スペースオーク 天翔ける培養豚   作:日野久留馬

25 / 71
君たちに最新情報をお届けしよう!
今回は別に読まなくても支障はありません。



《付録》スペースオーク設定覚書

・主要人物

・カーツ

 トーン=テキン氏族の若き戦士。

 元々は他部族から回収された培養豚(マスブロ)の出身であり、氏族内の戦士階級から侮られている。

 培養豚(マスブロ)特有の知識焼き込みに加えて、21世紀の地球人の知識を持たされている。

 そのため、21世紀人に近い感性を持つが根っ子の所はオークであり、いざという時の蛮行には迷いがない。

 自らの立場と種族を客観的に分析した結果、学び続けるしかないと決意しているが、やはり根っ子がオークであるため自分が思っているほどインテリになりきれてない男。

 氏族の太母である女王に懸想し、我が物にする野望を秘めている。

 オーク社会ではオーククイーンは子を為す事が義務と言ってもよいため、想い人が自分以外の男の子を孕み続けている状況に絶賛脳破壊中。

 ダメ押しの一手を繰り出す時に必殺技めいたシャウトを上げるが、テンションが上がりすぎて口をついた妄言であり、本人も何を叫んでいるのかよく判っていない。

 

・マルヤー・キスカ・トーン=テキン

 トーン=テキン氏族の女王、オーククイーン。

 彼女の誕生でトーン=テキンは爆発的な成長を開始したが、同時に明確に路線変更が行われてしまった。

 個人崇拝に近い現在の氏族の有り様を憂い、かつての状態に戻そうと苦心している。

 白銀の髪をウルフカットに纏め、眠たげな金の瞳とメートル超えの爆乳を持つ銀河屈指の美女。

 氏族への愛と責任感が大変強く、政務と女王としての務めに日夜努力しているが、そのため慢性的な睡眠不足に陥っている。

 氏族の誰からも愛を向けられる事に慣れているが、それはオーククイーンの特性ゆえと理解している。

 その為、カーツがマルヤーの人格そのものへ敬意と愛情を向けているとは気付いていない。

 原種の地球系人類(アーシアン)換算の年齢だと20代後半くらいの年頃。

 

・ピーカ・タニス・トーン=テキン

 マルヤー女王の娘、次代の女王、オークプリンセス。

 誕生確率が極端に低いオーククイーン自らが生んでしまった次世代のオーククイーン。

 天文学的な確率の下で誕生しており、生まれついてジャックポットを引き当てたとも言える。

 氏族全体から過大な愛を注がれているお姫様育ちで、好き勝手に振る舞っているように見えるが、我欲による我が儘は行わっていない。

 彼女の行動方針は幼いなりに上に立つ者としての立場を意識したもので、ノブリス・オブリージュの第一歩とも言える。

 この思考法は誰から教わったものでもなく、日夜氏族の為に尽くす母を見るうちに自然と発生した考え方である。

 長い白銀の髪と猫を思わせる金の吊り目、成長途上の身長とは裏腹に立派に育ったバストを持つ美少女。 

 人生で初めて出会った「自分を敬うが愛さない男」であるカーツに対しては、明確に自分のものにしようという執着が芽生えている。

 体型バランスのイメージは雌ド〇フ。

 

・「残り火」のノッコ

 宇宙戦闘種族フービットの傑出した女戦士。

 優れた戦士であったオークナイト・ビルカンにトロフィーとして捕らわれ、彼の子であるフィレンを産んだ。

 自分を屈服させた強き戦士であるビルカンを最大にリスペクトしており、彼が亡き後もその遺命を護って息子には最低限の接触しかしなかった。

 フィレン自身からの協力の要請があったため全力で手を貸した結果、カーツのトロフィーに納まった。

 強さを重視する点でオークに似た価値観を持っており、亡き主ビルカンへも愛情というよりは尊敬に近い感情を抱いていた。

 実は、フービットの中では相当に温厚で大人しく、面倒見が良い方である。

 二つ名の「残り火」は、ひたすら喧嘩っ早い同族が暴れ倒した後の残敵掃討を(誰もやらないので)受け持っている内に呼ばれるようになった。 

 体型バランスのイメージはハー〇ィン。

 

・フィレン

 オークナイト。ノッコの息子。

 プライドが高い割りに能力が伴っていないという典型的なオークナイト。

 多大な戦果を打ち立てた後に戦死した父を尊敬しているため、父の愛機を与えられたカーツを妬んでいる。

 ノッコについては自分より強いだろうという漠然とした認識は持っていたが、父方の教育を重視する(というよりも普通は母方は教育を行ってくれない)オーク文化が念頭にあった為、教えを乞うことはなかった。

 カーツに敗北後、フィレステーキになりかかった挙句にメディカルポッドで漬け込まれ中。

 

・ボンレー

 カーツよりも年上だが、彼の副官役を勤める舎弟。 

 ナイスミドル系のイケオジ声な強面中年オーク。

 中年まで戦場で生き延びている事は彼の非凡さを表しており、カーツも頼りにしている。

 甘党で下戸。

 

・ベーコ、フルトン、ソーテン

 カーツの舎弟の兵卒。

 馬鹿ん子揃いだが全員培養豚(マスブロ)であり、戦闘機パイロットとしての技量はそれなりに持っている。

 ノッコがドリルインストラクターとなったフービット式スペースブートキャンプで地獄を味わう。

 

・トーロン

 オークテックの腕利きメカニック。

 怠惰な人物の多いオークテックの中では珍しく勤勉なタイプ。

 カーツに信頼され愛機の整備を任されている。

 映画好き。

 

・ポーロウ

 オークテックの長老。

 広い知識を持ちオークテック達から頼りにされている。

 現在の氏族の体制を快く思っていない。

 酒好き。

 

・ジョゼ

 トロフィーストリートの住人。 地球系人類(アーシアン)

 ピンクの髪をポニーテールに纏めたバランスの良いスタイルの美女。

 気が強く面倒見もよいが、戦闘的なスキルは全くない。

 彼女を捕獲したオーク戦士はすでに戦死しており、宙ぶらりんな立場になっている。

 

・アグリスタ=グレイトン

 宇宙国家のひとつ、神聖フォルステイン王国に所属する宇宙騎士(テクノリッター)

 全身鎧めいた重サイボーグの体を持つが、面貌の下には生身の頃をモチーフにした美貌が作られている。

 カーツとの決闘に破れたが辛うじて生存、部下に回収された。

 宇宙騎士(テクノリッター)は国家所属の財産とも言える存在であり、ぶっ壊された彼女の体のレストアには税金が投入された。

 大変な金額の血税が消費されてしまった為、立場が危ぶまれ宇宙姫騎士ハードとなっている。

 

 

 

・種族

地球系人類(アーシアン)

 はるか遠き母なる星から発生した宇宙人類の総称。

 今となってはほとんどが宇宙に対応するための遺伝子改造を受けているが、原種とさほど変わらない人種はノーマルか地球系人類(アーシアン)と称される。

 目立った改造がなくとも、寿命が200年くらいになっている。

 

・オーク

 宇宙における兵士の種族として遺伝子改造の末に誕生した強化人類(エンハンスドレース)

 標準身長2メートル前後で屈強な戦士の体格を持つ。

 葉緑素ベースのナノマシンが含まれた緑色の肌と酸素吸入に優れた豚っ鼻が特徴。

 筋力、敏捷性、耐久力に優れ、その肌は対人兵器など物ともせず、宇宙空間でも30分は生存可能と宇宙兵士の理想とも言える存在だが、その代償の如く頭が悪い。

 培養槽から誕生する原種と、他種族の母胎から産まれる一般オーク、オーククイーンを母とするオークナイトに大別される。

 氏族を維持する事と、戦士として生きる事が存在意義として刻まれており、一面において誇り高いが、略奪、殺戮、強姦も辞さない宇宙蛮族である。

 寿命は300年くらい。

 

培養豚(マスブロ)

 培養槽から誕生する原種オーク。

 母方の遺伝子情報を付与された一般オークやオークナイトに身体性能では若干劣るが、培養槽で脳に知識をインストールされているため、産まれながらに一定の戦闘スキルを持つのが特徴。

 

・一般オーク

 他種族を母とするオーク。

 母方種族の遺伝子情報を付与されているため、培養豚(マスブロ)よりも肉体は高性能。

 父親が教育を受け持つのがオークの常だが、頭の良くないパパオークに育てられると息子オークの教育は大抵穴だらけになってしまうため、残念な個体が多い。

 

・オークナイト

 オーククイーンを母とする強力な肉体を持つオークだが、一般オークと同じ教育上の問題を抱えている。

 オーククイーンの血筋を誇り、他の一般オークもクイーンのカリスマ性から彼らの優位を認めてしまうため、氏族内に秘かに蔓延る癌となってしまっている。

 実際の所は母体がクイーンである以外は一般オークと変わらず、オークナイトという美名は血筋を誇る称号にすぎない。

 

・オーククイーン

 戦士としての安定性のため男性しか産まれないよう遺伝子デザインされているオークから発生した突然変異種の女性個体。

 成体の身長は170センチ前後で、非常にグラマラスなボディスタイルが特徴。

 白皙の肌をしており、オーク特有の葉緑素系ナノマシンは本人の意志や感情の高ぶりによって起動しトライバルタトゥーのように全身を彩る。

 男性のオークに対して異様ともいえるカリスマを発揮するが、多様な遺伝子が結実したその容姿は他種族から見ても美女と映る。

 オークにとって最高の母胎と見なされている。

 

宇宙騎士(テクノリッター)

 地球系人類(アーシアン)を限界まで改造したサイボーグ戦士の総称。

 製造と運用に凄まじいコストが掛かるが、戦闘能力はせいぜいオーク戦士と互角程度。

 余りにもコストパフォーマンスが悪い存在であるが、あくまで地球系人類(アーシアン)としての枠を捨てずに強化人類(エンハンスドレース)に対抗したい人々にとって、最後の切り札である。

 

・フービット

 宇宙戦闘機パイロット専任として作られた強化人類(エンハンスドレース)。 火花の宇宙小人。 

 強烈なGに耐えつつも圧倒的な反射神経を持つ小さな体が特徴。

 アドレナリンが分泌した際の戦闘思考速度は他の人類をはるかに超え、瞬時に複雑な機動演算をこなす事ができる。

 また、非常に目的意識が強く、一度狙いを定めたら撃墜するまで追い続ける。

 この特性と宇宙戦士としてデザインされた強い闘争心が組み合わさった結果、とんでもなく喧嘩っ早いという種族特性を得てしまった。

 肩がぶつかる、些細な悪口を言われるなどの切っ掛けから、瞬時に激発し相手を抹殺に掛かる狂犬染みた種族と多種族からは認識されている。

 本人達としてはその高速思考から「相手を始末しなくてはならない理由」を弾き出しているのだが、説明もせずに一足飛びに攻撃したようにしか見えないため、他種族からは理解されない。

 火花の如し生き様からか、火にまつわる二つ名を付ける風習がある。

 余りにも喧嘩っ早くてどんどん若死にするため、滅びつつある戦闘種族。

 寿命は300年ほどと推測されているが、老衰で死んだフービットは確認されていない。

 

 

 

 

・用語

腕付き高機動機(アーモマニューバ)

 メインスラスター以外に複数の武装内蔵のフレキシブルスラスターを装備した宇宙戦闘機。 

 凄まじい運動性能を誇り、他の戦闘機を圧倒するが操縦は難しく、戦闘可能時間も短い。

 オークからは「殴り始める者(ブートバスター)」、宇宙騎士(テクノリッター)からは「決闘機(ジョスター)」という愛称で呼ばれる。

 この機体を与えられる事は戦闘種族にとって、名剣を授与されるが如き誉れである。

 

通常型戦闘機(ローダー)

 特殊な機構を持たない宇宙戦闘機の総称。

 バランスに優れているため、あえてこのタイプを好む戦士も数多い。

 三角形のデルタ型デザインがもっとも普及している。

 

・バレルショッター

 通常型戦闘機(ローダー)を砲撃仕様に改造したカスタム機。

 推力と火力を補うキャノンユニットが追加されており、安直な戦力増加に繋がるが運動性は低下している。

 

・トロフィー

 オーク戦士が戦場で捕獲した女性の総称。

 基本的にオーク戦士の好みは「強い子を産めそうな強い女」であるため、何らかの強さを示した相手である事が多い。

 ちなみに「近寄らないで、この豚!」と気丈に言い続けてしまった為に捕まったジョゼのようなパターンもある。

 

・銀河共用語

 ギャラクティッシュ。 宇宙で広く使われる共用言語。

 大きく変容した英語の末裔である。

 

ガガーリン暦(カレンダリウム・ガガリウム)

 初めて宇宙に出た地球系人類(アーシアン)の足跡を基にした共用暦。

 

跋折羅者(ステラクネヒト)

 個人営業の宇宙傭兵の一種。

 自己顕示欲が肥大化した自殺志願者の巣窟。

 以下、簡単なステラクネヒトになる方法。

 

 個人用の宇宙船を手に入れよう! 戦闘機がいいけど無いなら宇宙スクーターでもいいぞ!

 機体を手に入れたら魂の赴くままにド派手に塗ったくろう! 目立つことしか考えるな! ステルス性? そんなものは投げ捨てろ!

 自分のテーマ曲を用意しよう! 魂を震わすご機嫌なサウンドで周囲を魅了するんだ! 自作曲もいいね!

 

 上記の準備を行い、全方位に通常通信で己のテーマ曲を最大出力でがなり立てながら戦場に飛び込むのが跋折羅者(ステラクネヒト)である。

 当然死ぬ、凄くよく死ぬ。

 その上で極々稀に生き残って、異常な戦果を叩き出す本物のキチガイが存在する。

 自ら跋折羅者(ステラクネヒト)を名乗る頭のおかしい奴は、気の狂ったレベルの腕利きか、一度も戦闘に出たことの無いひよこ以下のルーキーのどちらである。

 極少数の成功者の存在が余りにも輝かしいため、跋折羅者(ステラクネヒト)を気取って戦場に出て帰ってこない若者は後を絶たない。

 

宇宙傭兵(マーク)

 特筆すべきところのない普通の傭兵の総称。

 戦闘機一機を所有するのみの個人営業から、星間国家を股にかける傭兵企業まで規模は様々。

 大抵の傭兵は何らかの軍事トレーニングを受けているため、跋折羅者(ステラクネヒト)ほど技量のばらつきはない。

 どちらにしても、カタギの稼業ではないが。

 

 

 

・トーン=テキン英雄列伝(ほぼ与太話)

聖王(サン)ゲイン

 トーン=テキンの先代王、オークキング。

 銀河に轟くその豪腕でトーン=テキンを一大勢力にまで育て上げ、聖王(サン)と讃えられた。

 氏族にオーククイーンが誕生した事を天命と受け取り、己の得た全ての財貨と王位を幼き姫に譲り渡した。

 姫を支えるべく氏族内の反対派を叩きのめし、現在の体制へ強制的に移行させた。

 女王として実権を握った現在のマルヤーを悩ませている諸問題は、大体このおっさんに起因する。

 輝く銀河棍棒(サイリウム)の振るい手。

 マルヤーちゃんファンクラブ第1号。

 

・怒声のアグウル

 聖王(サン)ゲインの親友であり、終生のライバル。

 時代が違えば、彼もまたオークキングの座を得ていたであろう傑物。

 魂を震わせる彼のウォークライは敵に恐怖を、味方に勇気を振りまいた。

 聖王(サン)ゲインの銀河棍棒(サイリウム)が輝く所、必ず彼の合いの手が響き渡ったという。

 マルヤーちゃんファンクラブ第2号。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。