とある科学と魔術とオカルティクス   作:紫苑試験式

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神はサイコロを振らない――


3.高速襲撃ハイ&ウェイブ

 

 

 

 

さて、そんなこんなで俺もこんな面倒事のある場所はとっとと立ち去りたかったが。

飛び散ってしまった地味に金の掛かっている特性液体金属と、投げ放った超電磁放射爆弾を回収しなきゃぁならない。

 

その内に駆けつけてきた警備員《アンチスキル》に軽い事情聴取と現場検証を付き合うことになっている。

別に庇うつもりもなかったが、面倒事も増えそうなので学園都市第一位の能力者(アクセラレータ)と対峙したことは伏せて、何某かの研究の成果がここにあってそれを巡る争いに巻き込まれたことにしたが。

このことが表沙汰にならないだろうことは予想に難くない。

 

警備員の指揮を執る隊長であるキリッと引き締まった雰囲気を纏う妙齢の女性に相対しながら、今回の実験結果その他とんでも土産話を頭の片隅で整理する。

 

因みにこの隊長さんは、俺の出身(?)であるあの研究施設を潰した際にもその関連対策の指揮官であった人で、数少ない名実共に信頼のおける人物である。

ある程度の清濁突っ込んだ話も綺麗に捌いてくれるので、安心して持ち物検査に応じられるのも有難い。

 

彼女は“()”にこそ関わっていないが、何故なんだかスペックは能力の関わらないところで謎に底が知れず、荒事には滅法強い、頼れる人物だ。

アニメでも、やたらと出張る大人の女性キャラ達がいたが、アレは冗談ではなく実在(!)していたのである。

 

以前取り締まりの現場に遭遇した時には、不良達をコミカルに全滅させているのを拝見して実力を実感したのは記憶に新しい。

正義感もあるが同時に学園都市という場所の歪さや危険性も理解しており、上層部の思惑や陰謀に抵触するようなものを穏便に解決するバランス感覚を持っているので、事前に渡りを付けておいたというのがタネである。

 

今回もその辺りはうまくやってくれそうで、俺の前に一方通行と交戦したと思われる駆動鎧《パワードスーツ》の残骸を見つけてからは、早々に告発の方向に切り替えて証拠品を確保しているようだ。

因みに、中の操縦者は見当たらず、回収されたのか自力で逃げたのか……

 

この落とし処には、どこかしらの哀れな研究者が蜥蜴の尻尾切りに遭うのだろうが、勿論こちらが泣き寝入りするよりはずっといいだろう。

今後の牽制くらいになれば上々だ。

 

 

しかしまぁ、水銀の盾も結局三分の一くらいどっかに消え飛んだし……。

にしても、研究成果とやらは一体なんだったのやら。

 

ほんと、こんなワケの分からんイベント一つで一々これでは身が持たない。

 

 

「木山少年、帰りは私がお義姉さんの所まで送って行こう。本当なら詰所まで来てもらいたいところだが……まぁ今回は止しとしよう。通信の類が使えないのでな、仕事が増えて堪らんよ」

 

「あ、恐縮です。姉は何か言っていましたか?」

 

「あぁ、義弟(おとうと)がご迷惑をお掛けする、と。別に通報自体はむしろ有り難いくらいなのだがな。正確な場所を即時に特定した方法が気になるところだが」

 

 

あはは、こりゃ電磁波のことバレてーら。

余り突っ込まれないので、今回は見逃してくれるみたいだが。

春生姉さんは勿論、超電磁放射爆弾《マグネトロンウェイバー》に組み込んである暗号化した救難信号の受信機を持っているので、即座に対応してくれたようだ。

 

まぁ警備員《アンチスキル》の本部がある第二学区がすぐ隣だったのもあって、蚊帳の外の素人が出張ってきて痛くもないわけがない腹を探られる前に信頼できる人に直接対応してもらえたのはラッキーだったと言えよう。

未だ捜査は続行しているが、現場を部下に任せた隊長さんと一緒に、一足先に失礼する。

 

 

学園都市の丁度真南に位置する研究所のあった第十学区から、現在俺が住んでいる第八学区まではかなり距離があるので、隊長さんの運転する軽の護送車に乗せてもらうことになった。

 

何だかんだで既に夕暮れで、帰るころにはもうすっかり夜になりそうだ。

本当は泊まり掛けだったのだが、引率であった現在の俺の能力開発の担当者は行方が知れなくなっていたことからして、恐らくグルだったのであろう。

或いは、口封じにあっただろうか。

宿泊予定だったホテルも安全面に不安があるので、自宅に帰る事になったというわけだ。

 

俺は助手席に乗り込み軽く世間話を交わしながら、参考意見をという大義名分のもと今回の現場の資料を見せてもらった。

 

研究所は“日能研”という学校単位とは別の研究開発機構、言うならば塾のような組織の保持する施設の一つらしい。

俺はそこへやはり車で移動したので気付かなかったが、事前に人払いはしていたらしく、周囲は駆動鎧《パワードスーツ》が堂々と搬入することが出来る環境だったようだ。

 

第十学区の北寄りに位置していたが、東側なんかには物資の搬入が盛んな第十一学区の堺が傍にあるために、学区を超えて逃亡した者を補足するのは難しいそうだ。

まぁ出来てしまったらそれはそれでお互いにとって余りいい結果にはなりそうに無いので、それでいいと思うが。

深追いしてとんでもない薮蛇になっても困る。

 

きな臭い上の反応を伺いつつじっと耐え忍び、今回のことも彼女の閻魔帳に綴られているのだろう。

こういった切り替えの速さは、この彼女(ひと)の傑物たる所以であり、是非とも見習うべきところだ。

いつかの日か、何処かの件の人物たちが電撃的にお縄になるのも、割と馬鹿にできない未来である。

倫理を外れない限り、味方としては頼もしい限りである。

 

ともあれ、あの一方通行《アクセラレータ》から逃れて、曲がりなりにも表に尻尾を出さないのは間違いなくプロの犯行であろうし、流石は局所的に安定の世紀末並み治安な学園都市である。

もっとも、単身で動いているのであろう彼がそんな連中と対立しても平気だという事こそ、第一位能力者たる圧倒的強力さが逆説的に窺えるのだろうが。

 

何かと仙人みたいな常人にはよく分からない思考のアレイスター理事長は判りかねるが、学園都市上層部が彼に首輪を掛けようとする動きはこの時期からも当然行われているのだろう。

しかし、原作で窺える物語開始当初の人物像からは異なり、些か角が無いようにも感じたが、どうなのだろうか。

『とある魔術の禁書目録』以下、この関連の小説やアニメは、飽くまで参考程度に考えているので、当然三次元(げんじつ)での原作の登場人物が直ぐにわかるわけでも無い。

 

例えば、春生姉さんのCV田中敦子のハスキーボイスはまんまなのでかなり痺れるわけだが、容姿の方は数年前というのを加味しても、初対面ならほぼ分からないだろうという程度である。

(ただしアクセラん、テメェは例外だったがな!)

 

なので、描写とは異なるのか、若しくはこれから荒れていくのか。

……ご健勝を祈るのみだ。

 

閑話休題。

流石は学園都市、この時期(都市外では携帯電話がぼちぼち学生まで普及しているくらいの頃?)で超薄型タブレット端末なんてものが現場の捜査資料に普及しているのに驚いたりしつつ。

資料を読み進めていく中で、押収品の一覧に気になるものを発見した。

 

 

「こレって、現場にあったンですか?」

 

「ああ、それか。おそらくあそこの研究所で実験を行った子供が置いて行ったものだろう。関係は無いものだろうが、一応な」

 

「……そうですか」

 

 

違う、そんなはずは無い。

見れば見るほどに、疑念は深まっていく。

その資料は……それは、何のことは無い、子供の落書きと思われるもの。

警備員《アンチスキル》がそう思うのも無理は無い。

何かの裏紙に描かれたのだろう、正に落書きとしか言えない、ソレ。

 

デフォルメされた、甲羅のある怪獣のような青い生物のキャラクターが海に浮かび、その背に茶髪の少女が乗って歌っている……と、いうものだ。

 

別に何ということも無い、子供のお絵かきといったソレ。

捜査でも当然そう判断されたのだろう。

 

しかしそれは、では何が疑問なのかと言うと、俺は“以前(・・)”にこのキャラクターを見たことがあったからである。

それは、こちらからしても当然ながら有り得ないだろう。

……否、有り得るからこそ、だろうが。

 

勿論、だったとしても今すぐにどうということもなく、その内容自体にも意味は無いのかもしれないが、これは一つの手がかりとなり得るだろう。

 

 

「……木山少年、どうやら何者かに付けられているようだ。間違っても、穏やかな事態では無さそうだな」

 

 

深く思考に耽っていたようで不覚にも反応が遅れたが、言われてバックミラーを覗き込んでみると、示された位置にいる大型車が不審なことに気付く。

フロントガラスが、ステッカーなのかなんなのかスモークで覆われていて、明らかに道路交通法にアウトな全面黒塗りである。

いくら学園都市が治外法権のような場所であっても、あれは流石に高速の入り口で引っかかるだろう。

例え上層部の肝入りなのであろうと、天下の警備員《アンチスキル》の正規車両の前に出てくれば止められるのは明白なので、少なくともあのように目立つ真似はしないだろう。

 

 

「……あー。あのトラック、研究所を出た後にも見タような……って、嘘ダろ、おいっ!?」

 

 

直後、ハンドルが切られ、轟音と共にバックミラーには爆炎巻き起こるガードレールが映る。

急ハンドルでスリップしないようにバランスを取っている車体に揺られながらも、件のトラックを見ると助手席から更に重火器を構えてこちらを狙っているのが分かった。

 

 

「ちっ、何だあの連中は!少年、何処かにしがみ付いていたまえ。ここでは的も同然だ、場所を移すぞ!」

 

 

再び後ろから芯に響くような振動。

狙いを外した重火器による威嚇射撃か、いくら何でもあの状態で外すとは思いにくいし、こちらを脅して拿捕しようとしている?

 

 

「この車両には対現代兵器用のジャマー装置を積んでいる。こういうものは本来気休め程度だが、下手に電子系の追尾性能やらのあるのが反って仇になったんだろう」

 

 

そういうことか。

ではやはり問答無用に反撃したほうが良さそうか。

だが、隊長の手前でそこまで過激なことも出来ないか……

 

 

「すいませン、撒きびしトかありまスか!?」

 

「後ろに積んでいる、がっ、追跡される側では、余り役に立たん、ものだ!」

 

 

手動で狙い始めた敵を、優に時速100は超えたスピードでのハンドル捌きでも巧みにコントロールしながら、高速から一般道への道へ逸れて行く。

 

出口は全自動の開閉扉(高性能なETCか?)なので、こちらの車両はぶつかることは無かったが、後ろから来る追跡車両は扉が閉まっているところをお構いなしに突っ込んで、爆音と共に突っ切ってきた。

 

 

「騒ぎもお構いなし無し、という訳か。何を考えて、いるのやらっ!」

 

 

IC(インターチェンジ)で多少距離は開いたものの、変わらずの爆走を続ける大型トラック。

追突の影響は余りなさそうで、何やらかなりの強化車両であるようだ。

映画宛らの重火器による弾幕が続く中、見えてきたのは人気の無い工業地帯のようで、出てすぐに見えた路地を曲がって敵の射線を切る。

当然相手も追ってきているのをバックミラーで傍目に見ながら、俺はポケットから砂鉄の入ったビンを取り出す。

一方通行に対しては出番は無かったが、どこぞの電撃姫に習ってこちらも持ち歩いているもの。

液体金属ほど強度は無いが、この場合は性質上こっちの方が都合がいい。

 

 

「窓を空けます」

 

 

運転に集中している隊長に一言かけてから、手元のソレに磁気を帯びさせて窓の外へと流す。

車体を伝えて後ろまで移動させてから、棘状にした即席の撒きびしを小分けにして放つ。

 

俺の強度《レベル》では能力操作の範囲はせいぜいこの車体を覆えるくらいで、そこまで広くはないため、当然範囲外のものを細かく操作したりすることは出来ない。

しかし、磁力を一定時間溜めておくことぐらいは金属の性質上可能だ。

 

この即席撒きびし自体には大して砂鉄の量も必要は無く、磁力が無くなって風でも吹けば証拠も消えてくれる……のを期待しつつ。

狙ったルートを間を置かずに寸分違わず通ってくれたことで、砂鉄の撒きびしは、道幅が狭いところだったのも功を奏して見事命中。

直後、派手な音を立てて減速していく。

 

かなりのスピードでのカーチェイスだったのもあって、ガードレールに擦りながら縁石に乗り上げてそのまま横転して操縦不能になった追跡車両を瞬く間に置き去りに。

そのまま工場地地帯の小路を抜けて、そこから市街地の方向へと車を走らせた。

 

 

「……ふぅ、やれやれ、撒いたか。お手柄だった、木山少年。」

 

「お疲れ様でシた。……しかシ、何だったンですかね、あノ連中。どンな狙いがあったにせよ、何ト言うか……」

 

「ほぅ、気づいたか。まぁそうだな、手口が中途半端だった、と言えるな。

やるなら他にもっと方法はあったであろうに、運転技術なんかの追跡能力との兼ね合いに違和感は拭えん。もっと別の手で命を狙われたら、一溜まりも無かっただろう」

 

「て、何を暢気こトをあっケらかンと」

 

「一般の警備員ならば、と注釈が付くがな。多少リスクは伴うが、何、致命傷以外を省みなければいくらでもやり様はある」

 

 

お、おぅ、なんて頼もしい。

 

しかし、違和感がある、というのは確かに言えることだろう。

強硬手段に出たとは言え、高速で襲撃をかけるならETCの用意くらいしておくようなものだ。

銃器にしても、見た目はともかく学園都市の製品にしてはやや微妙なものを使用していたようであるし。

 

 

「怪我はないと思うが、大丈夫か?一応子供だからな、気分が悪くなったりなどがあれば言ってくれ」

 

「三流映画にでも入リ込ンだ気分でスね。あンな事してくル連中が実在したトは……」

 

 

見てる分にはいいかもしれないが、経験してみれば苦笑いしか出ない。

 

 

「恐らくだが、学園都市外部の連中だな。内部に手引きした者がいるのだろうが、型落ちの武器でも横流ししたのだろう。

……しかし、君も随分と場慣れしているようだな」

 

「……はい、まぁ」

 

「別に、深くは聞かんよ。そうさせてしまったのは、私たち大人の責任なのだからな。

能力開発が、果たして子供たちにとって良いことなのか……」

 

 

そう言って、思うところがあるのか考え込む隊長。

当然ながら語りかけているのは外見は子供である俺なので、またもこうやって騙す事になってしまって罪悪感が積もる。

 

だが、学園都市では子供は子供にあらず。

俺は“反則(前世の知識)”をしているが、俺と同じレベル3クラスならば同じだけの思考力や、或いはそれ以上の能力者ならば命のやり取りに関わる子供も、置き去り《チャイルドエラー》の扱いからも見るに、間違いなくいる。

 

原作にも登場する、“暗部”と一括りにされる学園都市の裏側に。

 

そう言った意味では隊長の考えは間違いでは無く、事実そういった者の相手もしてきたのだろう。

そこに目を向けたところで、キリがないと言ってしまえばそれまでだが。

 

自分も、そんなところから寸前で拾い上げられた身の上だけに。

 

 

「……押し付けがましい話になったな。黒幕は必ず引きずり出してやるとして、早急に近くの支部に連絡を取らなければならん。

あれだけ派手にやれば誰かが通報したかもしれないが、相変わらず無線が使えん。固定回線を使用するために一度何処かに停まるぞ」

 

 

……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、暫く車を走らせて出た公道のコンビニに車を停め、隊長が店員に事情を説明して店の奥で警備員《アンチスキル》支部に事態を報告することになった。

 

その間俺は車両で待っていても良かったのだが、ここ半日以上何も口にしていなかったので、次いでだから適当に弁当でも買うことにした。

 

隊長は何を食べるか聞いて無かったので、無難ななんちゃら風スタミナ丼か店長のお勧めらしい『松茸とアンチョビの餡掛け丼』がいいか悩んでいた所でふと外を見てみると、一台の高級車がコンビニの前の車道に停車するのが視界に入って来た。

 

先の事もあるので警戒はしていたが、結局誰も降りずに走り去って行ったのを見て、不審に思いつつも、結局悩んでいた商品全部と適当な飲み物をを手に持ってレジへ。

 

 

「お会計、2380円になります」

 

「すいません、万札でも大丈夫ですか?」

 

 

構いません、と答える女店員さん。

()じゃ年上の学生で、日本人形のように前髪の長さが揃ったかなり美人だ、等と何となく考えながら、お釣りを受け取るのに手を差し出して少し指先が触れ合った瞬間、電撃のようなものが走った。

 

 

「っ!?」

 

 

それは、店員さんを異性として意識して……等では当然無く。

 

どこかから無線などの電波とは違った電気信号のようなものが発せられた。

かと思うと、間を置かずに外に停めてある乗ってきた車両の下辺りに異常な程に強力な能力力場――AIM拡散力場が発生したのが、磁力線の大きな乱れを確認する。

 

咄嗟の分割思考《マルチタスク》はここでも活きて、反射的にポケットの液体金属を取り出して展開しようとするが、受け取ったお釣りの硬貨が右手での磁力操作に僅かな影響を与えてしまう。

更には近くにレジという電化製品があった為に、大半が作用範囲から散っていく。

店員さんと俺を覆う筈だった盾は左手のみので発動したもののみで、散った分をかき集めている時間は無い。

咄嗟にレジを飛び越えて店員さんの前に躍り出る……が。

 

 

「っ!?、クソ、がぁぁっ!!!」

 

 

光に準じる速さで伝わる電子の波が次の瞬間に来るだろう衝撃のおおまかな規模を知らせる刹那、視界に店の奥から調度隊長が出てこようとするのが写ったのだ。

爆風の角度的に、無防備では無事に済むわけが無い。

 

何とかして間に合わせた盾による安全圏。

その中から自ら躍り出て、間に合わせるには絶望的な距離にいる隊長を助けに行く。

 

全く何なのか、先の話では線引く癖に。

言い訳がましいが、体は自然と動いていた。

何とかなるだろうとか、いつもの(・・・・)そういった打算とは遠い所にあるのは間違いのない、どうしようもない悪癖なのだ。

 

 

それは、“以前(・・)”と何が違うのだろうか。

と、そんな言葉がふと過ぎるのである。

 

 

ズシン、とくる重低音の衝撃。

 

その直前に、そこで発動している盾はしっかり固定しつつも、自分には磁力を出来うる限りに帯びてコイルガンの要領で自らを弾丸にして射出。

その際には店員さんには悪いけど、踏み台に使わせてもらった。

同時に床に散った僅かな液体金属を頼りに駄目元で引き寄せ、盾を展開。

……当然、足りるはずも無く、間に合うかもまた然り。

 

 

「っ   ――っっ       ――ぁっ!!」

 

 

ならば、後は身を呈すくらいしかない。

急造の盾の隙間を埋める代償に、背中を突き刺し焼き尽くすような激痛。

 

間断無く、間髪を入れずに襲い来る、波、波、波。

 

呻きも叫びも掻き消される爆音の中、錐揉みになって圧し飛ばされながらも僅かながらもしっかり発動している盾の能力行使は意地にでも維持した。

 

長く、永く、続く、続く、続く。

体感、永久とは何かを感じる一瞬。

体幹を、グチャグチャと掻き混ぜる赤。

 

 

前後不覚、衝撃が収まったのかも判断が付かないくらいの、後なのか前なのか。

抱きつく形で押し倒すことになった隊長から、声が掛けられたような気がして。

 

例え幻聴であっても気休め程度には安心だ、などと思いながらに。

 

薄れゆく意識の中で、俺は、自身の偽善者ぶりを痛感するのだ。

 

結局最後に思うのは、店員さんの方は大丈夫だったであろうか、という、我ながら救いようもないものであるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、望まれたからなのか、何なのか……答えはまだ、ない。






――が、時々共食いする。

(先週KPをやった高速実卓CoC。邪神は固定dカますハウスルールだったが、対象をずらされて爆笑。いや、私が大雑把な采配したのが原因だが。面白かったのでゆっくり動画にする予定。)



思ったよりhighway感がなかった……か?
と、思ったのはいつだったか。

サイコロ転がして、何編に入るか決定しぁーした。
と、決めて早数年。

次回から週一更新でいく予定。
……なんて、勿論のこと御伽話。


次回、オカルティクス全開。(次があるとは言ってない)
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