書き納めがてら大晦日のお話を。さっと書いた文なので中身も無ければ量もないです……悪しからず。
前置きはこの辺にて本編どうぞ。
前回までのラブ↓ライブ!↑
ドライブに連れて行ってもらってたら事故ってしまい、運転手に責任を全部なすりつけられて収監された(大嘘)
『玲君ー、年越しデートしよー』
「なんて?」
珍しく電話が鳴ったなとか思って出てみたら開幕早々この有様である。どうも、大晦日の御影玲です。年越してからも一人だけ前の年に残されてそうな気がしてます。
『だから〜、一緒に年越しデートしよって』
「あなた今日ライブ終わったばっかりでしたよね?」
『そうだよ?』
電話の向こうにいる彼女こと近江彼方さんですが、先程同好会の1stライブが終わったばかりの人です。
ライブ終わったばっかりで何を宣ってるんだこの人は。
「だから尚更なんですよ……何を言っているのだ、と」
『彼方ちゃんとじゃ嫌?』
「そういうわけではないですけど……」
近江さんの言葉に否定の意を返す自分。その聞き方は正直ズルいと思う。ここでノーとは言えないから……。
『何かあるの?』
「片付けがいつ終わるか分からないんですよね」
懸念点はここである。自分も先程まで件のライブのお手伝いをしていたため、お片付けが残ってるんですよ。だから何時頃終わって自由になるかが現状不透明ってことで渋ってたり。……もっと言えばそもそも交際していない年上の異性と一夜を共にするのが怖いとも言うんですが。
『そっか。じゃあ彼方ちゃん待ってるから、片付け終わったら海浜公園に来てよ?』
納得の言葉を述べてから、待ち合わせ場所を告げてくる近江さん。あら、あらあら? 否定する暇ももらえませんでしたね。しゃーない。追撃する隙を与えた自分が悪いのだから。
「海浜公園の、どの辺に?」
『船着場の辺りがいいかな〜』
「分かりました。終わったら向かいます」
彼女の言葉に了承してから電話を切る。あー、親とかにも連絡しておかなきゃじゃん。各方への連絡は片付けの合間にでもやればいいから……片付け頑張るか。
意気込んだ自分は携帯を懐にしまうとその場を後にした——
時刻は23時半過ぎ。片付けを早めに切り上げさせてもらった自分は学校から海浜公園目掛け走っていた。うおっ、夜の臨港部寒っ! 潮風と北風が合体して寒風になってるよ。
「急げ急げ……あれ、メッセージ?」
徐に取り出した携帯の画面に目を落とすと、メッセージの通知が。誰からだ……朝香さん?
訝しみながら開いてみると、近江さんが打ち上げを早めに切り上げて行った旨が綴られていた。待って待って待って、それが本当なら近江さん寒空の下で長時間待機だよ?
あ、最後に一言付け加えてある……『彼方が風邪ひいたらあなたのせいよ』、ですと?
それは、本当に、そう。クソ寒い東京湾に身投げしてお詫び申し上げなきゃいけなくなるよね。
こうなりゃね、足がぶっ壊れようと関係ないの速度で走るしかないじゃん。
「近江さん……?」
船着場付近を彷徨いながら彼女の名を呼んでみる。本日視力があまりよろしくない日でして、絶賛鳥目状態です。暗闇で人の顔とか認識できない。眼鏡はと聞かれれば置いてきました。家に。殺せ……。
「近江さーん?」
再び彼女の名を呼びながら歩いていると、砂浜の上で膝を抱えて蹲る人影がピクリと反応を見せる。
ぼやける視界のまま、その人影の元へ歩みを進めていくと、突然抱きつかれた。……はにゃ?
「玲君……来てくれた……! 来てくれないかと思って……不安だった……!」
涙ぐんだ声と共に服越しから伝わってくる、冷たい感触。それほど長い時間、彼女のことを待たせてしまっていたのだ。
「すいません近江さん。遅くなってしまって」
自身が羽織っていたコートを彼女に掛けながら謝罪の言葉を述べる。……なんだか、顔向けできなくなってきちゃった。こう言う時、どんな顔したらいいんだろう。
「ヤダ、許さない……」
自分の胸に顔を埋めながら返答してくれる近江さん。あらら、許してもらえないって。それもそうか。寒い中で長時間、くるか分からない不安に晒されてたわけですし。誰だってそう言う。自分もそう言う。
でも許してもらわないまま年越しちゃうのなんか嫌だな……聞いてみるか。
「……どうしたら許してくれます?」
顔を埋めた近江さんに問いかけてみるも返答はない。これはダメかもしれない。そう思っていると、徐に顔を上げた近江さんが口を開く。
「来年も、一緒にいてくれるなら許してあげる……」
そう言って小さく笑いかけてくれる近江さん。もう怒ってはいないみたいだ。寛大過ぎる。それで許していただけるなんて……それはさておき御影君や、君のやったことは普通に最低だから切腹した方がいいんだよ? でもここで腹切っちゃうと近江さんに許してもらえないから歳越してからにしようか……。
「近江さんが、それを望んでくれるのなら。一緒にいますよ」
「……いいの?」
彼女の問い返しに頷いて見せる。こんなことしちゃったんだからね、聞いて当たり前ですよ近江さんのお願いくらい。じゃないと自分に来年はないので……ハハハ。
内心で苦笑しつつ、懐から取り出したスマホの画面に視線を移すと、あらまあびっくり。もうこんな時間。
「あ、近江さん。良いお年を」
不意に投げた自分の言葉に驚く近江さんだったが、その意を理解してくれたようで、笑いながら返答してくれる。
「うん、良いお年を」
互いに旧年の挨拶を済ませたところで、日付が変わる——否、年が明ける。
「あけましておめでとう〜」
「あけましておめでとうございます」
互いに新年の挨拶を交わす。どうやら無事に年を越せたらしい。これで越えれてなかったら哀れなんてレベルじゃあねぇなあオイ。
「今年もよろしくね」
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
互いに顔を見合わせたまま言葉を交わす。親族以外と年越するの、なんだかんだ初めてかもしれないな。
感慨深い気持ちに浸っていると、冷たい風に煽られる。寒……ヤバい、寒すぎてサ◯スになっちゃう。
「あの、そろそろ上着返してもらっても? 寒くなってきた……」
「ダメ。彼方ちゃんだって寒い中で待ってたんだから」
揶揄うようにしてノーを告げられてしまう。御影、
「それに——もう少しだけ、玲君の上着着てたいから……」
不意に呟かれた彼女の言葉に、一気に体温が上がった気がする。要は羞恥心に襲われたってことですよね。水曜七時の番組が恋しいな……。
「……近江さんの気が済むまで、羽織ってて、ください」
そう返した自分は、羞恥心に負けて座り込むと膝を抱えるのだった。
因みにこの後、無事に自分だけが風邪を引いてしまったのだがそれはまた別のお話。
閲覧ありがとうございました。
次回こそは本編の更新でおお会いしましょう。
加えて、本年はまことにありがとうございました。来年もまたマイペースにですが連載を続けていく所存ですのでどうぞお付き合いくださいますと幸いです。
それでは皆さま、また来年の更新でお会いしましょう。良いお年を〜!
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