もしかしたらありえたかもしれない5のラストと6の始まりの辺りの話。
そういえば、このネタ知ってますか?
エアレイダーってEDF6の荒廃世界でも支援部隊に通信ができるんだぜ!!
終わった。戦いが終わったその時は、案外あっけない物だった。
「―――――――――!!!!!」
空に浮かぶ巨人の悲鳴が轟いて、ソレが背負っていた光輪が割れる光景がスコープ越しに見えていた。かの者は、エイリアンの指揮官は、プライマーの総司令官は絶命したのだろうか。いや、まだ生きている可能性はある……!ヘルメットのボタンを操作して通信を繋ぐ。
「システム再起動急いでくれ!パワーモード……いや、βでもいい!次の攻撃準備を頼む!」
『落ち着きなさいな、今やってるから。もっともその必要はなさそうだけどね』
「何を言ってる!?プライマーはこちらが油断したところを何度も食い破ってきた!ヤツがまた息を吹き返してこちらへの反撃に出る可能性は十分にあるだろう!」
通信相手の女科学者が気だるげに返答したことに苛立ちと焦りを覚えつつも武器をリムペットガンに持ち替えてリロード、発射準備を進めていると通信チャンネルが切り替わった。地下に避難しながらも活動を続けている本部のチャンネルだ。聞きなれたオペレーターの声が響く。
『神のエネルギー、急速に低下!……っ!0です!敵生命活動停止!』
「それは事実か!?再活動の可能性はないか!」
『生き残ったセンサーで確認していますが、それらしき反応は全くありません。コマンドシップの搭乗員……いえ、プライマーの司令官の死亡を確認。我々の勝利です、ストーム1』
『よくやった!勲章物……いや、それどころではないな。これは歴史に残る英雄の所業だぞ!』
戦略情報部の少佐が事実を突きつけ、作戦司令本部の司令官が労いの言葉をかけてくれる。それでようやく肩の力を抜くことができた。銃を手放しはしないが構えを解いて一息つく。
終わったのだ。私の戦いはひとまずここで終わったのだ。自分が成した現実を受け入れながら、特別遊撃部隊ストームチーム隊長『ストーム1』は涙を流していることに気づく。プライマーに大打撃を与えたことによる歓喜の涙なのか、それとも……私の悲しみの涙なのか。
それを判断する時間はどうやらなさそうだ。衛星管理チームから緊急回線が開かれる。
『こちらサテライトコントロール!付近のチーム全てに告げる、直ちに退避してくれ!!この地点に残存しているマザーシップが終結しつつあるぞ!』
『なんだと!?戦略情報部、それは確かか!』
『確認しています!……事実です。各地で展開されたオペレーションオメガで足止めされていたマザーシップが戦闘を中断。被弾を気にすることなく一斉にこの地点に向かっているようです』
『マザーシップは当初の目的を思い出したようです!移動ルートと到着予測時間は……ああっ!この地点を包囲するように集結しています!包囲が完成するリミットはおよそ1時間、加えて私たちの基地もルート上にあります!急いで逃げなければ!!』
舌打ちがこぼれる。地球に侵略を仕掛けてきた勢力『プライマー』の母船であるとともに強力な砲撃が可能なジェノサイド砲を搭載した空飛ぶ円盤、マザーシップ。その中の一隻を少し前に落としたとはいえ、同じことをするには消耗しすぎていた。
『くそっ、不味いぞ!いくら司令官を排除できたとしても、マザーシップが脅威であることに変わりはない!ストーム1、急いで逃げるんだ!輸送機ノーブル、グレイプはあるか!?』
『あるぞ!あれが最後のビークルだ!既に積み込みは済ませて作戦エリア付近で待機している!エアレイダー、直ちに兵員輸送車両グレイプを投下する!投下座標を指示してくれ!』
『いえ、待ってください!グレイプで逃げるよりも地表に接近したタイミングでノーブルに生存者が乗り込んで逃げた方が……!』
『その案は駄目だ。マザーシップは航空戦力に容赦がない。鈍重な輸送機では逃げ切れんよ』
『……地上戦力までは目を付けられない。と言っても多少はマシな程度だが……正気なのか?』
「本部の言うとおりだ、ノーブル。まさか……囮になる気か?」
『そうだ、ストーム1。危険は承知している。やらせてくれ』
『こちら爆撃機フォボス。その作戦に協力させてほしい。爆弾を撃ち尽くして暇だったんだ』
『KM6も同行する。カムイやウェスタもまもなく合流予定だ』
『DE202、合流地点に到着した。こちらを目印として集合されたし』
「輸送機、空爆チーム、ガンシップ。全ての航空戦力がやる気なのか……ちっ、死なないでくれよ!空軍がいなければ空爆誘導兵の仕事はないんだからな!」
わかっているさ、エアレイダー。そう答えたのは誰の言葉だったか。各々に行動を始めた彼らの言葉はノイズ交じりで判別できなかったが、皆同じことを言っていたように思えた。
『そういうことなら俺たちも準備をするぞ。エアレイダー、俺たち砲兵部隊に続いて脱出しろ』
『装備運搬車両もありますから数は多いです。いい護衛になると思いますよ』
『こちらエピメテウス。潜航前にミサイルで気を引いてやる。地上部隊の無事を祈っているぞ』
『バレンランドは地上部隊の逃走ルートを支援する。攻撃タイミングの指示はエアレイダーに一任する。頼むぞ』
「砲兵隊に潜水艦も基地も、か――くそったれ、やるしかない!こちらストーム1!誰か聞こえていたら応答してくれ!生き残っている隊員を回収後ただちに撤退する!動けない隊員は連絡して『駄目です』」
叫びを遮ったオペレーターに何が駄目なんだ、と尋ねた。そして、私は知った。
この戦場で生き残った隊員は私一人だけである、という事実を。
共に戦った戦友のほとんどが生き残らず、生き残った僅かな戦友たちもこれから命を落とそうとしている現実に打ちのめされそうになりながらも、私は踏ん張った。そうだ。そういうことだろ。
私に。ストーム1に。英雄に生き残ってくれ、と、言いたいんだろう?
皆の声を聴いたら倒れるわけにはいかないじゃないか。バイザーの下で流れていた涙はいつの間にか止まっている。スコープから上空からいつもの様にビークルを投下しているノーブルへ敬礼を捧げた。今までありがとう。そして――いや、まだ言うべきではないだろう。いくつもの声に出せない思いを抱き、戦友たちに背中を押されながら撤退を開始した。
『……駄目だな。こちらには弾薬が足りていない。支援はできないな』
「ならこちらが弾薬を届けに行く。幸い駆除チームの連中が無駄遣いしてもまだ余るくらいにこちらには弾薬がある。あいつらに使わせるくらいならおまえたちが使え」
『本当か!?助かる!部隊の連中にも再招集をかけるか……準備が出来たら再度連絡する。感謝するぞ、ベース251。要請をくれたら砲兵隊が伊達じゃないところを見せてやるよ』
通信機の向こう側で自信たっぷりな兵士の姿が目に浮かぶ。通信機のチャンネルを閉じて一息つくと隣に座っていたブッシュハットの男がバシン、と背を叩いてきた。つい最近私が配属された基地、ベース251の実質的なトップを務めている『大尉』は笑みを浮かべながら口を開く。
「よくやった、新入り。この時代にエアレイダーなんぞやってる物好きかと思っていたが、まさか砲兵隊の連絡先を知っていたとはな。先の大戦でもエアレイダーだったのか?」
「ええ。各種空軍……あ、今は航空基地か。閉鎖されてますが、衛星コントロールや潜水母艦エピメテウスにも連絡はできますよ。バレンランドも3年前まではできました」
「ほほう、そこまで知っているとはなかなか優秀だ。素人の新入りばかりだと思っていたが貴様だけは精鋭だったようだな。しかし、EDFの支援部隊がほぼ壊滅した今でもわざわざコードを覚えているのはなぜだ?支援も期待できない今では役に立たんだろうに」
「……弔い、ですかね」
通信機の前に置いていたメモ書きを手に取る。ノーブル。応答なし。砲兵隊。応答あるも活動停止。航空部隊。航空基地につながるも活動困難。衛星コントロール。約一名除いて応答なし、応答ある一名も芳しくない。エピメテウスとバレンランド、現状不明かつ通信不可能。
つながらない相手ばかりでほぼほぼ紙切れとなりつつあるそれは、私と戦友たちのつながりを示す数少ない代物だった。
「例の敵司令船を落とした戦いでは多くの支援部隊が命を懸けて戦いました。生き残った彼らも撤退戦を援護するために多少どころではない無茶をして……EDFは支援部隊を失いました」
「聞いたことはある。最後まで戦い抜いた日本方面作戦司令本部直属の支援部隊だな。EDFの支援部隊は今でこそようやく再建しつつあるが、終戦まで戦った部隊を失ったことはあまりにも大きかったと言わざるを得ない」
「だから、生き残りはこういうのですよ。彼らは馬鹿だ、戦力を温存すればよかったのに、と」
「否定はできん。今の苦しい状況を踏まえると馬鹿と言わざるを得ないからな。だが、命の恩人の悪口はたまったもんじゃないな。彼らに救われた命からしてみれば、な……なあ、そうなんだろう、新入り?」
「……はい。だから、彼らに救われた私は忘れない。いつまでも記憶に刻み付け、彼らの思いを抱いて戦場に立つ。それが私にできる唯一の……弔いの祈り、だと考えています」
「ふんっ……なら、少しでも多くの戦果を挙げてやることだな。この荒廃した時代においても空爆誘導兵の戦略的優位性を証明してやれ。ドローンの整備を欠かすんじゃないぞ」
そう言い残すと大尉はいつもの厳しい表情で通信室を出て行った。そろそろ訓練の時間だったか。どれほどの戦いを積み重ねても、ベース251では私はまだ新入りだ。急いで向かわなければ。
降ろしていた携行型通信機を背負いなおし、胸ポケットへメモ書きをしまい込む。
誰に言うでもなく、自分に言い聞かせた言葉が心に染みると、空腹と疲労で消耗した体がかすかに活力を取り戻した気がする。その力で馴染みの科学者もいるであろう訓練室へ駆け出した。
戦いはまだ終わっていない。戦いの度に私はこれからも祈るのだろう。
戦友と共にあることを噛み締めるように。戦友を救いたいという思いを強くするように。
弔いの祈りを、捧げ続ける。いつか戦いが終わるその時まで。
もっとも、通信はできても悲しい内容が帰ってくるばかりですがね。
だけどそれを聞いたからこそ、M14からの戦いに力が入ったのはいい思い出です。
という実体験を基にしたお話でした。実際聞いてみるとかなり悲惨ですよ、あれ。
……実際EDF6の支援部隊というか航空部隊は結構悲惨ですけどね!
ガンシップも空爆要請もリロード面が悪化しまくりでして。
前作でフォボスやバルカンしまくったのが悪かったのかこれは……