仮面ライダーミスリックサーガ   作:式神ニマ

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唐突に始まる事もある、本編に入れ込む余地のなかったエピソードをやるのがこのOut of Sagaです。因みに⓵とありますが、次回以降があるかは知りません(爆)。
ちょっと短いですが、どーぞ。


Out of Saga⓵ 望む道

閑話

◇◇◇◇◇

「…重くなるかと思ったんだが……羽根みたいに軽いな。これで本当に大丈夫なのか……?」

「ええ♪極力動きを阻害しない様に、錬真術師たちが不眠不休で仕上げてくれた新装備ですよ。ゼオラの場合は錬真系の装備は少し習熟が必要でしょうけど……マヤはどうですか?」

「要望通りに動くかは実戦で使ってみないとなんともだけど……デザインはカッコ良くていいね。アンサーラーはも少し弄りたいから後で工房借りてもいい?」

「ええ勿論、工房の方でも、リンクスの方の意見は取り入れてみたいと要望がありましたし♪あとは……あら♪素敵ですよアイリィ。やっぱり貴女にはその姿の方が似合いますね♪」

「…そうですか……。ありがとうございます……。だけど……その……」

 

 エルネスティナ城塞の一角、多くの錬真術師達が集まる工房。そこできゃいきゃいとはしゃぐマヤ達とは対極に、姿見の前で少し戸惑った様に立つアイリスの姿が。

 

「…ちょっと恥ずかしいです……」

「…今更じゃありませんか?」

「今更だろ」

「今更じゃん」

「今更とか言わないで‼」

 いや確かに薄々思ってましたけど!顔を赤らめてアイリスが叫んだ。

 

『いい機会、というのも不謹慎ですが……あなた達の立場も立場です。それなりに相応しい装いをしませんか?』

 

 クリスにそう言われて連れて来られたのがこの工房。相応しい装いという言葉に、イヤな予感をひしひしと感じながら来てみれば、こうして改めて神聖騎士としての新しい装備を授与されたのだった。

 

 肌にピッタリと張り付いた白と黒の鎧下に、白銀色の胸甲や手甲。腰にはお馴染みのウェイビングローブに加えて、両肩にもマントの様なケープを装備する。総じてかつてシドニアの教会から渡されたかつての装備に似ていて、懐かしい気にもなる……のだが。

 

「とゆーか好きでやってた訳じゃなかったんだ、あの痴女っぽい恰好」

「ちっ……⁈そ、そんな訳ないでしょう!」

 

 マヤの辛辣な一言にアイリスが反駁する。かつての装備も背中が大きくカットされた、かなり露出度の高いものだったが……決してアイリスの趣味ではない。

 昔着ていたものも含めて、このやけにピッタリとしたボディースーツは、レギオンメイルと呼ばれる布と金属を合成させた鎧下だ。非常に軽量でありながら見た目に反して剣ですらなかなか突き通せない程に強固な素材なのだが……かなりキツイのだ。そのお陰で全身を覆う事は出来ず、ああいうデザインになっていたというだけである……。…そう信じたい……。

 

 錬真術も日々進歩している。ましてやアネスタはシドニア以上の錬真術大国である。今回与えられた装備にも、新しい機能が多く組み込まれているという話だが……如何せん、この鎧下の見た目はあまり変わってない。どころか、腰の辺りにちょっとしたハイレグカットまで入っていて、寧ろ悪化している様な……?

 

「最近の研究で、肌の面積が多い方が錬真術の制御には良いと言われてましてね♪」

「それ確かなんでしょうね⁉」

 

 出来れば開発した技術者を掴み上げて、研究資料を軒並み吐き出させてやりたいところだが、そんな時間もない。今はシドニア軍が侵攻を開始し始めており、レイトとネメシスが今も奮戦中なのだ。こうなりゃヤケだと気合を入れて、残りの装備も一気に取り付けていく。

 

「アイリィ、最後にこれを」

「これは……」

「貴女専用の剣ですよ。銘は『パーラケイン・ステラ』。貴女の覚醒を受けて工房に急ピッチで作られたものですけど……性能は折り紙付きです♪」

 

 かつて多くの戦いを共に駆け抜けた、アイリスの愛剣。だが同時にそれは偽りによって得た力でもあった。かつての装備を一度手放してしまったのは禊の意味もあったのだが、同時にその罪を自覚しなければならないのが怖かったというのもある訳で……。

 

 ——もう一度、あなたを手に取ってもいいのかな?

 

 問う様に、パーラケインの刃に自分の顔を写してみる。どこまでも清廉な刃に写るのは、少し自信なさげなアイリス・ルナレスの顔……。

 

「アイリィ、自信を持ちなさい」

 不意にクリスが彼女を背後から抱きしめて、命じるでもなく、諭す様に言った。

 

「前に言いましたね。役割は誰かに決められるものではない、自分で心から望むものだと。もし貴女にその意志があるのなら、剣も称号も必ず応えてくれます。恐れずに乗りこなしなさい」

「…クリス……」

「ほら、そんな顔をしないで。念願の瞬間なんですから♪3人とも、そこに」

 クリスに指し示されて、パラディンとしての装備を纏ったアイリスとマヤ、ゼオラの3人が女王の前に跪く。

 

「さて、非常事態ですので細々とした儀式は省略させて頂きますが……これよりあなた方3名を新たに神聖騎士として任命します。世界の剣であり盾となる力と責を引き受ける覚悟があるというのならば応答を。…風のパラディン、ゼオラ・ユピター」

「お引き受けします。女王陛下」

 

「水のパラディン、マヤ・フォルコ」

「任して!」

 

「光のパラディン、アイリス・ルナレス」

「…はい、引き受けます」

 

「よろしい♪以上で任命式を終わります。さぁ、敵はすぐそこまで迫ってきている様ですから、お願いしますね」

 

 既に城下の街ではドォン!という爆音が響き渡っている。確かに急がなければならない……が、今この瞬間に、どうしても確かめなければならない事が……。

 

「クリス……」

 ——かつて自分と同じく、神聖騎士の物語に憧れた少女は……。

 ——女王という立場を、心から望んでいるのか?

 ——()()()を、彼女はどういう気持ちで……?

 

「はい?どうかしましたか♪」

「…いいえ、何でもないです。行ってきます」

 飽くまでも無邪気そうに手を振る女王に背を向けて、アイリスは飛び出した。問いかけに意味はない気がした。クリスはきっと何を訊いても答えはしないと思ったから。

 

 ——望む道だけを選べないのは解っている。

 ——でも、捨ててしまわない限り、望みはいつも傍にある。

 ——あの頃に思い描いた夢を、託されたというのなら……。

 ——今はただ、彼女の傍らで、望む世界の為に駆け抜けよう。

 

 静かな決意と共に、今新たな神聖騎士達が、彼女たちを望む世界に向けて飛び出していった。

 

 

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