やっぱ、面白いですよね。
二期は……………まあ、ありえないか。
OVAに期待ですね。
DAを出てからおよそ半年。
季節は、テレビをつければ歌の祭典や笑ったらお尻をしばかれる番組が放送されているところまで来ていた。
しかし、リリベルたちにそのような娯楽の時間はない。
外界から閉ざされたこの空間でできることは、訓練、訓練、訓練。
淡々とした日々をDAの為に過ごすのは、春陽にとって苦痛以外の何ものでも無かった。
(つまらない)
そんな退屈な日常に春陽は飽き飽きとしていた。
「よお、劣等生」
訓練後の休憩中。
胡座をかく春陽にニヤけ面で近づいたのは、かつて春陽に模擬戦で完膚なきまでに叩きのめされたリリベル、小田巻だった。
「久しぶりだね、小田巻くん」
春陽は何食わぬ顔で返事を返すが、小田巻は気に入らなかったようで。
「チッ、その済ましたような顔がいちいちムカつくんだよっ!!」
怒りに任せブンッと春陽の顔面に向けて右腕を振るうが、片手で軽々と受け止めた。
「今の動きを見る限り、どうやら傷の痛みは引いたようだね」
人差し指で自分の右肩をちょんちょんと小突く春陽。
かつて模擬戦で切り裂いた傷をを、肩から太腿までスッとなぞる。
「こちとらオマエの顔を見ただけで傷が疼いて仕方ねェ。『今、ここで、ぶち殺せ!!』と囁いてくるんだ……………!」
「そっか。大変だね」
「おちょくってんのかっ!!ああ!?」
「別に」
パッと手を離し、春陽は立ち上がり二人は睨み合う。
激昂する小田巻に対し春陽は終始冷静だ。
休んでいたリリベルたちが遠巻きに二人を見ている。
「訓練なんてやめだ、やめっ!!
「それを決定する権利はキミにはないよ」
「言ってろ。今からここが戦場だ!!」
小田巻が大きく腕を振りかぶったその時だった。
『全リリベルに告ぐ。訓練を中止し、至急ミーティングルームに集合せよ。繰り返す。至急──────』
そのアナウンスが流れ、遠巻きに見ていたリリベルたちは駆け足でこの場を後にする。
小田巻も不服そうに舌打ちし、その指示に従い背を向ける。
「命拾いしたな」
「そのようだね」
それはこっちのセリフだ、と言わんばかりに返し二人もミーティングルームへと向かう。
しばらく歩きたどり着いたそこには、全リリベルに加え、壇上には司令の虎杖がいた。
席は先ほど騒動を起こした小田巻の横しか空いておらず渋々そこに腰を下ろす。
「ご苦労。諸君」
虎杖の言葉に、リリベルたちは全員その場に立ち上がり頭を下げる。
対し、春陽は腕を組み腰を下ろしたまま虎杖を見る。
一瞬目があったが、触れることなくリリベルたちも腰を下ろし本題へと入る。
「まずは、この映像を見てもらおうか」
虎杖の後ろにある大きなモニターに一人の男が映り込む。
緑髪のテロリスト、真島だ。
春陽は目を大きく見開き、驚いた様子を見せながらその映像を見る。
その内容というのが大まかに言えば、リコリス及びDAに対する宣戦布告。
どうやらリコリスの存在を世間に公表したらしく、発砲している様子が映し出されていた。
これでは、リコリスは完全に危険な存在として認知されていることだろう。
「ご覧の通り、テロリストによってリコリスの存在が示唆しれてしまった。これは由々しき事態だ。何としても秘匿する必要がある」
ピッとモニターの電源を切り、虎杖はさらに話を続ける。
「このテロリストに加え、街にも、かつて行方しれずとなっていた1000丁の銃がばら撒かれ未曾有の危機に陥っている」
虎杖の話を聞きリリベルたちはざわめく。
万が一、その銃で暴れられでもすれば被害は甚大だ。
本来はリコリスたちが秘密裏に任務にあたるのだが、事態が深刻なのは全員が理解している。
暴動鎮圧のための出動。
そのための作戦会議だと誰しもそう考えていた。
「キミたちに任務を与える。これはDA存続にも関わる超重要案件だ。心して遂行するように」
前リリベルの視線が虎杖に集まる。
「これから行うのは、世間に知れ渡ってしまったDAの隠密部隊 、リコリスの処分だ」
その言葉に、場が再びざわめいた。
怒りの表情を浮かべ、勢いよく立ち上がった春陽が反抗する。
「納得できません!!処分するのはリコリスではなく、銃を持った危険な一般人とテロリストでしょう!?」
そんな春陽に対し虎杖は冷たい視線を送り応対する。
「もちろんそれもリリベルが受け持つ。リコリスを処分した後にな」
「それも上層部の考えなんですね」
「その通りだ。拒否する権利はキミにはない」
「バカげてる…………そんなにあなた方の願望とやらが大切なんですか!?」
「おいっ、いい加減にしろや」
隣にいた小田巻は春陽の頭を掴み、机に向けて勢いよく顔を打ちつけた。
他のリリベルたちも体を抑え、指一本動かすことのできないよう締め上げる。
「司令の命令は絶対だ。テメェも本部のリリベルに戻ったんなら言うこと聞け。バカが」
「くっ……………!」
鋭い眼光を虎杖に向けるが、彼は表情を一切変えることはない。
「作戦は今日、これから行う。作戦指揮は篠原 春陽。キミが指揮を執れ」
「なっ!?」
「司令!!何故こいつなんですか!?この劣等生は──────」
「私の命令は絶対だ。さっきキミが言った言葉じゃないのか?小田巻くん」
「くっ………………」
「お言葉ですが司令。ボクはあなた方の指示を受けるつもりはないですよ。リコリスたちは絶対に殺さないし、殺させない。ボクに作戦指揮を執らせるということはそういうことですよ?」
「無論承知している」
虎杖がそばにいた士官に視線を送り、その男が春陽にゆっくりと近づく。
手には腕輪のようなものが握られていて、拘束されている春陽の両腕にそれを取り付けた。
「これは?」
「試しに受けてみるがいい」
「一体何を─────」
虎杖は壇上に置いていたタブレットをタップすると、無理矢理つけられた腕輪から高圧電流が流れ春陽を押さえつけていたリリベル諸共その痛みを受ける。
あまりの威力に全員がその場で倒れ込み、痛みを感じない春陽でさえ痺れて動けなくなってしまった。
「こんなものまで、用意していたとは……………」
「キミが不用意な考え、動きをした瞬間作動するようにできている。もちろんこちらからでも動作可能だ」
「全く。無意味なことを」
「余興もこれで終わりだ。本題に入る」
倒れ込むリリベルたちをよそに、虎杖は説明を始めた。
概要としては、まずDAがハッキングされ垂れ流しになった放送を取り返した後、延空木にいるリコリスに急襲をしかけ全員始末する。
最後に真島率いるテロリスト共を一網打尽にしようというものだった。
雑ではあるが、緊急な任務のため致仕方がない。
それに突如現れるリリベルを目の当たりにしたら、リコリスたちは怯んで隙が生まれる。
小銃を持ち、常日頃訓練に励む彼らにとってその一瞬の隙があれば難なく始末できるというもの。
優秀だから複雑な作戦はいらない。
強いからこそ、シンプルにやるのが一番なのだ。
「以上、作戦会議を終わる。直ちに飛行船に乗り込み戦闘体制を取れ。解散」
『はいっ!!』
リリベルたちは立ち上がり、準備を始める。
春陽と共に電流を浴びたリリベルたちもゆっくりとではあるが、部屋を後にする。
ミーティングルームには直にその電流を浴び未だ痺れて動けない春陽と壇上にいる虎杖だけが残った。
「何故、我々に抗う?」
その問いに、春陽はキッパリと答える。
「気に入らないから。ただそれだけですよ」
ニヤリと笑う春陽に対し、虎杖は顰めっ面になる。
「そこまでしてリリベルであり続ける目的は何だ?」
「合法的に人殺しが認められているからです。ボクの大切なものを守るために、例え殺人を犯してでも、ね」
「未だ一人も殺せていない男が何を言う」
「そうするまでもなかっただけです」
「ふんっ。殺す度胸がないだけだろう?」
「試してみますか?あなたの命で」
春陽の目は本気だ。
時間も経ち痺れが取れてきた今、虎杖の首を簡単に刎ねるのは造作もないこと。
それは、十数メートル離れた位置にいる虎杖もわかっていることだ。
「やめておこう。今死ぬには、まだ早すぎるからな」
「そうですね。あなたの血で先生から譲り受けた大事な薙刀を汚すわけにはいかない」
春陽はゆっくりと立ち上がり、身体中についた埃を軽く払いそばに置いてあった薙刀を手に取る。
「くれぐれも、私を失望させてくれるなよ」
「あなたの方こそ。そのボタンを押してボクを殺さないでくださいね」
決してこの作戦を遂行する気はない春陽ではあるが、それは虎杖自身もわかっていること。
腕輪での矯正が、二人の歪な関係を表している。
そして、それ以上言葉を交わすことなく二人は別々に歩き始めた。
片方は、大いなる野望のため。
もう片方は、小さな望みを守るため。
それぞれの想いを胸に飛行船は離陸した。
……………とか、───────を極力使わないようにしてるけど、なかなかこれが難しいんですよね。
皆さんの執筆した作品を見ても、自分とは全然違くて読みやすいなぁと感じた今日この頃でした。