マーレ国とパラディー島別世界転移物語   作:re-moo

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あと数話で過去編を終わりにしたいと考えています。


転移以前4 侵攻部隊の決戦1

 パラディ島 シガンシナ区 マーレ軍占領地域

 

 

 現在シガンシナ区とマリアの境界線では、40万超える両軍の兵士達が互いを牽制し合っていた。

 

 この状況になったのはつい2週間前のことであり、いつ戦闘が勃発してもおかしくないのが現実であった。

 

 

 「大尉、敵の様子はどうだ?」

 

 

 「今の所、敵にこれと言った動きはないとの報告が上がっております」

 

 

 「そうか、では引き続き偵察を続けるよう頼んだぞ」

 

 

 「はっ!」

 

 

 第6師団隷下第49連隊の連隊長であるマリック大佐は連隊参謀であるアレン大尉に敵の動向について訪ねるも、敵に動きがないとの報告に胸をなで下ろす。

 

 ここ2週間は休む暇も無くこうした偵察任務や、諜報活動などが多く行われていた。

 

 第49連隊は、その任務の大半を請け負っていた。

 

 任務を行うために必然的に最前線へと向かわなくてはならなず、敵の目と鼻の先での活動は危険を負う可能性が十分にある。

 

 もはや言うまでもないが、戦闘が起これば真っ先に被害を被る場所であるために、1秒たりとも気が抜けない状況が続いていた。

 

 

 「そろそろ作戦の開始時刻か」

 

 

 侵攻部隊の司令官がそう呟くと、近くにいる通信兵に声をかける。

 

 

 「各師団に伝えておいてくれ『へーロスは再び』と」

 

 

 「はっ!」

 

 

 「なっ!何だと!?すっ、すぐに各師団へ伝達する!」

 

 

 もう一人の通信兵が大声を出して焦りながらこちらへと走ってくる。

 

 どうやら、ただ事ではないようだ。

 

 

 「たっ、大変な事態が発生しました!」

 

 

 「何だ?」

 

 

 「つい先ほど、ヒィズル国がパラディへ向けて遠征軍を派遣したと発表がありました!」

 

 

 「なっ!?」

 

 

 あまりの衝撃に司令官は手に持っていた双眼鏡を落とす。ヒィズルは以前からエルディアを支援していることはわかっていたが、まさか、軍を差し向けるとは思ってもみなかったのである。

 

 完全に不意をつかれた侵攻部隊は、本当の意味で孤立無援となってしまったのである。

 

 前方のエルディア軍は8万人、そしてヒィズルからの遠征軍で14万人、併せて22万人もの軍勢が侵攻部隊のいるシガンシナや壁外、マリアの一部などを完全に取り囲まんとしている現状に司令官の焦りはますますひどくなる一方であった。

 

 

 「ヒィズルからの遠征軍はいつこの島に上陸してくる?」

 

 

 「それが…港付近に待機していた第164連隊と第89連隊から『ヒィズル国旗と海軍旗を掲げた大規模な艦隊と輸送船団を発見した』と報告がありました。この報告は数時間前のもので、無線が届く場所まで移動しなくてはならなかったので、今はもう上陸されてかと」

 

 

 「くそっ、ヒィズルめ、最初からこうするつもりだったんだな!」

 

 

 もはや彼ら残された選択肢は、「ただ前に進む」だけであった。

 

 そして、非常事態なのはマーレも同じ事であった。ヒィズルが遠征軍をパラディ島に派遣したことを発表した直後に、ヒィズルは反マーレ同盟を集め、マーレに対して「植民地と占領地の解放に関する条約に調印せよ」と声明文を発表したという。また、マーレ嫌い筆頭国として有名な中東連合は、半島の自治権の不透明性を理由に半島への侵攻を開始した。

 

 さらにヒィズル国は、自らの海軍力をもってパラディ島の周辺を意図的に封鎖した。これにより、マーレは完全にパラディ島周辺の海域において、制海権を完全に喪失することとなったのである。

 

 

 そして、、、

 

 

 「もはや、このような状況を作り出した奴らがうまかったようだが…そもそも、第一次調査船団に乗船していた、反マーレ派の義勇兵たちがこの島に情報さえ送らなければ、ヒィズルも島の連中も何も知らずに滅ぼせたというのに、」

 

 

 ここで彼は、一つの決断をする

 

 

 「全部隊の突撃をもって、敵首都を制圧する!砲撃の準備を急がせろ」

 

 

 「よっ、よろしいのですか?このまま突撃を行っても敵を壊滅させることは難しいですが…」

 

 

 「そんなもん、やってみなければ分からんだろ!とにかく、各師団に伝えておけ、」

 

 

 この命令は、直ちに展開している全師団へと送られた。作戦の開始日時は明日の4時、、、

 

 

 

 前からはパラディ島勢力、、、

 

 

 

 

 後ろからはヒィズル軍、、、

 

 

 

 

 混乱した司令官は、本来下すべきでない無謀ともいえる作戦を実行へと移した。

 

 

 

 

 この作戦と決断は後に、「マーレ最悪の日」として歴史に名を刻むことになる。 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 パラディ島 ヒィズル遠征軍 第零軍集団

 

 

 先ほどまでマーレ兵によって占領されていたパラディ港は、エルディアの救援に駆けつけたヒィズル軍の攻撃で壊滅した。

 

 パラディ港の制圧により、陸軍による上陸も行われ2時間後には周辺地域の制圧は完了していた。

 

 

 「何とか間に合ったな。これで、マーレ軍侵攻部隊を挟み撃ちに出来る!」

 

 

 第零軍集団司令官のムサシは、作戦が成功したことに喜びをあらわにする。

 

 この作戦では、ヒィズル海軍がマーレ海周辺の制海権を掌握するということが大前提であったため、大規模な海戦が発生すると予測されていた。そのため、ヒィズル海軍は、総艦艇数84隻の戦闘艦を有する連合艦隊の派遣を決定した。

 

 連合艦隊は、4隻の戦艦と21隻の巡洋艦、52隻の駆逐艦、7隻の潜水艦、その他多数の補助艦艇を有しているだけでなく、常に最新鋭艦の就役、近代化改修が施されるため軍事関係者から「現代艦隊」と呼ばれたりしていた。

 

 だが、予測されていた海戦は起こらず、パラディ島に向かう途中で出くわした一基の砲塔が破壊されている戦艦1隻と同じくボロボロの巡洋艦3隻、駆逐艦14隻の計18隻と戦闘していたのが唯一だった。

 

 ただ、海戦が大規模化しなかった原因が、港に着いてから判明した。

 

 港周辺には、マーレの所属であろう無数の軍艦の残骸が埋め尽くされていた。

 

 その中には、マーレが内外に向けて大々的に宣伝を行った、8か月前に就役したばかりの戦艦「マーレ」の姿もあった。

 

 

 この戦争は、マーレとエルディアの問題だけではなく、、もはや世界を巻き込んだ世界大戦の様を晒していた。

 

 まあ、その大半は我々ヒィズル側ではあるが、

 

 

 「予定どおり、シガンシナへと向かうぞ。そこでマーレ軍を挟み込んで撃滅するだけだ!」

 

 

 「では、さっそく各部隊に伝達しておきます」

 

 

 マーレ・エルディア戦争、、、一時はマーレが軍事力に物をいわせることで優勢を保っていたが、侵攻艦隊の全滅…ヒィズルの参戦…中東連合との戦争の泥沼化…複数国の参戦…等の要因が重なり、侵攻部隊のみならず国家そのものまで劣勢へと立たされることになってしまった。

 

 原作では起きることがなかった「世界大戦」、、、

 

 

 

 

 世界によるマーレ潰しが「今」始まろうとしていた。




漫画で世界大戦を見られなかったのが残念だった。

獣巨人が中東連合の戦艦に向けて榴弾を投げつけるシーンは本当に迫力がありましたね。
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