛び出してきて、俺の足を食い千切ったんだ!何とか逃げたが、もうダメだ。奴はしつこくどこまでも追ってくる。変に欲をかくんじゃなかった…。もし、これを拾ったらサウスビロアの(以下判読不能)」

———とある探索者のメモ書きより

 

 『ミミック』というデブリスの発見報告がされたのは、およそ15年くらい前。人間とデブリスの戦いの歴史はかなり長いけど、その中でもかなり新しい種類の怪物という事になるわね。改めて、デブリスという怪物が如何に急速な変異を遂げていくのかがよく分かるわ…。

 宝箱型の下半身から、腐乱死体の様な人間の上半身が飛び出してくるその姿は、一度見たら忘れられないインパクトがあるわね。見た目に合わぬ剛腕さと俊敏さを持っていて、箱を開けた者には一瞬で食らいつき、その身を箱の中へと持ち去ってしまう。また、暗い場所に好んで生息する影響か、暗所でも獲物の位置を正確に捉えるが、夜目が効くのかそれとも他の感覚器が発達しているのかは分かっていない。

 外の宝箱は所謂外殻の様なものであり、人間の力で貫く事は非常に困難。通常の宝箱と見分ける方法はまだ分かっていない為、如何にも怪しい箱には手を出さないのが賢明と言えるわね。

 『催眠弾(不起疾)』で眠ったという報告例もあるけど、詳細は不明。追加の情報が待たれる。

 

 

 

〇ハルピーデブリス

 

 ◇種類:妖精(フェアリー)クラスタ

 ◇階級:石級

 ◇生息域:高山地帯

 ◇特効霊薬:光、炎、風

 ◇準効霊薬:雷

 ◇非効霊薬:水、土

 

 ハルピーは「奪う者、掠め取る者」という意味ね。高山地帯に暮らす有翼型デブリスの一種で、山から下りてきては苦労して得た食物を奪い取っていく。因みに雑食性で、野菜だろうと肉だろうと容赦なく食い荒らし、その為か体はかなり独特の悪臭を放っている。

 体は小さいのでアーククロスなどで対処が可能だけど、手間がかかるのであまり推奨はしないわ。嫌忌剤を上空散布するか、毒入りの餌を置いておいてそれを持ち帰らせれば、巣ごと全滅させる事も出来るのでやるならばこっちを薦めます。

 

 

 

〇ゴーレムデブリス

 ◇種類:巨人(タイタン)クラスタ

 ◇階級:銀級

 ◇生息域:砂漠、湿地地帯

 ◇特効霊薬:光、水

 ◇準効霊薬:雷、風、土

 ◇非効霊薬:炎

 

「地神『ゴーレム』の肉こそが、我らがみなもと。なればこそ、全てが我らの還りつく場所…」

———マディバレーに遺されていた一節

 

 私も最近知った事だけど、『ゴーレム』という怪物の名前は、元々トンプソールの一部武族が崇拝する大地の神の名前であったらしい。よりにもよってデブリスにその名前を付けるなんて…。私達のトンプソール人への差別意識が透けて見える気がするわ…。

 土の体を持つ人型の怪物で、明確な意識の様なものは見せず、ただその進路に立ちはだかる者は何であろうと容赦なく殺してしまう。そして、倒されれば元の土に戻ってしまう為、全く正体を探る事が出来ない。知性を持つデブリスが作り出した戦闘人形の様なものでは?と推察する者もいるとか。

 ただの土人形である為、痛覚の様なものは持たず、体はなんど斬り飛ばしても再生してしまう。対処する方法は体に埋め込まれている核を破壊する事。頭部に埋まっている事が分かっているので、アーククロスか爆弾を投擲して破壊する事を推奨します。

 

 

 

〇ブラックドッグデブリス

 ◇種類:野獣(ビースト)クラスタ

 ◇階級:銅級

 ◇生息域:ドランバルド全域

 ◇特効霊薬:光、炎、土、雷

 ◇準効霊薬:風

 ◇非効霊薬:水

 

 黒毛で大型のコボルトデブリスという見た目に違わず、彼らの亜種であるらしく、生態も大きく変わらない。だがこちらの方がより凶暴で、自分たちの不利を悟ってもなかなか撤退しようとしないけど。

 コボルトに比べれば危険度はグッと跳ね上がるけれど、やはりそれほど恐ろしい相手とは言えないわ。それでも彼らが死の象徴の様に語られるのは、見た目の不吉さ以上に、初級のギルド員がたかがコボルトと油断してやられてしまう例が多いからだと言われている。その為か、どのギルドでも彼らの討伐を初級卒業の最初の目標としている事が多いそうよ。

 自分の恐れと弱さに打ち勝てるようになるか。どんな道であっても、それが人が乗り越えるべき最初のヤマ場であるのはどこも変わらないわね…。

 

 

 

〇レイスデブリス

 ◇種類:幽霊(ゴースト)クラスタ

 ◇階級:銀級

 ◇生息域:不規則

 ◇特効霊薬:光、雷

 ◇準効霊薬:炎

 ◇非効霊薬:水、風、土

 

「大切なのは、今の世をどれだけ悔いなく生きれるかだ。死後も、レイスとなって生きるなど御免だ。…だがこの世界では、それを貫く事すら難しい…」

———アネスタの吟遊詩人の言葉より

 

 自然界のエネルギーが石へと貯まり続けて、パワーストーンという奇跡の石を生み出す様に、死後も積もって晴らされる事がない人の無念・未練・憎悪…そういった感情が時に恐ろしい怪物を生んでしまう事がある。それが『レイス』と呼ばれる怪物…。

 この悲しくも恐ろしいデブリスは、体の透過率を自在に操れるらしく、武器での攻撃が全く通用しない。おまけに既に死者である為、例え倒せたとしても何度でも復活する性質を秘めている。

 その為に開発されたのが、対レイス用結界弾『火室』。細かく砕いたパワーストーンを周辺にばら撒く事で、その霊的エネルギーに干渉が可能となり、物理的な攻撃が効果を持つ様にできる。

 レイスを構築する本体は、『霊遺物』と呼ばれていて、生者の思いが込められている物品か何かである事が多いわ。これがある限り何度でも蘇る為、討伐後はこの霊遺物を突き止めて封印する事が必要となる。

 結界弾の開発や封印装置も含めて、討伐にはかなりの費用が掛かる事でも知られていて、割に合わないなんて意見もある。でも、死者の思いやその悲しみに耳を傾けるのは生者の務めの様なものだと思っている。誰かさんのセリフじゃないけど…それがきっとより良い明日を築く為に必要な事なんだと思えるから…。

 

 

 

〇カリュードンデブリス

 ◇種類:野獣(ビースト)クラスタ

 ◇階級:銅級

 ◇生息域:シドニア森林地帯、トンプソールの泥地にも別種を確認

 ◇特効霊薬:土、炎、雷

 ◇準効霊薬:光

 ◇非効霊薬:水、風、

 

 人猪とも。その名の通り、二足歩行で歩くイノシシという見た目の怪物で、闇夜で遭遇すると巨人と見紛う程の巨体を誇っている。似た様な見た目の『オーク』と比較しても、体格差は2倍近くなる。

 よく人狼と比べられるけど、狡猾な頭脳と二枚舌を持つ人狼に対して、残念ながらこちらは大した知能を持たない。ただパワーは桁違いで巨木を軽々と地面から引き抜くほど。指先も意外と器用に動いて、岩や木を武器として活用する事もある。性格はかなり凶暴で、武器を持った人間にも臆さずに襲い掛かってくる。

 ただ行動が単調な所為でそれなりの腕があれば独力で倒す事も可能だと豪語する者もいる。隣国トンプソールでは武勇の照明にこの怪物を1人で倒せたら一人前と見做されるらしく、一部の亜種は絶滅しかかっているらしいわ……。

 ただし、見た目がブタだからって食べられませんからね?炎の霊薬で倒すとなんとも香ばしい匂いが立ちこめるけど、気のせいだから!

 

 

 

〇オウルベアデブリス

 ◇種類:野獣(ビースト)クラスタ

 ◇階級:銅級

 ◇生息域:主にアネスタとシドニアの森林地帯

 ◇特効霊薬:炎、雷、光

 ◇準効霊薬:土

 ◇非効霊薬:水、風、

 

「熊とフクロウが混ざり合った怪物をなんでそんなに怖がるのかって?それは遭遇したものでないと分からない。奴は獰猛な捕食者であると同時に、優秀な追跡者でもある。もしかしたら、今だって直ぐそこに……」

———血塗れのメモ書きより

 

 フクロウ熊の名が示す通り、猛禽のフクロウの様な頭部に鋭い爪、そして熊の体を持つ怪物で、確かに名前のイメージよりその見た目はおどろおどろしい。基本は夜行性なので、遭遇した際は余計にそう見えるんでしょうね。人は“どっちつかず”な見た目をしているものを異様に怖がると言うから……。

 性質も両者の特徴を受け継いでいて、フクロウの様に暗闇の中でも正確に獲物の姿を捉えられし、熊の様に一度覚えた味や自分の匂いが染みついたモノに異様な執着を示す。嗅覚も優れていて、一度逃げられた相手であってもどこまでも追い回す執念深い性格をしているわ。

 比較的、最近になって目撃され始めたデブリスで、恐らくデブリス細胞に汚染された熊から生まれたのではないかと言われている。そこまで凶暴ではないが、家畜や人間の食べ物の味を覚えれば一気に危険度が跳ね上がる為、先ず人里に近づけさせない事が大事。

 

 

 

〇オーガデブリス

 ◇種類:巨人(タイタン)クラスタ

 ◇階級:銀級

 ◇生息域:ドランバルド全域の平地

 ◇特効霊薬:光、炎、雷

 ◇準効霊薬:なし

 ◇非効霊薬:水、風、土

 

 巨人クラスタの中では恐らく最もポピュラーな存在ね。最大で全高3.5ハンズにも及ぶ巨躯が齎す力は圧倒的で、人の作り出した文明などまるで砂山の様にいとも簡単に破壊していく。なんと驚くべき事に簡単な道具を作成する事も可能だと言われている。

 10体ほどの群れを形成するが、最近になって群れの秩序を乱す個体——乱暴だったり、協調のない個体——を群れから放逐する性質も分かってきた。この個体は『逸れ鬼』とも呼ばれ、凶暴化する性質があるらしく、見かけた時は注意が必要。

 頭部の角はその巨体を動かす為の神経が集中していて、破壊されると動きが大きく低下する。狙うのは難しいけど、アーククロスなどの遠距離武器で狙い撃つのが効果的ね。

 上記の通り、人は“どっちつかず”なモノを恐怖する。オーガやイェーティーが人語を発するのはその性質を利用する為ではないかという研究が、最近になって報告され始めていて、真実かどうかはともかくとても興味深いと思った。

 考えてもみて。明らかに人でないモノが、人の言葉を話して無情な宣告をしてくる。言葉が通じてもロジックは嫌という程に異なっている。それだけで得も言われぬ恐怖を感じないかしら?

 デブリスは人の恐怖感を世界に撒き散らし、やがてそれは魔王ディアバル復活の土壌となる。こんな目的の為に多くの人々を踏み躙っていくデブリスという怪物の生体の異様がよく分かるというものよね。

 

 

 

〇リバーズデブリス

 ◇種類:巨人クラスタ

 ◇階級:石級

 ◇生息域:シドニアの河川・湖水地方・湿地帯

 ◇特効霊薬:光、炎、雷

 ◇準効霊薬:風、土

 ◇非効霊薬:水

 

 『河の人』の意。別名で『河童』とも。主にシドニアの水がある地域ならばどこにでも生息する。長らく分類が不明瞭で妖霊クラスタとされていたが(分類がよく解らないとこの科に入れられがち)、骨格などから巨人の分類であるという事が最近になって解ってきた。

 身近なデブリスであるにも拘わらず、今まで研究が進んでいなかったのは……「大して脅威にならない」と判断されて来たからに他ならない。性格はかなり大人しく人を襲ったという報告はついぞ聞いた事がない。発生させる毒もごく微弱な上に、その素材もほぼ転用が効かない……と、積極的に狩られる理由が正直言ってない。デブリスは脅威度ばかり見られがちだけど、彼らの様な殆ど無害な存在もいる事はあまり知られていないのよね実は。

 アレステリスで生息が確認された個体群に関しては、騎士と研究員で構成された観察団が地域の状況を定期的にレポートする事を条件に駆除を免れた。人とデブリスのこれまでとは違った関係として、今後も温かく見守っていきたいものね。

 

 

 

〇ヴォジャノーイデブリス

 ◇種類:妖霊クラスタ

 ◇階級:銅級

 ◇生息域:ドランバルド全域の河川・湖水地方・湿地帯

 ◇特効霊薬:光、炎、雷

 ◇準効霊薬:風

 ◇非効霊薬:水、土

 

「連れが湖に引き込まれた思ったら、奴が現れて……巨大なナマズのバケモノだった‼」

「バカ言え。俺が見たのはカエルのバケモノだ。あの足が見えなかったのか?」

「白い人間の様だったという報告もある……。共通するのは、とにかくデカい奴だって事だけだ」

———目撃者の証言より

 

 食い違う証言。そのどれもが正しい。『水辺の主』と呼ばれるこのヴォジャノーイほど、生きている間に幾度も変異を繰り返すデブリス多くないでしょうね。

 強い肉食性で、生まれた瞬間から周囲の生物や自身の兄弟すらも食い荒らして急速に成長。魚の様な幼体から、脚が生えて陸上でも活動可能になる成体、そして最終的には後足で立ち上がる完全体となる。最終的には水辺どころか、トンプソールの乾燥地帯でも生きていく事が可能になるなど、強靭な生命力を持っている。

 どの形態でも『リグビアッド』という触手を体表から発生させ、相手を絡めとって捕食する。また、ゼラチン質を多く含む皮膚はぬめりが強く、剣や槍などを通さない。大弩弓や爆弾などの飛び道具やエレメントを用いての攻撃が有効打となる。

 

 

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