OVA的なものか、はたまた二期かわかりませんが楽しみでなりません。
またブームを巻き起こすことを期待しています。
こだまする秋月の声にリリベルたちは緊張感を高め銃口を向ける。
セカンドリリベルとはいえその身体能力は折紙付。
接近され、薙刀を一振りすれば自分たちが死ぬことは目に見えている。
「んだよ。腰抜供が」
つまらなさそうにそう吐き捨てると、階段の上がりきったさきにいるセカンドリコリスが発砲した。
シャッターが上がったと同時に春陽を撃ったのと同一人物だ。
発砲音が聞こえると同時に首を傾けるだけで回避し、撃った張本人を見る。
「またオマエか」
秋月は内ポケットから鉄球を取り出し、狙いをそのリコリスへ向けた。
「何で当たらないんすか!?」
「放物線が綺麗すぎる。だから読まれるんだ」
勢いよく弾いた鉄球は手に直撃し、痛みからか拳銃を手放す。
「っ痛!!」
「安心しろ。大人しくしてりゃあ死にはしねぇよ」
再度狙いを変え、動けずにいるリリベルたちへ鉄球を放とうとする秋月。
「そこの女は意思を示した。次はテメェらの番だ」
それでも尚動かないリリベル数人の額に向け鉄球を放つ。
クリーンヒットしたリリベルたちはその場に倒れ込み気を失った。
「揃いも揃って玉なしか」
呆れ果て、そう吐き捨てる秋月。
三度、後方から銃声が響きその音が鼓膜に届いた頃1発の弾丸が秋月の心臓目掛けて放たれる。
ノールックで弾丸を鉄球で弾き、振り向きざまに上部を見ると服を血に染めたたきなが荒い息遣いで秋月を睨んでいた。
「はあ、はあ!死角からでも、殺せないか」
「無駄な足掻きを」
冷めた瞳に映るのは、敵対心剥き出しのかつての仲間。
春陽はそう考えているが、共に時を過ごさなかった秋月にとって彼女は煩わしい存在でしかなかった。
「この際、アナタが誰であろうと構わない。私たちに歯向かうのであれば、容赦しません」
「死に損ないが。今楽に──────」
秋月が鉄球を放とうと右腕を構えた瞬間、突如震え出す。
そして、震えた手を押さえるかのようにもう片方の手で腕を押さえつけた。
「何のようだ?
『言ったはずだよ。次、誰かに危害を加えようとしたら
秋月を押さえつけたのは春陽だった。
「安心しろ。リコリスは殺さねェよ」
『信用できない。必ずまた、誰かを傷つける』
「なら、無抵抗のまま死ぬか?奴らはオレを殺す気満々だぜ?」
『人を殺めることしか方法がないというのであれば変わるけど』
「ほざけ。臆病者が」
側から見れば一人でぶつぶつ言ってるようにしか見えないこの光景をみて、目にする者全員が困惑している。
「とりあえずリリベルは全員殺す。それでいいな?」
『良くない。気絶させるだけで十分だよ』
「はいはい」
春陽との会話を終え、鋭い眼光をリリベルたちに向ける秋月。
不服そうな表情を浮かべ、リリベルたちの眉間を狙い鉄球を弾き続ける。
弾丸とまではいかずとも十分な威力を誇るその弾にリリベルたちが次々と倒れていく。
「なんなんだ、アイツ…………」
「ありえないっすよ。人間業じゃないっす」
たきなのそばにいるリコリスたちがそう呟く。
「そうです、ね」
何度もその力を見ているたきな自身、理解できない点は多い。
3人の元へ、コントロールルームから出てきた千束が駆け足で近づく。
「みんな大丈夫!?」
「千束………………」
「千束!あなたの方こそ、大丈夫ですか!?」
「いや血だらけのあんたにだけは言われたくないっての。それで、状況は?」
「…………春陽がリリベルたちを撃退しています。今のうちに、クルミからもらったUSBを」
「そうだね。急ごう」
近くにいたリコリスたちは全員、コントロールルームへ入る。
最後尾は千束が立ち、そばでリリベルを足止めする秋月に対し、小声でそっと伝える。
「春陽に渡しておいて」
その伝言と共に差し出されたのは、ウォールナットのマークが記されたUSB。
間違いなくクルミからのものだ。
「わかった」
「ポケットに入れとくからね。それじゃあ、足止めよろしく♪」
千束は白い歯を見せ、コントロールルームへと戻る。
しばらく撃ち合いは続き、この場に立っていたのは秋月だけだった。
リリベルたちは全員、気絶し倒れている。
「球は全部使い切ったか。回収しないとな」
階段を降りようとしてその時だった。
スピーカーからとある男の声が発せられる。
『まだ抗うか。リリベルの汚点め』
その声の主は虎杖だ。
「酷い言われようだな。まあ、そんなことを気にするたまじゃねぇぞ?オレも
『ほう、オマエがそうか。もう一人の篠原 春陽というのは』
「初めまして、ってか。生憎だが、オレもアンタのことが大嫌いだぜ?おっさん」
『そうか。ではもう交渉の余地はないようだな』
「ぬかせ。先に攻撃してきたのはアンタらだろ。残念だがここにいるリリベルは始末した。次はテメェの番だ」
薙刀の矛先をスピーカー越しに虎杖に向ける秋月。
『言葉を返そう。残念だがそれは叶わない』
「なぜ」
秋月がそう問いかけると、数秒の沈黙の後虎杖が答える。
『貴様はここで生き絶えるからだ』
そう強く発せられたその言葉。
確信、ともとれる虎杖の言葉に秋月は鼻で笑って返す。
「ハッ、またお得意の不意打ちでもするつもりか?それとも、アンタがオレの相手をしようってのか?」
『勘違いをするな。私如きではキミに武力で勝つことはできない』
「よくわかってるじゃねぇか」
『キミは、いや、もう一人のキミは過去に私にこう言った。『我々はキミを散々手懐けようとしたが叶わなかった』と。それは事実だ。しかし、こうは考えなかったか?
「テメェ、何を言って…………」
秋月が見つめる先からカツン、カツン、と床を蹴る音が響く。
その音はだんだんと大きくなり、誰かがこちらに近づいているのがわかる。
足音が途絶え身構える秋月だったが、突如、パンッ!と銃声が鳴りその弾が彼の腹部に命中した。
「チッ!」
腹部にめり込んだ弾を見ると、素材は鉄ではなくゴム。
千束たちが用いる非殺傷弾そのものだった。
「なるほど、"跳弾" か」
銃弾が飛んできた方向からは未だ人影は見えていない。
弾を撃った人物は秋月の立ち位置を確認することなく発砲し、見事命中させた。
その技術は千束やたきなよりも上。
人の域を越えるものだったのだ。
「やはりお得意の不意打ちか。これもアンタの差金だな?」
スピーカー越しに虎杖に問いかける秋月。
『無論だ。さあ、出てきなさい』
再び歩み始め、その姿を現そうとする人物。
そのシルエットを見て、秋月は驚愕の表情を浮かべる。
「─────しお、ん」
倒れるリリベルたちのそばで直立する女。
彼が見間違えようもない、凛としたその表情。
光輝く金色の長髪。
秋月を撃ったのは、故人、青星 詩音だったのだ。
「……………………」
じっと秋月を見つめる詩音。
そして、一気に険しい顔つきになり銃口を彼に向ける。
「アナタ、誰?」
再び秋月に向かい発砲する詩音。
今度は眉間にヒットし、勢いのままその場に倒れる秋月。
実弾なら確実に死んでいた事実を二の次に未だ情報処理の追いつかない脳内は、混乱状態が続く。
「詩音、なぜ………………なぜ、詩音が…………?」
ポカン、と腑抜けた表情を浮かべる秋月。
彼の正気を取り戻すかのように、虎杖が言葉をかける。
『驚いたかね?』
「…………………」
『声にも出せないか。やはり彼女はキミを縛るには、うってつけの人物だったようだ』
勝ち誇ったかのように生き生きと話す虎杖に、ようやく状況を理解できた秋月が静かに殺気を向ける。
「何をした」
『なんだ?』
「詩音に─────なにをしたあぁぁぁぁ!!!???」
力任せに薙刀を振り壁を一閃する秋月。
轟音と共に大きな亀裂が入り、パラパラと壁の欠片が崩れる。
肩から息をし、スピーカー越しに虎杖を見る。
「ゆるさねぇ、絶対、ぶっ殺してやる!!!」
目から涙をこぼし怒る秋月へ、再度引き金を引く詩音。
今度は左手の甲に当たった。
「ねえ。春陽はどこ?」
「詩音、やめてくれ……………」
「教えて」
「オレは─────」
「そう。教えてくれないのね」
詩音は残念そうな表情を浮かべ、非殺傷弾から殺傷弾、実弾をリロードし銃口を秋月に向ける。
「アナタにもう、用はない」
銃声音が3人だけの空間に響いた。