本編最新話の方完成いたしました。
それでは本編の方をどうぞ。
前回までのラブ↓ライブ!↑
推しの誤解を解いた後、よくわからん奴らに絡まれてる子を助けたら、推しと鉢合わせた……?
暖色の煌めきを持って打ち寄せる波。その様を、自分『御影
それで現状についてなんですけど……いやあの、なんだろう。訳のわからん状態になってサクラン・ザラしかけちゃったから、景色でも見て落ち着こうかなと思っただけなのよ。そしたらなんか、御三方にめちゃめちゃ心配されて……形式的に黄昏てます。形式的に。
「えっと、御影君とかすみちゃんはどう言う関係なの?」
「さっき他校の人達に絡まれてた時に助けてくれたんです」
高咲さんの問い掛けに返答してくれる中須さん。さっきの御影さん、衝動的に彼女のことを助けに走りましたね。……もっとも、あんな状況を目にして見て見ぬふりなんてできませんけども。
「かすみちゃんはなんで他校の人に?」
「近くにゴミ箱があったのに、ゴミをポイ捨てしていて注意したら……」
何故そうなったのかを上原さんが問いかけると、中須さんは詳細を話してくれた。いや、自分も気になってたんですけども、そんな理由があったとは……これは、中須さん悪くないし、寧ろ中須さんの行動に自分は敬意を表するッ! というか注意されてそうなるなら、最初から捨てるなよ男子共。
内心でため息をついていると、唐突に中須さんからこちらへと問いがなされる。
「その、御影先輩はなんで助けてくれたんですか……? 普通、あんな状況だったら、関わりたくないと思いますけど……」
「そうかもですね。正直関わらない方が賢いのかもしれません。けど、あんな状況を見せられて、見て見ぬ振りなんて自分にはできませんでした」
自分自身に言い聞かせるようにしながら言葉を発していき、一度区切りをつけて呼吸を整える。この手の話題をすると、幾ばくか熱くなってしまう。この前近江さんに昔の話をした時もそうだった。だから、落ち着かせるために。
「……嫌いなんですよ。多人数で一人に詰め寄っていくの」
気持ちを落ち着けたつもりだったのだが、自分の意に反して飛び出した言葉は辛辣さを帯びる。あれれー、おかしいぞー? 想像してたよりもはるかに強い言葉が出ちゃってる。
よく言うじゃん、あまり強い言葉を使うなよ……弱く見えるぞ、って。つまり今の自分は弱く見える。使わなくても普段から弱者でしたわ。
「御影君……」
「まあ、そんなわけで……助けに入った、って感じです」
高咲さんから不安気な視線を向けられつつ、話し切った自分は向こう岸にそびえるビルの合間から覗く西陽を漠然と眺める。なんか、こう、なんともいえない感情が込み上げてきて、すごくせつねぇよ……。恋しさと心強さも一緒に出てきてくれたら完璧だったんだけども、そんなものは存在していない、と。
そうして暫く沈む夕陽の観察をしていると、突然呼びかけられ我に返ることとなった。
「御影君、この後って時間ある? もしよければ、みんなでどこかに寄って行かない?」
自分、高咲さん、中須さんの順に視線を移しながら提案してくれる上原さん。この感じ、恐らくだが自分が沈んでいることを見抜かれており、気を遣って気分転換に誘ってくれたのだろう。上原さん、マジで優しいよ……自分は、その優しさに当てられてなんかすごくこう辛いけども。
なんてことを考えながらも、自分は問いかけへの返答を口にしていく。
「お誘い、すごく嬉しいのですが、今はそんな気分になれません……。ですので今日は、帰らせていただきます」
上原さんからの提案に首を横に振った自分は、荷物を抱え立ち上がると道路の方へと歩み出す。せっかく推しが気を利かせてくれたのに断るなんて、正直言って万死に値することなんだけども、そもそも推しのそばにいるのはアウトだし、実際にあんなもの見せられた後で気分が沈んでおり、到底遊びに行くような気分にならない。
罪悪感を抱えたまま進んでいくと、不意に背後から呼び止められる。
「あ、あの!」
徐に足を止め振り向いてみると、そこには立ち上がりこちらを見据える中須さんの姿が。彼女に対して軽く首を傾げてみせると、続きを述べてくれる。
「御影先輩……いえ、玲先輩! 今度かすみん達の同好会に遊びにきてください。今日のお礼がしたいので」
真っ直ぐとした視線でこちらを見据える中須さん。暫くの間、互いに沈黙したまま視線を交わしていたが、自分が僅かに口角を上げて見せ沈黙を破る。
「予定がなければ、伺わせていただきます」
それだけ告げ軽く手を振ってから、一同へ背を向けて帰路に着く。何事もないように振る舞ってはいるが、正直言って恐ろしく気分が悪い。今すぐにでも胃の中身を吐き出してしまいそうな程。
公園を出た自分は、不快感を抱えたまま足早に東京テレポートへと向かうのであった——
翌日の朝、学校に到着した自分は大きなあくびをしながら教室を目指して廊下を進んでいた。
昨日帰った後、即行トイレに駆け込んで、盛大に嘔吐しました。いやー、まさかあそこまでストレスかかってると思いませんでしたよ。久々すぎて色々驚いちゃった……ははっ。まあ、そのおかげか昨日のうちに気分は楽になったので結果オーライとしてます。けど後遺症的な感じで、胃というか食道あたりが痛いです。ご飯食べれるかな……。
要らぬ心配をしながら教室へ入ると、真っ直ぐ自分の席に向かい荷物を下ろす。その際チラリと周囲を見やると、高咲さんと上原さんが仲睦ましげにお話ししてるのが目に入る。あ〜、堪らねえですわ。朝っぱらからええもん拝めました……悔いはないよ。
過剰と言っても過言ではない程の尊さを摂取した自分は、内心でニコニコしながら荷物の整理をしていく。すると突然、呼びかけられた。
「おはよう御影君。昨日は大丈夫だった……?」
「はにゃ……?」
不意打ち気味な呼びかけに、意味不明な鳴き声を伴い顔を上げる。その先で見えたのは、心配そうな面持ちでこちらへ問うてくる高咲さんと上原さんの姿であった。
あ、アレェおかしいぞ……さっきまで向こうのほうで仲良く話してたお二方が自分の前に立ってるなんて……何かの間違いなんだろうなぁ。うん、きっとそうだ! ……とりあえず夢かどうかを確かめるためにももの辺りつねってみよ……あ、普通に痛いから夢じゃなさそうですね……ってハァッ?!
「おはよう……ございます」
処理の追いつかない頭を回して、何とか挨拶を返した自分。待って待って待って、自分は観測者でいたかたったはずなのに当事者に
「はにゃ?」
「……ちょっとびっくりして出た声なので気にしないでください」
首を傾げる上原さんに嘘偽りなく答えた自分は、一つ深呼吸をして気持ちを落ち着けようと努める。落ち着け、落ち着くんだ。昨日の情緒に比べたら今の状況なんて生ぬるい方だ……ごめんなさい、推しから話しかけられる方がダメージデカいです。
うまく落ち着けなさそうなことに泣きつつ、一番初めに問われたことに返答していく。
「体調は、この通り万全です」
小さく笑ってわざとらしく元気なことをアピールする。嘘である。この男、ニコニコしながら万全とか言ってるが、実際には今この瞬間も胃痛と昨日の疾走による筋肉痛に痛ぶられている。つまり、自分の体はボドボドダ! 状態なんですよ。何でやろなぁ。
「それなら良かったよ。でも、無理しちゃだめだよ?」
「そうだよ。何かあったら、遠慮なく私と歩夢のこと頼ってね」
上原さん、高咲さんの順に自分へ言葉をかけてくれる。えー、優しさの暴力に殴られて死にそうです。何なら重罪とかそういうレベルじゃないから今ここで死ね。死んで全人類に詫びろ。後あなたらは軽率に優しさを振り撒きすぎです。色んな要因で人のこと殺めかねないから。加えて自分には勿体無いのと畏れ多いので他の人にあげてください。まる。
「お気遣いありがとうございます。何かあったら、頼らせていただきますね」
気持ちだけを受け取ることにした自分は、形式的に首を縦に振った。形だけ、形だけだから。自身へ必死に言い聞かせていると、予鈴が教室内に響く。
「あ、こんな時間か。じゃあ私達席に戻るね」
「はい」
席へと戻って行く二人を暫し見つめた後、視線を机上に移し大きくため息を吐く。た、助かった……普段なら憂鬱さを与えてくる予鈴が救済の鐘になるとは……何が起こるか分かったもんじゃないね。
そんな感じで始まった本日の学校生活。今日長いかな、とか思いながら授業を受けていたが、あっという間に一限から四限が終わり、気が付けば昼休みに。早すぎんだろ……。
ため息を吐きながらも、荷物を持った自分は席を立つ。するとそこへ、高咲さんと上原さんがやってきた。
「御影君どこか行くの?」
「委員会関係で少し図書室へ」
「そっか……お昼一緒にどうかなと思ったんだけど、それなら仕方ないね」
少し寂しそうに溢した上原さんの様子を見て、自分のHPは大きく削られる。普段から断ることも気が引けるし、一緒にご飯食べるのも気が引けるしで板挟みなのに、今回の何よ? 申し訳なさが天元突破して学校来れなくなりそうだが?
「すいません、せっかく誘っていただいたのに……」
「ううん。気にしないで。委員会の方が大事だろうからさ」
「ありがとうございます」
高咲さんの言葉に謝意を述べ一礼する。だからあの、その、こちらにそんなに素敵な気持ちやら言葉やらを向けないでくださいな?
などと考えつつ、教室を出た自分は図書室へ向かった。中に入ると、何やら一箇所に集まる人影が見える。多分、今回の諸用である委員会の集まりだろう。
そちらへ歩み寄ってみると、思っていた通りで図書委員の面々が集まっていた。そうして合流した後に現れた顧問の教師から今後の委員会の動きや、各
なんて具合に思いつつも、図書室内の本を漁っていく自分。せっかく来たし、たまにはなんか借りていこうかな、と。暫し本棚を物色していると、おおよそ学校の図書室には似つかわないと思しき表紙が目に止まる。
「これは……ッ!」
その本——『紅蓮の剣姫』と記された文庫を手に取るなり自分は驚愕する。この紅蓮の剣姫というのは、某文庫より発刊されているライトノベル。高校入った頃に書店で見かけて手に取った結果ハマることになってしまったのだが、まさかその最新刊が学校の図書室に置いてあるなんて……! 昨日はこれ買うために書店行ったけど、まさかの在庫なしという状況だったのでこれはもうね、乙女座の自分には、センチメンタリズムな運命を感じられずにはいられない……ごめんなさい、自分天秤座です。
矛盾発言をしつつも、本を手にした自分は司書さんの元にそれを持っていき貸出の手続きを行なってもらう。
その後、司書さんにお礼を言って図書室を出た自分は、本の中身を軽く読みながら教室へと戻っていく。買えなかった最新刊、まさか図書室に召喚されてるとは思わなんだ。これはきっとついてるね。その分別の不幸が襲ってきそうですが。
表紙と本文の間に挟まれたキャラのイラストを眺めながら歩いていると、向かい側から来た少女とぶつかってしまう。
「あ、すいません……」
「いえ、こちらもよそ見していましたから」
そう言って謝罪を返して来る、眼鏡をかけた三つ編みの少女。……あれ、どっかで見たことあるような? 既視感に疑問を覚えていると、目の前の少女が口を開く。
「ですが、廊下を歩く際のながらは危ないので以後気をつけてください。二年普通科の御影玲さん」
「はい、気をつけます……ん?」
彼女の言葉を聞きながら反省していると、何やら自分の名前を呼ばれた。えーっと、うん? なんで名前知ってるんだこの人?
「……自分、名乗りましたっけ?」
「この学校の生徒全員の顔と名前は覚えてますので」
そう言ってメガネを押し上る彼女。おさげにメガネの組み合わせどっかで見たんだよな……本当に誰だっけこの人。
ひたすら脳内を漁っていると、目の前の彼女の視線が自分の持っていた本に止まっているのに気付く。
「この本がどうかしましたか?」
「い、いえ! その、この本をどこで手にしたのかが気になりまして」
「あー。さっき図書室で借りてきたものですね。まさかこんな本まで置いてあるとは、思っても見なかったんですけど」
苦笑しながら訳を話して見ると、なるほどと頷いてくれる。あー、こんな簡素な説明で納得してくれるなんて……夢見心地だぁ。あかん、これはラスボスに大量の血を流し込まれて生死の境目を彷徨うフラグだ。
「図書室にはそのような本も置かれているのですね」
「ええ。なんでも、生徒内からおいてほしいという要望が上がった結果、とか言ってましたね」
以前委員会内で聞いた話を思い出しながら補足する自分。よくよく考えると、ここの図書室にラノベ置いてたね。なんで忘れてたんだろ自分。バカなの? アホなの? 死ぬの?
罵倒気味に自己問答していると、唐突に目の前の少女の傍らにドォンという音を伴って、一人の女子生徒が現れる。同時に自分は驚愕した。突然現れたことに加え、現れた女子生徒のつけていた腕章に書かれた文字が目に止まったため。
「……?! 生徒会……役員? どうして今ここに……」
学校内での各種行事や部活、委員会などの動きを補佐並びに統制している生徒運営機関……もとい、生徒による生徒のための委員会——生徒会。現れた女子生徒はそこに属している。あ、去年同じクラスだった子だから知ってるってだけなんで。はい。
で、そんな元クラスメイトが、目の前のメガネの少女に何かを話している。どういうことだってばよ。
「中川会長、先日お話しした委員会の件なのですが」
「何か進捗がありましたか?」
会長と呼ばれた少女は、元クラスメイトへと問い返している。その光景を見て自分は唖然としていた。報告に対する返答、並びに今後の動きなどを素早く指示するその姿と、目の前の彼女が何者なのかを理解して、驚きのあまり硬直してしまう。
「——などと言った形でよろしくお願いします」
「はい。ありがとうございます」
礼を言ってその場を去っていく元クラスメイトを見送りながら、相変わらず立ち尽くしてる自分。とりあえず状況整理して……ありのまま今までに起こったことを話すぜ。
自分は教室内で高咲さんと上原さんに声をかけられてから、委員会があると言って逃げるように教室を出て来た。それから図書室で委員会の集まりを終えてラノベを借りてホクホクしてたら生徒会長とぶつかってしまった……! 何を言ってるかわからねーと思うが、自分も何が起こっているのかわからねー……本当になんでこうなった?
「どうかされましたか?」
状況把握の追いついていない自分に対して、問いかけてくる先程会長と呼ばれていた少女。そうだよ。思い出した。どこかでみたことあるわけだ。
「あの、えと、生徒会長の中川さん……で、あってますよね?」
「そうですけど、それがどうかされました?」
こちらの質問に不思議そうな表情を取り首を傾げる少女こと中川さん。改めて彼女は『中川菜々』さん。先の発言にもあったように、ここ虹ヶ咲学園生徒会の会長を務めている方だ。この人の顔集会とか委員会絡みで何回かみたはずなのに、さっきの文庫の件然り、なんで忘れてたんだろ……記憶力だけ衰えてんのか自分? いや、全体的に衰えてるか……。
「いや、その、失礼なことに、どなたなのか全然覚えていなかったので確認……と言いましょうか」
「そうでしたか。ここ虹ヶ咲は生徒数も多いですし、人の顔と名前が一致しない、などと言ったこともありますよね」
苦笑気味に返してくれる中川さん。まともに会話するの、多分初めてなんだけどフォロー入れてくれるとか神対応すぎんだろ。これはしびあこ案件だ。あ、ちょっと補足しておくと、『しびあこ』っていうのは『そこに痺れる! 憧れるぅ!』って台詞の略称ね。しびあこ、人名にありそうよね。どうでもいいか。
「ははは……自分の場合はそれが頻繁にあって……今の改善すべき課題の一つですよ」
「ふふっ、そうだったんですね。それなら、これからはきちんと私のことを覚えておいてくださいね」
「勿論です」
中川さんの言葉に首を縦に振った後、軽く会釈をして自分は中川さんの元を離れ教室への道を進む。生徒会長とぶつかるとか、中々ないよね。しかもこの生徒数を誇る虹ヶ咲なら尚更。あれ、やっぱ今日の運勢使い果たして不安に見舞われること間違いなしか?
「くわばらくわばら……」
身の危険を感じた自分は、咄嗟に厄除けの呪文を唱えながら教室へと足早に向かっていくのであった——
放課後、教室を出た自分は部室棟へと足を運んでいた。帰宅部の自分がここに来ることってまずないので、超レアケースです。
で、今日の目的地は確か、部室棟の二階にある部屋……だったよな。自信なさげに階段を登った自分は、登りきってすぐのところにあった『スクールアイドル同好会』と書かれた札の下げられた扉の前で足を止める。……あれ、スクールアイドル同好会って記憶が確かなら活動が止まっていたような?
首を傾げながらも扉を三回ノックし、一歩後退する自分。暫しの後、扉が自分から見て左にスライドし開かれる。……部室棟の扉、この見た目でスライド式なんだ。結構意外。あ、でも教室の扉も冷静に考えたらスライド式じゃん。
一人納得する自分の手前、扉の向こうから姿を現したのは中須さん。相変わらずシルバーアッシュの髪が美しい。じゃなくてじゃなくて。これじゃ自分セクハラって言われちゃう。それなら
……で、えっと、なんだっけ。ああ、中須さんの髪が美しいってのがセクハラ紛いって話か。という感じなのでね、今の言葉はグッと飲み込んでおきましょう。
「あ、玲先輩! 来てくださったんですね」
「ええ、まあ、はい。特に用事も無かったので……」
中須さんに促され部屋の中へと踏み入れる。すると見知った顔がこっちをみてました。具体的にはクラスメイト二人とバイトの先輩。同じ同好会って聞いてた上に、昨日の中須さんの件があったのでなんとなく察しはついていたんですけどね。でもいざ対面するとびっくりするわ。
「おや、玲君?」
「あ、えと、どうも」
不思議そうにこっちへ言葉を投げてくる近江さんに、キョドリ気味の返答をする。その、えっと、見知った顔の他に、全く知らん人が四人もいる状況で……どうして良いのかわからんくなってきた。
「あら、彼方の知り合い?」
「バイト先の後輩君だぜ〜」
「そうなんだね〜。話だけは聞いてたけど」
「彼が噂の後輩君なのね」
戸惑ってる自分の手前で、近江さんが彼女から見て左隣にいる長身で青みがかった黒髪をウルフカットにした方と、赤毛の三つ編みに青い双眸といった日本人離れした素敵な容姿の方の順に会話を繰り広げていた。
ええっと、なんというか、その、ビジュが強すぎないかな? 近江さん含めて。
目の前の状況を取り込み余計に困惑していると、中須さんが口を開く。
「あれ、知ってるんですか〜?」
「何々、カナちゃんのボーイフレンド?」
「そんなんじゃないよ〜……ただの後輩君」
中須さんに続いて発せられた周囲よりも一際目立つ金髪をポニーテールに結った少女の言葉に、困ったように返答する近江さん。……あれ、なんか近江さんの頬赤い?
「皆さんどうかしたんですか?」
「「
「あ、えと、自己紹介する……流れ、ですかね?」
中須さんに対して困惑した視線を送る大きなリボンとポニーテールに結ったダーブラウンの髪が目を引く少女と、ピンクの髪とスケッチブックが印象的な少女。
そんな二人に続いて自分は首を傾げた。マジでどうしていいのかわからなくて困ってます。あ、中須さんが頷いてくれた。じゃ、えと、名乗っておこうかな……本当は名乗りたくないけど。
「……ンンッ。普通科二年、御影玲です」
「それだけですか?」
「え、あ、うーんと……高咲さんと上原さんとは同じクラスで、近江さんは先ほど本人がおっしゃってたように、アルバイト先での先輩です。後、呼び方は自由に呼んでください。以上です」
もっとなんかないのかと言われたので簡単に人間関係を説明しておきました。え、自己紹介なんだからもっと自分のことを話せって? 高咲さんと上原さんの様子をニコニコしながら観測してますとか口が裂けても言えるわけないでしょ。
「二年、情報処理学科の宮下愛だよ! 礼儀正しく接するよ、玲だけに!」
先程近江さんになんかとんでも無い話題を振っていた金髪の少女が名乗る。ふむ、宮下さんですね。洒落を効かせた言い回し、センスがあっていいと思います……えっと、学年は同じとのことで。というか宮下ってどこかで聞いたような気がするなー?
「一年、情報処理学科、天王寺璃奈」
頭を捻っていると、スケッチボードを手にした子が名乗ってくれました。天王寺さんね。なんか『璃奈ちゃんボード「にっこりん」』とか言ってニコニコ顔のページを顔の前に出してるね。どういうことなのかすごく気になるんだけど、初対面で聞くのがすごく忍びない……。
「一年、国際交流学科の
内心で変に食い下がっていると、赤い大きなリボンが特徴的な子が自己紹介してくれる。一年生の桜坂さんですね。国際交流学科所属か。あそこの学科ちょっと興味あるんだよな……それはそれとして、演劇とスクールアイドルを兼部してるとかタフ過ぎんだろ……。
「朝香果林よ。学年は三年でライフデザイン学科に通っているわ。よろしくね、玲」
今度は近江さんに話しかけてたウルフカットの方が名乗ってくれた。三年の朝香さん……あれ、こっちもどこかで聞いたことある名前だな。なんだっけ……学業しながらなんかやってるみたいな……なんなら見たことある気がするし。というか距離感。宮下さんの時もちょっと思ったけど距離感が。
「チャオ、エマだよ! スイスからスクールアイドルになるために日本に来たんだ! よろしくね!」
朝香さん同様近江さんと会話をしていた三つ編みに結った赤髪が可愛らしい方が名乗ってくれましたね。えっと、エマさんね……多分朝香さんと近江さんとお話ししてたってラインから勝手に三年生と予想。それから、ほんとに海外の方でしたね。スクールアイドルやるために留学してきたとか強すぎる。後なんか、その身から癒し系のオーラが出ている気がする……もしかして、マイナスイオン?
不思議な感覚にまたしても思考を巡らせていると、高咲さんと上原さんの背後から新たな少女が現れる。え、もう一人いたの? 全然見えてなかった……。
艶やかな黒髪ストレートロングの右側の一房くくりという、少し変わった結び方をした少女は、他者よりも一際目立つオーラを放ちながら、自分の前へと躍り出てくる。
「優木せつ菜です! よろしくお願いします!」
朗らか、且つ元気よく名乗ってくれた少女。優木さんですね。……なんだろう。初対面のはずなのに、どこかで会った気がする。宮下さんや朝香さんのように『聞いた』ではなく、どこかで『直接』お会いした気がして仕方がない。そのことに激しく戸惑っていると表情に出ていたのか、目の前の優木さんが首を傾げてくる。
「どうかされましたか?」
そう告げられた途端、頭の中で自身の記憶と目の前の光景が繋がった。いや、でも、そんなことが……何故?
色々自分の中で繋がったことにより混乱してしまう自分であったが、そんな思考とは裏腹に、口からは問いかけが発せられた。
「えっと、中川さん……ですよね?」
自身の中で朧げに浮かび上がった疑問を放ってみたところ、目の前の優木さんは愚か、部室内の空気が凍りついたかのように静まり返ってしまった。
今回はここまで!閲覧の方ありがとうございました。
恐らくですがこの回が年内最後の更新になるかと思われます。もしかしたら更新があるかもしれない(不確定)。
そんな感じではございますが、また次回の更新でお会いしましょう。しーゆーれいたー!
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