再び一人称。
そうごっちゃにする事は無いけど、混乱した人に関しては謝罪を……
最近少しやりすぎたか。
それが、実験場所として指定された施設へ入ってすぐに、来た道が閉ざされての感想であった。
有り体に言って、はっちゃけすぎた自覚もある。
何もかんも政府が悪い。(小並感
ご丁寧に、いかにもな色の煙幕が通路の両脇から噴き出してきて、さっさと先に進めという事らしい。
「不味いな……完璧に俺用に逃亡対策の施された、非金属系の扉……。
無理をすれば出来なくも無いんだケド、手札をコンナ訳わからん所で晒すのもなー。
コノ状況であり得るのは……軍用兵器なんかの実働実験とか?」
すっとぼけー。ま、牽制程度にね。
盗聴盗撮の類が俺の能力で壊れないといいね!
これを皮切りに出力を上げます。
そこらへんでバチバチ鳴り始めます。
ね?(ゲス顔)
理由は私怨による腹いせか、他の研究からのテコ入れか、もしくはアレイスターの気分を損ねてしまったのか……?
最後のには旋律する限りだが、どうしようもない上に放っておくとも思えないのでぶん投げる。
取り敢えず精神系能力者にだけは注意を払ってるが、
そんな雑感思考を傍らに、携帯していたパチンコ玉や簡易ナイフなどを磁力操作して放ってみるも余り効果は見られない。
久しぶりに感じる“クる状況”にピリピリともするが、反面で冷静に状況判断を下せているので、比較的余裕を保っている。
過去の酷い経験のせいもあるだろうが、それ以上に能力開発の恩恵である分割思考《マルチタスク》による所が大きいのだろう。様々である。
速読、ながら見、並行作業、何でもござれ。
そりゃ、そこらの並な
体が縮んで、精神面がそれに引きづられた所もあったが、今ではそれを克服して有り余るものがある。
便利だね!って単純な話で終われば良いのに、それが軋轢を生んだ結果がこれなのだ。
……いや、厳密に言えば俺自身はニュータイプらしくって、
ま、何が出てくるのかは知らないが、上手く立ち回ればどんな兵器でも俺の能力なら潰すことも可能だろう、とも。
そう思って通路を進んであった扉を開けた瞬間。
開始コンマ何秒か飛んできた弾丸回避余裕でした。
……いや、全然余裕違うんだけど。
「……テメェが次の対戦相手、ってか?……チッ、まだガキじゃねぇか、胸糞わりい」
白髪、赤目で真っ白けの彼は。
言ってこちらが反応するよりも早く、足元を軽く蹴ったかと思うと、再び先の弾丸がこちらに向かって迫り来る。
いきなりの事態にちゃんとパニックになりつつも、片や冷静な俺はしっかりそれを磁力操作で逸らしながら横とびに回避する。
とにかく防壁を作成して相手の攻勢を止めないと話にならない、と判断して懐から万が一の備えを取り出した所で、
「コッチだ」
「ん、な!?」
真横に瞬時に移動して来た彼と目と目が合い、その瞬間発生する衝撃、視界転換。マゾではないので好きじゃありません。
咄嗟に展開した液体金属……特殊加工を施した“水銀の盾”が何とか間に合ってガード。
にも関わらず、作って操作する力場ソレごとぶっ飛ばれるとか、もう、ね。
一定距離を保つために設定した盾の内側への磁力と自身から発生させた磁力の反発で、ちょっとしたホールになってる実験室と思しき部屋の隅までズリズリと圧されるハメになり、壁にぶつかる。
う、うい、馬鹿見たいな威力っす。
あぁ、これは。
はい、彼です。不遇の一位さんです。本当にありがとう、
「ございましたぁ!!」
お次にと飛んできた一段とデカいコンクリート塊を、今度こそしっかりとした防壁を予備の分(化合金属)まで取り出して作成する。
無理矢理引っペがされたコンクリートの中の鉄骨に作用した磁力と、こちらから逸らすための流線型にした防壁で、最早弾幕と化した後続諸共の猛攻をなんとか凌ぐ。
「……なんだなんだァ?随分と
後手必死。必死なのは俺ね。
黙って殺られるだけが趣味な訳は勿論無い。正直効くとは微塵も思わないが、とにかく何とか立ち回らにゃならなん。
先のコンクリート塊に磁力を負荷し、斜め射線からぶつけてやった。
何やら喋ってたが、攻撃の止まったチャンスだったので。
……てか考えてみるとなんでこんな人外さんと対峙しなきゃなんないのかという妙な話だ。
超能力者《レベル5》なのは確かだが、原作はまだかなり先の筈だから暗部の犬となってる訳でも無いだろうこの時期に、たかが俺如きのために彼が動く動機が、ちょっと分からん。
「……テメェ、良い根性してるじゃねェか。そんなに奴らの命令が大事か?」
「……ん?ちょっと待て、何か誤解g」
聞けよ。
ってまぁ先にやったのは俺みたいなのだが。
取り敢えずその辺りが突破口か、等と考えつつ。
再び接近してくる気配に、俺は周囲の金属片(※壁は金属のようです)を礫のように打ち上げて、天井の照明器具を狙って破壊する。
蛍光灯の破片が飛び散り降り注ぐ中、はて、とここが何を想定した造りなのか大体の検討を付ける。
同時並行、既に液体金属の盾の六割以上を解除して回収。
自身は抉れて出来た溝を伝って、さながらリニアの要領で横へ退避している。
分割思考《マルチタスク》!(キリッ
確かに速いし威力もヤバいが、アホみたく二度目を喰らう俺でもない。
性能の差はあるだろうがそんなのは
俺の危機に対する経験を舐めて貰っては困る。
彼はダミーの盾を貫いて、予想外の手応えの無さに空振ったそのまま壁をぶち抜いてくれたようで、奥の方でドンガラガッチャンと大きな物音を立てている。
明かりが無い状況にいきなり陥った彼と、事前に備えた俺。
アドバンテージがあるこちらの手番に、もう一発くらい何かカマしてやりたいとは思うが……。
何せ物理的なダメージ一切が効かないらしいので、とっとと脱出の方向で考えた方が良いだろう。
これは名目上でも何かの実験と言う事になっていたので、少なくとも中の内容を確認するためのカメラなど測定器がありそうだが、まずはそれをなんとかしてこれ以上の情報を与えてやらないようにするべきか。
まぁ、その時の反応で彼の立ち位置も判るだろう。
「と言うわけで、電子機器の諸君、さらだb」
ばー、と言おうとしたタイミングに重なるようにバーっと再び這い寄る爆音。
まぁまともに当たっちゃえば競り負けるのは分かっているので勿論回避。
そんなのは思い出王手思い出王手。
俺自身の能力は磁力《マグネトロン》操作と測定されているが、ここ最近では厳密に言って磁界《マグネットフィールド》操作ではないかと確信している。
その違いはというと、磁力そのものを生み出して操作するか、磁力を操れる環境を操作するのかというものか。
それでは、一行程を挟むタイムラグやらで一見下位互換とするのが世間の風潮。
が、実はそうでも無く、例えば今の攻撃にしても展開した磁界への干渉によって起きる磁力線の変化で察知、これを逸らすなりしながら俺自身を逆方向へ反発させたり。
回避に専念するのなんかにはかなりの利便性を誇るのだ。
なんと言っても磁力線を観るくらいで特に無駄な消耗も強いることなく、電子機器を片端から全滅させることもないので現在のデフォルト装備となっている。
その辺が今回の嵌め手だ。
他人から時折、あらぬ方向を向いて何を視ているのか、と聞かれることがあるが、この為であることが多い。
キョロ充言うなって。
まぁ避け方がかなり特殊な軌道を描くため、心無い感想には
そうして部屋の壁の向こうから貫通してくる弾丸を回避しながら、こんどこそ取り出した自作の
見物客がいるのかは知らんが、精々聴いて驚け、視て慄け。これぞ必殺、
「
音も飲み込み、炸裂。
瞬間、能力によって目視する膨大な電磁波による海と化した奔流が炸裂して周囲を呑み込む。
急激な磁場の乱れに、普段感じる静電気ではお話にならないくらい、そこかしこにビリビリバチバチ。
机上から飛び出した臨場感溢れる試運転は、形となって想定道理に計算を裏付ける嵐を形成する。
ざまぁ見ろヤってやったぜ、これぞ科学だ!……と言わしめる堂々たる結果に、思わずMADのダークサイドに片足を突っ込み掛けようものだ。(半分本気の愉快犯の気有り)
これで、周囲約半径2km圏内の電子機器はパァである……はずだ。
これは映画などで偶に見かけるEMP爆弾等と呼ばれるもののもどきである。
簡単に言えば、過度な磁力を巻き起こしてあらゆる機械という機械を狂わせる電磁波パルスを発生させる代物である。
元は核兵器なんかで発生する副産物だったりするというお馴染みのアレだが、今回は俺自身が磁力を司るので、機器を使ってそれを拡散させるというシンプルな構造となっている。
もっとも、その“シンプル”と称するそれがまた当然ながら難しい筈だが、そこは流石は学園都市。
効果が効果なだけに、作ったはいいが早々実働実験をやらかすわけにもいかなかったのだが、今回はいいサンプル例となりそうだ。
思わず見事なまでに青臭いネーミングまで叫んでしまっても仕方ない、うん。
後始末等、知ったことか!(目線逸らし)
まぁマジレスすれば、この辺り一帯は結構後暗い類の研究所しか無いので、因果応報だろう。(大雑把)
電磁波の渦が引き、その後を映す磁界では磁力線の束が無茶苦茶な方向を向いていた。
俺の律する能力支配領域だけは直ぐに乱れを正し、その境界線では急激な変化でフレミングの法則により紫電がバチバチと巻き起こっている。
さて、どんなものかと決まる王手飛車。
そんな視界の直ぐ後ろから、俺は白髪の彼、一方通行《アクセラレータ》さんに狙いを付けられていた。
迷わずに両手を挙げ降伏のポーズ。
紛う事なきチェックメイトに、投了不可避……油断も無く余談もお亡くなり、これで詰み、といったところだが。
まぁ、有無も言わせてもらえずに瞬殺されないだけ僥倖だろう。
元から逃げられる望みは薄かった訳だし、これでいい。
学園都市最強にしてはぼ無敵の第一位能力者。
“原作”のかなり前であるこの時期に彼がどんな生活を送っているかは知らないが、本編から想像するに禄なものでは無いのだろう。
絶対能力者《レベル6》化計画はまだ始まっていないとは思うが。
これは幾人もの他の原作の人物にも言える事だが、偽善者面にあれこれと干渉しようとは思わない。
自分の側の者を守る事は全力でするが、自分の程は分かっている。
あれもこれもと
物理的にも、精神的にも。
「質問に大人しく答えろ。妙な真似しやがったら容赦無く殺す。分かったらゆっくり振り返ってからハイかイイエで即座に答えろ」
「……yes」
どうでもいいがこの場合、ハイかイイエかで答えるかの質問に対してyesと答えただけともとれる。
なので、細かく見れば前問いと後問いの二つの命令があり、ならばyesをもう一つ加えるべきだろうか。
まぁそんな言葉遊びに彼が付き合うとは到底思わないので、勿論そんな事はしないが。
ハイかイイエにyesと答えただけでも十分に怖い顔されました、はい。
「一つ目、今
「……電磁波パルスを拡散させル爆弾を使っテ周囲の電子機器を破壊シた。暫くは電波を使う類のもノも使用不可となルと思う」
そして、緊急の信号でもある。
これに気付いた春生姉さんが、発動位置を警備員《アンチスキル》なりに連絡してくれる手筈になっている。
非合法な実験などに対する予防策で、その辺りはかなり神経質になって取り組んでいる。
そうで無ければ俺を安全性の有無の知れぬ
……状況が違うが、
水銀の盾の考案や、超電磁放射爆弾《マグネトロンウェーバー》の開発等がすんなりといったのも、そんな春生姉さんによるところが大きい。
些か物騒であるものの、二人してそれなりの根拠と自覚はあるのだ。
そんな雑念の傍ら一方通行は、吸い込まれそうなほど深い赤眼(マジに赤眼。)の双眸で睨みを効かせ、一切の嘘偽りを見逃さない眼光を浴びせかけてくる。
が、こちらとしてもそこまで困らないことは話すのだから、問題はない。
……んだけどやっぱ、迫力満点ですね。
「二つ目、テメェは暗部か?」
「……?暗部っていうト学園都市の公安みタいなもノか?だっタら見当違いだ。自分の能力開発に口出シてるかラ、只の学生だトは言わないケド。そンな物騒な事に関わってはいない」
暗部って言葉を表の学生が知ってるのはおかしいし、取り敢えず本当なのでそこはしらばっくれるのが正解だ。
まぁ今のとこ、識ってるだけで直接聞いたことは無い。
なんで嘘は言ってなし、セーフだよな?
「……三つ目、此処に何しに来やがった?」
「実験をやルとだけ聞かさレて来た。まぁ恨まれるノには心当たりがあルから、あル程度の備えはして来たケど、まさか戦争をやらされル」
「――
「と、は……、本当に何も知らないケど。もしかシて只のやっかみでハメられたンじゃ無くて、こノ馬鹿げた戦闘が本来の実験ダとでも」
言うのか、と続けようとしたが、一方通行は何やら思案顏で考え込んでおり、質問する雰囲気でも無かった。
警戒を解いている訳でも無いが、こちらを直ぐにどうこうする構えは解いたようだ。
まぁ最強の反射があるので不意打ちは効かないという自信の現れだろうが。
暫く考え込んでいたが、顔を上げて再び尋問を開始する。
恐喝尋問でなくなっただけ幾分か気持ちは楽になった。
「テメェの名前は何て言う」
「木山冬哉。そういうあンたは第一位の一方通行《アクセラレータ》さンであってルよな?」
「……テメェの能力は?」
「磁力操作《マグネトロンマスター》、レベル3。是非第一位の能力運用の実力にあやかリたいトこだ」
「……嘘だな。あれだけの事が出来るなら大能力者《レベル4》クラスあるだろ?」
「測定でソうなる程度の規模でシかない。あレは涙ぐまシい小細工と、
人差し指でこめかみを指し、時代はエコだよ、と少し戯けて見せ、次いで大げさに落胆してみせる。
まぁ、どうしようも無いような相手に向かわにゃならん状況なんてのは、悲しきかな今に始まった事ではないし、“どうにかする”のは俺の領分なので、結構マジな話だ。
そんな明暗混じった自虐ネタで場を明るくする俺の試みは軽くスルーして、一方通行はじっとこちらを見つめる。俺にどうしろと言うのか。
「おいガキ、テメェは俺が怖くねぇのか?」
「うンにゃ、普通に怖いケど?何せ出会い頭にお見舞いシてくレたし、ね」
「……ハン、ほざけ」
吐き捨てるように言葉を残すが、それは含みの無い口調の「ハン、」であった。
可愛かねぇよ、怖いよ。
というか結局呼び方はガキのまんまなのね。別にいいんですけどー。
そのまま散惨たる状態の部屋には目もくれずに壁に触れると、次の瞬間には爆音と共に大きな風穴が出来る。
やはりとんでもない威力だ。
誰だ、自分で力の増幅は出来ないとか2chで議論してた奴は。百論は一戦に然るはずもなし。
「一応教えといてやる。
此処には、最近になって絶対能力者《レベル6》になる為に有力とされている、とある研究の成果が、データとして隠されている可能性があるって事だった。
何処かの連中が駆動鎧(デカブツ)やらまで送り込んで来てたし、俺もそれを探しに来た。実験云々は建前の、争奪戦だったってこった。
……テメェがぶっ放したおかげで、
む、なんだそれは、初耳だ。
もとい、やらいでか正直に言えば、知 っ た こ と か。(切実)
原作でも上がらない話だけに実りの無いものなんだろうが、そんな訳分からんもののために軽く死ねる状況になったのか。
隣の部屋にあった制御室らしきもののコンピュータを弄ったものの、直ぐに諦めて更に壁に穴をぶち開く一方通行さんであったが、意外なことにこちらのことを怒ってはいなさそうだ。
この時期にはまだ然程にハングリーではないのだろうか?
突如饒舌になった彼に驚きながらも、なんとはなしに“他の奴”とやらはどうしたのか聞いたら、「潰した」の一言。
あぁ、実にイイ表情っすねー。
「はァ、飛んだ無駄足になったもんだ。何なら、もう一運動と洒落込むか?」
止めてあげて。
てか完全とばっちりもいいとこだな。
視線で能力を抑えろとのお達しの後、幾つかの沈黙した鉄屑と化した元装置から外付けの類を漁っていく。
まぁ、彼も解ってはいるだろうが、お釈迦で無駄となるのは保証します。
「まぁ、俺はそこまで
……テメェには貸し一つで済ませてやらァ」
彼はキメ顔でそう言った。
そんなこんなで話は終わりとばかりに去って行くアクセラレータさん。
しかしまた、何やら不穏な事を仰る。
……え、何、二度と顔見せるなとかいう話じゃ無いんですか。
それって再開フラグですよね。
分かります、無視すんなやゴルァってやつですね。
……分かりたかねぇとです。女ならまだしも、そんな趣味はありません。
……女じゃ無いよな?止めろよ、そういう揚げ足取るのとか!?
何事も無い、至って平穏無事な日常の昼下がり。心安らぐ平和な時を祝って、某高級氷菓店のご機嫌な五段アイスクリームを買った。
ふとした瞬間に何気なく後ろを振り向くというのはよくある話だろう。そのよくある話を行っていた前を歩く女子高生を皮切りに、明らかに周囲の人の通行の流れがおかしいのに疑問を持った。
視点を回し、更に自分の後ろの空白に気づく。路行く子供も避けている。次いで、視点を先に向け。
白い服、白い髪、白い肌。杖を付く赤眼の人が、ジッとこっち見つめてる。
肺その他を潰される様な。呼吸が、文字通り止まった。
アイスも4段、落とした。
……そんな夢を見た。
是非いつかこのシーン使おうと思う。