リリベルの異端児   作:山本イツキ

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そういえばプロフィール書いてなかったので参考までに。

篠原 春陽
身長 171センチ
体重69キロ
誕生日4月9日
血液型?
CV イメージは、代永翼さん


第十話 Question

 ここ最近、春陽はあの夢を見なくなった。

 日々の生活が充実してるからかだと思いたいが、偶然だろう。

 リコリコにへの出勤の前に朝食としてトースターで焼いたパンを齧り牛乳を飲む。

 テレビをつければニュースがやっていて、どうやら警察署で悲惨な事件が起きたようでその報道がされている。

 

 

 「最近多くなったな、こういったニュース」

 

 

 以前までは平和そのものだった東京も、今はどこかざわめいている。

 本来、リコリスやリリベルが事件が起きる前にもみ消すのだが、手が回らなくなっているようだ。

 現に、DA本部からの仕事依頼も増えてきた。

 リコリコからしたら収入が増えてありがたい話なのだが、体を動かす身からすれば溜まったもんじゃない。

 全員がヘトヘトだ。

 

 

 「……………おっと、もうこんな時間」

 

 

 のんびりする間もなく急いで朝食を済ませ玄関へと向おうとするがその途中、CDラックの上に飾られた写真立てと斜めに半分に割れたチャームに手を合わせる。

 

 

 「詩音。行ってきます」

 

 

 どこか寂しげな声でそう告げ、家を出る。

 これが彼の日課だ。

 彼にとって唯一無二の、詩音と呼ばれる女の子との写真が1番の宝物。

 今はもう会うことができないが、思い出として彼の心の中で生き続けている。

 片時だって忘れたことはない。

 その証拠に、写真立てには傷ひとつなく、写真自体も新品そのもので大切に保管されているのだ。

 

 朝の道路をバイクで駆け、急いで店に行くも開店までは余裕で辿り着いた。

 扉を開け、カラカラっとベルが鳴る。

 

 

 「おはようございます、ミカさん」

 

 

 そこにいるであろうミカに挨拶すると、ある人物が先に目に入った。

 カウンター席に座る男、千束からは『ヨシさん』と呼ばれる人物だ。

 ミカとは下の名前で呼び合うほどの仲らしい。

 

 

 「やあ、おはよう」

 

 「おはようございます。お久しぶりですね」

 

 

 彼はこの店の常連でもあり、今回は期間が空いたが何度も足を運んでくれている大切な客だ。

 もちろん双方とも名前も顔も覚えている。

 

 

 「最近は忙しくてね。店が混む前にミカと話していたんだ」

 

 「混む前というか、開店前だけどな」

 

 「フッ、私と君の仲じゃないか」

 

 

 ため息をつくミカに対し、ヨシさんこと吉松は小さく笑みを浮かべる。

 

 

 「どうやらボクはお邪魔だったようですね」

 

 「そんなことはないさ。ちょうど、君のことを話していたところだ」

 

 「ボクのことですか?」

 

 「ああ。ずば抜けた身体能力の持ち主。数値だけで言えば、リリベルのファーストクラスを軽く凌駕すると」

 

 「リリベルを知ってるんですね。ということは、リコリスのことも……………」

 

 

 吉松は何も言わず頷く。

 ミカと顔見知りなのもそのつながりがあったかららしい。

 

 

 「君は、"アラン" という名前を知ってるかな?」

 

 「善意によって人々を支援するアラン・アダムズのことですか?」

 

 「その通りだ。私はその人の側近をしている」

 

 「なるほど、それはすごい」

 

 「君の生い立ちも知っている。これほど優秀な人材を支援できなかったことを心の底から悔いているよ」

 

 「優秀だなんて、そんな……………」

 

 「………………シンジ。そろそろ出発の時間じゃないのか?」

 

 「おっと、そうだった。それじゃあ私はこれで失礼するよ。ミカ、コーヒーご馳走様」

 

 

 軽く手を振り店を出ようとしたその時、吉松は顔だけを春陽に向けた。

 

 

 「このことは、他言無用で頼むよ」

 

 

 そう言い残し、店を出た。

 

 

 「忙しいんですね」

 

 「………………あぁ」

 

 「どうかしたんですか?」

 

 「いや、なんでもない。千束たちが来る前に早く着替えてきなさい」

 

 「わかりました」

 

 

 春陽は更衣室へと向かい、その姿が見えなくなるのを確認しミカはさっきまで吉松が座っていたカウンター席に腰を下ろした。

 

 

 (何故あんな嘘をつくんだ、シンジ…………)

 

 

 ミカの心の声は誰にも届くことはなかった。

 

 

 吉松が去ってからしばらくして、リコリコは通常営業へと入った。

 その最中、千束はいつもと違った様子を見せている。

 

 

 「ねえ、たきなちゃん」

 

 「どうしました?」

 

 「なんか、千束ちゃんの様子がおかしいと思うんだけど」

 

 「そうですね。私も同じことを思っていました」

 

 「閉店後にでも事情を聞いてみようか」

 

 「ええ。そうしましょう」

 

 

 二人でそう話し、営業へと戻る。

 そして日が沈みきり迎えた夜。

 未だ顎に指を置き何かを考えている様子の千束にミカを除くリコリコの店員全員が詰め寄った。

 

 

 「千束ちゃん。どうかしたの?」

 

 「みなさん……………リコリコ閉店の危機です」

 

 

 訳もわからず全員が首を傾げる。

 要約すると、千束はミカのスマホを見てしまいその内容が千束をDAに連れ戻すのではないかというもの。

 差出人は不明だが、恐らくはリコリスの司令官である楠木だろう。

 千束がいなくなってしまえば店の営業は回らなくなり、挙句の果てには閉店してしまうのではないかと危惧したのだ。

 

 その真相を探るべく、春陽たちはミカたちが密会する会員制のバーに侵入しようと準備する。

 千束は赤いドレスを見に纏い、たきなは紺のスーツ、春陽は万が一に備えリリベルの制服を着て車に乗り込んだ。

 バーに向かうその道中、千束は梟のかたちをしたチャームを首に掛けた。

 

 

 「それ、素敵ですね」

 

 「そう?似合う〜?」

 

 

 自慢げにチャームを掲げる千束。

 

 

 「私、テレビでそれと同じの見ました。金メダル取ってた人も持ってましたね」

 

 「あっ、そう?私にもそんなすごい才能あるのかな〜」

 

 「アランさんからの贈り物でしょ?千束、どっかでくすねたんじゃないの?」

 

 「なんちゅうこと言うんだ酔っ払い」

 

 「今は酔ってねぇよ!」

 

 

 この時、春陽は別のことを考えていた。

 今朝あった吉松のことだ。

 彼はアラン・アダムズの側近と言い、千束と同じ梟を模した金色のバッジを左襟につけていた。

 

 

 (もしかして、千束ちゃんもアランの支援を…………?)

 

 

 そんなことが頭をよぎる。

 しかし、吉松からは口止めされているため彼から言うことは何もない。

 約束は必ず守る男だからだ。

 

 

 「そこを右だ。もうすぐ到着だぞ」

 

 

 クルミのナビも終わり全員が気を引き締める。

 バーがあるどでかいビルの端に車を停めると、リコリスの二人は中へと入っていった。

 ミズキ、クルミ、春陽は待機だ。

 

 

 「クルミさん、二人は大丈夫ですか?」

 

 「天下のウォールナットに不可能はない」

 

 「あっ、案内人に止められたわよ」

 

 

 クルミの持つタブレットにはハッキングしたビル内の監視カメラ映像が映し出されている。

 どうやら名前を聞かれているみたいだ。

 

 

 「山葵のりこ」

 

 

 これが千束。

 

 

 「蒲焼太郎」

 

 

 これがたきな。

 なんともふざけた偽名だが、それを名付けたであろう張本人のクルミは一人大爆笑していた。

 

 

 「蒲焼……………あははははっ!」

 

 「アホか!!」

 

 「これはまた…………」

 

 

 春陽も苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

 「安心しろ。絶対大丈夫だから」

 

 

 クルミの言う通り、案内人は特に疑う様子も見せず2人を中へ通したのだ。

 

 

 「マジかよ」

 

 「次からはもう少しマシな名前にしないとダメですよ?」

 

 「奴らはデータしか信じないアホだから心配ない。今度お前たちにもいい偽名をつけてやるよ」

 

 「いらんわっ!」

 

 「あはは」

 

 

 たきなたちの偽名は、今クルミが口にしている駄菓子からとったものだろう。

 その系統でいくとするのであれば、キャ○ツ太郎だとかさ○ら大根とかになりそうか。

 まあ、結局ミズキが止めるのだが。

 

 

 『あっ、誰か来た!』

 

 

 千束がそういった先に現れたのは吉松だった。

 その姿を見て、ミズキは頭を押さえた。

 それに合わせて千束も自らの失態を反省するかのように目を瞑った。

 

 

 「へぇ、ヨシさんですか。今朝も店に来てましたよ?」

 

 「そうなのか?」

 

 「ミカさんと何か真剣な話をしていたみたいなのですが……………こんな密会みたいなことをどうして」

 

 「二人は()()()()()()なんだよ」

 

 「そういうって?」

 

 「お子ちゃまな春陽にはまだ早かったな」

 

 

 何が何だかわからないといった様子で春陽は首を傾げた。

 バーにいるたきなも彼同様何も理解できていない。

 

 

 「おいおい、アイツら何してんだ」

 

 

 再びクルミのタブレットに視線を移すと、千束は完全に姿を現しミカと吉松と何か話している様子だった。

 

 

 「いくぞ二人とも!」

 

 

 ミズキの判断で3人でビルへと入る。

 二人はそのままバーへと向かい、春陽はロビーで待機する。

 しばらくすると、エレベーターからたきなが降りてきた。

 

 

 「お疲れ様」

 

 「ミズキとクルミは?」

 

 「上へ行ったよ。先に車に戻ってもらっていいかな?鍵は開けてあるから」

 

 「わかりました」

 

 

 たきなはそのまま車へと向かう。

 そこからまたしばらくすると、ミカと吉松が降りてきて吉松だけがエレベーターを降りた。

 その瞬間、春陽と吉松の目があった。

 

 

 「久しぶり、と言うにはまだ早いな」

 

 「うちの従業員がご迷惑をおかけしました」

 

 「いや、構わない。これから仕事があるから失礼するよ」

 

 「………………あのっ!」

 

 

 吉松はそのままロビーを出ようとするも、春陽は呼び止めた。

 

 

 「千束ちゃんがつけていたチャーム…………あれってアラン・アダムズの支援を受けた人間が持っているものですよね?」

 

 「…………………」

 

 「千束ちゃんと、何か関係があるんですか?」

 

 「君がそれを知る必要はない」

 

 

 いつも店で話す彼と、今日はなんだか違って見えた。

 どこか冷めたような口振りは仕事の疲れか、はたまたそれ以上踏み込むなと言う警告か。

 今の春陽には到底わからない。

 

 

 (彼の顔、どこかで見た記憶があると思ったら……………()()()のそばにいた子か。千束といい、これは巡り合わせか?)

 

 

 吉松の脳裏に浮かんだ幼い二人の子供。

 凛とした表情でなんでもこなす女の子とそれを金魚の糞の如くついて回る男の子。

 過去に支援してきた中でもトップクラスに優秀だった女の子は吉松の記憶にもしっかりと刻み込まれていた。

 

 

 (彼女は確か千束たちの一つ上だったな……………元気にやっているのだろうか)

 

 

 夜の街を走るタクシーの中で、吉松は一人感傷に浸った。

 




今回の話で全体の半分かな。

謎は極力残さないように、回収していきます。


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