地球防衛軍6.1 THE IRON LILY   作:イナバの書き置き

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2.訪問者''''■

 安藤鶴紗と言う少女は寡黙で冷淡なリリィ──そう評価されている。

 実際彼女が自分から進んで他人に話し掛けるなんて事は滅多にしないし、もしそのような機会があったとしても事務的な物事に限定されるだろう。

 また、同級生から話し掛けられても大体の場合は一言二言返すだけで目線を合わせようとすらしない。

 そして彼女自身もそんな性分を理解している。

 執着するのは精々猫とコーヒーくらい。

 根本的にコミュニケーションを必要としていないのだ。

 

 だが、その評価は正確とも言い難い。

 注意深く観察してみれば分かる話だが、鶴紗は本人すら気付かぬ内に他人のフォローに走っている事がかなり多い。

 無鉄砲さが取り柄な自身が所属するレギオンの隊長をそれとなくサポートしたり、「皆が好き」等と臆面もなく宣う先輩に鳥の雛のように付いて回ったり。

 少しでも行動力のある百合ヶ丘の生徒であれば食堂で黙々と大量の料理を掻き込む姿を見る事さえ出来るだろうし、そう言った可愛らしい部分を指摘すればきっと顔を真っ赤にして走り去るに違いない。

 つまり──寡黙と言うよりは口下手、冷淡と言うよりは行動で示すタイプ。

 飽くまで表面上硬く見える(と当人が思い込んでいる)だけであって実際は優しい性根の持ち主なのだ。

 

 しかし──そんな彼女をしてあんぐりと口を開けたまま放心せざるを得ない事態に鶴紗は直面していた。

 

「何だこれ……」

 

 ぽつり、と思わず呟きが漏れる。

 得体の知れない男を担いでシャッターを潜った所までは良かった。

 単なる防空壕にしては入り口の時点でやけに大きいとか地下に向かって続く通路が戦車でも通すのかと言いたくなる位広かったりしたが、それはもう良い。

 SF映画のエイリアンとそれを一撃で殲滅する狙撃銃に比べれば些事に等しい。

 だが──通路に一歩足を踏み入れた瞬間、人間の立ち入りを検知して点灯した照明によって異常性は露になった。

 

 銃、銃、銃。

 通路そのものの幅は戦車すら余裕で通行可能な程広い筈なのに、その殆どを夥しい数の銃火器が覆い尽くしている。

 いや、それだけではない。

 少し奥の方へと目を凝らせば薄暗い照明の中に大量のロケットランチャーや携行ミサイル、銃や爆弾を取り付けたドローンのようなものまで浮かび上がる。

 挙げ句に、()()()()だ。

 一部の銃火器が立て掛けられているのは、膝を折り待機状態のような姿勢で鎮座している何機かのロボットではないか。

 

 勿論、これら全てに見覚えはない。

 足元に転がっている小銃の1つから奥の方で両手の銃口を下に向けている青いロボットに至るまで、何一つとして鶴紗の知識には存在しない代物であり──彼女はもうこの時点でいっぱいいっぱいだった。

 何か変な夢でも見ているか、或いはドッキリでも仕掛けられているのかと思いすらした。

 夢ならば覚めてくれ、とも。

 だが、現実は次なる悪夢を少女に見せる。

 

『動かないでくれ。今傷を治す』

『……は?』

 

 今からほんの30秒前、鶴紗の支えを受けずに何とか立ち上がった男が拾い上げたのは手榴弾のような何か。

 そして彼は止める間も無くピンを抜き、自分の足元に落とし──咄嗟に飛び退いた鶴紗を襲ったのは、緑色のガス。

 しまった、やはり何かの罠だったかと少女はティルフィングを構えたものの、何とその手に残っていた筈の擦過傷がフィルムを逆再生したかのように消滅していくではないか。

 リジェネレーターではない。

 鶴紗が持つ異能は現在内臓の修復に集中しており、少なくとも表面の些細な負傷など気にしている余裕は存在しない筈だ。

 しかし治っていく。

 まるで全人類共通してそうなるのだと言わんばかりに、当然のように鶴紗の傷も男の負傷も治っていく。

 それ故に鶴紗の口から飛び出したのが「何だこれ」であり──返答も簡潔。

 

「エリアルリバーサーだ。この霧に含まれるナノマシンが治癒力を飛躍的に高めてくれる」

「あぁ……そう……ありがとう……」

 

 そうか、ナノマシンが傷を治してくれるのか。

 まだナノマシンの投与なんて実用化の目処も立っていないのに。

 況してや霧状にして噴霧するなんて聞いた事すらないのに。

 完全に停止した思考の中で鶴紗は「そうか、そうか」と譫言のように呟くしかなかった。

 

 

 

▼▲▼

{ 第  話 }

 

訪問者'''''

 

 

邂逅Ⅰ

──×──

"Chance encounter."

▲▼▲

 

 

 

 鶴紗があまりの情報量に脳をパンクをさせている一方──リバーサーが放出する緑の煙の中で佇む男もまた自身が置かれた状況の異常性を認識しつつあった。

 

 ──何かがおかしい

 

 果たしてベース251はこの様な森の中に存在しただろうか。

 男が知る限りに於いてこの何度時間を遡っても薄暗く掃除の行き届いていない地下基地は都市部にあった筈だ。

 人類が敗北した世界では荒れ果てた街中に、人類が互角ないしは優勢な世界では発展した近未来都市に。

 兎に角、生活の痕跡が周囲にあった筈であり、鬱蒼と繁った森の中に存在すると言うのは男にとって初めての経験だった。

 加えて、疑問がもう1つ。

 

 ──リバーサーを知らないのか?

 

 ナノマシンにより治癒力を大幅に促進する技術はプライマーとの戦争が苛烈な状態だった「3年前」に比べればかなり普及した技術であった。

 何せ絆創膏も包帯も止血帯すら不要となる、新時代の治療器具だ。

 戦場で傷付いた兵士は即座に戦闘への復帰が可能となり、怪物やアンドロイドによって重傷を負った民間人が一命をとりとめる確率が飛躍的に高まるこの技術を広めない手などない。

 況してや人類が事を優勢に進め技術や資材に余裕が生まれた「現在」では民間への転用も進んでいた筈であり──例え手榴弾と誤解していたのだとしても、リバーサーに関連する技術を全く知らないと言うのは些か不可解であるように感じる。

 

 また、ベース251内を埋め尽くす数多の武器についても同じ事が言える。

 確かに、男も最初はこの状況に驚愕した。

 男の知るベース251は何時だって小汚なくて、そこら辺に段ボールが積んであって、深刻な人手不足に悩まされる世知辛い基地だった。

 にも関わらず足の踏み場に困る程の武器が──それもニクスやエイレンと言ったコンバットフレームまでもが整えられるでもなく無造作に放置されていると言うのは不気味以外の何物でもない。

 だが──立て掛けられた大楯の1つを視界に収めた時、男の疑問は氷解した。

 

 ──あぁ、これは皆の武器なのか

 

 楯の表面に描かれた髑髏のマーク。

 それは男の戦友である重装歩兵隊のものに他ならない。

 死神(グリムリーパー)の異名を持つ彼らは、自らが死すとも決して武器を手放したりはしないだろう。

 そうしてよくよく周囲を見渡してみれば、転がっている銃や装甲車、コンバットフレームが全て時間遡行装置との戦いに参加していた部隊の物である事に気付く。

 皆、此処にいるのだ。

 姿形は無くとも、男一人を残して何処かに行ってしまったのだとしても、英雄達が戦った証は此処にある。

 故にこそ──ベース251に足を踏み入れた瞬間から警戒を解かない少女に、男は疑念を抱かざるを得なかった。

 

 ──そもそもこの子は一体誰なんだ。何処の部隊の所属なんだ

 

 武器を手にしている事から何かしらと戦っているのは分かる。

 地域によってはEDFも追い詰められている場合があるので学徒が前線に出る事もあるだろう。

 しかし彼女が身に纏っているのは誰がどう見ても「良いとこ」の学生服だ。

 空中機動の為に装備の重量を極限まで削っているウイングダイバーでさえ最低限のアーマーは着用しているのに、少女の衣服にはそのような備えがあるようには一切見えない。

 

 加えて、得物。

 右手に握った大剣はパワードスケルトンを纏って身体能力を何倍にも補強する重装歩兵(フェンサー)が持つ電刃刀やフォース・ブレードにも迫ろうかと言うサイズであり、明らかに少女の細腕で持ち上げられるような代物ではない。

 しかし彼女は片手1本でそれを支え──男を背負いさえしたのだ。

 普通に考えても異常過ぎる。

 そんな少女と大剣のミスマッチが違和感を加速させ、状況を尚混沌とした方へと押し流していく。

 

「……」

「……」

 

 故にこそ、会話が始まらない。

 互いが互いに致命的な程の違和感を抱いていて、しかも互いに救われた者同士である。

 どう切り出せば良いのか。

 何を言えば相手の地雷を踏まずに済むのか。

 次第に薄れ行く霧の中でそればかりを考え──男は少女の背後に目線を向けた。

 

「……雨が降ってきたな」

「え?あぁ……確かに。この様子なら直に鎮火すると思う」

 

 火災によって発生した積雲は燃え滾る地上に雨を降らし、一時は半開きのシャッターまで迫っていた炎を押し戻しつつあった。

 この様子であれば夜が明ける頃にはベース251を出ても安全だと思うが──少女は身を翻してシャッターへと足を進め始める。

 

「待て。幾ら雨が降っているからと言ってまだ外に出るのは危険だ」

「それは分かってる。でも、そう言う訳にも行かないんだ。多分仲間が探してる」

「仲間がいるのか」

「ああ。どいつもこいつも鬱陶しい位にお人好しだから、下手すると今も捜索しているかもしれない。それであいつらが火災に巻き込まれるのは御免だ」

 

 あんたのお陰で助かった、と言うだけ言って少女は再び外界との出入口に向かって坂を登り始めた。

 成る程──どうやらこの金髪少女はかなり良い仲間を得ているらしい。

 どのような時も仲間を見捨てない、と口で言うのは簡単だがそれを実行に移すのはとても難しい事を男は知っている。

 荒廃した世界の兵士達や山頂で危険な偵察を敢行した名も知れぬ斥候、味方の撤退まで強敵を相手に抗戦を続けた戦車兵達。

 男は繰り返す時間の中で何度も取り零してきた。

 守ろうとして守れず、救おうとして救えず、幾度となく彼らの死を目にしてきた。

 だからこそ、男は決して仲間を見捨てぬ高潔な精神を尊いものだと思うのだ。

 

 ──さて、これからどうするべきか。

 

 男には今、2つの選択肢があった。

 

 1つは、このままベース251に残って友軍との交信を試みる選択。

 現時点で彼が置かれた状況はあまりにも不可解であり、不用意な行動は死を招く。

 待機状態のドローンにうっかり攻撃を加えてしまったせいで周囲のドローンも同時に戦闘状態に移行させてしまう事があるように、男がベースの外で活動する事がプライマーやそれ以外の「敵」に不必要な刺激を与える可能性は低くない。

 それならば物資や武器の貯蔵が豊富な基地内に残って本部や仲間との接触を試みる方が安全なのではないか。

 男の理性はそう語っている。

 

 2つ目は、金髪少女と行動を共にして彼女の仲間と接触する選択。

 この選択は、大きなリスクを孕んでいる。

 先にも述べた通り、ベースの外に出る事は敵との遭遇確率を飛躍的に高める。

 リバーサーで体を治したからと言って疲労が抜ける訳ではなく、男の全身は今も強い倦怠感に苛まれているのだ。

 正直に言ってしまうのならば、今すぐにでも倒れてしまいそうなほど。

 戦い続ける意思があっても体が追い付かないのが実情だ。

 加えて、もし彼女が男の考えている通りなら。

 無根拠で飛躍した妄想の通りなら。

 少女の仲間との接触は──男の想像力ではとても描ききれないレベルのとんでもない事態を引き起こす事になる。

 つまり、リスクに対して得られる利益があまりにも釣り合わない。

 選ぶべきは一目瞭然である。

 

「待ってくれ」

「止めても無駄。あんたが何を言おうと私は──」

「いや、俺も同行する」

 

 ──それ故に、男は後者を選択した。

 

「……何故」

「君だってさっきまで重傷だっただろう。EDF──いや、一人の大人として見過ごせない」

 

 思い返してみれば、男の戦いは「無謀の賭け」の連続だった。

 怪物の初襲来から人類が仮初めの勝利を掴むまで、歴史改変を行うリングに攻撃を仕掛けてタイムスリップを果たすまで、繰り返す時間の中で最良の結末を掴み取るまで、ひたすら分が悪い方に賭け続けた。

 そして、その全てで勝ち続けた彼の勘は今回も「引き籠るのではなく動け」と叫んでいるのであり──経験に裏打ちされた勘なのだから、根拠は無くとも従わない理由も存在しないのだ。

 よって、男は今回も分が悪い方に全額賭ける事にした。

 

「それに、外にはまだ討ち漏らしたプライマーがいるかもしれない」

「プラ……?」

「君が見たアンドロイドの同類だ。君達がどのような戦士であれ、奴らを相手にするのは危険だ」

 

 自分がいて、EDFの武器があって、キュクロプスが存在した。

 ならば他のプライマーも来ていないとも断言は出来ない筈であり、それを倒すのがEDFの兵士としての使命だ。

 特にクルールやクラーケン、コロニストに代表される強力な射撃武装を持つ敵は可能な限り早急に駆除するべきであり──何時だって果敢な本部の司令官なら「戦闘を開始しろ」と檄を飛ばす筈である。

 

「もし奴らが現れたら俺が相手をする。君は構わず仲間と合流してくれ」

「……良いのか?」

「信用出来ないのはお互い様だろう。だったら先ずは自分の目的に集中すべきだ。違うか?」

 

 言って、男は足元の小銃を拾い上げた。

 T1ストーク──この極標準的なアサルトライフルはレンジャーの主力兵装が原子光線(ブレイザー)となった「現在」のEDFでは既にお払い箱となりつつあるが、それでも標準的であるが故の使用感や耐久性は唯一無二だ。

 その扱いやすさから男も開戦当時は愛用していたものだが、何の因果かそれが再び己の手に舞い戻って来たのである。

 あたかも「戦いはまだ終わっていない」と告げるかのように。

 

「まぁ、気にしないでくれ。ああ言う手合いの相手は慣れてるんだ」

「……そうか、分かった。だったらヒュージは私がやるから、そうなったらあんたは梨璃達と合流してくれ」

「ヒュ……?」

「『私達』の敵だ。あんたの武器じゃ通用しない」

 

 言って、鶴紗はティルフィングを肩に担いだ。

 そんなバカな、と言わんばかりに手にした銃と鶴紗の顔に視線を往復させる男は敢えて見なかった事にする。

 

(冗談じゃない。何処の誰とも知れない奴に貸しを作るなんて御免だ)

 

 そう、彼女は用心深い(優しい)のだ。

 いざとなったら見捨てろと言われてはいそうですかと納得出来る筈もなく、自分だけが利を得る提案は先ず疑ってかかる。

 一人で敵を惹き付け逃がそうだなんて、そんな美味い話がある筈がない。

 だから、男を見張る必要があるのだ。

 何をしでかしても、すぐ押さえられる(助けられる)ように。

 

「あぁ、そうだ」

 

 必要な事だ。

 自分の為に、自分が目的を果たす為に──そう言い聞かせて。

 

 

 

「私は安藤鶴紗。あんたは?」

「ストーム1。そう呼んでくれ」

 

 

 

 異能の少女と嵐の男は、黒い雨が降り注ぐ焼け野原へと踏み出した。

 

 

 

▼▲▼

 

 

 

 私立百合ヶ丘女学院高等部2年生、工廠科所属の真島百由は──比喩や誇張を一切抜きにして、天才である。

 彼女の()()()()はヒュージ研究に始まり、CHARMの設計改修、マギに依存しないエネルギー兵器の考案、果てはリリィとしての実戦など多岐に及ぶ。

 毎週のように新たな発見、発明に携わりまるで週刊誌でも発刊するかのように論文を学会に送りつける様は「週刊百由」の異名を持つ程であり──一言で纏めてしまうなら、オールラウンダーな天才なのだ。

 が、しかし。

 そんな彼女をして「訳が分からない」物体が眼前に鎮座していた。

 

「う、うわぁ!?ロボット!ねぇ本物のロボットよ!?あぁ、こんな浪漫の塊があるなんて……信じられない!動力は何かしら!あんな巨体を動かすには並大抵のものじゃ無理だから……まさか核!?」

「う、うん……分かってるからちょっと落ち着こうよ百由……!」

「これが落ち着いてられるもんですか!行くわよ天葉!」

「だから駄目だって!まだ接近許可も貰えてないんだからさぁ!」

 

 仮説本部が置かれた廃ビルの屋上、学友にして今回百由の護衛を任された天野天葉の肩をがたがたと揺らしながら見詰める先に横たわっているのは──鼠色の()()()()

 全長は、約50メートルと言ったところか。

 夜間のため百由も正確な全形を捉える事は出来なかったが、それはずんぐりむっくりとした巨体を七里ヶ浜海岸の砂浜に沈め、サーチライトの照明を浴びながら沈黙している。

 

「えぇ……?だって()()してからもう5時間以上経ってるしヒュージサーチャーも反応してないんでしょう?」

「あぁ、うん。もうロスヴァイゼからの報告が上がってるけど、直接手で触れられる距離まで接近しても微動だにしない辺りヒュージの類いではなさそうだね。防衛軍にも問い合わせてみたけどこんなロボットに心当たりはないんだって」

「でしょうね。今の防衛軍にこんなものにかまけている余裕はない筈よ。G.E.H.E.N.A.は……まぁ、考える必要もないか」

 

 防衛軍は陸軍、海軍、空軍の各々に豊富な戦力を保有しているもののヒュージ相手には苦戦を強いられており、巨大ロボットなどにかまけている余裕は残されていない。

 反対に資金は潤沢なG.E.H.E.N.A.にしてもヒュージや強化リリィ以外に関心が無いので、余程トチ狂ったりしない限りロボットには手を出さないだろう。

 だからこそ、尚更疑問が残るのだ。

 何故、誰がこんな物を作ったのか。

 何故、何の前触れもなく七里ヶ浜に出現したのか。

 そして────

 

「何で、『人型ロボット』なのかしらね」

「え?」

「考えてもみて。あんな誰がどう見たって素早く動けそうにないロボットを態々人型で作る理由なんて無い筈じゃない?生半可な装甲じゃヒュージの攻撃は止められないし」

「確かに、あの巨体じゃ攻撃なんて避けられそうにないしそれなら戦車でも作った方がよっぽど為になりそうだ……って言うかそもそも内蔵火器が全く無いじゃない。ひょっとして兵器じゃなくて重機の類いだったりする?」

「──それは無いわね」

 

 一瞬の間も無く、百由は断言した。

 天葉は気付いていないだけだ。

 背中に備えられた1対の筒状の物体が何であるかを。

 単なる「手」の領域を超え、鉤爪と呼ぶべき境地に至ったアームの存在意義を。

 

「私の考えだと、あれは────」

 

 そう、天才たる真島百由だから理解出来たのだ。

 

 

 

「ギガント級クラスの相手と()()()()為の兵器よ」

 

 

 

 倒れたまま操縦者を待つ()()()()()()()()()()()()()()が、本来相対すべき敵の正体を。




◯男/ストーム1
装備:T1ストーク
   なし
   エリアルリバーサー
   要請不可

内心(異世界なんじゃないかな…)とは思っているがプライマー絶対殺すマンなのでリスクのある選択を躊躇なく選んでしまう。

◯安藤鶴紗
内心(こいつ異世界人なんじゃないかな…)とは思っているがそれを口に出したら心底面倒になりそうなので取り敢えず黙っている。

◯ギガンティック・アンローダー
オレンジ色の方なら作業用重機で間違いないのだがカッパー砲が付いてる方なのでガチガチの決戦兵器。

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