リリカルにエロいことしたいんですが、かまいませんね!! 作:He Ike
「さて、どうしたもんか」
自宅に着いてから今日の出来事を振り返る。
正直、オリ主君と踏み台君がいる時点で原作に関わるのは半ば諦めかけていたのだ。いくら踏み台君とはいえ、ロクな力も持っていない俺が挑めば返り討ちにあうだけだろう。
ただ今日のことでその考えはやめた。
だって高町さんすっげー可愛いし。なのはちゃんマジ天使。
ロリコンではないが相手は将来が約束されている美少女だ。それをオリ主君たちに攻略されていくのを指をくわえて見ているなんてのは正直嫌だ。
俺もなんとかして彼女たちにアピールできないものか。
まあ、考えてもすんなりと良い案が出るわけもなく今日は寝た。八歳だとすぐ眠たくなるな。
翌朝。登校中。
登校はバスだ。さすがいいとこの学校とでも言うべきか。
毎朝、班で集まって集団登校しないで済むのは非常に助かる。あれって、大概悪ガキが何かしでかすからな。俺もよく班長には迷惑をかけたものだ。
なんてことを考えていると我がクラスの珍集団が乗り込んできた。
高町、バニングス、月村、オリ主、踏み台の五人組だ。ちなみに名前を読んだ順番は俺的好感度順なのだが今はどうでもいいだろう。
そんな感じに五人組を見ていると高町さんが見られているのに気が付いたらしく、こちらに小さく手を振ってくれた。ああ、天使やわ。
無視する気はないので振り返しておいたが、どうしよう踏み台君がこちらを睨んでくるんです。
高町さん、天使なのはいいんだけど自分という存在の危うさに気付いてお願い。あの子、人を殺すような目をしてるんです。
とりあえず、今日は一人にならないよう気を付けることを胸に誓うとバスが目的に着いた。
さて、今日もお勤め頑張りますかね。
コツコツ、と国語の担当教師が教科書のキーワードを黒板に書き写す。
非常に静かな時間だ。授業の時間はいい。
真面目なオリ主君含む原作陣はきちんと授業を受けているし、今更小学校の授業なんて余裕な踏み台君は爆睡してくれるからな。
「えー、では次の段落を高町」
「は、はい!」
急に当てられ、ガタリと立ち上がる高町さん。周りのやつはそんな彼女の慌てようが面白かったのかクスクスと笑っている。
おいこらやめろよ。高町さん恥ずかしがって顔真っ赤じゃん。いいぞ、もっとやれ。
ちょっと、本音が漏れたりしている間にも高町さんは、ところどころつまりながら無事読み終える。漢字苦手なのかね?
「うむ。では、ついでに文中にあった四字熟語の意味は?」
「え、えっと……分かりません」
シュンとするようにうなだれる高町さん。まあ、初めて習うところだし仕方ないだろ。
「では、バニングス。分かるか」
「はい」
座らされた高町さんに変わりバニングスさんが当たり、スラスラと淀みなく答える。
日本育ちだったかな? だから問題はないんだろうけど、金髪碧眼の彼女が国語の授業をすんなりと言えてしまうと不思議と凄いと思ってしまう。
ヒュー、かっこいいー。
「次はそれを使った例文を江口」
「うぇいっ!?」
ガタッガタンッ、ゴスッ!
立ち上がる時に何を引っかけたのか机が倒れ、スネに襲い掛かってきた。小学生相応の身体能力しかない俺が当然それを避けられるわけなく、
「~っ! んんん……」
マジ痛い。つか涙出てきた。
「江口? 大丈夫か」
「……まさか机が倒れてくるなんて。油断大敵だ」
クラスでちらほらと笑いが起こる。とりあえず、ネタにはなったらしい。って、うわぁ、青くなってるし。
「はぁ、ちゃんと答えてくれるのはいいがこれからは注意するように。保健室へは行くか?」
「はい」
「では、悪いが保健係の人は江口に付き添ってやってくれ」
とりあえず、片足立ちながらも立ち上がって教室後方のドアまで行って待つ。
この学校では、授業中に保健室に行くときは男女どちらかの保健係が必ず付き添わなければならないのだ。
もっとも、女子の方は風邪をひいて昨日から来ていないのだが。そして男子の保健係は俺だ。つまり誰も付き添ってくれる相手がいないというわけだ。
いや、まあいいけど。こんなアホくさいケガに付き合う方もたまったもんじゃないだろう。
一人でいいんで行ってきます、と言おうと思った時だった。
「あ、あの女子の子は今日はお休みなのでわたしが一緒に行ってきます」
「そうか。高町頼むぞ」
なんか天使が付き添ってくれることになった。
オリ主君も意外だったのか、訝しげなな目でこちらを見てきた。なんでだよ。別にこのくらい問題ないだろ。
「行こう、江口君」
「お、おう」
高町さんに連れられながら廊下へ出る。
昨日のお礼なのだろうか。だったらマジで天使だな、なのはちゃん。オリ主君め、幼なじみなんて良ポジションをゲットしやがって。
「ねえ」
「なに?」
「その、足大丈夫?」
大丈夫だよー、ほら。わっ、真っ青。なんて会話をしながら保健室へのんびりと歩く。
途中、肩貸そうか、なんて言われもしたが丁重に断りさせていただく。さすがに女の子に肩貸されている姿は、情けないだろう。それに痛むけど、我慢できないほどじゃないし。
けど、
「あれだね。翠屋のおまけが無くなったのはちょっと惜しいかな」
これで貸し借りゼロだと笑って見せる。というか、高町さんを連れて行ったのは仕事だから何か恩を返さないといけないのは俺じゃないだろうか?
「でも、服は汚しちゃったから。……そうだ! シュークリーム一個サービスするね」
「あー、うん、楽しみにしておくよ」
どうにも高町さん的に譲れない一線があるらしい。
そんな風にこの二日間でずいぶんと仲良くなったものだな、と考えながら談笑を続けている時に事件は起こった。
「うわっ、とっとと」
俺が躓いたのだ。足をかばいながらのヒョコヒョコ歩きのせいで足がもつれ、転びかける。
ただ、転びかけただけで本来ならきっとなんとか踏みとどまれただろう。だがそうは天使がさせなかった。
「あ、あぶな……うわぁっ」
高町さんが俺を受け止めようとしたことで、ぶつかりバランスを崩し二人ともに転倒する。
とりあえず、俺が押し倒すような形から回転して、地面にたどり着くまでには俺がクッションになることに成功した。男として最低限のフォローはできたかね。
「いてて」
「うぅ、ごめん……ね? ひゃっ!」
うん? 高町さんの様子がおかしい。一体何が……!?
そして俺は目撃してしまった。こ、これは、
今の俺たちの格好は俺が下で高町さんがその上に乗りかかる形となっている。ここまではいい。
だが俺は、倒れ掛かってくる高町さんに潰されまいと二人の間に手を置いてしまった。そう、置いてしまったのだ。そして無我夢中で伸ばした手は高町さんの胸に。
胸に!
二度言ったが意味はない。いいか本当だぞ?
さて、この状況をどうするか。おっと、手をどかせばいい、なんてのは無しだぞ。無理だし!!
さて高町さんは完全にフリーズしている。しかし小学二年生にとって、胸を触られるということはどの程度の出来事なのだろうか。
ふにふに。
「んっ……」
まだ当然ながら性知識なんてないだろうし。せいぜい男の子には、象さんがあって、女の子は胸に風船ができると知っているくらいだろうか。
ふにふにくにっ。
「んくぅっ!」
となると、適当にごっめーんで済ますのが一番か。まあ、まかり間違っても転生した俺の特殊能力は使うべきではないのだ。
「はぁはぁ……なんでこんなに」
さわっ。
「んぁ! 急に優し」
きゅうぅぅぅ!
「っ! ぁんんんんんんっ……ぅん」
せっかく上げた好感度をわざわざ下げるようなことはするべきではないだろう。そうと決まれば、
「あれ、高町さん?」
気付けば意識を落としている高町さん。それになんか息が荒いような。
ふにふに。
「ああっ!」
ここで初めて事態に気付く。やってもうた……。
静かな廊下で二人きり。ようやく特殊能力の暴走を止めた俺は、失った刺激を求めて体を擦り付けてくる高町さんを胸に抱え呆然とするのであった。
初めて挑戦するエロス。最初はタッチ程度で済ませるつもりだったのにどうしてこうなった。つか、特殊能力の暴走でこんなバカエロ展開になる主人公もそう多くはいまい。
あ、あとこれってR-15的にどうなんだろうか。誰か判定を。場合によっては、R-18行きに……そっちの方が自由に書けるんじゃね?