「これでラストじゃ、ヒャッハー!」
いきなり始まった適正テストに困惑しながらも歩を進めていたレイとフィリア。
マッスルブルホーンと言うモンスターを一体倒せばクリアとなるこの適正テスト。
しかし、戦闘大好き少年のレイは目に映るモンスター全てを斬りつけてタゲを取りながら誘導する。
それを何度も繰り返しマッスルブルホーンに突撃する。
そのままマッスルブルホーンを含める全てのモンスターを相手に刀を振るうレイと半ば巻き込まれる形で戦うフィリアがようやく最後のモンスターが倒れたことにより、ようやく得物を納める。
「いやー、戦った戦った!」
「ほんっと!いい加減にして!」
「?何怒ってんだよ?」
少年はフィリアが何故怒っているのか分からないのか首を傾げながらドロップ品を確認する。
「目的のモンスターは最初らへんに倒してたでしょ!放送も鳴ってた!なのにまだ戦って・・・。死にたいなら一人で死んで!巻き込まないで!」
息を切らしたフィリアを見ながらメニューを閉じるとレイは溜め息を付きながらフィリアに近付いていく。
「・・・・・フィリアは死なねぇよ」
「何でそんなこと・・・・!?」
「俺がフィリアを護るから」
少年の優しい瞳を見てフィリアの言葉が詰まる。
嘘だ、嘘に決まっている。
心ではそう分かっていても目の前の少年の瞳を見ていると嘘ではないと思ってしまう。
「後俺も童貞のまま死にたくねぇしな」
「・・・・・・もういい!」
少年の横を過ぎてフィリアが目的地に向かう。
少年も何がなんだか分からずにフィリアの背中を追っていった。
しばらく歩いてようやく木の根元辺りまでやってきたところで不機嫌だったフィリアが口を開く。
「あれよ。あの装置に貴方の紋様と同じものがあったの」
少年が目を細めて木の根元を見てみると確かに台みたいな物が見える。
ゆっくりと台に近付いていき台の上を覗く。
「・・・・・・確かに、一緒みたいだな」
「ね?見間違いじゃなかったでしょ?ここが球体の入り口だと思う」
「・・・・・・っつってもなぁ」
どうやって開けるのだろうか?
疑問に思いながらも少年はとりあえず定番の同じ紋様を翳すことにしてみる。
すると合っていたのか少年の手の紋様が光だした。
「おぉ・・・・・」
少年はフィリアに向き直り光っていない方の手をさしだす。
「フィリアも行くか?」
「・・・・・いいの?」
「ここまで来れたのもフィリアのおかげだしな」
恐る恐るフィリアが少年の手を取ろうとする。
しかし、その手の進みがあまりにもゆっくり過ぎて少年が一度欠伸をする。
そして少年が不意にフィリアの手を掴み二人は光りに包まれて消えていった。
二人を包む光が消えて目を開くとそこは外とは違う場所だった。
「ビンゴ!やっぱりそうだった」
「球体の中って、何だか管理室みたいだな。どうやら県内みたいだが・・・・」
少年が辺りを見渡して見るが特になにかがあるわけでもない。
強いて言えばまた何かの台みたいなものだけだ。
「圏内みたいだが見たところガーディアンも居ねぇみたいだし、どうなってんだ?」
少年は唯一置かれている台を覗いてみる。
パソコンのキーボードのような配列がなされたボタンがある奇妙な台だ。
不思議そうに少年が台を覗いていると台がいきなり光だした。
『アクセス権限者を確認しました。管理区への転移オブジェクトを解放します』
「あ?なんだ?」
「ねぇ、こっち来て」
少年が不思議に思っていると後ろに居たフィリアに呼び掛けられ、呼ばれるがままにフィリアな方に向かっていく。
「なんだ!エロ本でも見つけたか!?」
「あるわけ無いでしょ!じゃなくてこれ!」
フィリアが指を指す方向を少年が見てみるとそこには形は違うが確かに転移門があった。
「・・・・・転移門か?」
「形は違うけど・・・・たぶんそう」
「なら!こんな場所からはさっさとおさらば出来るぜ!帰ったら何しようかな・・・。あ、そう言えば朝飯食ってなかったな。先ずは腹ごしらえか・・・。いや、やっぱ誰かにデュエル吹っ掛けるか?」
少年が帰った後の事を色々と考えて居るのと裏腹にあまり嬉しそうではないフィリア。
そんなフィリアに気付いたのか少年は考えるのを止めてフィリアを見る。
「フィリアは・・・・・・」
「帰らない。だからここでお別れ。あんたと一緒で結構楽しかった」
「何か勘違いしてるみたいだけど俺またこっちに来るぞ?」
「・・・・・・・え?」
少年のその言葉にフィリアが困惑した顔を見せる。
「ここは情報の宝庫だからな、アルゴに売って金儲けのチャンスだぜ!それに・・・・・」
少年が何かを言いかけて口を閉じる。
思春期の少年にとっては恥ずかしくて言えない言葉を口にしようとしたのを気付いたのか、ただ単に何か考えがあるのかは分からないが少年はメニューを開く。
「フレンド登録だけはしとこうぜ」
「・・・・・・好きにして」
フィリアがメニューを開くのをしてニッと少年が笑いかける。
フレンド申請が来て許可を押し込み転移門に身体を向ける。
「んじゃ、フィリア。また冒険しようぜ」
そう言って少年は光に包まれて消えていった。
後ろで悲しそうに背中を見つめる少女に気付かずに。