シルトマイヤー<セカライ3期生> @shiltMeyer
今日は日中の予定が無くなったのでこのあとから雑談配信します!
こ1724 り2518 ♡2894
私の名前はシンボリルドルフ、府中にある日本ウマ娘トレーニングセンター学園で生徒会長を勤めさせてもらっている。
トゥインクル・シリーズを恥じること無き成績で走り抜き、周りからは皇帝などという、少々仰々しい名前まで頂いているよ。
私自身そうあろうと日々心がけていたとはいえ、よもや他の者達からそう呼ばれるとは思わなかったが……そう呼んでもらえるというならば、私の勇往邁進とした姿が評価されたのだと素直に嬉しく思う。
現在はドリームトロフィーリーグに籍を置き、名だたる先達である先輩ウマ娘の胸を借りる傍らでテイオーのような将来のウマ娘界を引っ張っていく優秀な世代のための先導役を担っている。
とはいえ私とてまだまだ年頃の一人のウマ娘、生徒会の仕事やレースに向けてのトレーニングばかりでは少々味気ないというものだろう?
己の走りで若輩達を導き、シンボリ家……否シンボリルドルフとして夢と掲げ目標とした「百駿多幸」という理想のために万里一空の面持ちで挑んでいても、たまにはゆっくりと静かに過ごしたい時というのも当然あるものさ。
「へぇ~ここがルドルフのお気に入りかぁ~……良い所だね! 落ち着いていてゆったり過ごせそう……マスターさんもセンスがいいねぇ~」
「それはそれは、ミスターシービーさんにお気に召していただけるとは光栄です」
そう、一人で静かにゆっくりと……。
「あ、このケーキ美味しそうだねぇ……ねえルドルフ?頼んでも良い?」
「あぁ……ところでだ」
「あ、こっちのパフェも美味しそうだなぁ~……そうだ、はんぶんこしようよ!」
「それで構わないのだが……ちょっといいかい?」
「んぅ……これに合うのはやっぱり紅茶かな? マスターさんはどう思う?」
「そうですねぇ、では私がブレンドした茶葉はいかがでしょう? 酸味を押さえて花の香りを加えたものなのですが」
「わぁ! それはいいねぇ! ルドルフもそれでいいよね?」
「あぁそれでいい……のだが、すこし良いだろうか?」
「それじゃマスターさんそれでお願いねぇ……それで、どぉしたのルドルフ?」
「なぁ……シービー」
「ん?」
「……なぜ、君がここにいるのかな?」
そう、私は久しぶりの休日を(毎度ついてこようとするテイオーを家の力を使ってまで撒いて)一人でゆっくりと楽しもうと、学園からは大分離れた場所にあるこの喫茶店へと来ているはずだったのだ。
そのはずだったのに、だ……なぜ気がつけば向かいの席に見知った顔が当然のように座っているのか、この皇帝の目をもってしてもまるで見当がつかないのだ。
「ん? んぅ~……んふ?」
「…………はぁ、そうやって笑って誤魔化すのはシービーの悪い癖だな」
「ならそれに流されていっつも誤魔化されちゃうのはルドルフの悪い癖だね!」
「それは違うぞシービー? いくらこちらが追求しようとも天馬行空、自由を友とする君相手では雲烟過眼、ヒラリと躱されてしまうことを過去の経験から知っているだけさ」
「あははっ! 何せアタシは自由を何よりも愛するウマ娘、ルドルフもわかってるねぇ~!」
「まったく……君というやつは」
「ふふふ……本日は随分と楽しそうなご様子ですね、ルナお嬢様?」
「お嬢様?」
「っぐ……ごほん! その、マスター?」
どうにかやり過ごして静かな一時を取り戻そうとした矢先にこれだ、爺やのあの顔は確実に面白がっているな……?
昔からそういうオチャメなところがあるヒトだとは思っていたが……未だに一人でここに来ることを根に持っているな、これは。
「おや、これは失礼を。こちらご注文のケーキとパフェ、それから当店オリジナルブレンドの紅茶でございます。どうぞごゆっくり」
「わぁ! 美味しそうだねぇ!」
「あぁ、ここの甘味はトレセン学園のカフェでも早々味わえないくらい格別だからね、味わって食べると良い」
「ん~あむ! んぅぅ~美味しい!!」
「そうかそうか、それは良かった。こっちのケーキも食べると良い、私のおすすめだ」
「え、本当に! あ~~む……んんんぅぅー! こっちも美味しい~!」
「そうかそうか、それは良かった」
「それでお嬢様って?」
「っち、誤魔化されなかったか……」
「ル~ド~ル~フ~ぅ?」
「はぁ……ここのマスターは昔シンボリ家の屋敷で執事として働いていたんだ、今は後進にその座を譲ってここでこうして喫茶店を営んでいるんだ」
「えぇ~? でもアタシは見たこと無かったけどなぁ?」
「それはそうさ、シービーが遊びに来るようになった頃にはとっくに辞めていたんだから」
「あぁ、だからさっきルナって言ってたんだ! へぇ~……」
「……なんだいシービー? その何か言いたそうな顔は……」
「べっつにぃ~? あ~む……あ~美味しいなぁ~」
「まったく……って、シービー! そのケーキは私のではないのか!?」
「えーはんぶんこって約束でしょ~?」
「半分以上食べているじゃないか!? まったく……そうだ、マス……もういいか、爺や。あの娘は元気にしているかい?」
「ええ、元気にこちらでアルバイトをなさっていますし、なにかとお忙しそうにしているようですよ」
「そうか……それは良かった」
「ん~? あの娘って?」
「それは……その、このお店で働いているウマ娘が居てね……たまにここに来ては近況を聞いているのさ」
「へぇ~……ルドルフって本当に全てのウマ娘を幸せにしたいんだねぇ」
「まぁ、そうだが……そうだな、あの娘はすこし特別なんだ」
「特別?」
「あぁ……そうだな、すこし昔話をしよう。といってもそこまで昔じゃないが……私にとって印象深い一人のウマ娘の話だ」
それは、私が前人未到の記録を打ち立て名実ともに皇帝という名を掲げた後の事。
私の背に憧憬を見出だし、茨で出来た道の入り口へと一人の少女がついに到ったその日……私は理事長からの要請で学園入試科目の一つである模擬ライブの会場を訪れていた。
本来その審査をするのは理事長と秘書であるたづなさん、そして学園の運営を担う幹部クラスのみとなっていた。
だが、理事長から「要請! 生徒会長として、この学園を共に治める者として君の意見も聞いておきたい!」という言葉をもらいライブ会場に設置した審査員席、その背後にある衝立ての向こう側で私は待機していた。
受験生の姿はステージ各所にあるカメラの映像をモニターに回してもらい、私も一人の審査員としてトレセン学園の門を潜らんと試験に挑む未来の後輩たちの歌を聞いていた。
ライブを疎かにするという事は学園を、ひいてはウマ娘のレースを蔑ろにする事だと私は常々口にして来た。
だからこそ一人一人の歌を真剣に聞き、ステージ上の一挙手一投足を注意深く見つめていた。
さすがこの学園の門を叩きに来るだけの事はある、どの娘も自分というものを良く理解してアピールしているのがわかる。
中には突如ラップを挟んだりブレイクダンスを踊るなど破天荒で型破りなウマ娘もおり、まだまだ粗削りの原石達ではあるがこの世代はなかなか面白い世代になるのではないか、と私は思った。
何より今年はあの娘が、私を憧れだと言ってくれたウマ娘が試験に挑んでいるのだ。
「ふふ……他の者もなかなかどうして優駿揃いだ、これはうかうかしていられないぞ……テイオー」
優秀なウマ娘達が入学すればそれだけトゥインクル・シリーズは盛り上がり、ひいてはウマ娘達の理想の世界へとまた一歩近づいていける。
そんな未来を楽しみに思いながら手元に届いている受験者の資料を手に取る。
「ん? ……この娘は……」
次に模擬ライブに挑むグループに入っているウマ娘達の資料、その中の一つに気になるものがあった。
「立華茉莉君……この娘は名前が無い……のか」
他の資料を見渡した限りどのウマ娘もウマソウルの名前が記載されていたのだが、その少女だけは恐らく両親から贈られた名前が書かれていた。
ウマソウルとは未だ科学的にもオカルト的にも立証も証明もなされていないウマ娘の神秘とされるものだ。
一説には別世界の存在の名前だとする有識者が居たり、三女神からのお告げだという宗教じみた考えも存在している。
ただ、総じて言えるのはウマソウルを認識しそれを自覚できた者はウマ娘として大成する……それがどういう結果であろうとだ。
実際ウマソウルを自覚し、名前を得た者はそれを得る前に比べて身体的に隔絶した違いが現れることは長いウマ娘の歴史の中で証明されている。
ウマ娘の間ではウマソウルを自覚できるかどうかがレースで活躍できる一つの指針とされているほどだ。
おそらく、この少女はまだウマソウルを認識できていないのかもしれない……毎年わずかではあるが、そういうウマ娘が試験を受けに来る事はある。
ただ、そういったウマ娘はまず試験に受かることはない……実際この立華茉莉君の実技試験を見れば13人立てで11位。
彼女より後ろの順位の二人は一人が斜行により降着、もう一人はレース中盤の落鉄で大外に逸れたあと脚部不安を理由に棄権していると資料に書かれているので、それがなければ彼女が最下位だった可能性は十分にある。
筆記試験はまた別だが、実技試験を見る限りではこの少女も合格できる可能性は極めて低い……と、言わざるを得ないだろう。
過去には試験の判定基準がまだまだ甘かったがために入学できたウマ娘も居たようだが、今はそれらも見直され厳正な基準と審査で試験の合否が決定される。
それでも毎年ウマソウルを自覚していない少女達が受験をしに訪れる、中には本気でトレセン学園の合格を目指している娘もいるだろうが……ほとんどは記念受験というのが実情だ、無論本人がそう言っているわけでは無いのだが……ね。
中央を無礼るな……とまでは言わないが、そんな浮かれた気持ちで通過出来る程この学園の門戸は広くはない。
ここを訪れるウマ娘は皆がレースでの成功、名誉や栄光を目指して一心不乱にその身を走りへ捧げる者達だ、生半可な覚悟で走りきれるほどトゥインクル・シリーズという世界は甘いものではない。
途中で挫折するか故障するかしかないのならば、いっそここで篩にかけて脱落させるのも温情の一つと言えるだろう。
「願わくば……この少女も覚悟をもってこの場に挑んでくれていればいいのだがな」
やがて模擬ライブ試験を受けるグループが入れ替わり、件の少女が割り振られたグループが壇上へと進んだ。
ところがだ……時が経ってステージ上で行われるパフォーマンスを注視する中で、私は心のどこかが静かにざわつき始めていることに気がついた。
それはまるで強敵とのレースが始まる直前、ゲート内で息を潜め精神を研ぎ澄ませている時のような……。
(なんだ……この胸のざわつきは? 私は……何を感じ取っているというのだ?)
それは一人、また一人と模擬ライブが終わるごとに……いや、彼女の番が迫るごとに強くなっていく。
そしてついに彼女、立華茉莉君の順番が回ってきた。
「受験番号405331、立華茉莉です! よろしくお願いします!」
そう名乗って頭を下げた彼女はマイクを胸元に抱き、深呼吸してから顔をあげた……その瞬間、私はあり得るはずの無い感覚を覚えたのだった。
「っな!? ……こ、これは……」
体の芯から、魂すらも揺さぶられたかのような衝撃。
五感全てを支配されたかのような感覚。
良く見知ったそれに、私の体は無意識に反応して強張り、尻尾の毛がうっすら逆立つのを押さえることが出来なかった。
「まさか……バカな、ここは……ここはライブ会場なんだぞ?」
数多のレースを経験し、若輩の身ながらも先達たる名ウマ娘の胸を借りてきた自分の感覚に間違いなど無いと断言できる、だが同時に今だかつて経験したことの無い条件が私の思考を鈍らせていく。
「なぜだ……これは、領域だとでも言うのか!?」
領域―――それは時代を作るウマ娘に発現する限界の先へと進むための力。
ライバルとの限界を超えた死闘の末に得る事もあれば、孤高に高みを目指したその先に見つけられるものとも言われている。
そこで見られる先の景色はその者の原点であり深層心理の底に沈む幻想のようなもの。
未だに謎の多いウマ娘のその深淵ともいえる秘中の秘、得たいからといって簡単に得られるものではなく、だからこそ領域を自在に操ることが出来る力を持ったウマ娘は時代を作ると言われている。
だがそれでも数少ない判明している事実として、領域とはレースでのみ発現する力であるとされてきた……それが今、このライブ会場にて具現化している。
「こんな……こんなことが……」
私は気がつけば何も無い、真っ白な空間へと迷いこんでいた。
どこか遠くから、ともすれば近くから聞こえてくる歌声は確かに彼女のものだ、だがそれがどこから聞こえてくるのか……。
そしてその声を聞けば聞くほど、走り出さなければならないという激しい衝動が胸の底、魂から間欠泉の如く湧き出してくる。
「……っく、だが!」
私とて数々の名ウマ娘と渡り合ってきた身、領域の一つどうして破れぬものか!
領域を破るための力、それもまた領域。
領域を持った二人のウマ娘のぶつかり合いとは、まさに己が魂に内包する幻想と幻想、原点と原点のぶつかり合い。
より強く確固とした原点を持つ方が勝つ、それこそが領域を持つ名ウマ娘達のぶつかり合いなのだ。
「轟けっ! 天下無双の嘶きっ! 我の前に道は無しっ……ならばこそ、勇往邁進! 道は自ら切り開くっ!」
「っくぅ!?」
空間全てが激しく発光し目が眩む中で二つの領域が激しくぶつかり合い、せめぎ合うのを感じる。
やがて静かになったのを感じて目を開けると……そこには先ほどとは一転して真っ暗な夜空とどこまでも続く草原が広がっていた。
風は穏やかに凪、しかし生物の気配はなにも感じないどこまでも続く地平線。
やがて目がその暗さに慣れてきた時、正面に誰かが立っているのがわかった。
「ここは……それに、君は……?」
「…………」
「ここが……君の原点、君がその魂に抱く幻想なのか……?」
「……の…………け」
「ん?」
そこでようやくその人物、まだ幼女と呼べるほどのウマ娘が私を認識せず、ただなにかを呟いているのがわかった。
「わ……た…………けっ」
「いったい、何を……」
もっと良く聞こうとそのウマ娘に近づこうとしたとき、不意にそのウマ娘が顔を上げて私を見た。
その相貌の中で水色の瞳はまるで青く揺らめく炎のように煌々と輝いていた。
「私の
「っ!!!」
その瞬間、全ての感覚が吹き飛び私はわたしではなくなってしまった……そう感じたのを覚えている。
気がつけば彼女、立華茉莉君の模擬ライブは終わっていて、わたしは制服の下にびっしょりと汗をかいて椅子に座っていた。
動悸は収まることを知らず、体はG1レースでさえ感じたことの無い疲労感で鉛のように重く動かすことも出来なかった。
結局私は帰りが遅く心配になって様子を見にきたエアグルーヴに声をかけられるまでその場を動くことが出来なかった。
「理事長! 彼女はこの学園に必要な存在です!」
翌日、その熱が冷めなかった私は登校するなり理事長室へ直談判に向かった。
「ううむ……」
「シンボリルドルフさん……」
「もちろん、彼女の成績はわかっています……トレセン学園で上を目指すには到底実力が足りていないことも……だが、それは現時点での話です!これから鍛えれば……なんなら私がトレーナーを説得してリギルでっ!」
「鎮静っ! 落ち着くのだシンボリルドルフっ!」
「っ!?」
そこでようやく私は理事長の机に手を掛け前のめりになっていたことに気がつき姿勢を正した。
「ルドルフ会長……君の言い分はわかる……わかっている」
そう言った理事長の手元のセンスがミシリと音を立て、見れば握る手は白くなるほど強く握りしめられていた。
「私とて……彼女のその才能は非常に稀有であり、これからのウマ娘の世界にとって重要な鍵になると思っている」
「ならばっ!」
「だがっ! 同時にそれは薬にもなれば毒ともなり得る物だ……ここはウマ娘のレースの頂点を目指し、競い合うための学舎だ。ここで挫かれた者にとっては確かに新たな可能性となるかもしれぬ」
そこで言葉を区切る理事長はやるせない表情を浮かべ私を見つめてきた。
「しかし……それは緩やかな衰退へと誘う滅びの歌ともなりえるだろう……それほどに彼女の
「なんですか?」
「それは……君が彼女を必要だと欲するそれは……彼女の
「っ……」
理事長の、秋川やよいという一人の少女の目を私は見つめ返すこと出来なかった。
数々のウマ娘達を一人の教育者としてこの地で向かえ、勇壮なる旅立ちを見送ったこともあれば挫折と共に去る背中を無力感と共に見送ったであろう瞳にはどんな言葉も羊頭狗肉、張り子の虎であったからだ。
「すみませんでした、少し……熱くなりすぎたようです」
「いや……私達こそすまない、ルドルフ会長……これほどの逸材を逃し、導くことも出来ぬなど……指導者としては失格だ、私を育てこの地位を継ぐことを許してくれた先代にも面目が立たぬ……だが、学園を統べる者としてここでの成功を約束できぬ者を安易な判断でいれるわけにもいかぬのだ」
「理事長……」
「……いえ、私こそ浅慮な考えでした。申し訳ありません……」
「だがな、ルドルフ会長……これほどの逸材を世に出さず腐らせることこそ教育者として恥ずべき行為だ。私が……私が必ず何とかする。だから……信じて待っていて欲しい」
「はい、ご配慮……ありがとうございます」
私はその言葉にわずかな安堵と圧倒的な無力感をもって答えるのが精一杯だった。
長々と語ったのは私がまだ己の理想という光によって出来る影に気がつく前の、未熟だった頃の話だ。
語り終えたときには既に窓からはうっすらと西日が入り込んでいた、どうやら少し語りすぎてしまったようだ。
私は長く語ったことで乾いた口を潤すためにすっかり冷めてしまった紅茶を口にした。
「あの時ほど、自分が語っていた理想がまだまだ大言壮語、口先だけのうすっぺらい幻想に過ぎないものなのだと感じたことはないよ」
「ふぅ~ん……そんなことがあったんだ」
目の前に座るシービーも珍しく神妙な面持ちで私の話を聞いていた、そんな私たちのもとに爺やが新しい紅茶を淹れて持ってきてくれた。
「あぁ……だが、あのとき感じた無力感があったからこそ、今の私がいる……彼女のようなウマ娘でも希望をもって歩める世界、それを実現してみせる……そう決意する切っ掛けになったのだからね」
「そうですねぇ、それからのお嬢様はより真摯に夢を見詰めなおし、また貪欲に様々な知識を吸収し一回りも二回りも大きくなられました」
「へぇ~……じゃぁ、それもまたルドルフの原点なんだね」
「原点……そうだね、まさにそうだ……まぁ、まさかそんな彼女がこんな身近な場所で働いているなんて思いもしなかったがね」
「ふふふ、最初にそれをお伝えした時はルナお嬢様も大層驚き動揺なさっておりましたねぇ」
「へぇ~! ルドルフが動揺する姿なんて見たこと無いかも……どんな感じだったの?」
「こらシービー、余計な詮索はしてくれるな……爺やも口が軽くなりすぎる」
「ちぇ~」
「はっはっは、これは失礼いたしました。ではお詫びに特製のカフェオレをお淹れいたしましょう。もちろん角砂糖とリンゴのはちみつもたっぷりと」
「わっ! それ美味しそう~! マスターさんアタシの分もちょうだい!」
「かしこまりました」
「やれやれ……まったく、今日は本当に静かに過ごさせてはもらえないようだ……」
そう口にしながらも、私の口角は自然と上がっているのは自覚していた。
「それにしても、それだけすごい娘ならアタシも会ってみたいな……ルドルフ紹介してよ!」
「それなんだが……すまない、私もここで働いている姿をまだ見たことがないんだ」
「ん? どぉいうこと?」
「なに、どこかの過保護なマスターが中々私と彼女を巡り合わせてはくれないのだよ」
「ははは、大事な従業員を守るのも私の役目でありますからね」
「まったく……」
「そうなんですよ~……お店にいく途中で連絡が入って今日は急にお店を閉めるっていわれまして」
コメント:いったいなにがあったんやろ?
コメント:急にお客さんが押し寄せて食材が無くなったとか?
コメント:人気ラーメン店みたいだな
コメント:渋いマスターとマイヤーちゃんみたいな看板娘がいる店ならなっとく
コメント:でも喫茶店なんですがそれは……
「まぁそれならそれで、お店が繁盛しているのはいいことですよね!私もこうして皆さんと雑談できますし」
コメント:配信は嬉しいけどちゃんと休んでけー?
コメント:ここ最近配信が多いようですが……?
コメント:まぁ雑談が大半だし……
コメント:でも裏で作業しながらが多いような……?
コメント:仕事溜め込みマイヤーちゃん
「あはは……ほら、普段あれこれやろうと考えてるのにいざ暇になると途端にやる気がなくなるっていう……あれですよ」
コメント:あるある
コメント:掃除とか特にな
コメント:掃除は朝家を出る前にするようにしてる
コメント:俺も録り溜めたアニメが……
コメント:俺も積みプラが……
コメント:でもなにも配信しながらせんでもいいんじゃ?
「いやぁ~……なんか、一人で静かにやろうとすると他の事が気になっちゃって……雑談しながらの方が集中できるっていうか?」
コメント:勉強とかラジオ聴きながらの方が集中できる
コメント:俺もこの雑談配信聴きながら仕事してるぜ!
コメント:会社で配信聴いてるのかよ
コメント:ここに不良社員がおるぞ
コメント:そういうお前らはどうなんだよ
コメント:マッ
コメント:ピュッ
コメント:ア……ア……
コメント:やめろその言葉は大多数に効く
コメント:なんかすまん
コメント:そも聴くのと話すとじゃ大違いじゃろうに
「いやぁ、そうなんですよね~?集中しないと~って思っても雑談しちゃうっていうか」
コメント:ちゃんと集中してけー?
コメント:お仕事しようよマイヤーちゃん……
セカライ公式す:ちゃんとやらないとまた事務所で缶詰しますよ?
コメント:あ
コメント:あぁ
コメント:マイヤーちゃん……
「あ、あ……」
コメント:この人でなし!
コメント:もうやめて!マイヤーちゃんのライフはもう0よ!
コメント:マネージャー「HA☆NA☆SE!!」
コメント:マイヤーちゃんタヒす!デュエルスタンバイ!
今回はちょっとシリアスな内容となりました、まさかのほぼ主人公不在というね……シリアスになると出番がなくなる主人公ェ……。
茉莉ちゃんのもつ領域要素をどこで出すかあれこれ考え、今回のお話となりました。
ルドルフについてはちょっと解離している部分もあり「うちのルドルフは(以下略)」という方もおられるかもしれませんが、ご理解いただければとおもいます。
(ぶっちゃけ他作品のルドルフに影響されたとかいえない)
領域に対する考え方も作者個人の考えと考察ですのであしからず、度々出るようになってきた「原点」というのがこの作品のテーマなので、領域の解釈もそれにそう形で行っております。
あと領域の演出については作者:スターク様の作品である「また君と、今度はずっと」で使われている特殊タグを参考にさせていただいております。(もっと早く使いたかったけど某スズカさん小説に先を越されてました、そちらも面白いので是非)