本編の方ですが、現在折り返し地点でして、もうしばしかかるかと思われます。更新の方が進んでおらず、大変申し訳ありませんが、今しばらくお待ちいただけると幸いです。
以上、進捗を含めた前書きとなりました。それでは、本編の方をどうぞ。
追記:2024年9月1日
愛さんの御影の呼称を『玲』に変更
前回(?)までのラブ↓ライブ!↑
今日も今日とて日常を過ごしていた自分こと御影玲だったが、最後の最後でとあることをやらかした——
放課後なのにも関わらず、人気の無い体育館。テスト期間のせいで部活停止だから当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。
さてさてそんな静まり返った体育館に何故いるかと問われたら、忘れ物をしたからだ。我ながらおバカさんですね。最後の授業が体育で、体育館でやってたんだけども、着てったジャージを置いてきちゃうという痛恨のミス。
これのせいで帰る時間とか減ったので、6時間目の自分許すまじ。死して詫びろ。というわけで腹切りますはい。
で、えっと、無事にジャージを見つけた自分はそれを手に取り体育館を去ろうとしたところ、隅の方になにやらオレンジ色のボールが落ちているのに気がつく。
「……バスケットボール?」
近付いて確認してみると、よく見知ったバスケのボール。さっきの体育の時間に使ってたから、戻し忘れられたのかな?
何故かボールに対して憐れむ様な感情を向けた自分は、気がつけばそのボールを手に取りついていた。
人がいないせいか、普段よりも激しくボールの跳ねる音が木霊する。暫くの間その音に耳を傾けてつつボールをついていると、不意に名前を呼ばれることになる。
「あ、玲だ」
「宮下さん……」
呼ばれた方へ振り向いてみると何故か宮下さんが。宮下さん、今テスト期間中のはずなのになんでこんなところにいるの? こらそこ、ブーメランって言うな。
「どうしたのそのボール?」
「これは……しまい忘れなのか、隅に落ちてたんですよ」
「へぇー」
生返事的なものをした後、自分の側へと歩み寄ってくる宮下さん。なんか、流されたね? 流されたよな。うん。
「貸してー?」
「あ、はい」
内心で1人ツッコミを入れていると、ボールを要求されたため宮下さんへと渡す。するとすごい勢いでボールをつき始める。
はっや……そういえば宮下さんって運動神経ズバ抜けてるんだっけか。後この人『部室棟のヒーロー』って異名を持ってるぐらいには、いろんな部で助っ人やってたな。それならこのボール捌きにも納得がいくわ。
「上手ですね」
「ありがと! あ、折角だしさ『1 on 1』やらない?」
感嘆の声を上げたら謝意と一緒に勝負持ちかけられました。どういう事なのだ。
「……あまり自信ないな」
「まあまあ、そう言わず。ちょっと愛さんに付き合ってよ?」
手にしていたボールを胸の前で両サイドから挟み込むようにして持ち、こちらへと投げかけてくる宮下さん。
これは、その、受けるって言った方が早くことが終わりそうですね。はい。諦メロン。
「分かりました。少しだけですよ」
「やった。じゃあ、愛さん先攻で良い?」
「いいですよ」
頷いた後ブレザーの袖を軽く捲った自分はゴールを背にし、宮下さんと
対する宮下さんは、腰に巻いていた上着を外した後、持っていたボールをこちらに渡してくる。
「行きますよー?」
「いいよー!」
向こうが頷いたのを見た自分は、ボールをバウンドさせながら宮下さんへと渡すと、彼女の方へと距離を詰めていく。
ボールを受けた
「……えっ?」
入り込んできたかと思うと、フェイクだったらしく大きく後ろへと下がっていく宮下さん。
その挙動に硬直していると、そのままシュートモーションへと移られる。その距離からシュートってことはまさか……?
「……ッ」
放たれたボールを為す術なく目で追っていくと、そのまま吸い込まれるようにしてゴールへと飛び込む。それも、リングに触れることなくダイレクトで。
「ス、
彼女がシュートを放った位置は、3ポイントラインの外側。そして、そのシュートは今飛び込みゴールネットを揺らした。
「シュッと入ったね。シュートだけに?」
「ま、負けた……」
宮下さんのシャレを他所に戦慄する自分。初手から守ることもできずに3ポイントシュートを決められるという敗北RTAくらいました。終わりです。
というか宮下さん、めっちゃ対角線で距離取ってたのに、シュートをリングに当てないでダイレクトインさせるの凄すぎない? 3ポイントで。
「ほら玲、攻撃番だよ?」
「え、あの、もう負けなんで終わりでも良いっすか?」
正直この状況で3ポイント決めるのきびいし、そもそも決められないです。よって勝ちは無し。I loseです。はい。
「『1 on 1』なんだからディフェンスまでやらないと」
「さいですか……」
どこか納得せざるを得ない返答に、本日何度目かの諦めの表情を浮かべる自分。
バスケの攻めってあまり得意じゃないんだけどなぁ……そのせいで『1 on 1』自体もあまり得意ではないんですよね。でも、まあ、やるならしっかりやるか。
腹を括った自分は、ネクタイを外すとブレザーのポケットへとしまい、そのままブレザーを脱いだ。
そして脱いだそれを丸め体育館の端の方へと滑らせた後、ワイシャツの第1ボタンを外し両袖を捲る。
「良いですよー」
「行くよー」
宮下さんからの反応に少し遅れて投げ渡されるボール。それを受け取った自分は即座にドリブルを行い前進していく。
「おっとー」
その進路を阻害する様に自身の前に体を滑り込ませてくる宮下さん。全身を使ってのディフェンス、という点を見るに守るのも上手いですね。
単純に抜き去るのを早々に諦めた自分は、両手でボールを掴むと、突如としてアンダースローの容量でボールを投げ出す。それにより、宮下さんの視線は自分から外れボールを追っていく。
その一瞬を突き、宮下さんの死角へと回り込んだ自分は、彼女が視線を前へと戻すのに合わせ抜き去っていく。
「消えた……?」
驚きながらも即座にこちらを捉えてくる宮下さん。やっぱ場数踏んでるだけあって対応が早いよ。怖いね。
内心で怯えつつも、バックボードにて跳ね返ってきたボールを右手でカットし、そのままドリブルに繋いでいく。
「行かせないよ!」
その言葉と共に、自分より内角のコースを取り進路を遮ろうとしてくる宮下さん。
だがそこも想定済み。すでに自分は、彼女の進行を妨げるようにして、内角へのコースを取っている。
「玲、自信ないって言ってた割にはやることがえげつないね?」
「そんなこと、無いですよ……ッ」
そんな具合に宮下さんの進行を抑えた自分は、ゴールを狙いにくいエンドライン近くへと進んできてしまっていた。
正直ここから直接シュートを狙うのは不可能。故に自分は、宮下さんを前にしながらも押し通る決断をする。
ゴールの正面側に回り込む様にして踏み込む自分。宮下さんもそれに反応し同じ方向へと動いてくる。だが自分の狙いは、その逆をつくこと。
「貰いましたよ」
「あ」
エンドラインギリギリに沿って宮下さんを抜き去った自分は、大きく回り込むようにしてゴールの下を駆け抜けていき、通り抜けるとほぼ同時に踏み切る。
そして自身の後ろ側にあるバックボード目掛け左手のみでボールを突き放つ。
放たれたボールは、そのままバックボードに当たり、ゴールリングの中へと吸い込まれそのネットを揺らす。
「玲が飛び上がって
着地後にボールの行末を見届けた自分の口から出た言葉に思わずため息をつく。コイツ、くだらんことしか言えんのか?
「レイアップ……ぷっ! アハハ!」
あまりにも酷い自身の洒落に呆れていると不意に笑い声が。驚きながらも振り向いて見れば、宮下さんがお腹押さえて爆笑してるんですが。はてさて、ツボが浅すぎやしませんかねぇ……?
「そんなに面白かったですか……?」
戸惑いながら未だ両手で腹部を抑えながら笑い続ける宮下さんへと問う。その最中、不意に聞こえてくる笑い声が
恐る恐る体育館の入り口へと視線を向けてみると、宮下さん同様に両手で腹部を抑え爆笑する高咲さんと、その傍らでこちらと高咲さんを交互に見据える上原さんの姿が。はいー?
「あ、ゆうゆ! それに歩夢も。どうしたの?」
「えーっと、愛ちゃんを呼びにきたんだけど……」
その台詞の後、困ったように高咲さんへと視線を向ける上原さん。高咲さんめちゃめちゃツボってるね? なんで?
「あ、もしかしてさっきの玲のやつ?」
「アハハハ……う、うん! だ、だって……レイアップ……アハハ!」
「侑ちゃん……」
え、あ、えと……高咲さんにもさっきの洒落聞かれてて……それでツボっちゃって笑い転げてて、その結果上原さんが困ってる今があるってこと?
よぉーし。これは実刑だよ、御影。そのまま散るがよし。
「……宮下さん」
「うーん、どうかしたの?」
「介錯、お願いします」
手短に述べた自分は、その場で正座するとズボンの懐に何故か入っていた定規を取り出すと、それを逆手持ちする
「み、御影君……何するの?」
定規を腹部付近に突き立てる自分に対して、上原さんが不安気な表情で訪ねてくる。推しに迷惑かけてこんな顔させて、懲役は無し。即実刑。
「自刃です。というわけで宮下さん、よろしく……」
「りょー
「アハハハ!!」
「早まらないで!」
なんて具合に四者四様を見せた自分達。結局この後、上原さんとなんとか復活した高咲さんに乗り気な宮下さんと瀕死の自分が必死に説得されたり、上原さん達からテストに向けた勉強会に誘われたりするのだが、それらはまた別のお話——