ホロウ・デッドニング・リーパーに飛び掛かった少年が剣を振ったと同時に鎌で弾き跳ばされる。
そのまま地面をゴロゴロと転げ少女の足元に倒れこむ。
「ちょ、ちょっと!しっかりして!」
「・・・・・・・生きてる」
「え?」
少年は少女の心配を他所ににムクリと起き上がるとジロジロと自分の身体を眺める。
「・・・・・マジか。アイツ弱体化してんじゃん!」
少年はニヤリと笑い聞きとしてモンスターへと向かっていく。
攻撃する最中にお茶の間にはお届け出来ないような発言を連発し、更には声をだして笑いながら切り刻んで行く。
その異様な光景を見て少女は絶句した。
これが本当に死を目前にした人間の顔なのだろうか?
少女が呆然自失している間にホロウ・デッドニング・リーパーが青く光り、プリズム片となって消える。
「へ、戦闘力たった5のゴミめ」
少年は捨て台詞を放ち得物を鞘に収めると呆然自失となった少女に近付いていく。
「これでもう大丈夫だぜ。・・・・おーい」
少女がハッとして尻餅を付く。
少年は何してんのお前?と言う視線を向けながら辺りを見渡す。
「・・・・・お嬢さん、ここが何処だか分かる?」
少女が首を震ると少年は手を差し出して少女を起こそうとするが、少女はその手を払い除けて立ち上がる。
「いやはや参ったね。場所が分からなきゃどうしようも・・・。お嬢さんは何か提案ある?」
「どうして?」
「ん?」
少年が少女に聞き返すと悲しそうな顔をして少女が語りだす。
「どうして普通に私に話しかけられるの?」
「そりゃ、話せる相手がいれば話すだろ」
「頭のカーソル、見えてるでしょ?」
「そりゃあ、まぁ」
少年はそれが何なのだと言わんばかりに頭にハテナを浮かべて少女を見る。
少女の頭のカーソルはオレンジ、つまりはプレイヤーキル、人を殺したと言うことだ。
「別に人殺しだろうと変わりゃしねぇよ。人は得てして生き物を殺してるだろ。虫しかり、家畜しかり。それが人間になったらやれ犯罪だの何だの・・・」
「やっぱりアンタ、何処か変」
「・・・・・かもな。でも、ま、そう言うことだ。人殺しだろうと何だろうと俺は俺はなの」
そう言って、少年が歩き始めた時だった。
『《ホロウ・エリア》データアクセス制限が解除されました』
空から女性の声でそう、放送が流れた。
「なんだ?今の?」
ホロウ・エリアとさっきの放送では言っていた。
ホロウ・エリアと言うのがここの名前なのだろうか?
等と思いつつ少年が少年は膝をパタパタと叩きそして気付く。
掌に謎の紋様が浮かび上がっているのだ。
「何だこれ?」
「・・・・ねぇ、その手、よく見せてくれない?」
「え?」
少女が少年の手を無理矢理引っ張り掌の紋様を見る。
「・・・・やっぱり同じ」
「同じって・・・これ見たことあんのか!?」
「うん」
「それって、どこにある?」
少年が少女の肩を掴み揺さぶる。
アインクラッドの中ではあろうが一刻も早くこの変な場所から抜け出したいそれだけを思って目の前の少女に質問する。
「ここからずっと南に行くと球体がある。その下にこの紋様と同じものを見たの」
「南だな?よし」
少年が歩を進めようとして踏みとどまり考える。
この少女はどうして未だにここに居るのだろうか?
圏内に帰れば良いものをモンスターに追われて。
そこで少年は思い付く。
もしや、戻らないのでは無く戻れないのではないか、と。
何時もの少年なら誰であろうとそこでさよならであろう。
しかし、少年は善人とは言えないが根っからの悪人でもない。
悲しそうな顔の少女がいれば少し位は救いの手を差しのべるほどには良心もある。
だからこそ少年は振り返りこう言った。
「悪ィ。方角だけじゃよく分かんねぇわ。案内頼めねぇ?」
「・・・・・別に構わない」
しばらく考えて放った少女の言葉に何を感じたのかは分からないが、少年は地面に膝を付き少女を眺める。
「では、まぁ、改めて、お初にお目にかかりやす。小生生まれも育ちも日本はグンマー。名をレイと申しやす。現在は東京の一角に居を構えるしがねぇ学生でごぜぇやすが、この世界に来てからは黒き鬼、通称“黒夜叉”の通り名を頂戴しておりやす。以後、良しなに」
「・・・・・私はフィリア。よろしく」
レイの口上に頬を引釣ながらもフィリアが歩きだす。
あまり受けなかったかな?などと思いつつもレイはフィリアの後に着いていくのだった。