最新話の方完成いたしましたので投稿させていただきます。それでは本編の方どうぞ。
——ウオオオオオアアアーッ! ……あ、どうも『名無』こと御影玲です。現在、絶賛遅刻の危機に瀕しており学校に向けて疾走してます。己の足で。
「全速前進DA☆」
自身を鼓舞するかのように某社長の台詞を叫びつつ、信号の点滅し始めた横断歩道を駆け抜ける。さてさて、どうしてこんなことになっているかと言いますと事の発端は昨日まで遡る。
昨日は、どういうわけか上原さんと放課後を共にして一緒に帰ったんですが……その反動で夜眠れなくてですね……その、恐ろしい程にドキドキしてしまって……。だからそれを紛らわせようと勉強に取り組んでたら……3時半ぐらいに寝落ちしちゃったみたいで、気づいたら7時35分。えーっと、遅刻コースでした。で、現在に至ると。
「間に合えええ!」
どこぞの新米士官の如き勢いで、通学路を疾走していく。不味いな……このペースで通学路行ったんじゃ間に合わないかも。……本気、出しちゃいますか。
大きく息を吸った自分は、荷物を背負い直すと走る速度を徐々に早めていく。これ、息上がるわ筋肉が悲鳴あげるわだから、あまりやりたくないんだよな……流石に遅刻はしたくないからやるんだけど。
ボヤきながらも進んでいくこと約5分、学校までのバスが出るバス停へと辿り着いた。とりあえず、バスにはなんとか間に合った……ということで、普段と同じように学校に到着することはできました。その代わり、滅茶苦茶汗かいたけど。
「あっつい……」
滴る汗を拭いながら、教室に入った自分は荷物を下ろすと自身の席に座った。うぅ……汗気持ち悪いよ……始業まで時間あるし処理してこよ。確か鞄の中に、あったあった。テッテレー、制汗シート&制汗スプレー!
内心で変な事を飛ばしつつも、制汗シートとスプレーを手にした自分は席を立ちトイレを目指す。
「あ、御影君おはよう」
教室出ようと思ったら、登校してきた上原さんwith高咲さんと鉢合わせました。もし神様とやらがいるなら尋ねますが、あなた自分のこと嫌いなんですか?
「おはよう……上原さんに高咲さん」
「凄い汗だけど、何かあったの?」
「遅刻しそうになって、慌ててきたって感じじゃない?」
上原さんの投げかけに高咲さんが反応を見せた。はい、えっと、全くもって高咲さんの言う通りでございます。さっきも言ったように、寝坊して疾走してバスに転がり込んだわけなんですから。
「そうなの?」
「はい……高咲さんの言った通りです。お恥ずかしい」
不甲斐ない己に対して内心涙を流しながらも、上原さんの言葉に頷く。うぅ……情けないよ……見られたくなかったよ……誰かこの場で自分のことをトメて……。
「そうだったんだね。それで、今からどこ行くの?」
「……ちょっとお手洗いに」
「わ、わあ! 呼び止めちゃってごめんね?」
……あー、これは上原さんにトイレに行く理由を履き違えられてますね。やっぱ誰か自分のこと今この場から消して。じゃなければ手頃な穴に入るかタイムマシンで昨日からやり直すかさせて?
「大丈夫だ……問題ない」
「御影君、それはフラグだよ」
何処ぞの天界出身の台詞で返したら、高咲さんに拾われてツッコミをいただきました。え、何……高咲さんこのネタ知ってるってことはこっち側の人間なの?
「フラグ?」
「あー、えっと、こっちの話……です。では、自分は一度失礼します」
上原さんと高咲さんの前を去った自分はそのまま当初の予定通りトイレへと向かうと、個室に入り即座に鍵を閉める。
「……はぁぁぁぁぁぁ」
便器に腰を下ろすなり、大きくため息を吐いた自分。あのー、ですね……今すぐ家に帰りたい。ついでにそのまま不登校になりたい。ダメだよもう……ほんと……お嫁……もとい、お婿に行けないよ……。
あの、某汎用人型決戦兵器のパイロットに選ばれた第3の少年の気分が今ならよくわかるよ……こんなね、逃げ出したくなるわ。
内心で嘆く自分であったが、左腕に巻いた時計が
一通り拭いた後、制汗スプレーで仕上げをした自分は、個室を出ると足早に教室の座席へと戻った。戻るのとほぼ同時に、教室の前方の扉を開け担任の教師が入ってきた。
「全員いるかー……って、画面に表示されてるんだっけか」
もはや恒例となった担任のボケを聞き流しながらも、自分は鞄の中から支給されているタブレットを取り出す。えーっと、今日の時間割は……あ、1限目数学ジャマイカ……。ええっと、数学のノートは……ん? 数学……ノート……ウッ!
「頭が……」
昨日のやりとりが自身の脳裏を過り、それは痛みとなって自分を襲った。なんかこう……思い出しだけでダメージになる記憶って凄いね。これだけの火力があるなら、正直忘れた方がいいのだろうけど、忘れたくないし、多分忘れられない。辛み……。
頭を抱える自分を他所に、SHRはいつの間にやら終わりを告げており、担任の代わりに数学の教師の姿が教壇にはあった。
「日番、号令お願いします」
「きりーつ」
教師の言葉の後、日番の間延びした声が教室内を駆け抜け、それに合わせて自分を含めた全員が立ち上がる。
「気をつけー、礼」
指示に従い教師へと礼をする。その際、自身の席から右へ2列、前に2列行ったところにある上原さんの席へそっと視線を向ける。すると、上原さんと目があったかと思うと軽く微笑みながら小さく手を振ってきた。
「ちゃくせーき」
日番が号令を発すると、上原さんはこちらへ1つウインクを飛ばした後に着席した。自分はそんな上原さんに視線が釘付けになったまま、反射的に座席に腰を下ろしていく。
え、あの、上原さん……自分のライフはとっくに0なんですが? というかこれ本当に
画して、己がいる空間が2次元なのか3次元なのかが分からなくなった自分は、午前の時間全てを費やして自問自答を続けるのであった——
4限を終えて、迎えた昼休み。全くと言って良いほど授業の内容が頭に入らなかった自分は、頭を抱えたまま座して項垂れていた。今日の半分を……ある意味で棒に振ってしまった……。
嘆きの言葉を内に秘めたまま顔を上げた自分は、机の横にかけた鞄から弁当を取り出し、包みを解くと2段重ねになっているそれを1段ずつにした。
「いただきます……」
顔の前で両手を合わせ、弁当に関わってくれた全ての人への感謝を述べる。そうして、箸を手に取って弁当の蓋を開けた。
中には卵焼きとウィンナー、ブロッコリーの炒め物。もう片方には、海苔のふりかけがかけられた白米が敷き詰められていた。
「御影君のお弁当美味しそうだね」
傍らから不意に投げかけられた言葉に顔を上げる。そこには、何故か上原さんの姿があった。それを理解した途端、自分は椅子ごと床にひっくり返った。アイエー?! 上原さん?! 上原さんナンデ?!
「み、御影君?! 大丈夫?!」
「……大丈夫、だよ?」
疑問形で頷きながらも立ち上がった自分は、椅子を立て直すと再びそれに座し上原さんの方へと向き直った。いや本当になんで?
「えっと、上原さんはどうしたの?」
「御影君がずっと項垂れてたから、何かあったのかなと思って」
……速報。午前中の自分、上原さんに見られていた。ウッソだろお前。自分で言っちゃうのも変な話なんだけど、自分は影が薄い方だからそもそも人に見つかる事自体が少ないし、普段から空気のように振る舞ってるんですわ。なのに、上原さんってなんで自分のこと見つけてるんだろ。
「ちょっと人間関係の事とかで、考え事を……ね」
午前中の自身の様子を俯瞰しながら短くため息を吐き苦笑する。渦中の人物を目の前にして、なんでこんな会話してるんだろうな、ほんと。
「そうだったんだね。もし困ったこととかがあったら、力になってあげられるかは分からないけど、相談ぐらい乗るよ?」
……スーッ。だから上原さん……軽率にそう言うこと言っちゃダメだよ? 何回も言うけど、本当に勘違いする人出てくるからね。後は私的な理由だけど、謎の罪悪感とか後ろめたさを感じるからやめて。うん。
「うん、その、ありがとう……」
謝意を述べた自分は再度弁当のほうへと向き直る。えーっと、上原さんの言葉の火力が高すぎて、何食べようとしてたかを忘れてしまったのですが。
「歩夢ー?」
「うん、すぐ行くね」
教室の外から顔を覗かせた高咲さんに短く返答した上原さん。今、名前呼ばれただけなのに会話になってなかった? 阿吽の呼吸ってやつですか。どっちかっていうと熟年夫婦感が。
「じゃあ御影君、何かあったら気軽に言ってね」
「アッハイ……」
手を振り去っていった上原さんを見送った後、漸く弁当の中身であるウィンナーを口に運んだ。……アレ、なんの味もしない。
味覚が狂っているのかと訝しんでいると、確実にこちらへと近付いてくる足音が聞こえた。今度は何だろうか、と思いつつそちらを向くと先程上原さんと共に去っていった高咲さんの姿が。え、高咲さん?
「御影君」
「なん……でしょうか……?」
驚きの余り、危うくウィンナーを喉に詰まらせかけた自分であったがなんとか飲み込むと、高咲さんへ疑問の言葉を投げた。本当に危なかった……一瞬死ぬかと思った。うん。でも、現状としてはもう1回ぐらい死にかける……というか死にそう。
「放課後、屋上に来てもらってもいいかな」
「屋上……ですか。かしこまりました」
高咲さんへ了承の意思を示すと、高咲さんはそのまま踵を返し教室の外へと出ていった。えーっと、わりぃ、自分死んだわ。高咲さん、真面目に狂気を宿した様な瞳してたもん。あの、誰か助けて? というかあんなの目の前にして、断れる訳もなく……はぁ。弱ったなぁ。
内心で恐怖しながら項垂れた自分は、相変わらず味を感じない弁当の中身を食していくのであった——
午後特有の睡魔と格闘しながら、国語総合——漢文の問題と向き合っていた。えっとなになに、『
「——今日の授業はここまで」
漢字の並べられた羅列に思考を落としていた自分は、教師の声で現実へと引き戻された。あら、いつの間にやら今日の授業が終わってしまった。なんも理解してないのに。
大きく溜息を吐きつつ帰りのSHRを聞き流していく。明日はもっと良い日になるよね、玲太郎……って、誰に問いかけているのやら。
これから起こりあるであろう現実から目を背けている間に、帰りのSHRも終わっており皆自然と解散していた。
「御影君」
窓の外へ視線を留めていると不意に名前を呼ばれる。振り返ってみれば案の定、高咲さんの姿がそこにはあった。はーい、人生終了のお知らせです。拝啓お母様、今までお世話になりました。はい。敬具。
「高咲さん……」
「先、行ってる」
それだけ言い残して、高咲さんは自分の前から去っていった。予防線……張られたね、これ。教科書等の教材を鞄にしまった自分は荷物を椅子の上に置くと教室を後にする。
さて……高咲さんは屋上のどこにいるかな。虹ヶ咲は敷地が広い。それに比例して校舎も大きい。つまり、校舎の屋根の上にあたる屋上も、異常なまでの面積を誇るのだ。無茶苦茶だ……たった一言だけの呼び出しで、これだけの広さの屋上の中を探せなんて! 謎の思考を張り巡らせながら、とりあえず屋上を目指し進んでいく。
「この廊下を前進しつつ、次の曲がり角を左折及び前進……チッ! 階段がまだ清掃中なら……そのさらに先の角を右折してそこにある階段で!」
呟きとは裏腹に重い足取りで階段を上り、屋上へ続く扉を開く。同時に、涼しげな風が扉を抜けて吹き込んでくる。その風に撫ぜられながら、外へ出ると青く澄んだ空と柔らかな日差しがこちらを迎えてくれた。ちょー気持ち良い……って、違う違う、そうじゃない。高咲さん、何処にいらっしゃるんだ。
「遅かったね」
どこにいるのかわからず辺りを見渡していたら、扉の傍らから突如声をかけられた。微かに驚きながらそちらへ視線を向ければ、なんとびっくり。高咲さんの姿があるじゃ無いですかやだー。あなたと言い上原さんと言い、気配を感じない割合の方が多いですけど、忍者の末裔か何かですか?
「その……申し訳ない。それで、自分に一体何の御用で?」
「単刀直入に聞くけど、歩夢とはどういう関係なの?」
こちらへ一歩踏み込むながら問いかけてくる高咲さん。その姿は、どこか気迫を感じさせるものであった。……やっぱりその話だよね。そりゃそうか。突然幼馴染がよくわからない男子と絡み始めてんだから。
「えーっと……なんだろう……友達、かな」
「ふーん? それにしては、距離感近いよね?」
更に一歩、こちらへ踏み込みながら高咲さんは尋ねてくる。明らかな敵意を持った声で。怖い……この子ってこういうキャラだったっけ? こんな……答えを間違えたら即あの世送りみたいな……。
「そ、そうかも……ですね」
「なんで?」
「向こうから……距離を詰めてくるので……理由はなんとも……」
怪訝そうな表情でこちらを見据える高咲さん。その気迫に押し負けた自分は一歩後退する。それに合わせて彼女もこちらへと詰め寄ってくる。それを何度か繰り返したところで、自分の背は扉についた。直後、高咲さんの右手が自身の顔の左側すれすれを通って、壁に叩きつけられる。あの……自分はなんで女の子に壁ドンされてるのでしょうか。
「あそこまで頻繁に話したりしてるのに理由がない、なんてことはあり得ないよね?」
「本当に何もないんです……上原さんの方から、何かと話しかけてくれたりするだけなんです」
未だ強い視線と共に向けられる追求に対して、ただ1つとして偽りの無い事実を述べる自分。途端、高咲さんの目の色が変わる。もしかしてこれ……地雷踏み抜いた?
「御影君……その言い方だと、歩夢のこと迷惑だって言ってる様に聴こえるけど」
「決してそういうわけでは……寧ろ、自分みたいなのに話しかけてくれる上原さんには感謝してます」
「そっか」
「はい……本当に、ただそれだけなんです」
そう告げると、高咲さんは自分の側から離れた。と、とりあえず……一難去った……のかな? 恐る恐る高咲さんの方を見据えていると、唐突に高咲さんが口を開いた。
「……歩夢って、小さい時から色んな人とすぐ仲良くなったりしてたからなぁ」
言葉を溢した高咲さんの表情は、先程まで存在していた気迫が完全に鳴りを潜め、昔を懐かしむような柔らかな表情が現れた。高咲さん、そう言うお顔できたんですね。なんて途轍もなく失礼なことを考えていると、新たに高咲さんが言葉を紡いだ。
「それに、昔から人に好かれやすいからさ。私と違って可愛いからさ」
「高咲さんも十分可愛いと思いますけどね……」
そう述べた自分であったが、数瞬の後にそれが失言であった事に気がつく。慌てて彼女の方を見てみると、そこにはわなわなとしながら顔を紅潮させる高咲さんの姿があった。
「あ、えっと、高咲さん?」
「わ、私が……可愛い……」
不安になった自分が高咲さんへと声を掛けるが、壊れた機械のように何かを延々と呟くだけであった。どうしよう……高咲さんがおかしくなっちゃったよ。コレはもう……やるしかないか。
腹を括った自分はその場で正座をし、懐を漁り始める。何か入ってなかったかな……。使えそうなものがないか懐を探っていると、不思議そうな顔で高咲さんが問いかけてきた。
「御影君……何やってるの?」
「え、ああ、切腹しようかと?」
「なんで?!」
「色々悪いことしたので」
思えば悪いことしかしてないじゃん。幼馴染2人組の間に入るとか、放課後想い人とデート紛いなことするとか。極刑だよ極刑。というわけでポケットに何故か入ってたカッターナイフで行ってみよー。
「だからって早まらないで?!」
あまりにも必死な様子で止めてくる高咲さん。それを前にした自分は懐にあったそれを出す事なく留め、その場で立ち上がる。
「高咲さんがそこまでおっしゃるのなら……」
「うん……私としてもそうしてくれる方が助かるよ。色々と」
溜息混じりに述べる高咲さん。そんな彼女を暫し見つめていた自分だが、不意に左腕に巻いた時計に視線を落とす。
「あ……もう3時半」
「いけない、歩夢を待たせてるんだった」
高咲さんはその事をたった今思い出したらしく、僅かに慌てた様子を見せる。あー、やっぱり悪いことしたな……。
「高咲さん……その色々とお手をかけてしまったようで……申し訳ないです」
「こっちこそ……さっきはごめんね」
高咲さんに謝罪をすると、逆に謝罪が帰ってきた。え、なに、どう言うことなの? コレはちょっと驚きなんですが? 不思議に思っていると、高咲さんが新たな言葉を発する。
「御影君の事、危ない人かなと勘違いしてた。けど、話してみて悪い人じゃなかったから少し安心したよ」
そう言ってはにかむ高咲さん。なんなのこの人。さっきはヤクザとか顔負けの怖い顔したかと思うと、突然乙女になって、今度はイケメンなんだが? そのギャップに惚れる人出そうだね。はい。
「えーっと、ありがとうございます?」
「けど、もし歩夢に何かしたら……その時はただじゃ置かないからね?」
「肝に銘じておきます」
高咲さんの言葉に悪寒を感じながら、彼女と共に屋上を後にする。そうして高咲さんと軽い談笑をしつつ教室へ荷物を取りに戻ると、1人教室に残る上原さんの姿があった。
「あ、侑ちゃん。それに御影君も。2人で何してたの?」
「うーん、ちょっとO☆HA☆NA☆SI……かな?」
「へぇー。そうだったんだね。それで、もう終わったのかな?」
「うん。終わったから戻ってきた」
2人の会話を横目に、自分の座席に置いてある荷物をひっそりと回収した。すると突然、自身の傍に上原さんが現れた。……やっぱり忍者じゃないのこの人?
「御影君」
「なんでしょうか?」
「ちょっと耳貸して?」
不思議に思いながらも上原さんの方へと耳を傾ける。その際そっと高咲さんの方を見れば、なにやら携帯の画面と睨めっこしている。これ……今見られてないじゃん?
「御影君って……侑ちゃんのことが好きなの?」
「……へ?」
待って待って待って。何がどうしてそうなった? ねぇ、ちょっと上原さん?
「いえ、あの、自分は」
「歩夢どうかしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
高咲さんの問いかけに対して否定の意を飛ばした後、懐から取り出したメモ帳に何かを書き記していく上原さん。その様子を応答を停止した頭で眺めていると、突然ちぎったメモをこちらへと差し出された。訳がわからないまま、それを受け取る自分。なに、これ?
「もしそうなら、私応援するね」
柔らかな笑みを浮かべながらそう告げてきた上原さんは、そのまま高咲さんの元へ行ったかと思うと2人揃って教室を後にしていく。
「御影君、また明日ね」
「また明日」
手を振る2人を見送った後、ただ1人教室に残された自分はそこで漸くメモの中身に目を通す。そこには『何かあったらここに言ってね』というメモと、アドレスと思しき羅列が。これって……上原さんの連絡先じゃなくて……?
「なんなの……本当に……?」
とことん現実味を帯びなくなってきた出来事を前にした自分は、大きく項垂れた後、荷物を背負うと1人帰路に着くのであった。えーっと……明日の自分は、果たして息をしているのだろうか、などと思いながら。